HIGH SCHOOL D×D ―――(再)―――   作:ダーク・シリウス

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エピソード60

「やぁやぁやあっ!こんにちは臆病な赤龍帝くん!」

 

「んだテメェっ!俺は臆病じゃねー!」

 

とある日の深夜。町を警備していた誠輝たちの前にソレは突如として現れた。

慣れ慣れしく、誠輝のプライドを酷く刺激を与える言葉を放つ

リゼヴィム・リヴァン・ルシファーと。

 

「聞いたよ聞いたよ?二天龍、天龍を宿しているのにグレンデルくんと戦いもしなかったって」

 

「―――っ!?」

 

「坊ちゃん・・・・・ああ、チミの弟くんねー?弟くんの方がお兄ちゃんよりもとても優秀ですね!一から千まで全て!オーフィスとグレートレッドの肉体と力で復活したし、宿している力は有名度の高いドライグちゃんと同等それ以上だしね?

ああ、それと交友関係もそっか。坊ちゃんだけだよ?色んな神話体系の神々とお友達だなんて

イレギュラーな人間から転生したドラゴンくんは」

 

「何が・・・・・言いてぇんだ・・・・・っ」

 

屈辱と怒りで身体を震わせ、目の前の悪魔に対する敵意に殺意を籠った視線を送る。

おー、悔しがってるーと楽しげに笑みを浮かべるリゼヴィムは自分を囲む兵藤家たちを無視しながら嫌みな言葉を言い放った。

 

「赤龍帝のチミとー、イレギュラーな坊ちゃんとーどっちが存在価値が高いかなーって?そこんとこ、自分でも分かってる?」

 

「・・・・・っ!!!」

 

カッ!と顔を真っ赤にし、赤い龍を模した全身鎧を瞬時で纏い、倍加の能力を発動し始めた。

 

「当然、坊ちゃんの方が存在価値や利用価値も鰻登りさ!あっ、鰻重食べたくなったなー。後で食べにいこっと」

 

「俺が、あの化け物に劣るだと・・・・・」

 

「実際そうじゃん?チミ、負けたでしょ?悪魔に転生されちゃって最後は光の攻撃でバッタンキュー!」

 

「負けてない!あの化け物が卑怯な手を使っただけだ!」

 

魔力攻撃を放つ。

 

「うひゃひゃっ!ガキらしい負け犬―――やっ、負け龍の言い訳だね!あっ、俺に神器(セイクリッド・ギア)なんて効かないから攻撃しても意味ないぜ?」

 

至近距離での倍加した魔力弾がリゼヴィムに直撃する前に役目を終えたとばかり赤い魔力弾が霧散した。

 

「なっ・・・・・!?」

 

「俺ってば神器無効化(セイクリッド・ギア・キャンセラー)って冥界じゃ超越者の一人として数えられていたんですよこれが!―――だーかーらー?キミたちの神器(セイクリッド・ギア)は一切効きません!あっ、情報料として魔王の長男のパンチをお見舞いしてあげるね」

 

ドゴンッ!

 

魔王パーンチと言いながら正拳突きをするリゼヴィムに殴り飛ばされる誠輝。

更に他の兵藤家たちも蹴りや魔力を放って攻撃し、一網打尽にした。

 

「あれれー?兵藤家は最強だーって自慢している一族なのによわっちいよわっちいねー?!ああ、人間様限定かっ!悪魔とか天使とか堕天使とかそんな超常の相手だと怖がって最強から最弱になっちゃうんだね!納得したよ!うひゃひゃっ!」

 

『っ・・・・・』

 

「これならまだ坊ちゃんと坊ちゃんの知り合いと戦った方がまだ楽しめそうだねー。おおっと、色んなヒトが来る気配を感じるから俺さまは逃げるぜ!また会いにくるぜ?バイバイキーン!」

 

