HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード63

その日の夜―――。リースは寝台に眠る一誠の傍に立っていた。

悩ましげに顔を顰め荒い息を断続的に吐き、サマエルの呪いに苦しんでいる様子が窺える。

 

「復讐・・・・・」

 

祖国を滅茶苦茶にしたリゼヴィムに対する感情。そして、自分に復讐のチャンスを、力を

与えてくれた一誠に対する感情と天秤に計った。リースは夜まで考えに考えて至った

結論は―――。

 

「イッセー・・・・・必ず、あなたを助けてあげる」

 

英雄派が寝静まり返り、ゲオルクとジークフリート、ヘラクレスの三人が暗殺をしに

来る前に行動を開始した。一誠を背中に背負って本部から脱走を図ろうとした。

 

「―――なーるほど、ゲオルクの言った通りになったようだな」

 

「っ!?」

 

「よぉ、リース。そいつを背負ってどこに行こうとしている?」

 

腕を組んで扉の前に立ちはだかり、振り返ったリースを見据えるヘラクレス。

自分の行動を察知されてたことに

悔しさで一誠に申し訳ないと心の中で謝罪しながらもハッキリと言い返した。

 

「ここで彼を治せれないなら敵対している者たちに治してもらいに行く」

 

「お前、リゼヴィムに復讐するんじゃなかったっけ?」

 

「ええ、それは今後も変わりないわ。だけど、私に力を与え、復讐のチャンスを与えてくれた彼を見殺しになんてできない。ましてや暗殺を企てる仲間だと思っていた者たちから遠ざける為にも」

 

「・・・・・聞いていたのか」

 

予想外だった。だが、ヘラクレスはやることは変わりないと決め込んだ。

 

「あなたたちは彼のおかげで力をさらに得たと言うのに恩を仇で返すの?いくらなんでもそれは酷過ぎる!」

 

「何言ってんだ?言っとくが俺たちは確かに共通点はある。だがよ、俺たちは仲間意識は対して強くないんだぜ?」

 

「同じ仲間の死を何とも思わないと・・・・・」

 

「まあ、そんな感じだな。弱い奴は所詮そこまでの奴だってことさ」

 

攻撃態勢となり、ヘラクレスはリースにいやらしい笑みを浮かべた。

 

「だが、これはコレで好都合だ。お前らの死で後から色々と曹操に言い訳できるからよ」

 

「・・・・・所詮はテロリストなのね」

 

「お前もその一人だがな?」

 

「『だった』と言い間違えではないかしら。―――英雄派から脱退させてもらうわ」

 

ドラゴンの翼を生やして一誠を包み、一気にヘラクレスの間合いに飛び込んだ。

 

「はっ!」

 

嘲笑を含んだ短い笑みと同時に硬く握った拳をリースに突き出した。その瞬間、リースの目はハッキリと捉えた。迫る拳を、ヘラクレスの手首を掴んで、

 

「あなたと戦っている暇は無いの」

 

背後へ力のあらん限りヘラクレスを投げた。後に聞こえる甲高い音を無視して通路を駆け走る。

 

「(次の通路を曲がれば大食堂。ここの建物の構造は単純だからそこを通過すれば直ぐに外へ出られる。だけどヘラクレスよりもゲオルクが私の行動に気付いていた。だとすれば食堂にも―――)」

 

リースの考えは正しかった。大食堂に侵入し中央まで駆けた時、夜中なのにヒッソリと座っている武装したジークフリートがいた。

 

「待っていたよ、と言いたいところだけどこの早さでここに来たということはヘラクレスがどうやらヘマしたようだね」

 

「・・・・・」

 

「キミの裏切りはゲオルクが前から危惧していたようだよ。本当に裏切るとは思わなかった」

 

「あなたたちが彼を治せないから殺そうと企てなければ裏切るつもりも無かったけれどね」

 

「ふーん、聞いていたんだ。まあ、こっちも今日のキミの態度が怪しかったから薄々だけど勘付いていたけど」

 

腰を上げ、椅子から立ち上がって魔帝剣グラムを構える。

 

「できれば抵抗しないで斬られてくれるとありがたいな」

 

「お断りよ」

 

亜空間からブリューナクを手にして構える。すると、背後から苛立ちを隠さないヘラクレスが現れた。

 

「やぁ、ヘラクレス。随分と舐められたようだね」

 

「うっせ!纏めて殺せば文句ねぇだろ!」

 

ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべるジークフリートの意表を突こうとして

ブリューナクを突き付けた。だがしかし、相手は剣の達人。一誠を背負ったままで

戦うのは厳しい。軽く受け止められては受け流され、グラムの鈍く光る刃が

リースの首に吸い込まれるように迫る。ブリューナクを支柱としてリースは

体勢を変えて凶刃から逃れる。

 

「お、やるねぇ!」

 

「結構厳しいスパルタな特訓をさせられたからね!」

 

「あはは、そうだったね。でも、相手は僕だけじゃないよ?」

 

ジークフリートの視界に移る真横からリースに拳を振り上げているヘラクレス。

リースがその言葉の意図を気付き、体勢を低くして食堂を支える一つの柱が爆発する

ヘラクレスの拳から翼で包んでいる一誠を守った。

 

「爆弾魔めっ!」

 

「誰が爆弾だ!爆発だ!」

 

「いや、最終的にはそうなるから変わりないと思うよ?

というか、あんまり食堂の物を壊さないでよ。

騒ぎを聞きつけて他の者たちが来ちゃうんだから」

 

「ンなこと分かってるっ!」

 

格闘術と剣術のコラボレーション。二対一でしかも一誠を抱える身として戦況は思わしくない。

時に椅子やテーブルなども利用して食堂から出ようとするが、その考えをしているリースに察知して食堂から行かせないとばかりに行く手を阻む二人だった。槍一つで、一誠を背負った状態で幹部クラスの二人と戦うのは正直厳しい。ブリューナクの能力を使うにもジークフリートの言う通り、騒ぎを聞きつけ、この場に来られると一気に不利となる。通常の槍として攻防に徹する。

 

「くっ!」

 

しかし、このまま戦い続けても無駄に体力を消費するだけ。芳しくない状況だとブリューナクを前に構え、幾重の防御魔方陣を張り、ジークフリートの剣とヘラクレスの拳を防ぐ。その間、頭の中でこの状況を突破する方法を考えようとする―――。

 

「おらぁっ!」

 

「ふっ!」

 

が、あっさりと全ての魔方陣を斬られ、粉砕されてしまい防御の構えをしていたリースにその衝撃が襲われ壁と激突した。

 

「う・・・・・ぐっ・・・・・・!」

 

その際、一誠が翼から零れてしまい、リースも直ぐに行動を移せなかった。首筋に突き付けられるグラム。

 

「さてと、それなりに楽しめたけど死んでもらうよ。ヘラクレス、そっちを頼む」

 

「ああ」

 

意識がない一誠の首を鷲掴みにして持ち上げるヘラクレス共々ジークフリートに焦心の叫びを発する。

 

「止めて!イッセーを殺さないで!同じ仲間だったじゃない!?」

 

「確かに仲間だったね。だけど同時に爆弾でもあった。彼のおかげで楽しい思いをしたけどイレギュラーな事も起きる」

 

「イレギュラーってのは良い意味でも悪い意味でも何時どんなことが起きるのか分からねぇ。こいつはその塊だ。だからこそ、んな不安要素を破壊した方がいいと思うんだがな」

 

二人はリースの説得に耳を傾けない。ヘラクレスは自分の意志で一誠の顔面に拳を突き刺そうとする。

 

「んじゃ、あばよ兵藤一誠。直ぐにお前を慕う女もそっちに逝くからよ」

 

「―――っ」

 

口を開くリースに振り上げたグラムを振り下ろそうとするジークフリートと同時に一誠に突き出すヘラクレスの拳。真夜中に起きた裏切りに対する処刑の本当の真相を知る者はゲオルクを含む四人だけ。

一誠とリースの命を守る者などこの場にはいなかった。

 

「・・・・ゲオルク、ヘラクレス。何してる?」

 

「「っ!?」」

 

ビクリと剣と拳が途中で止まり、二人は顔だけ声がした方へ振り向いた。

 

「りょ、呂綺・・・・・?」

 

「セカンド・オーフィスまで、どうしてキミたちがここに・・・・・」

 

食堂に三人以外起きている者がいた。二人にとって厄介な人物に違いない。呂綺は眠たげな表情のまま言う。

 

「恋はお腹空いたのと、一誠の傍にいようとした。でも、戦いの気配を感じたから来てみたら会った」

 

ジッと呂綺は四人を見詰める。ジークフリートはリースにグラムを振り下ろそうとしている。ヘラクレスは呂綺が会いに行こうとした一誠の首を掴んで拳を突きつけようとしている光景。

