HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード28

魔物討伐から三日後。一誠はベッドの中で目を開けた。起き上がろうとしたら

全身に痛みが生じた。痛みによって体を動かすことができず眼だけ動かすと

包帯だらけの身体に見舞いに来ていたのかレティシアが直ぐ傍で蹲って寝ていた。

 

「なに、この状況」

 

『お前が気絶している間にその人間は朝昼晩欠かさず見舞いに来ていたぞ』

 

一誠に宿るドラゴンが説明した。そして一誠に語り続ける。

 

『無茶をする。もっと別の戦い方でやればあのような獣にやられはしなかっただろう』

 

―――だって、ドラゴンの方が戦いやすいのかと思ったもん。

 

『それで負けそうになっては元も子もないだろう』

 

―――あう・・・・・。

 

『まぁ、勉強になっただろう。幸い全治一週間という重症で済んだのだからな』

 

―――それ、幸いって言うの?

 

『皮肉を言っただけだ。お前が弱かったから今回の結果になったに過ぎない』

 

―――ううう・・・・・もっと強くならないと。

 

『無茶だけはするなよ。それと、お前の傷を治しに天界から誰かが来るそうだ』

 

―――誰が?

 

ドラゴンに訊ねた時、レティシアが身動きした。

見舞いしに来てくれた少女に視線を送っていると朧気なアメジストの瞳とぶつかった。

 

「おはよー、レティシア」

 

「・・・・・」

 

挨拶した一誠に対しレティシアは怒ったような面持ちで一誠の頬を引っ張る。

 

「れ、れしぃふぃあ?」

 

「私は怒っているんですよ兵藤くん」

 

「ふぇ?」

 

つねられる力はそれほど強くなく、レティシアに「何に?」と視線に乗せると、

レティシアは一誠の視線の意図に気づき。

 

「あんな無茶な戦い方をした貴方に怒っているんですよー!」

 

「い、いふぁいいいいいっ!」

 

ギュウッと指に力が最初より込められて痛がり始めた一誠。しばらくソレが続くかと

思ったが、急に顔を俯いた。

 

「ごめんなさい・・・・・」

 

「レティシア?」

 

「私、足手纏いでしたよね・・・・・?」

 

哀しみが籠った声音。レティシアからの謝罪の言葉を聞き、小さな少女の頭に手を置いて撫でた。

 

「ううん、助けてくれたからレティシアは足手纏いなんかじゃないよ。

それに一緒に倒したんだから謝る必要はないよ?」

 

「兵藤くん・・・・・」

 

「次も頑張ろう?レティシア」

 

励まされ、心が軽くなった。そして笑う一誠に釣られレティシアも口許が綻び笑みを浮かべた。

 

「「「「・・・・・」」」」

 

そんな微笑ましい光景に大の大人が数人扉の隙間から覗き込んでいた。

 

「くぅっ!いい光景じゃねぇか・・・・・!」

 

「良き友情愛ですね」

 

「ええ、そう思いますがそろそろ入ってもよろしいのでは・・・・・?」

 

「・・・・・」

 

扉の向こうでは覗きこむ四人の大人とそれを苦笑いで見守っている二人のシスターたち。

 

 

『あ、神王のおじさん!』

 

『ひょ、兵藤くん!神王さまにおじさんって言ってはダメですよー!』

 

『え?たまに家に遊びに来てくれるのに?』

 

『あ、遊びに・・・・・?』

 

『だけど、羽目を外すぎて神王のおじさんと一緒に来ている

大人のお姉さんに殴られる時もあるんだけどねー』

 

 

「ユーストマさま・・・・・?」

 

「だっはっはっ!あながち間違ってはいないぜ」

 

まるで言われちまったなとユーストマが笑うとストラーダ猊下が息を一つ零した。

 

「神王としての振る舞いをしてくだされ。信徒たちに示しがつきませんぞ」

 

「プライベートで行ってんだ。気にするなって」

 