屈辱と煽るだけ煽って姿を暗ますリゼヴィム。残された兵藤家たちは自分たちの不甲斐なさと怒り、屈辱で何時までも悔しがった。

 

「ちくしょうがぁああああああああああああああああああああっ!」

 

夜空に轟く誠輝の屈辱に満ちた怒号―――。誠輝たち兵藤家がこれから行く先はどんな道なのか神すら知らない―――。

 

 

 

 

対テロ組織混成チームはルーマニアに行く準備を整った。

 

「そんなわけで、これからルーマニア、吸血鬼の世界に向かうメンバーを決めたい」

 

放課後の教室。2-Cの教室で会議を行う面々は教卓の前に立つアザゼルとリーラ、ユーストマにフォーベシイに視線を向ける。

 

「知っての通り、俺たちは異世界の兵藤一誠から吸血鬼の世界にリゼヴィムがいる情報を得ている。それは何時なのか定かじゃないが、それでも俺たちは吸血鬼の世界に行く事を決めた。あの世界にリゼヴィムがいるかどうか確認する為にもな」

 

「私の方から誠さまと一香さまにお願いして吸血鬼の二大派閥、カーミラ派の方へコンタクトを取って貰うようにお願いしております。まだあの方たちから報告はございませんがきっとうまく事を運んでくれているはずです」

 

アザゼルとリーラに話を真摯に聞く姿勢なリアスたち。そして単刀直入にメンバーは決まった。

 

「曹操と一誠の英雄派たちもリゼヴィムに対峙するならこっちもそれ相応のメンバーで挑む。まず吸血鬼の世界の案内役としてアルトルージュとヴァレリーの他にリーラ。お前が今回の遠征の指揮者として行動してもらうぞ。あっちに行けば誠と一香と合流できるだろうがな」

 

「かしこまりました」

 

「続いて教会組の五人。お前らの聖剣の力が悪魔だけじゃなく吸血鬼にも効果的だ。思い切って振るえ」

 

五人は力強く頷いた。パワー、スピード、テクニック、ディフェンスが揃ったオールラウンダーなためだ。

 

「そんでリアス、エスデス、式森、オーフィス、クロウ・クルワッハ、アカメ、ギャスパーの十三人で行ってもらう。他の者はこの町で待機してもらう」

 

呼ばれていない者は少々不満な顔を浮かべていたがアザゼルの一言で納得した。

 

「これはまだ公にされていないが、赤龍帝たちが深夜の警備でリゼヴィムと接触した。何しに来たのかと思えば赤龍帝たちをバカにしに来ただけらしい。特に事件になった出来事はないが、アイツの言動に何一つ理解できん。最近、この町に襲撃されるようになってきたから俺たちも警備する必要がある。いきなり目の前に一誠が現れる事なんぞ不思議じゃないからな」

 

「そうね・・・・・」

 

その経験は何度もしている。今もこうして現れる可能性だってあるのだから警戒は怠れない。

 

「アザゼル、オーフィスとクロウ・クルワッハも一緒ってことは・・・・・」

 

「英雄派とリゼヴィムに対する抵抗だ。どっちも邪龍を抱えているからこっちもドラゴンを前線に出さないとキツいだろう」

 

「グレンデルか。聖杯によって復活したとなれば、他の邪龍たちも復活している可能性があるな」

 

「邪龍はとにかくしつこい」

 

最強の二人のドラゴンがそう言う。アザゼルは二人の話に同意と頷く。

 

「そうだ。最強のドラゴンに邪龍最強のお前たちの力は必要不可欠なんだ。アイツを奪還する為にもな。その為にはどんな手を使ってでも奪わなきゃならん。―――アカメ、お前は暗殺者兼傭兵をしていたな」

 

「ああ」

 

レオーネと出会ったのは暗殺者として生きていた時である。人を殺すことに躊躇もしないその精神力はこの場にいる数人を除いてを群を抜いている。

 

「これはお前しかできない事だ。引き受けてくれると助かるんだが―――」

 

