100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。   作:Z/Xプレイヤー26

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100万Gの男、取材される。

クロウがブラスタを手に入れて、クロウが戦場に出る事が増えた…その戦果は目覚ましい物であり、期待が高まっていた。そんな絶好の『ネタ』を見逃す筈が無い艦娘が居た。

 

「ども!!青葉です!!クロウ司令官、取材お願いします!!」

 

「……またお前か」

 

そう、自称『艦娘の編集長』青葉であった。

 

(編集長自ら取材するのはどうかと思うがな…)

 

「全く!!つれないですねぇ~!良いじゃありませんか!!鎮守府の皆はクロウ司令官の事が気になってるんですから!!」

 

「知らねぇよ…大体、殆んどの情報はお前の『ストーカー行為』で揃ってるんだろ?後は最初に駆逐艦達に話した通りだ、だから無意味だ…帰れ」

 

「うぐっ…青葉の尾行に気付いていたとは…ですが、細かい話は沢山有りますよね…?クロウ司令官の仲間の話とか…気になっちゃいます!!」

 

あくまで引き下がる姿勢を見せない青葉に対して、クロウは…

 

「俺に勝てたら取材を受けてやるぜ?」

 

(こうすりゃ引き下がるだろう…)

 

クロウの提案に対して、青葉は予想外の返答をした。

 

「あ、5000円あげるんで、駄目ですか?」

 

「良し、何が聞きたい?……………しまった…」

 

やはりクロウは金には勝てなかった。

 

「本当に守銭奴なんですね~!まあ、借金生活が長ければ、そうなりますかね?さて、最初の質問ですが…」

 

「………引き受けたからには答えるが…基本的に俺の事しか喋らねぇぞ?ここに居ない奴の事を勝手に喋るのは嫌だからな?」

 

「えー…それじゃあお仲間さんの事を聞けないじゃないですか…」

 

あからさまに肩を落とす青葉。

 

「そう気を落とすなよ…俺の事なら出来る限りの事を答えてやるからよ」

 

「分かりました…それじゃあ最初の質問ですが…この鎮守府の中で、一番頼りにしているのは誰ですか?」

 

「そうだな…やっぱり加賀さんじゃねぇか?あの人…仕事は早いし、なんだかんだで皆を上手く纏めてる感じだしな…俺、要らなくないか?」

クロウのすんなりとした返答に、青葉は苦笑いしていた。

 

(やっぱり加賀さんなんですね~!あはは…女嫌いらしいから…加賀さんも大変だなぁ…)

 

「えっと…じゃあ…女嫌いになった原因を差し支えなければ、教えて下さい!」

 

「前に居た部隊の隊長が原因だな…それ以上は思い出したくねぇ…」

 

「そ、そうですか…じゃあ次の質問です。ブラスタって前の世界の物ですよね?前の世界では、あんなのが沢山あったんですか?」

 

「ああ、それどころか、本来ブラスタはもっとでかいんだ…そんな機動兵器がわんさかある世界だ…」

 

クロウの返答を聞いて、青葉が目を輝かせた。

 

「凄いですね!!そんなに凄いなら、深海棲艦なんてあっと言う間に倒せる世界なんですね!!」

 

嬉しそうにする青葉に対して、クロウは首を横に振った。

 

「そうでも無いぜ…?何せ、それだけの『力』が大量にあるんだ…権力争い…戦争…人類同士で争ってたんだからな…そんな時にも、深海棲艦みたいに、類を無差別に襲うような生物が居たのにも関わらずだ…」

 

クロウの言葉を聞いて、青葉は真剣な表情をした。

 

「そうですか…この世界も昔…私達艦娘が現れる前…戦争が絶えない地域があったそうですが…艦娘と深海棲艦が現れてからは、そんな余裕は無くなりましたからね…」

 

「そうか…この世界の人間は、賢いんだな…」

 

「そうなんですかねぇ…っと!!暗い話題は嫌いなので、次の質問です!!」

 

話題を変える為、青葉は大きな声を出した。彼女なりの気遣いなのだろう。

 

