100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。   作:Z/Xプレイヤー26

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今回かなりの独自解釈と設定があります。


100万Gの男、妖精さんに出会う。

クロウは鎮守府内の敷地を歩いていた…この鎮守府を把握する為だ。工廠にクロウは入り、溜め息を吐いた。

 

「やっぱりここにも『妖精さん』とやらは居るんだな…」

 

クロウの目の前には、せわしなく動き回る妖精さんが居た。ちょこちょこと動き回るその姿は、一見愛らしいが、クロウは妖精さんが苦手だった。何故なら。

 

『あっ!借金提督!!どうしたですか?』

 

『借金提督ー!!借金提督ー!!』

 

妖精さんにつけられた渾名が、借金提督なのである…この渾名はたちまち艦娘達に広がり、笑われていたのである。

 

「なぁ…悪気が無いのは分かってるんだが…その渾名…やめてくれないか?」

 

『何を言うのですか!!借金提督は借金提督です!!異論はなしです!!』

 

『異論はなし!!異論はなし!!』

 

妖精さん達は、嬉しそうに声を揃える。

 

「そうかよ…ハァ…この前すげぇ山城にからかわれたんだがな…滅茶苦茶楽しそうだったぜ…」

 

『それなら早く借金返すです!!』

 

「そうなんだがな…少しでもこうやって仕事に慣れる為に、色々と回ってるんだ」

 

実際クロウはかなり努力していた。指揮の本を読んだり、深海棲艦の研究レポート等を読んで知識を蓄えていた。

 

『そう言えば、借金提督の記憶を知らないですね!!見せて下さいです?』

 

「記憶…?意味が分からないが…一体何をするつもりだ?」

 

クロウの疑問に対して、妖精さん達は、どや顔でクロウに話す。

 

『借金提督の記憶の中を覗いて、艤装に使える物が無いか見るのです!!我々妖精に不可能は無いのです!!』

 

「そ、そうか…?なら、見て貰おうか…で?どうやって見るんだ?」

 

クロウの言葉を聞いて、妖精さん達はクロウの頭に手を置いた。

 

『これで十分です…むむむ…』

 

妖精さん達が唸る…

 

「オイ…大丈夫か?」

 

『むむむ…むむむ!!ハッ!!(゜ロ゜;これは!!』

 

妖精さん達がざわつく。

 

『至急作るです!!』

 

『出来るですかね…?』

 

『出来たら深海棲艦フルボッコです!!』

 

盛り上がる妖精さん達を見て、クロウは置いてきぼり感を感じていた。

 

「オイ…俺は一体どうすれば…」

 

『忙しくなるです!!借金提督は出てくです!!』

 

「えっ…ちょっ…」

 

クロウは追い出された…外は風が吹いていた…

 

「不幸だぜ…」

 

呟きながら、次の目的地にクロウは向かった。

 

次に向かったのは『甘味処 間宮』補給艦である、間宮さんが経営する艦娘達の憩いの場所である。クロウが店に入ると、間宮さんが声をかける。

 

「あら、クロウさん!!珍しいわね?何か食べる?」

 

「ああ、とりあえず…温かいお茶と、最中でも貰おうか…」

 

「お茶と、最中ね!!」

 

クロウが注文すると、間宮さんは店の奥へと入っていった。そしてクロウが店内を見渡すと、特大のあんみつを食べている加賀と目が合った。

 

「……………何かしら?」

 

「いや、すげぇ量だな…」

 

「この程度なら、鎧袖一触よ…」

 

「いや、あんみつに対して使う言葉じゃ無いだろ…」

 

クロウは加賀にツッコミながら、更に辺りを見てみると、ちょこちょこと動き回る妖精さんを見つけた。

 

「なぁ、加賀さん…あの妖精は何の妖精なんだ?工廠の妖精とはどう違うんだ?」

 

「……そうね、調理が出来る妖精ね…因みに艦載機に搭乗している妖精が、他の妖精の憧れの存在らしいわ…」

 

加賀の説明にクロウは妖精の中にも、役割がある事を知る。

 

「パイロットに憧れる…か」

 

「…どうしたの?」

 

「……俺も前の世界では、戦闘機…では無いにしろ、兵器のパイロットだった…」

 

「………そうらしいわね」

 

「俺はな?パイロットも大事だが…パイロットが最大限に戦えるには、美味い飯を作ってくれる人達や、高度な機体のメンテナンスをしてくれる人達が居ないといけない…つまり、戦ってるのはパイロットだけじゃない…」

 

クロウの話を加賀は黙って聞いていた。

 

「だから、飯を作れる妖精も…工廠で武器を作る妖精も…それぞれが…それぞれの妖精に憧れているのかもな」

 

「随分と顔に似合わずロマンチストね…」

 

「顔は放っとけ…」

 

加賀はクロウの話を聞いて、クロウに質問した。

 

「貴方は…借金を返済したら、提督を辞めて元の世界に帰るのかしら?」

 

「ああ、そのつもりだぜ…仲間が待ってるんだ」

 

「……そう」

 

加賀は少し残念そうにクロウの言葉を受け止めた…

 

「お待たせ!!最中よ!!あら?加賀さん…お邪魔だったかしら?」

 

間宮さんが加賀をからかう。間宮さんの言葉の意味を理解できていないクロウは、不思議そうにする。

 

「注文した物を持ってきて…何で邪魔になるんだ?」

 

その言葉を聞いて加賀は立ち上がった。

 

「………頭に来ました…失礼します…」

 

「何で睨むんだよ!?俺、何かしたか!?」

 

「自分で考えなさい…借金提督」

 

「加賀さんまで、俺をその渾名で呼ぶのかよ!?」

 

クロウが理不尽を味わっていると、鎮守府内の放送で呼び出された…

 

『クロウ・ブルースト!!鎮守府内の道場に至急来い!!逃げる事は許さん!!以上だ!!』

 

突然の放送にクロウが驚いていると、加賀が呟いた。

 

「今の放送は…長門ね…まだ陸奥の事を………クロウ提督…道場に行って…お願い…」

 

「その様子はただ事じゃあねぇな…良し、行くとするか!!」

 

「私も後から向かうわ…長門の目を覚ましてあげて!!」

 

加賀の願いを聞き入れ、クロウは鎮守府内の道場に向かった。




今回の独自設定…妖精さん万能設定。

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