自分の目の前に展開する魔方陣から出てくる物を見て赤い眼を不思議そうに見詰めるアカメ。

 

「これは?」

 

「グリゴリで開発した非殺傷弾が込められている銃だ。それを一誠に撃て」

 

無機質で黒光りする装飾と意匠が凝った銃。それにいくつかのマガジン弾倉。

 

「撃ってどうなる?」

 

「それにはサマエル、究極のドラゴンスレイヤーの毒と呪いを銃弾として作った。

ドラゴンの一誠なら効果抜群だろう」

 

『―――っ!?』

 

一誠を死に追いやった存在。その存在の力を弾丸として作り上げ、それを一誠に向けるのだと言うのだからリアスたちは信じられないと、アザゼルに対して怒りすら覚えた。

 

「アザゼル!アレは最後の手段として―――!」

 

「最後の手段を何時までも使わずにいられるほど悠長にはいられないんだよ。アイツを倒すにはオーフィスとクロウ・クルワッハ、それにそのサマエルの力が主となる」

 

「だからと言って、一誠を一歩間違えて殺しちゃったら・・・・・!」

 

「そん時は聖杯であいつを甦らせる。こっちには蘇生の力があるんだ。最悪―――あいつを悪魔か堕天使に転生させてもな」

 

「っ・・・・・」

 

理屈は分かる。だが、納得できない自分がいる事を自覚し、銃を確認しているアカメに視線を送る。

 

「分かった。アイツを止める手段としてこれを使おう」

 

「すまん・・・・・」

 

「気にしないでくれ。これは確かに私にしか適していないことだろう。他の皆の心にはキツいはずだ」

 

一誠に好意を抱いている異性ができるはずがない、とアカメは言い切った。すると、教室内に携帯の着信音が鳴り響く。着信音の先はリーラだった。直ぐに応対するリーラ。

 

「はい。ええ、そちらはどうですか。そうですか・・・・・はい、はい、わかりました。ありがとうございます

 

直ぐに用件を聞き出して通信を切りアザゼルたちに報告した。

 

「誠さまと一香さまからです。カーミラ派のエルメンヒルデ・カルンスタインとの協力を得ることにできました」

 

「・・・・・カルンスタイン。確か、吸血鬼二大派閥のひとつ、カーミラ派の中で最上位クラスの家だったな。よくとまぁ、あの家の吸血鬼と協力を要請で来たな」

 

顎に手をやって感嘆するアザゼルや皆に説明を言い続けるリーラ。

 

「事実。既にツェペシュ派に襲撃され犠牲者も出ているそうです。それに加え、カーミラの王女とは面識があるようで事情を説明すると向こうも現在のツェペシュ派をどうにかしたいと言う思いを抱いておるようです」

 

「英雄派は?」

 

「今のところ姿すら確認していないようです。そして最大な協力を得られた理由なのですが」

 

ヴァレリーとギャスパー、アルトルージュの吸血鬼組に視線を飛ばす。

 

「こちらにツェペシュ家、ヴラディ家、ブリュンスタッド家の吸血鬼がいると教えたらその吸血鬼たちを連れてくる条件を呑んだからです」

 

「あの王女がそんなことねー・・・・・どうせ、吸血鬼の問題は吸血鬼で片付けたいと言う考えをしてるわよ。そういう吸血鬼なんだから」

 

知った風に肩を竦めるアルトルージュ。

 

「まぁ、協力を得れたならこれでカーミラ派の方で堂々と歩けれるわよ。そっちには私の妹がいるしなんとかなるでしょう」

 

吸血鬼の世界に住んでいた吸血鬼のお墨付きの言葉。アザゼルは頷いた。

 

「冒険部の部活活動を利用して行く。メンバーが準備を整い次第、ルーマニアに行ってもらう。大方、一香が転移用魔方陣でお前らを召喚するだろうからな」

 