 

「・・・・・何してる?」

 

呂綺からの問いかけにジークフリートは状況を説明した。

 

「リースが兵藤一誠を敵対している勢力に売ろうとしていたんだ。そこで僕たちは食い止めていたところだよ」

 

「・・・・・ヘラクレスが一誠の首を掴んでるのはどうして?」

 

「それは・・・・・」

 

「一誠、毒と呪いで苦しんでいる。なのになんで攻撃している?」

 

「うぐっ・・・・・」

 

言い辛い事を指摘され、ジークフリートとヘラクレスはぐうの音も出なかった。純粋な眼差しは次第に怒りの炎が孕んでいく。最後にリースにも問う。

 

「リース、一誠を敵に売るつもりだった?」

 

「違う!」

 

間髪入れず否定した。

 

「ゲオルクとこの二人がイッセーはもう助からないと殺すしかないと知って私はイッセーを助けようとしていた!確かに敵対している勢力にイッセーを差し出すのはあなたたちに取って売るに等しい行為なのかもしれない。だけど、私は―――イッセーの事が好きなの!」

 

「・・・・・」

 

「復讐をしたくてイッセーの誘いに乗った。私に生きる為の機会をくれたイッセーをこのまま見殺しになんてできない。だから、だから―――!」

 

必死に自分の気持ちを曝け出し、想いを伝える。一誠の事が好き。それは呂綺もそうだ。

側にいると安らぎ、温もりを感じれば甘えたくなり、肌と肌を重ねると幸せを感じる。温かい声をもっと聞きたい、優しい眼差しでもっと構って貰いたくなる。それはリースも一緒なのだと、

 

「ん、わかった」

 

一誠を慕う同士。好意を抱いている一誠を攻撃している者は例え味方だとしても許せない。

ついに呂綺の瞳に敵意と怒りの炎が孕み二人を睨んだ。

 

「お前たち、許さない」

 

敵対した瞬間だった。流石に予想外な事で焦るジークフリート。

 

「待て呂綺!?僕たちは仲間だろう!」

 

「ヘラクレスは仲間意識が強くないって言ったわよ」

 

「ヘラクレスゥッ!?」

 

「事実だ―――(バキャッ!)ギャッ!?」

 

殴られるヘラクレス。壁に激突してそのまま微動だにしなくなった。一誠は床に崩れ落ちる前にリースが受け止め、その様子を唖然と見ていたジークフリートの顔に鷲掴みする呂綺。

 

「あっ・・・・・がっ・・・・・!?」

 

ミシミシ、メキメキと頭蓋に握力を掛けられる音がリアルに聞こえてくる。

 

「りょ、呂綺・・・・・や、やめ・・・・・」

 

「ダメ」

 

無慈悲にも制止の言葉を聞き受け入れてもらえず、ジークフリートの意識を奪った。そしてグラムを奪うように手にしてリースに見詰める。

 

「行く」

 

「ありがとう・・・・・でも、オーフィスは?」

 

「我も行く。死んじゃうのダメ」

 

一誠を自ら背中に背負い、セカンド・オーフィスは空間を歪ませ、穴を作ると二人に「潜る」と言って穴の中へ消えて行った。

 

「これ、どこに繋がってるの?」

 

「わからない。でも、行く」

 

二人も続いて穴の中へ進むと閉じた。そして外で待機していた一人の魔法使いがこの光景を魔方陣で介して見ていて溜息を零す。

 

穴から飛び降りた先には―――万華鏡の中を覗いたかのような空間だった。

 

「こ、ここは・・・・・!?」

 

「初めて来る」

 

三人は足場も無い、右も左も勝手が分からない未知なる空間に飛び込んでしまった。

そんな三人の直ぐ近くで―――空間に光の穴が開きだして巨大な真紅のドラゴンが顔を出した。

セカンド・オーフィスはこれだとばかりに真紅のドラゴンの背中に乗りだし、リースと呂綺も反射的に乗った。

 

「見つけた」

 

一誠を赤い大地のような真紅の龍ことグレートレッドの背中に下ろしてペチペチと叩く。

 

「この者の臭いと同じ臭いのドラゴン。お願い、助ける」

 

セカンド・オーフィスがペチペチ叩きながら願う。二人はこの背中に乗せてもらっているドラゴンの反応を静かに見守る姿勢でいることにした。

 

―――○●○―――

 

英雄派の内部抗争が発声したことを露知らない世界に存在する各勢力にとんでもない事件が起きようとしていた。

 

「うひゃひゃひゃっ!そろそろ待ち侘びている頃だし始めちゃいましょうかねー。ゾフィリスくん、魔獣を創造しちゃってくださいな!」

 

人間界、そして冥界に突如として現れた巨大な異形の魔獣がいま解き放たれた―――!

