100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。 作:Z/Xプレイヤー26
クロウは妖精さんに引っ張られ、工廠へと連れていかれた。そこで待っていた物は間違いなくクロウの愛機『ブラスタ』だった。しかし…
「リ・ブラスタじゃねぇな…しかも…」
小さい。その一言に尽きた。大きさで言えば、クロウよりも少し大きいくらいだった。そう、まるで『身に纏えるくらい』の大きさだった。
「なぁ…まさか、艤装と同じ感じか?」
『ハイです!!身に纏うヤツです!!り・ぶらすたは『ぶいえっくす』が無いので、ムリです!!あれを考えた博士は怪物です!!』
妖精さんは楽しそうに答えた。若干トライア博士が怪物になっていたが。
『でも、いつかは作るです!!』
『そうです!!我々最強です!!不可能は無いです!!』
『強靭、無敵、最強です!!』
「そ、それは良いけどよ…?どうやって使うんだ?」
『ぶらすたに手を触れれば、艤装と同じ空間に仕舞われるです!!そうすれば、念じれば装備出来るようになるです!!』
妖精さんに言われた通りに、ブラスタに手を触れるクロウ…すると、ブラスタが光となって消えた。
「消えた…これで良いのか?」
『ハイです!!あとは借金提督が念じれば装備出来るです!!試しに念じるです!!』
妖精さんに言われた通りに、クロウは想像する…共に戦ってくれた愛機を…すると、体が光に包まれ、ブラスタが展開された。
「………なんだか落ち着くぜ…やっぱり相棒だな…」
『気に入って何よりです!!』
「ああ、ありがとうな!!」
クロウは妖精さん達にお礼を述べた。
『だったら、明石さんと、夕張さんにもお礼を言うです!!』
「あの二人も手伝ってくれたのか?成る程な、今どこに居るか分かるか?」
『多分、工廠の外れにある仮眠室です!!汚れた服を替えると言ってたので、直ぐに戻って来ると思うですよ!!』
ブラスタの製作を手伝ってくれた二人の艦娘の動向を聞くが、その本人二人が戻ってくる。
「あっクロウさん!!見てくれました!?出来の方はどうですか!?」
「早速装備してるみたいね!!不具合は無い?」
ブラスタの製作を手伝ってくれた艦娘…明石と夕張がクロウにブラスタの出来を聞いてくる。
「ああ、問題無いぜ、寧ろ…落ち着くくらいの完成度だぜ」
「そうですか!?良かったです!!」
「それにしても、凄い物を発明したわね…クロウが異世界から来たって言う話…嘘じゃないのが改めて分かったわ。こんな発想…私達には無理よ…少し悔しいわ!!」
クロウの感想を聞いて、満足そうにする明石。対して夕張は少し悔しそうにしていた。
「そんなに悔しがってもな…文化も違えば、概念も違う訳だからな」
「それでも…!!クロウが居た世界では、色々な世界や文化が混ざり合った世界なんでしょ!?そんな世界でも堂々と戦える物を…ブラスタを作った博士が居るんでしょ!?私も…私もそんな物を作りたいの!!武器じゃなくても良い…何か誇れる物が!!」
「夕張…」
夕張の信念を聞いて、クロウは思い出していた。クロウの仲間たちは、誰もが信念を持った勇者であったと…そして、夕張の様に大きな壁にぶつかっている時が必要な事も…そして、クロウは次の言葉で現実に引き戻された。
「あ、クロウさん!!『今回』のブラスタの開発費は掛かりませんが…リ・ブラスタに改装が可能になったら、その改装費はクロウさんが払って下さいね?ブラスタは資材が大量に必要では無かったのですが…あ、恐らく、『VX』を再現しようとしなかったから安かったんですよ?『VX』を…」
矢継ぎ早に明石に説明されて、クロウは混乱した。
「……明石…要点だけ頼むぜ…『VX』を再現しようとしたら…いくら掛かる?」
「そうですね…まだおおよそでしかありませんが…最低でも50億円くらいですかね…未知の機関ですからね…再現は難しいので、あんまり気にしないで下さいね?」
クロウは直感した…『VX』は完成する…そして、自分は更なる借金を背負うのだと…
「クロウ?顔色が悪いけど…大丈夫?」
クロウの顔に不安が出ていたのか、夕張が心配そうにする。
「……………………大丈夫だ…問題無いぜ…」
クロウは…全然大丈夫じゃありません!!
借金のフラグは強化した!!さあ!!頑張って行きましょう!!