だろう?とリーラにそう視線を飛ばせばコクリと頷いたのだった。

 

「それともう一つ」

 

「なんだ?」

 

「吸血鬼の世界でヴァーリチームと出会っているようです」

 

それを聞いて顔に手を当てて、なんてタイミングでそこにいやがるんだよ、と思わずにはいられなかったアザゼル。

 

ガラッ。

 

不意に何かが開く音が聞こえた。誰もがその開く音の先に視線を向けると窓が開いていた。

そして同時に風が吹きこんできて―――ファサッとそこにいなかったはずの真紅の髪の少年の顔が虚空から姿を現した。

 

『・・・・・』

 

「・・・・・」

 

この場の時間が停止したような感覚を覚えた。顔だけの少年は自分に向けられている視線に気付き、振り向けばアザゼルたちと目が合った。

 

「じゃ」

 

軽くそれだけ言い残して二階から飛び降りたし直後。驚愕と怒号の叫びが轟く―――。

 

―――○●○―――

 

ルーマニア、人間の世界と隔離した場所に吸血鬼の世界が存在していた。

幼少の一誠とルーラーがアルトルージュたちによって連れて来られた場所。誠と一香は久し振りにこの地にやって来ては観光気分で町中を歩いていた。

アザゼルたちから連絡が来るまで二人は暇なのであった。なのでイチャイチャと手を繋ぎながら二階建のカフェに入ってのんびりとしているとヴァーリ―チームと出くわした。

 

「こんな所にお二人と出会うとは奇遇ですね」

 

「そうね。私たちはカーミラに協力の要請をしに来たのだけれどあなたたちは?」

 

「オレっちたちはアザゼル総督と合流する前に色々と手土産を集めているんだぜぃ」

 

「ほほう、手土産とは?是非良ければ見せてもらいたい」

 

美猴の言葉に興味を持つ誠にヴァーリたちが手土産にと集めている品々を二人に展開した。殆ど食料だが誠と一香にとっては懐かしいものばかりだった。それらをいくつかもらいその場で食べ始める。

 

「この地にリゼヴィムがいるそうですね」

 

ヴァーリが突然人物の名を挙げた。吸い込まれそうになる蒼い瞳に憎悪の炎が孕む。

誠と一香は相槌を打つ。

 

「そうみたいだな。まだ見てないが」

 

「リーラたちが来るまで暇だったからいくつかツェペシュ側に行けるルートをいくつか確保して置いたわ。後で教えてあげるから行ってみなさい?」

 

「流石は元式森の方ですね!」

 

魔法使いが被りそうな帽子を頭にかぶり、金髪のようにキラキラと蒼い瞳を、尊敬の眼差しを一香に向ける少女。

 

「あら、私のこと知ってるのね。魔法少女の子?」

 

「ええ、私の妹でルフェイ・ペンドラゴンと言います」

 

「初めまして!」言う少女の兄、アーサーの自己紹介を受けて一香は微笑んだ。

 

「なるほど、良い素質の妹さんね。魔法使いとしても一人の女性として将来有望よ」

 

「かの式森家最強の魔法使いと称されたあなたに妹をそこまで称賛されるとは兄として嬉しい限りです」

 

「元式森家最強の魔法使いだけどね?ルフェイちゃん。使い魔はいるかしら?」

 

「はい、フェンリルのフェンリルちゃんが使い魔です」

 

ルフェイの足元の影からヌッと顔を出す銀色の毛並みを持つ狼。

 

「あの時のフェンリルか?なんだか小さくなったな」

 

「支配する際にこの姿となりましてね。その分の能力は下がりましたが神を噛み殺す牙は健在ですよ」

 

「ほうほうなるほど・・・・・フェンリル、お手」

 

犬のようにやってみた誠にプイッと顔を逸らしたフェンリルだった。

 

「あ、あのぉ?フェンリルちゃんは犬じゃありませんよ?」

 