ストラーダ猊下の背中をバンバン叩いた後、堂々と中に入ったのであった。

 

「本当にあの子は出会っていたのですな」

 

「ミカエルさまもお会いになられたので?」

 

金色の輪っかを頭上に浮かばせる金髪の好青年は静かに首を横に振った。

 

「私が最後に彼と会ったのはまだ赤子の頃でしたよ。あの子だけ天界に連れて行き、

ヤハウェさまや同じセラフの者たちにも腕に抱かせたぐらいです」

 

「赤子とは言え、彼は面識が主やセラフの方々とあったとは・・・・・」

 

「特にガブリエルは大層あの子を気に入って、あまりの可愛さに自分の手で育てたいと

漏らしていたほどです」

 

その時のことを思い出したのだろう。若干苦笑いしたミカエル。

 

「つかぬことをお聞きしますが、その後は?」

 

「と、言うと?」

 

「戦士一誠を育てたいと願望を漏らしたのです。ガブリエルさまは彼の子をその後

どうしたのでしたかな?」

 

クリスタルディ猊下とストラーダ猊下の問いかけに遠い目で窓の外を見詰めながら答えた。

 

「ええ、私とユーストマと共々お返ししましたが・・・・・」

 

 

『一年、いえ、十年間だけ私に育てさせてください』

 

『・・・・・ちょっと、ツラ貸してくれないかしら?』

 

 

「ガブリエルと兵藤一香が女性の戦いを・・・・・ええ・・・・・小さな島国を一つ

犠牲にして収まったぐらいです。天龍同士の戦いよりも凄まじいかったですよ」

 

「「・・・・・」」

 

何をしていたのだセラフのガブリエルさまと兵藤一香は―――と二人が心の中で突っ込まずには

いられなかった。

 

「・・・・・もしや、天界ではなくこの教会の施設に選んだのは・・・・・」

 

「あなたが心の中で浮かんでいる思いの通りですよクリスタルディ」

 

「・・・・・天界は平和ですな」

 

「平和すぎて今度は天界まで争われては一溜まりもございませんので」

 

その言葉は冗談で言ったようには思えないと心から思った二人であった。

 

―――数日後―――

 

ミカエルの力によって傷は治りまた数日が経過した。レティシアから読み書きを習い、

一日一日を大事に過ごしていくと。

 

「一誠くん。これは―――ですよ」

 

「ル、ルーラ・・・もう一回お願い」

 

二人は名前で呼び合う仲になるほど進展した。同時に少しずつ他の少年少女たちと

話をするようになり、仲を進展していくそんなある日のこと。

一誠の世話役のシスターグリゼルダが声を掛けてきた。

 

「一誠くん、お迎えが来ましたよ」

 

「はーい」

 

今日は祝日の日であることを知っていた。だから一誠はシスターグリゼルダと表に出ると

久し振りにリーラとオーフィスと再会した。

 

「お久しぶりです一誠さま」

 

「イッセー、久しい」

 

「久し振りー!」

 

オーフィスと抱きしめた後にリーラにも抱き付いた。

 

「どうですか?お友達はできましたか?」

 

「うん。それにこの国の読み書きを教わっているんだよ。最初は何を言っているのか

分からなかったけど、教えてもらっているから今はなんとなくだけど分かってきたよ」

 

「それについては誠に申し訳ございませんでした。私が事前に教えていれば・・・・・」

 

一誠は気にしていないと首を横に振った。それからシスターグリゼルが見送る中、久しく

集った三人は足を運び市街地へと向かった。今日一日だけの祝日を一瞬の時間でも無駄にしない為に。

こうして祝日の日はリーラとオーフィスと会う日として、それまで施設で信徒として

生きる一誠は今日も勉学や修行をして励んでいる。勉学では―――

 

「せいじん?なにそれ」

 

「聖人とは教会に存在する役職の中で特別な称号みたいなものなんです」

 

ルーラから教会にとって当たり前な知識をご教授してもらっている。

 