 

 

『―――緊急放送です。日本の海域にて突如巨大な怪物と黒いドラゴンたちが海から出現しました。海上自衛隊の報告で明らかにされたことで政府は―――』

 

「・・・・・ねぇ、あれってここしかいないの?」

 

「今調べているわよ」

 

リビングキッチンにいるフレイヤとナヴィは直ぐに行動した。オーフィスたちは学園にいてこの事実を知らないはずだ。

 

「放送された魔獣、どうやら日本の海域だけじゃなくてヨーロッパ、インド、中国、ロシアと世界各地に出現しているそうだわ。そして冥界にも」

 

「あらそう、人間界と冥界は大騒ぎね。今ごと対処に追われているんじゃない?」

 

「魔王と神王、堕天使の総督に伝えたから取り敢えずこの事実は知るでしょうね。というかアンタ、神なんだからなんとかできるでしょ」

 

「私は美の神としているのよ?戦いは嫌いなの」

 

「このニート&ヒモ女神め」

 

―――駒王学園―――

 

「お前ら、リゼヴィムが仕掛けてきた。世界中に量産型邪龍と巨大魔獣を放ちやがった」

 

「せ、世界中!?」

 

「ああ、しかも冥界もだ。人間界は兵藤家や式森家がいるから問題ないとして判断する。世界各地にいる魔獣共は神話体系の神々共が対処してくれるだろう。じゃなきゃ、世界は混沌に陥ってしまうからな」

 

授業中に呼びだされる対テロ組織混成チーム。アザゼル、リーラ、ユーストマ、フォーベシイ、八重垣正臣が揃ってて事の重大さを伝えられた。

 

「ここを避難場所として民間人の収容をする。地下にいくつかのシェルターもあるからな。そして俺たちは二手に分かれて人間界と冥界にいる魔獣たちを殲滅する」

 

「悪魔と人間と分かれてですか?」

 

「そうだ。戦力を分散する意味でもある。もしもどっちかの世界で英雄派が現れたとしてその対処もしなきゃならん」

 

英雄派=一誠と認識する一同。だが、一誠は来るのだろうかと疑念を抱く。

 

「アザゼル先生、あいつ・・・・・サマエルの毒と呪いを食らっているんスよね?現れるのですか?」

 

「・・・・・分からん。もしも死んでいるとすれば英雄派の中にはいないと思え」

 

『・・・・・』

 

何とも言えない雰囲気となり、誰もそれから口にしようとはしなかった。今は世界を危険に晒す魔獣たちの殲滅だ。それを専念しようと気持ちを切り替え、冥界と人間界。それぞれの世界を守りに一同はしばしの別れをした。

 

―――人間界―――

 

海上自衛隊は武装した船で魔獣を駆逐していた。しかし、その魔獣の大きさは二百メートル級で戦艦でもなければ傷一つ付けられないような硬度を誇っていたのだ。その上、巨大魔獣は身体から小型の魔獣を空へ、海へと放って破竹の勢いで海上自衛隊たちを蹂躙していった。それに続く量産型邪龍は火炎を吐き、空を飛び交う戦闘機を焼き尽くす。

 

「第一、第二防衛ライン突破されました!」

 

「ええい!この武装では歯が立たないというのかっ!?」

 

指揮をしていた提督が奥歯を噛みしめ、次々と沈没、撃沈されていく船を見据えて直ぐに現実となる自分の運命と向き合う。

 

「何としてでも祖国を守り切るのだっ!それが我々日本に生まれた者の義務である!」

 

現実とは時に残酷である。自分たちの無力さを改めさせられ、大半の者は心を折られる。

 

「巨大怪獣、接近!」

 

「ぬぅっ!」

 

既に四百メートルという距離からでも窺える巨体。その壮大な姿を見せ付けられ、誰もが畏怖の念、戦慄に顔を歪める。

 

「ば、化け物めっ・・・・・!」

 

魔獣は拳を海に浮かぶ小さな鉄の塊に向けて突き出した。ただ単純な事。こうすればあっさりと壊れて邪魔な物は海に沈む。魔獣の思考は破壊衝動。目の前に存在する物は全て破壊。

