100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。   作:Z/Xプレイヤー26

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100万Gの男、日本一の戦艦と出会う。

現在、クロウの秘書艦をしているのは、加賀である。最初は本人もあまり乗り気では無かったが、周りの勧めもあって、クロウの秘書艦をする事になった。しかし最近は、嬉々として受け入れている様にも見えた。そんな中、新たな波乱が巻き起ころうとしていた。それは、加賀がクロウにケッコンカッコカリの書類を渡した翌日の事だった。いつもの様に、加賀が提督室に入ると…

 

「………これは一体何の騒ぎですか?」

 

クロウの周りを沢山の妖精さんが囲んでいたのである。そして妖精さんの内の一人が、加賀を見て騒ぐ。

 

『本妻来た!!これで勝つる!!』

 

「…訳が分からないわ…妖精さん?貴方達は、クロウ提督に何か用事でもあるのかしら?そしてクロウ提督?何故無言なの?」

 

クロウに問い掛けるが、クロウは答えなかった。

 

「職務放棄かしら?全く……?これは何?私が昨日渡した書類?」

 

加賀が机の上に置いてあったケッコンカッコカリの書類を読んだ。それを見て、更に妖精さんが騒いだ。

 

『本妻読んだ!キタコレ!!』

 

『ヘッヘッヘ…逃げ場はありやせんぜ?借金提督…?』

 

『さっさとこの書類にサインした方が…身のためでっせ?』

 

「一体貴方達はどこでそんな言葉使いを覚えたのかしら…それに、クロウ提督?無言なのは、この書類が原因?結婚とか書いてあるけど…所詮はシステムよ?深く考えなくても良いわ…」

 

加賀の言葉にクロウが顔をあげる。

 

「そ、そうなのか!?いや~良かったぜ…じゃあ、この書類は捨てても良いんだな!!良かった良かった!!」

 

「……は?貴方…本気で言ってるの?」

 

クロウの発言に、加賀は若干キレ気味で返した。

 

「えー…だってよ?ケッコンカッコカリってシステムなんだろ?なら、実行するのもしないのも、自由なんだろ?」

 

「それはそうだけれど…れ、錬度が充分な艦娘だって、沢山居るのよ?わ、私だって…それに、戦力の増強にもなるのよ?大規模な作戦だって確実にこなせるのよ?不利益は無いはずよ!?」

 

矢継ぎ早に繰り出される加賀の言葉に対して、クロウは若干困惑した。

 

「な、何か必死じゃねぇか?」

 

「そ、そんな事は無いわ…でも、強くなれる時に強くならないと、困るのは事実よ?それに、ケッコンカッコカリを拒む理由は無いでしょう?女嫌いなのは知っているけれど…公私混同をしないのがプロなんでしょう?それならやりなさい…」

 

「た、確かにそうだが………てか、ケッコンカッコカリが出来る錬度の艦娘って誰なんだ?加賀さん以外には…」

 

クロウの質問に、加賀は若干不満そうに答えた。

 

「扶桑…山城…長門…そして…『大和』よ…」

 

「ん?待ってくれ…俺は大和なんて知らないぜ?リストにも載ってねぇし…」

 

『大和は怖がりさんですから!!前の提督のウザい性格で、提督と言う人種が嫌いになったそうです!この前も、部屋から出てきて貰おうとした時も、借金提督は悪い人じゃありませんよ!!って言っても、出て来ませんでした!!』

 

『そろそろ艤装の整備をしたいですが…』

 

クロウの疑問に、妖精さんが説明してくれた。

 

「なあ…やっぱりよ?借金提督って渾名はやめてくれないか?」

 

『むむ…確かに大和にも、「借金なんかする人がいい人な訳無いじゃないですか!」って言われましたです…』

 

「渾名のせいで余計に出てこなくなってるじゃねぇか!!」

 

クロウが妖精さんに大声で突っ込みをする。

 

「そうね…大和は戦力としては、最強…このままにしておけないのも事実ね…どうするの?クロウ提督?」

 

(はぁ…交渉はロジャーに頼みたいが…そうも言ってられねぇな…)

 

「そうだな………いっそ、大和を秘書艦にしてみるか?」

 

「は?」

 

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クロウと加賀は大和の部屋の前にいる。

 

「おーい、開けてくれ!!新しく提督になったクロウ・ブルーストだ!!お前を秘書艦にする!!だから開けてくれ!!」

 

クロウの呼び掛けに対して、大和はドア越しから返事をした。

 

『絶対に開けません!!どうせ貴方も私に自慢話をするつもりでしょう!?』

 

「生憎俺は自慢できる人生なんて送ってねぇよ!!」

 

『妖精さんから聞きました!!借金だらけなんですよね!!最低です!!会いたくありません!!』

 

クロウの言葉では、埒が開かないと思ったのか、加賀が大和に呼び掛ける。

 

「大丈夫よ…大和」

 

『その声は…加賀さんですか?いえ、もしかしたら提督の声真似かも…』

 

「随分とハイスペックだな、俺の声帯!!」

 

「貴方は黙りなさい…」

 

クロウに弓を向けて、クロウを黙らせる。

 

「はぁ…大和、良く聞きなさい…確かにクロウ提督は借金だらけで、顔も普通で、デリカシーが無くて、駄目な人間だけれども…」

 

「加賀さん…酷くないか?」

 

「黙れ」

 

クロウに弓を向けて、更に黙らせる。

 

『………私も流石に酷いと思います…』

 

「そ、そう?………ゴホン…とにかく、貴女が考えている程……そうね、前の提督よりはマトモよ?だから出てきてくれないかしら?間宮さんのアイスクリームもあるわよ?」

 

加賀が話すと、少しだけ、扉が開いて、大和が顔を出した。

 

「………アイスクリーム…下さい…」

 

「なら、間宮さんの所へ行きましょう?クロウ提督が奢ってくれるそうよ?」

 

その言葉に、クロウの表情が凍りついた。

 

「………仕方ねぇな…」

 

「も、物で釣って誘い込んで、私に乱暴するつもりですか!?エロ同人みたいに!?」

 

「大和…貴女…一体何があったの?……とりあえず、行きましょう?」

 

加賀は若干気にはしていたが、頭の中はアイスクリームで一杯だった。

 

(アイス♪アイス♪間宮さんのアイス♪)

 

そしてクロウは…

 

(くっ…大和の為とは言え、加賀さんにまで奢るとなると…はぁ…)

 

しかしクロウは知らなかった。大和が…加賀を、いや、全ての艦娘の中で最も素晴らしい胃袋の持ち主だと言うことを…

 

「そう言えば…私を秘書艦にするって言ってましたけど…」

 

「ああ、嫌か?」

 

「……………じゃあ、取り敢えず一週間だけ…」

 

大和は小さな声で呟いた…大和なりに勇気を振り絞ったのだろう。それを理解していたクロウは…

 

「ああ、宜しくな?」

 

「は、はい!宜しくお願い致します!!」

 

爽やかな笑顔で答えた。それを見ていた加賀は…

 

「やはりたらしだったわね…青葉の記事は間違って無かったわ…………はぁ…」

 

深く溜め息を吐いた。そしてその後、間宮さんの店で現実を目の当たりにしたクロウは大破着低した。




アイスクリームの過剰摂取は危険ですので、絶対におやめ下さい…

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