「何となくやってみただけだ。だが、ルフェイちゃんならやってくれると思うぞ?」

 

朗らかにルフェイにそう言った。そこでヴァーリが口を開く。

 

「これはアザゼルから聞いた話なんですが。なんでも異世界から来た兵藤一誠がリアス・グレモリーたちを鍛えたそうですね」

 

「そうなのよー。もう、そんな重大で面白い事をどうして教えてくれなかったのかしら」

 

「まったくだ。異世界の一誠の子供たちを見たかったのにな」

 

その後、誠たちは異世界の兵藤一誠たちのことで華を咲かせ時間を潰す。

 

 

一方、英雄派―――。

 

 

「ん、リース。大分ドラゴンとしての力を身に付けたな」

 

「イッセーのおかげよ。・・・・・結構スパルタで死ぬ思いを何度かしたけれど」

 

「見ているこっちも心臓に悪い思いをしたほどだったがな」

 

リースを鍛え、一誠が嬉しそうに笑みを浮かべ頷くその隣でモルドレッドが感想を述べた。

一誠は言っていないがリアスたちは格段に強くなっていた。この短期間でまるで数カ月分の修行をしていたと思うほどに。しかし、リアスたちの強さの秘訣は分からず地道に時間を掛けて鍛えるしかできない一誠はゆっくりとリースを鍛え上げることにした。その間、モルドレッドは暇つぶしと修行や稽古、特訓の様子を見ていたのだった。

 

「モルドレッドも剣だけじゃなく、リースと同じようにしてみる」

 

「こっちが死ぬわっ!オレは人間だぞ!?」

 

「人は不可能を可能にするって話を聞いたことある」

 

「そ、それでもオレは嫌だっ」

 

どこぞの人が発した名言を言われてもモルドレッドは拒否した。否定され、少し残念そうに落胆する一誠。

そこにセカンド・オーフィスがやって来ては一誠の背中にべったりとくっつく。

 

「ん、ここ、落ち着く」

 

スリスリと背後から一誠の頬に自分の頬を押し付けてすり付ける。まるで猫のような甘え方であった。

羨望の眼差しを向ける二人がいてもお構いなしなオーフィス。

 

「イッセー」

 

「ん?」

 

「復讐終わったら、どうする?」

 

純粋な質問を発するオーフィス。耳朶に触れるその言葉を一誠は直ぐに答えることなどできなかった。

 

「・・・・・わかんない。リースはどうする?」

 

「私は・・・・・」

 

ローラントを再興、復興する。最初にそう頭の中で思い浮かんだのだが、次に浮かんだのは目の前にいる一誠の顔。そして共に生きては暮らし、情熱的な愛を毎日貪るように過ごして・・・・・。

 

「はう・・・・・」

 

何時の間にかはしたない女になっていることに改めて自覚し、ほんのりと顔を赤くする。

リースの様子に首を捻って不思議そうにしている一誠に対し、モルドレッドは何かを察して息を零す。

 

「お前、復讐より女として生きていたほうが性に合っているんじゃないか?」

 

「な、何を言って・・・・・っ?」

 

ますます顔を赤らめてモルドレッドに動揺する。まるで自分の願望をバレて指摘されたように。

乙女の恋心は乙女しか気づかないと言うものだろうか。話をはぐらかす感じにモルドレッドに尋ねる。

 

「そう言うあなたは、自分の兄に見返す為にテロリストとしているんでしょ?」

 

「ああ、そうだな」

 

「兄に見返したらあなたはどうする気なの」

 

そう言われてしまい、モルドレッドは対して考えなかった事を考え出した。

 

「ん、そう言われてもな・・・・・特に考えたことが無いから直ぐには言えないぞ」

 

「あまり悩んでいなさそうだしね」

 

「おい、いま何か引っ掛かる言葉を言ったなお前」

 