「聖人には特徴的に聖なる痕こと聖痕を身体のどこかにあるのです。聖痕がある人は

攻撃の一つ一つが聖なる力を発揮し、悪しき者たちに浄化を可能とするんですよ。

そうシスターに教わりました」

 

「ルーラは会ったことがあるの?」

 

「残念ですがありません。聖人は私たち信徒と違い、特別な場所で暮らしているそうなのです」

 

「そうなんだ。会えたらラッキーなのかな」

 

幸運という言葉に同意するルーラ。

 

「そうですね。滅多にお見えに掛からないので会えたらそれは主に感謝しなくてはなりません」

 

手を組んで祈りを捧げるルーラを見て「うーん、そんなに会いたいなら」と一誠は一言述べた。

 

「神王のおじさんから聞いてみればいいんじゃない?」

 

「だ、だから神王さまにおじさんなんて言ってはダメですっ!(ギュゥッ!)」

 

「い、いふぁい、いふぁいー!」

 

「「「(仲が良いなー)」」」

 

「「「(仲が良いねー)」」

 

周りから温かい視線が向けられていることを二人は気付いていない。

 

 

そして修行では、ストラーダ猊下から金と青の剣を突き付けられていた。

小首を傾げるも雰囲気的に剣を受け取り品定めする視線で剣を見詰めると声を掛けられた。

 

「それは私が若き日から共に戦いぬいてきた聖剣デュランダルという名の剣だ」

 

「デュランダル?」

 

「デュランダルの特徴は全てを斬ること。デュランダルの本質は純粋なパワーだ。

私はデュランダルを使って敵を倒してきた」

 

「悪魔や堕天使とかも?」

 

「そうだ。最上級悪魔や堕天使の幹部も相手にしたこともある」

 

「おおー」と感嘆を漏らした一誠にストラーダ猊下は指摘した。

 

「刀身に力を籠めろ」

 

「?????」

 

と言われてもどうすればいいのか分からないと、疑問符を浮かべた一誠を見かねて

苦笑を浮かべたストラーダ猊下。

 

「すまぬ。まだ子供なお前には分からぬことだったな。こういうことだ」

 

デュランダルを手にしてストラーダ猊下は刀身に一誠にとって初めて見て感じる力の

オーラが迸り包みこんだ。

 

「聖剣に聖なるオーラを包みこめばこんな風になる」

 

「聖なるオーラ・・・・・」

 

「戦士一誠も聖なる力を持っているはずだ」

 

「え、僕にも?ドラゴンなのに?」

 

キョトンと疑問をぶつけた。ストラーダ猊下は敢えて一誠がドラゴンなのか聞かず、

ただ頷いた。

 

「金色のドラゴンを宿しているな?」

 

「うん、メリアのことだよね」

 

「そうだ。創造を司るドラゴンを宿しているならばできるはずだ。なぜなら聖なる力も

有しているのだからな」

 

ストラーダ猊下の言葉を聞き、一誠は内に宿るドラゴンに問うた。

 

 

―――メリア、本当?

 

『はい、確かに聖なる力を持っております。主が放った炎も聖なるオーラが混ざっておりますから』

 

―――じゃあ、先生のように僕もできるのかな?

 

『可能ですよ。ですが今すぐにとはいきません。身体に宿し流れる魔力と気と

同じぐらい聖なる力を初めて扱うのは大変です』

 

―――分かった。

 

 

「今はその聖なる力は扱えないけど、一年の間絶対に扱えるようにするよ」

 

「良い心がけだ。では、お前の武器を出すがいい。剣を持っているのに使わないとは

宝の持ち腐れに等しい」

 

「はい!」

 

カードから大剣を発現して構え教会随一強い人間と幼い人型ドラゴンが剣を交えた―――。

 

―――○●○―――

 

だが、一誠にとって生まれて初めて身の危険を覚える日がやってきた。

それは二度目の討伐の日。深夜、某場所で一誠たちは魔獣と戦い終えた時だった。

 

