100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。   作:Z/Xプレイヤー26

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サブタイトルが思い浮かばない今日この頃…


100万Gの男、説明する。

クロウは考えていた…どう説明するべきかを。ここまで来て、『無駄足でした。ご免なさい』と、上手く説明できる方法を…

 

「露天風呂での騒ぎを考えるに、彼奴等が楽しんでる事は間違いないな…なら、あのじいさんの言ったとおり、旅行として片を付ける方が無難か…?」

 

クロウは露天風呂での騒ぎを思い出し、艦娘達の楽しそうな声を思い出した。菊月の声は些か嫉妬混じりだったが。

 

「……そう言えば、大和の声が聞こえなかったが…疲れて先に寝たのか?まぁ、リニアの中でも爆睡してたしな…」

 

方向性が決まったので、クロウは細かい説明を考える為、一旦部屋へと向かった。

 

そして…クロウの気にかけた艦娘…大和は…

 

《旅館付近の防波堤》

 

「………こんな所まで来て…何をなさって居たんですか…?」

 

「大和…か、久しぶりじゃのう…」

 

露天風呂でクロウに声をかけた老人に会っていた。

 

「質問に答えて頂けますか?中将…いえ、今は元帥閣下…でしたね」

 

「中将か、懐かしい呼ばれ方じゃ。あれから何年経ったんじゃろうな…五年か?早い物じゃな…」

 

話を逸らす老人に対して、大和は冷たい視線を送る。その視線は普通の人間なら、恐怖で震える程の威圧感が在るが、老人はどこ吹く風といった感じで話を進める。

 

「まぁ、そう怖い顔をするな…綺麗な顔が台無しじゃぞ…ん?いや、一部の人間は興奮するか?」

 

「死にますか?今、ここで…介錯しますよ?」

 

流石に洒落にならないと思ったのか、老人は話を戻す。

 

「分かった分かった…ここに来た理由は、あの小僧に会う為じゃ…大体、分かっとるんじゃろうに…」

 

「そんな事は分かっています…わざわざ会いに来た理由は、何ですか?貴方程の人が気にする程の『何か』があの人に有るんですか?」

 

「………それは…」

 

老人が言葉を口にしようとしたその時、別の声が老人の言葉を遮った。

 

「お前には関係無い事だ…臆病者のお前にはな」

 

声を遮ったのは、大和型二番艦…謂わば大和の妹…武蔵であった。

 

「武蔵…やっぱり居たのね…」

 

「もう見つかってしまったのか…流石はワシの秘書艦じゃな…見つかってしまったなら仕方無い、帰るとするか。じゃあの!大和、また会おうぞ!!」

 

そう言うと、老人…元帥は防波堤を飛び降り、姿を消した。

 

「っ!?…相変わらず訳の分からない消え方をする人です…」

 

武蔵も大和に一瞥もくれずに消えていた。

 

「武蔵…私は…」

 

その後、自分の割り振られた部屋に戻った大和が最初に見たものは、艦娘達に締め上げられているクロウの姿だった。

 

「何を…しているんですか…?」

 

「や、大和!!助けてくれ!!光子力研究所が熱海に無いらしくてよ…それを説明したら、皆にボコられてる!!」

 

クロウから説明を聞いて、大和は苦笑いした。

 

「そ、そうだったんですか…私の情報ミスでしたね…あはは…」

 

「………大和?お前、何かあったのか?」

 

いきなりクロウから質問をされ、大和は戸惑った。

 

「えっ?べ、別に何も無いですよ?」

 

「……そうか?なら、良いけどよ…一人で抱え込むなよ…それで駄目になる奴も居るからな?」

 

(駄目になる…か。やっぱり貴方が長い間戦いに身を投じていたのは紛れもない事実…この機会にじっくりと話を聞いた方が良いですよね。貴方の過去を聞けば、元帥が貴方に会いに来た理由も分かる筈…)

 

大和は考え、クロウの前に居た世界…戻るべき世界の話を聞く事にした。

 

「クロウ提督、前に居た世界のお話を聞きたいんですが…良いですか?」

 

「前に居た世界の話?」

 

「はい」

 

大和の強い決意を感じたクロウが、断る筈も無かった。

 

「分かった…長くなるぜ?っと…このままじゃ話せねぇな…よっと…」

 

クロウは縛られた縄を解き、脱出した。

 