 

「―――ここまでか」

 

目を瞑り、死を覚悟した提督。提督の耳に飛び込む音は―――魔獣の悲鳴だった。

・・・・・なに?と提督は怪訝に瞑目していた目を開いて外の様子を見た。

 

「ふー、間に合ったね」

 

宙に浮かぶ和樹が手を突き出した状態で巨大魔獣の顔面は煙に包まれ、和樹の魔力の一撃を食らった様子。和樹は安堵で呟く。辺りは量産型邪龍と小型魔獣の群れ。その群れに向かって数多の魔方陣を展開して極太のレーザービーム状の魔力を放って一掃する。

 

「さて、他の皆を召喚しよう」

 

カッ!

 

この場に発現する魔方陣。魔方陣の光と共に出現する少年少女たちは周囲を見渡し、感想を述べる。

 

「うわー、いっぱいいますね」

 

「あの魔獣は国会議事堂にいたのと同類とみた方がいいか?」

 

「ああ、そうした方がいいだろう」

 

「比叡、榛名、霧島。久々の出陣デース!日本を守りマース!」

 

「「「はいっ!金剛お姉さま!」」」

 

特に作戦などない。シンプルに魔獣と量産型邪龍の駆逐。互いの邪魔をしないように気を配って対テロ組織混成チームは空を駆け、海に飛び込む。

 

「「「「禁手化(バランス・ブレイク)!」」」」

 

戦艦を彷彿させる物を全身に装着して海に立って意気揚々と砲撃を開始したのだった。

 

「バーニングFIRE!」

 

「比叡、頑張って、行きます!」

 

「私の計算によればあの魔獣は超攻撃力ならば倒せる確率ならば百%です」

 

「榛名、全力で頑張ります!」

 

四人の少女たちは巨大魔獣に向かって海を駆ける。和樹、カリン、龍牙、百代、エスデス、シオリは数多の小型魔獣の駆逐。

 

 

ドドドドドドドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

 

「な、何なのだあの少年と少女たちは・・・・・?」

 

愕然と見守る提督と船員たち。だがしかし、驚くのはそれだけではなかった。レーダーが新たな探知を示したのだ。それは防衛の陣形をしている数々の船の背後からだ。

 

 

「ふっ、どうやら私たち以外にも勇敢に戦う者たちがいたようだな」

 

「そうねぇ。お姉さんたちも頑張りましょうか」

 

 

「加賀さん。初めての戦闘だけど怖くない?」

 

「それは赤城さんも同じ事。ええ、問題ございません。初めて見る私たちと同じ力を持つ者も一緒なのでから」

 

 

「翔鶴姉っ!近くで見ると随分とデカい標的ね!」

 

「他の皆さんの邪魔にならぬよう攻撃をしましょう瑞鶴」

 

 

「北上さん!無茶しないように!」

 

「大丈夫だよ、大井っちと一緒ならね」

 

 

「わぁー、いろんな娘がいっぱいるー。あれ、私たちと同じ力を持っているのよね?」

 

「とにかく、日本を守りきらなきゃ!」

 

 

「オレの力を発揮する時だぜ!」

 

「うふふっ。天龍が大はしゃぎね」

 

 

「この私が来たんだからレディらしい戦いを魅せてあげるっ!」

 

「倒すぞー!」

 

「ハラショー」

 

「なのですっ!」

 

 

金剛たちのように身体の各部分に戦艦を装着している少女や女性たちが海を駆け。この場に集った。

 

「WHAT!?私たちと同じ神器(セイクリッド・ギア)の所有者たちなのデスカ!?」

 

「こんにちは。一緒に敵を頑張って倒しましょう」

 

「って、大和!あなたもデスカ!?」

 

「す、凄いです。榛名、感嘆しちゃいます」

 

「うはっ!盛り上がってきましたよお姉さま!」

 

「ざっと数えるだけでも三十人以上はいますね・・・・・」

 

そんな光景を小型魔獣を駆逐している和樹たちも見て驚いていた。

 

「へぇー。金剛さんたち以外にもいたんだね」

 

「アザゼル先生がこの場にいたらはしゃいでいたでしょうね」

 

「おーい!感心していないで倒せー!」

 

風邪の魔法で魔獣を数匹一掃するカリンに窘められ、苦笑を浮かべて動き始める。

 


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