「この前戦った魔獣より強くなかったけど、これで安全になったよね」

 

「はい、きっとそうですよ。あっ、一誠くん血が・・・・・」

 

「ん?きっと茂みで切っちゃったんだね」

 

腕に一筋の赤い血液が垂れていた。それをなんとでもなさそうに見ていたがルーラは

ハンカチでふき取った。

 

「施設に戻ったら消毒しないと」

 

「それじゃ一旦集合場所に戻ろっか。集まっているかもしれないし」

 

「ですね」

 

踵返して同士、仲間たちがいる場所へ足を運んだ。二人は和やかに話をしながらも警戒は怠らない。

―――だからこそ、こんな深夜に装飾が凝った白い服を身に包み、白い髪に金の双眸から

歓喜の色と狂喜の笑みを浮かべている男を発見する事も容易かった。一誠は男を見て

背筋に走る悪寒を感じ、バサッ!と金色の翼を展開すると男が高らかに笑い始めた。

 

「今宵はなんと素敵な日だろうか!ちょっと遠出してみれば天使の美少年と出会ったではないか!」

 

目の前の男は危険だと第六感の警報が鳴り止まない。一誠は容赦なく聖なる光を男や

周囲に向けて放ったが、闇を裂く光に生まれる影は男を味方にして光りから守った。

影の中に潜り込み一誠の真後ろに移動すると、

 

「どれ・・・・・キミの血の味を堪能しようか」

 

「ひぅっ!?」

 

ビクリと硬直した身体と思考が一誠を次の行動を送らせた。その結果、男が覗かせる

牙が一誠の首の皮と突き破り、血を吸われていく。

「い、一誠くん!」とルーラが悲鳴を上げる中、男の目が丸くなっていた。

 

「(これは・・・・・美味い・・・・・そして、なんて熱く濃厚な血潮・・・・・!)」

 

男はそれだけではないと悟る。血を啜る度に溢れんばかりのパワーが身体の奥底から

湧き上がって仕方がない。この少年の血を全て吸い切ったら自分はどうなってしまうのか

という好奇心と不安が混ざるも一誠を解放しようとしない。

 

「(いや、こんな美少年を一時で終わらせては勿体ないっ!故にこの血をあの方にも―――!)」

 

そう思いながらも懐から複数の小瓶を取り出して一誠の首筋に流れる血を採取した時だった。

 

―――ゾッ!

 

身の危険を、悪寒を感じた。男は本能的に離れるとさらに目の前に剣の切っ先が飛びこんできた。

 

「っ!?」

 

間一髪かわした男だが頬に炎で焼かれたような痛みを感じた。その剣は自分を滅ぼすことが

可能な剣であることを認知して影の中へ潜り込んだ。剣を持った者、ストラーダ猊下は

厳しい目つきで周囲に警戒しているとこの場からいなくなったことを察知してぐったり

している一誠と涙目のルーラに振り返った。

 

「吸血鬼が現れたか」

 

「先生!一誠くんが、一誠くんが!」

 

「分かっている。戦士一誠の光を見た時は何か遭ったのだと悟って駆けつけたのだ。

・・・・・どうやら間に合ったようだ」

 

心の中で安堵の息を漏らし一誠を抱きかかえた。

 

「だが、手当をする必要がある。至急に戻るぞ」

 

「はいっ!」

 

一方、九死に一生を得た男は全身で息をしながらも目的地に辿り着いていた。

息を整えある場所に赴けば赤い絨毯にパチパチと薪を燃やす暖炉、

洋風なアンティークの家具の空間が。そこに巨大な獣が寝そべっていて獣に寄り掛かるように

腰を下ろしてグラスに注いだワインを揺らす黒い長髪に黒いドレス、

赤い瞳の少女と黒い騎士甲冑を着込んだ男がいた。男が自分の目の前に現れるや否や、

 

「敵にやられたの?その頬の傷」

 

と口の端を吊り上げて嫌味な言葉を投げたが、男は気にせずに苦笑を浮かべた。

 

「つい生まれて初めて至高の血を持つ美少年に夢中でして」

 

「ふーん、至高の血ね。―――その血を飲んだから力を増しているのかしら?」

 

少女の問いに目を輝かせ、満面の笑みを浮かべた。

 

「ええ!そうなんですよ!あの美少年はただの人間ではありません!