「実は逃げられたのに、逃げなかったのね?まぁ、逃げたら、烈風で殺ってたけれど…自分が悪いから、逃げなかった事は評価してあげるわ。それに、貴方の話も聞きたいわ。ね?菊月?」

 

「そうだな…クロウの戦い…聞かせて貰おう」

 

周りを見ると、全員がクロウの話を聞こうと真剣になっている。

 

(話を聞いて、菊月の悩みが解決されると良いけれど…)

 

加賀の心配を他所に、クロウの話が始まった…

 

「まず、俺が最初に居た部隊は、ファイヤバグって部隊だな…」

 

最初にクロウはファイヤバグに居た頃の話をした。その内容は、今のクロウの人柄とはかけ離れた、所謂『犯罪者』の部隊の話だった。実際、ファイヤバグの人間は、リーダーである、『マリリン』の追っかけに近い存在ではあったが、腕は確かな部隊であり、話だけ聞くと犯罪者の塊のような印象を受ける。

 

「んで、ファイヤバグを抜けて、なんやかんや…まぁ、借金なんだけどな…とりあえず、返済する為に、次元獣バスターになったんだ…んで、またなんやかんやあって、世界の命運を懸けた戦いに発展した訳だ…」

 

「なんやかんやの内容が気になるんだけど!?クロウっち…説明できる?」

 

鈴谷の質問に、クロウは早口で答えようとする。

 

「ブラスタのデータ集めの為に、新型の機体のデモンストレーションに乱入しようとしたら、別の乱入者が出てきて、実はその乱入者はソレスタルビーイングって組織で…」

 

「ゴメン…掻い摘んでで良いや…」

 

「そうか?因みにソレスタルビーイングも一緒に戦った仲間だぜ」

 

クロウの説明に、鈴谷が頭を抱えだす。

 

「………世界の命運を懸けた戦いと言う程だ…勿論と言うと悪いが、仲間の中にも途中で…」

 

菊月の言葉を察したクロウは答えた…

 

「ああ…カミナやロックオン…沢山の犠牲があった…」

 

「なら、クロウは…その仲間たちは、どうやって、その犠牲を乗り越えた!?教えてくれ!!」

 

クロウは菊月の質問に黙ったままだった。

 

「………」

 

「クロウ!!答えてくれ!!私は…どうすれば…」

 

「……乗り越え方は、人それぞれだな…俺がお前に教えたって意味は無ぇよ…どう足掻いたって、乗り越えられない奴も居るだろうしな。俺の仲間たちは、たまたま乗り越えられた奴も居る。普通は死なんて簡単に受け入れたり、乗り越えたり出来る物じゃねぇし、簡単に乗り越えたら、寧ろ駄目かも知れねぇしな…」

 

「簡単に乗り越えたら、駄目…ですの?」

 

熊野は考え込む、いや、熊野だけではなく、その場に居た全員がクロウの話を聞いて、考えていた。

 

「クロウ…私は…復讐したいと言ったら…止めるか?」

 

菊月の問いに、クロウは即答した。

 

「止めないな」

 

「何故だ?」

 

「復讐の為に戦ってきた奴なんて沢山見てきた。俺の仲間にも居たくらいだしな…因みにそいつは世界全てに復讐しようとしてたしな。変な仮面を被ってはいたが、信念を持ってたしな…」

 

「だから、止めないぜ。『復讐なんて悲しいだけだ!!』なんて綺麗事を言える程、崇高な人間じゃ無いのも、さっきのファイヤバグの話を聞いて、分かったろ?」

 

クロウは菊月の顔を見て、どや顔で言った。

 

「だから悩め!!お前の出した答えに文句は言わねぇからよ!!少なくとも、俺は味方で居るぜ!!借金返済の邪魔さえしなければな!!」

 

「ふふ…なんだそれは?クロウ…お前にとっては、借金が一番大事なのか?」

 

菊月は笑いながらクロウに訪ねる。

 

「嬉しく無ぇが、借金をしてなかったら、死んでたかもしれない時が有ったくらいだからな…まぁ、その話をすると、長くなるからな…また今度な!!んじゃ、各自、明日の夕方には鎮守府に帰るからな?準備しとけよ?」

 

そう言って、クロウは木曾の部屋へと向かった。

 

そして各々が眠りに就いた…菊月の寝顔はとても気持ち良さそうな物だったと、写真に収めた青葉が言っていた。その後、鎮守府に戻ったクロウ達が見たものは、とんでもない物だった!!




旅行篇、完!!Bチームは、余裕が出来たら投稿したいです…

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