リースを睨むモルドレッドに「まぁまぁ」と宥める一誠。背中にセカンド・オーフィスに抱きつかれる中で

二人の少女と雑談をする。英雄派の女性構成員は他にもいるが、主にモルドレッドとリースが主に接し合い、

テロリストという立場を忘れ普通の女の子らしくしている。

 

「二人とも、勉強ってできる?」

 

「「・・・・・」」

 

一誠からの問いかけに二人は互いに顔を向け合う。片や元王女。片や名家の少女。学園に通った事などこの二人には無い。

 

「いきなりどうした?」

 

「んーと、俺たちって歳は同じだったり近かったり、離れていたりそんな人いるじゃん」

 

「そうだな」とモルドレッドは頷く。リースと一誠より前から英雄派として活動している者として曹操たちの年齢はなんとなくだが把握している方だ。

 

「戦闘ばかりで身体能力が高いのは分かるけれど知識の方はどうなのかなって」

 

そう言われて期待の眼差しを向けられる二人だった。―――思わず一誠から顔を逸らすのだった。

 

「(じ・・・自信がない・・・・・)」

 

「(言えない・・・・・できないなんて言えない)」

 

必死にこの場から逃げる、もしくはどうにか話をはぐらかそうと考える二人に予想だにしない助け船が向こうからやってきた。

 

「兵藤一誠」

 

「ゲオルク?」

 

絶霧(ディメンション・ロスト)』の所有者であるゲオルクの登場。すると、一誠は閃いたように尋ねてきた知的な男に近づいた。

 

「ゲオルク、勉強ってできる方?」

 

「む?まぁ、魔方陣を構築する際に色々と知識も必要に応じるからな」

 

「じゃあ、質問―――」

 

リースとモルドレッドはゲオルクを生贄にしてこの場からいなくなった。

 

「ゲオルクが来てくれて助かったぞ」

 

「これで満足してくれるといいのだけれど」

 

「なにがだい?」

 

安堵で溜息を零す二人に曹操が声を掛けてきた。

 

「ところで、ゲオルクは見なかったか?」

 

「ああ、今さっき一誠に質問されているぞ」

 

「ん?質問とは?」

 

簡潔に説明すると「そうか」と相槌を打つ曹操。

 

「曹操は知識がある方か?」

 

「彼の期待に応えられない方かな」

 

苦笑を浮かべる曹操に「だよなー」とモルドレッドとリースは賛同する。

 

「普通の人間としての暮らしをした事が無いのに勉強なんてできるかよ」

 

「私は一国の王女としてそういう知識を蓄えるようなことはしたことないわ」

 

「二人と似た方かな」

 

三人の共通点が改めて分かったところで曹操は本題に入った。

 

「近々、私たちは吸血鬼の世界に行くことを決めた」

 

「・・・・・というと、もう発見し、特定できたのか。吸血鬼がいる場所を」

 

「ああ、私たち幹部クラスとセカンド・オーフィス、一誠、リース、キミも一緒に吸血鬼の世界に乗り込む」

 

「直ぐに行動するの?」

 

「いや、少しリアス・グレモリーの動向が気になる。情報じゃ彼女たちも吸血鬼の世界に行くようだしね」

 

敵の動向も把握し、身長に事を進めようとする曹操。二人は敵の存在が浮上したことで気になる。

 

「あいつらも吸血鬼の世界に?オレたちの行動を予測しているのか?」

 

「それは分からない。だが、一誠の分身体からの情報で彼女たちも向かうことが分かった」

 

「イッセー、何でもできるのね」

 

「彼が持っている伝説や有名な道具を持っているからな。冥府ハーデスの透明化に成れるマントを使えば情報収集などに役立つ」

 

さて、と曹操は二人から離れ一誠のところへ向かった。

 

「吸血鬼との戦いを終えたら今度はどんなことするのだろう」

 

「さぁな。それは曹操たちが決める事だ」

 

しかし―――二人は思いもしなかった。これが世界を震撼させる出来事の発端になることを―――。


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