100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。   作:Z/Xプレイヤー26

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100万Gの男、艦娘とバトる。

「どうしてこうなった…」

 

クロウは今、道場に居る。鎮守府内の放送で呼び出されたからである。何故鎮守府内に道場があるかは問題ではなかった。道場の中央に長門が仁王立ちしているのが問題なのだ。 更には他の艦娘達が見物に来る事態になっていた。

 

「何で仁王立ちしてるんだ…?」

 

クロウが恐る恐る長門に訊ねる…クロウは長門と話をした事が無いからだ。廊下ですれ違う事が何度かあったが、すれ違う度に、長門がそっぽを向くからだ。まるで『私はお前を認めてはいない』と言わんばかりの態度だ。しかしどういう訳か、クロウは長門に呼び出されている状態だ。

 

「……お前は格闘技が出来ると駆逐艦達に聞いてな…私と手合わせ願いたいのだ」

 

「成る程な、因みに俺が使う格闘技はシステマだぜ…しかし艦娘と人間って勝負になるのか?」

 

(それに、さっき加賀さんが言った事が気になってたが…相当お怒り、いや、憎しみか…?前の提督のミスか?)

 

クロウの質問に、つい先程到着した加賀が答えた。

 

「大丈夫よ、艤装さえ外せば殆んど人間と変わらないわ…艦娘本人にリミッターがかかるの。まあ、鍛えた分だけ腕力は上がるし、戦艦クラスの艦娘は元々力が強いのだけれど…長門は別格よ、やめた方が良いわ…」

 

「そうか、ならこっちも手加減なしのフェアな戦いが出来るって訳か…」

 

加賀の忠告を聞いて、クロウは平然としていた。

 

「成る程…それを聞いて怖じ気づかないとは、前の提督よりはマシらしいな。いや、単に私が舐められているだけか?」

 

「別に舐めてる訳じゃねぇ…確かに俺は女嫌いだが、信念を持った奴を馬鹿にはしねぇよ…出来れば手を出したくないのは事実だけどな」

 

「…………それを舐めていると言っているのだ!!既に勝ったつもりか!?ビッグ7の力…侮るなよ!!」

 

クロウの発言が気に入らなかったのか、長門がクロウに殴りかかる。

 

「うおっ!?手合わせとか言いつつ、いきなり殴りかかるのかよ!!…ったく」

 

クロウは長門の拳を受け流すと、長門はバランスを崩した。

 

「何!?くっ…!!」

 

「攻撃が単調過ぎるぜ…昔の甲児みたいだな」

 

クロウはそのままバランスを崩した長門を投げ飛ばした。

 

「っ…この!!」

 

長門は受け身をとり、即座にクロウに反撃する。

 

「……確かに力も強いし、速度もあるが…焦り過ぎだ、何かあったのか?」

 

「五月蝿い!!お前達提督は、私達を消耗品か何かだと思っているんだろう!!だから…だから陸奥は…!!」

 

長門の叫びに加賀は呟いた。

 

「長門…貴女やっぱり…」

 

「成る程な…前の提督の無茶で…悪かったな…」

 

(予想通りか…ったく…前の提督は並行世界のスットコドッコイらしき奴だったな…マジで貧乏くじだぜ!!)

 

「五月蝿い!!お前達提督の言葉など…聞く耳は持たん!!」

 

クロウの謝罪も長門は聞かなかった。そんな中、道場内に一人の艦娘の声が聞こえた。

 

「やめなさい!!長門!!」

 

その声に道場内の艦娘は全員が驚いた。何より一番驚いたのは、長門だった。

 

「そんな…まさか…陸奥…なのか?」

 

「…当たり前じゃない!!……ただいま…長門…」

 

「陸奥ぅ!!」

 

長門は現れた艦娘に抱き付いた。クロウは呆気に取られていた。

 

「な、なあ…加賀さん…俺は一体どうすれば良いんだ?」

 

「……さあ?自分で考えなさい…それにしても、あの時轟沈したと思っていた陸奥が無事だったなんて…驚いたわ」

 

加賀も嬉しそうにしている。やはり艦娘達は絆が強い様だ。

 

「……轟沈した艦娘って、元に戻れるのか?」

 

クロウの言葉に、見ていた艦娘達が黙った。

 

「そ、そうだな…陸奥…説明してくれるか?どうして…その…無事なんだ?」

 

「それが…多分、そこの新しい提督のおかげだと思うの…」

 

その言葉に、一斉にクロウに視線が向く。しかしクロウは全く身に覚えが無かった。

 

「いやいや…俺は何も知らないぜ?申し訳無いが、陸奥…だったな?初対面だしな…」

 

「そうね…確かにクロウ提督は先日鎮守府に着任したばかり…陸奥が沈んだのは、その三日前よね?それに、陸奥の轟沈が切っ掛けで、前の提督…あの無能が解任されたんじゃないの?」

 

加賀の説明にその場に居た全員が頷いた。長門もその説明に頷いていた。

 

「そうなんだけれど…その…やっぱり夢でも見てたのかしら…」

 

