100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。   作:Z/Xプレイヤー26

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100万Gの男、提督になる。

クロウが提督になるように言われてからの時間は、驚く程に早かった。まずはこの世界の歴史や常識を学び、この世界での生活に慣れるように様にした。そして、提督のコネにより、クロウの身分証明を作成…手続きを行い、軍に正式に入隊。提督適性の特別枠を行使し、提督不在の鎮守府に配属されることが決まった。

クロウがこの世界に来てから僅か半年の出来事だった。

 

「半年で提督になれちまうとは…恐ろしいぜ」

 

クロウは配属される鎮守府の前でボヤいた。

 

「しかも階級は大佐ときたもんだ…アムロ大尉ですら、あの腕で大尉なのによ…いや、あの人はわざと大尉をやってんのか?」

 

クロウは前に共に戦った伝説のニュータイプの事を思い出していた。

 

「ともあれ、俺の出世の原因は人員不足だからな、素直には喜べないが…っと、さっさと行くか…」

 

クロウはボヤき終えると、鎮守府の門を通った。それと同時に…

 

(何人かが、こっちを見てやがるな…物珍しさか?いや、敵意があるみたいだな…)

 

「隠れてないで、出てきてくれねぇか?かくれんぼは卒業してるんだ、俺が隠れたら誰も見つけてくれなくてな…それ以来…辞めたんだ…」

 

クロウが悲しい過去を思い出していると、クロウが声をかけた方から、一人の艦娘が現れる。

 

「ここから消えなさい…この鎮守府にはもう提督なんて必要無いの…」

 

(『この』鎮守府の情報は貰ってたが…いきなりとはな…全く…貧乏クジだぜ…確か、この艦娘は加賀って艦娘だったな…さて、どうするか…)

 

「いきなり手厳しいじゃねえか…こっちも生活がかかってるんだ、ハイそうですかって引き下がる訳にはいかないんだよな」

 

クロウの言葉に苛立ちを覚えたのか、加賀が弓を構える。

 

「おいおい!?いきなり人間に艦載機を向けるか!?もう少し常識ってやつをだな…」

 

「失せなさい、そうすれば何もしないわ…私達に構わないで」

 

加賀は弓を構えたまま、クロウに再度勧告する。

 

「じゃあ、お前が俺の借金を返してくれるのか…恩に着るぜ!!」

 

「は?」

 

「なんだよ…違うのかよ…あーあ…期待して損したぜ…」

 

ボヤきながらクロウは鎮守府の建物に向かって歩き出す…それを加賀が見逃す筈がなかった。

 

「誤魔化せるとでも?」

 

「あ、やっぱ駄目か?仕方ねぇ…」

 

観念するかと思われたクロウは、鎮守府の建物に向かって、全速力で走り出した。

 

「ッ!?待ちなさい!!」

 

「待てと言われて待つ馬鹿が居るかよ!!こっちは借金がかかってるんだ!!死んでもここで働くしかないんだよ!!」

 

加賀が艦載機をクロウに向かって放つ。

 

「マジで艦載機を使って来やがった!!最近艦娘に追われてばっかりだぜ!!畜生め!!」

 

「……死になさい」

 

発艦された艦載機が発砲する…

 

「おおっ!!当たらなければどうと言う事はねぇ!!」

 

弾丸の雨を間一髪で回避し、鎮守府の扉を蹴破るクロウ…その先に居たのは…

 

「司令官…着任おめでとうございます!!」

 

駆逐艦、『吹雪』を始め、暁、響、雷、電がクラッカーを持ってクロウを祝福した。その光景を見て、クロウは呆気にとられた。その後ろから、加賀が声をかけた。

 

「ドッキリ…大成功ですね…」

 

「……待て、待ってくれ…俺が渡された資料には、『前の提督の素行が原因で艦娘が人間不信になった鎮守府』って書いてあったんだが…」

 

「あ、それは嘘なのです!!クロウ司令官さんを紹介してくれた司令官さんから提案があったのです!!『ドッキリを仕掛けよう!!』って」

 

クロウは提督の術中にまんまとハメられたのである…

 

「あのオッサン…借金返したら覚えてやがれ!!」

 

「では、提督…これから宜しくお願いしますね?」

 

加賀が敬礼をする。それを見て、駆逐艦達も敬礼をした。

 

「あ、ああ…宜しく…?」

 

クロウはなし崩し的に返事をした。

 

「あっ、あと、壊した扉は提督が弁償して下さいね」

 

「マジかよ…」

 

こうしてクロウは提督になった。少し借金が増えた。




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