「クロウ司令官は女嫌いの女たらしとの噂がありますが…本当ですか?女嫌いと公言しておいて、敢えて自分に好意を抱かせて、やきもきしている女性の様を見て、喜ぶ鬼畜と聞きましたが…」

 

「その情報は誰から聞いた!?事実無根だ!!」

 

(どうせ山城辺りだろうな、何故か嫌われてるしな…しかし、このまま噂を広められても困るが…)

「慌てる辺りがますます怪しい…これは面白いネタですねぇ!!」

 

「で?山城が情報源か?」

 

いきなりのクロウの発言に、青葉の表情が強張る。

 

「い、いえ?情報源は言えませんよ!?」

 

「まあ、どっちでも良いけどよ…そろそろ終わりにしようぜ?俺も書類の整理が終わったら、ブラスタの武装チェックもしないといけねぇしな…そろそろ敵さんも本腰を入れて来るぜ?恐らくは、最低でも空母は複数出てくるだろうよ…」

 

「…………根拠はありますか?」

 

二人が真剣な表情をする。

 

「そうだな…今までの戦いは、俺がブラスタを手に入れてからはだが…軽巡が三隻、駆逐艦がニ隻、重巡が一隻の所謂『ゲリラ』の戦法を取ってきた…」

 

「そうですね…奇襲が主で敵の小規模な部隊を幾つか沈めました…たまに空母や戦艦数隻との交戦もありましたが、大規模な物ではありませんからね…ですが、それがどうして敵の本腰と?」

 

少し苦い顔をしながらクロウは話した。

 

「恐らくだが、敵の指揮している奴は、相当に頭が切れる…ブラスタの飛行能力に苦戦していただけで、敵の編成は、かなり磐石な物と言えた…末端に近い小規模な部隊ですらその編成だ…それがある程度の数を減らされたとあればだ…」

 

「……多少リスクを負ってでも、潰しに来ると?」

 

青葉の返答に、クロウは頷いた。

 

「ああ、恐らくはな。それに戦力もかなりの数があると見て間違いは無いだろうしな…どんな世界でも数の暴力は覆しづらいからな」

 

「そうですね。しかしクロウ司令官…運が良いのか悪いのか…着任して直ぐに大決戦とは…これで敵の戦力を削れば大手柄ですねぇ!!」

 

喜ぶ青葉に対して、クロウは乗り気では無い様子だった。

 

「倒すのは良いが…ガイオウが言っていた言葉が気になるな…バアルじゃ無い…か」

 

「人類の敵がバアルでしたっけ?うーん深海棲艦はバアルその物だと思いますが…」

 

二人が唸っていると、提督室に加賀が入ってくる。

 

「失礼します…何をやってるの?」

 

「うん?ああ、加賀さんか…いやな?深海棲艦はバアルなのかどうなのか…ってな」

 

クロウの言葉を聞いて、加賀が溜め息を吐いた。

 

「はぁ…またその話?今その話をしてもしょうがないわよ?殺らなきゃ…こっちが殺られちゃうわよ?今は戦争中なのだから…」

 

「そう、だな…今は考えてはられないな…戦いが一段落ついたらだな…」

 

(しかし、バジュラの一件もあるしな…バアルだと思っていたら、対話が可能…なんて事があれば良いんだが…)

 

「まあ、加賀さんの言う通りですね!!ではでは!!クロウ司令官!!青葉、失礼しますね!!ありがとうございました!!」

 

そう言って、青葉は提督室を出ていった。

 

「さて…俺もさっさと書類を片付けて、ブラスタのチェックをしないとな…」

 

「そう。頑張って…あと、大本営から書類よ…じゃあ、私は部屋に戻るから…程ほどに休みなさいよ?

 

クロウに書類を渡し、加賀は提督室から出ていった。そして一人になったクロウは、早速渡された書類を読んだ。その内容とは…

 

「『ケッコンカッコカリ』?なんだそりゃ…」

 

この書類が新たな苦労を生み出す事を、まだ誰も知らなかった。




久々の更新…大丈夫だろうか…

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