「イマイチ要領を得ないな…笑ったりしねぇから、説明してくれるか?」

 

クロウの言葉に陸奥は頷いた。

 

「説明するその前に…馬鹿な質問をするけど…提督…貴方って異世界の人間って噂…本当?」

 

陸奥の質問に、クロウは頷いた。

 

「ああ、本当だぜ…」

 

「……そう、なら、『ガイオウ』って名前は知ってる?」

 

クロウはその名前を聞いて驚いた。『ガイオウ』その名はクロウの前に居た世界で戦った…最強最大の敵の名前であった。

 

「………良く知ってるぜ、だがどうしてその名前を?」

 

「海に沈んで…死を覚悟してた時に…聞こえたの…『俺の名はガイオウ…伝言を頼みたい』って…笑っちゃうでしょ?もう死んじゃうのに、伝言を頼まれるって…」

 

クロウは黙って陸奥の話を聞いた。

 

「だから私は言ったの…『私を動けるように出来たら伝言を頼まれてあげる』ってね?そしたらそのガイオウが『元よりそのつもりだ…俺を倒したのに、あの男…クロウ・ブルーストにボーナスの1つでもやらんとな』って…そしたら動けるようになって…」

 

「そ、そんな事が…ガイオウとやらに感謝しなくてはな…こうして私の妹を助けてくれたんだ!!」

 

喜ぶ長門を見て、陸奥は苦笑いしながらも、話を続けた。

 

「ここからは伝言よ…良いかしら?クロウ提督…?」

 

「ああ…いつでも良いぜ…」

 

クロウの了承を得て、陸奥はガイオウからの伝言をクロウに話す。

 

「ガイオウはこう言ってたわ…『バアルが何なのかを思い出せ、お前たちが戦っている相手が何なのかを見極めろ』だそうよ?」

 

陸奥の話を聞いて、クロウは考えた。

 

「バアル…確か、人類の…知的生命体の天敵…だったな…」

 

その言葉を聞き、加賀がクロウに質問した。

 

「それなら、まさに深海悽艦の事じゃないのかしら?現に、深海悽艦は人類に攻撃を仕掛けているのよ?」

 

「……今は何とも言えないな…ったく、死んでもこうしてちょっかいをかけてくるとはな、何でもアリだなあの破界男は…」

 

迷惑そうにクロウは話すが、その表情はどこか嬉しそうだった。

 

「とりあえず、その破界男とやらの事も聞きたいけれど…陸奥が無事に戻って来れたのを…祝いましょう?」

 

「そうだな!!良し、今夜はパーティーだな!!全員この長門に続け!!」

 

加賀の提案に長門は嬉しそうに出ていった。戦いを観戦しに来た艦娘達も意気揚々と出ていく。その様子を見ていた陸奥は苦笑いしていた。

 

「もう…長門ったらあんなにはしゃいで…」

 

「嬉しいんだろ?仕方無いんじゃないか?姉妹…なんだろ?家族が生きてたら嬉しいもんだ」

 

「そう…ね、貴方のおかげなんでしょ?貴方がガイオウを倒したから…私が助かったみたいだし」

 

陸奥の言葉に対し、クロウは首を横に振った。

 

「俺が倒したんじゃねぇよ…仲間が居たから倒せたんだ…」

 

「成る程ねぇ…」

 

クロウをまじまじと見つめる陸奥…クロウはその視線に身の危険を感じた。

 

「な、何だよ…」

 

「いえ?中々良い男だと思っただけよ?ふふっ♪」

 

「なっ…」

 

陸奥の発言に加賀は絶句する。対するクロウは…

 

「そうか?こんなカワイコちゃんにそう言って貰えるのは光栄だぜ」

 

「そう?なら…火遊び…してみる?」

 

「…くっ」

 

クロウの満更でも無さそうな返しに、加賀は苦い顔をする。もしもこのままにしておいたら…

 

「それは生憎だが…俺は女嫌いなんでな?他を当たってくれ」

 

「………ふふっ♪あはは!!面白い人ね!!本当に気に入ったわ!!うん!!貴方を提督として認めるわ!!宜しくね?提督!!」

 

「ああ、宜しく頼むぜ。あと、提督とかで呼ばずに、気軽にクロウって呼んでくれ」

 

「そう?なら遠慮なく、クロウって呼ばせて貰うわね!!」

 

陸奥の言葉を冗談だと知って、加賀は安堵の表情を浮かべる。

 

「さて、今夜はパーティーらしいからな…準備を…」

 

クロウが道場を出ようとしたその時、工廠の妖精さんが道場に入って来た。

 

『借金提督ー!!完成したです!!僅か二時間!!我々最強です!!』

 

興奮気味にクロウに飛び付く妖精さん。クロウは訳が分からず妖精さんに訊ねた。

 

「落ち着けよ…一体どうしたんだ?何が完成したんだ?」

 

『借金提督の『ぶらすた』です!!深海棲艦フルボッコです!!』

 

妖精さんの予想外の言葉が道場に響いた…




ガイオウさんは、スパロボ史上最高のラスボスだと思います!!

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