100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。 作:Z/Xプレイヤー26
金曜日…今日は陸軍の視察が来る日であった。しかし、クロウの鎮守府に特に変わった様子は無い。クロウ曰く、『下手に取り繕うと、碌な事にならねぇ。それに、視察が目的なら何も疚しいこともしてないし、問題ないだろ。』との事で、出迎えや少しばかりの持て成し程度しか、用意は無かった。
「本当に良いのかしら?視察が来るのに、この程度で。」
「別に接待する訳じゃないしな。変に気を使う必要は無いだろ?」
執務室にて、加賀とクロウが話をしていた。そんな時、鎮守府内に放送がかかる。
『間もなく、鎮守府に陸軍の方々が到着されます。クロウ提督及び、出迎えに選ばれた艦娘は速やかに鎮守府正門前に待機して下さい。』
放送を聞いて、クロウと加賀が立ち上がる。
「さて…行こうぜ、加賀さん。」
「ええ。くれぐれも無様な姿は晒さないで欲しいわね。」
「………まだ怒ってんのか?」
恐る恐る加賀に質問するクロウ。それに対して、加賀はそっぽを向いた。
「知りません。」
(やっぱり女は…面倒だな。)
7割以上は好意の裏返しなのだが、クロウは気付かない。
~鎮守府正門前~
「さて、どんな奴が来るのか…お堅い人間は嫌だな…」
「陸軍は根性ありきの人間が多いって聞くし…めんどいと思うよ?」
クロウの呟きを聞いた鈴谷が答えた。
「根性ありきか、そう言うタイプは大丈夫だな。結構仲間に居たしな。」
「そうなの?意外じゃん。クロウっちはそう言うタイプは苦手だと思ってたし。」
「そうか?多分、お前達が思っている以上に熱血漢な奴も居たぜ。」
言い切るクロウに対して、艦娘達は興味津々だった。
「想像以上の熱血漢…面白いネタになりそうですねぇ!!是非一度お話を!!」
「視察が終わったら話してやるから、視察中は大人しくしてろ。」
「わかりました!!青葉、大人しくします!」
(青葉の扱いが上手くなったわね。)
クロウと青葉のやり取りを見て、加賀が心の中で呟く。
「それにしても、遅くないか?……ん?あれか?」
クロウは前方に陸軍らしき車を発見する。
「おっ…来たな。んじゃ、準備しろ!!」
「「はい!」」
クロウの号令に、全員が姿勢を正す。そして陸軍の車が…
鎮守前で事故った。
「「「え゛」」」
~地球周辺宇宙域~
地球周辺の宇宙にて、次元振が発生した。そして、その次元振によって、この世界に飛ばされてきた者が一人。
「………………フフフ…」
そして、その次元振の付近にいた者が一人。
「……貴様一体何者だ?この私の目の前に来たのは偶然の様だが?」
質問をしたのは『イディクス』の幹部の一人、イスペイルであった。
「……………」
「質問には答えぬか…ならば目障りだ、失せろ!!」
イスペイルは機体を動かし、転移してきた者へと攻撃をする。その瞬間、来たな。イスペイルの機体は吹き飛ばされた。
「何ィ!?」
何が起こったのかイスペイルには分からなかった。しかし、イスペイルを吹き飛ばした者、その機体は答えない。否、答えられない。
「始まりの南風…」
「何を言っている!?」
イスペイルを吹き飛ばした機体から声が聞こえる。その声をイスペイルは必死に聞こうとしている。しかし、それは意味の無い事だった。
「戌の導きを信じぬ道化師は命を燃やし海を空に翻して怯える赤子の結末の終りの始まりである蛇の鶏!!」
「何だ!?貴様は一体何を言っている!?」
恐怖がイスペイルを支配する。
「7562485348615742125151」
今度は『意味の無い』数字の羅列を聞かされる。そして、それがイスペイルの聞いた最後の言葉だった。
イスペイルの機体の残骸から、光が漏れている。イスペイルを破壊した機体は、その光を取り込むと、取り込んだ機体から声が聞こえる。今度は『意味のある』言葉が。
「このクリスタルハートとやらは、スフィアに近い物の様ですね?いや、スフィアの模造品と言えば良いのでしょうか。しかし…」
機体は地球を見下ろす。
「この世界は…面白いかも知れませんね…!!スフィアの中で眠っていた私を起こすとは!!魂の残りカスである私にもやることがあると…本当に面白い…!!クリスタルハートは働く為の駄賃と言ったところでしょう。私を起こしたのが誰かは知りませんが、少々…遊ばせて頂くとしましょう!!」
そう言って、『アイム・ライアード』は地球へ向かった。
はい、陸軍は来ました。(鎮守府に無事に入れるとは言っていない)
あと、復活した奴は………正直者か…はたまた嘘つきか…?
そしてイスペイルは噛ませ犬。