私が美少年の血だけ吸い続けた中で至高の血を持つ美少年でしたよ!

だから私は若い血を持つ美少年が大好きなのですよ!」

 

「そ、そう・・・・・」

 

「ああ、またあの美少年と会いたい・・・・・っ!私、どうやら惚れてしまったようです姫!」

 

恍惚とした表情を浮かべる男に少女の口元が引き付き、騎士甲冑を着込む男は

関わりたくないとばかり目を閉じていた。

 

「あっ、因みに美少年の血を持ってきました」

 

懐から少量ながらも血が入っている複数の小瓶を取り出した。少女と騎士甲冑の男に

渡すと少女はジッと血を見た。

 

「ふーん・・・・・これがあなたが惚れ込んだ人間の血ね」

 

蓋を開けてまずは血の匂いを嗅いだ。その後まだグラスに残っているワインに赤い血液を

半分ほど入れて、グラスを傾かせワインと血を混ぜるようにして直ぐに口元に寄せて一口。

 

ドクンッ!

 

「「・・・・・っ!」」

 

少女と騎士甲冑の男が目を張った。一誠の血を直接飲んだ男のように感想は似たようなものだった。

 

「この血の味・・・・・確かにただの人間ではないわね」

 

「・・・・・ただの人間どころか、人間ではなさそうですな姫よ」

 

騎士甲冑の男の言葉に同意と少女は血を提供した男に問うた。

 

「その人間は本当に人間だったかしら?」

 

「姿形はまさしく。ですが、天使の翼を展開していました」

 

「・・・・・天使の血はこんなにも美味しかったのかしら」

 

「お前はよく血を吸えたものだな」

 

「相手はまだ子供だったから吸えたんだよ。できることなら私のコレクションに加えたい程だ」

 

また恍惚な表情となった男を無視して未だ瓶に残っている血を見詰めた後、

口の中に直接入れて飲みほした。

 

「つまらない意地とプライドを張っているカーミラ派とツェペシュ派にこの血の存在を

教えるのも何だか癪だわね」

 

「一応、我々もツェペシュ派なのですが?」

 

「私たちの領土がたまたまここだったからツェペシュの派閥になったに過ぎないわよ。

私は一言もどっちの派閥の吸血鬼とは告げていないし加担した覚えもない。

妹も私と似たところでしょうね」

 

「それとも、あなたたちはツェペシュ派、カーミラ派の吸血鬼だったかしら?」

と意味深と笑みを二人の男に目を配れば少女の前に跪いた。

 

「私はあなただけの騎士でありますよ姫」

 

「右に同じく」

 

「ふふっ。なら、何時までも私の傍にいなさい?私の白騎士と黒騎士、

リィゾ=バール・シュトラウト、フィナ=ヴラド・スヴェルルデン。いいわね?」

 

「「はっ!」」

 

『・・・・・』

 

「ああ、あなたも傍にいてちょうだいねプライミッツ・マーダー」

 

自分が寄りかかっている獣から感じる視線に気付き、声を掛けると短く鳴いた。

 

「にしても、興味が湧いたわね。その子」

 

「・・・・・姫、まさかだと思いますが。敵地に乗り込むおつもりですか?」

 

「乗りこむなんて心外ね。私の騎士が惚れ込んだ美少年を見に行くだけよ」

 

「勿論」と少女は獣の背中に触れた。

 

「あなたたちも来なさい。出掛けるわよ」

 

「待ってました!」

 

「やれやれ・・・・・」

 

一人は歓喜に、一人は呆れで少女に付き従うのであった。


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