100万Gの男が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮を執り、借金の返済をします。 作:Z/Xプレイヤー26
「俺はAグループの艦娘達と光子力研究所へ行くぜ」
クロウの答えに、青葉はニヤリと笑った。
「やっぱりケッコンカッコカリ候補ダントツの加賀さんが居るAグループにしたんですね!!いやぁ!!期待を裏切らない!!」
「やっぱり……加賀さんが良いんですね…私よりも…」
「誤解すんなよ…まだAグループのほうが、行動しやすいと思っただけだ…考えてみろ…那珂だぞ?時雨と利根が止めに入ったとしても…なぁ?」
クロウが二人に同意を求めるが、二人は目を逸らした…
「目を逸らすなよ…全く。それじゃあ、呼び出しておいてくれ…俺は着替えて来るからよ…」
そう言って、クロウは私室に戻った。
(しかし…光子力研究所…あまり良い状態では無いみたいだな…最悪の場合も想定しておくか…)
私服に着替えながら、クロウは考えていた…謎の声が言っていた『この世界に最も相応しい魔神を見せてやろう』の意味を。
「さて…どうなるか…とりあえず、行ってみるか…」
『加賀さん!!鈴谷さん!!熊野さん!!菊月さん!!鎮守府正門前に集合して下さい!!』
鎮守府内に放送が響き渡る。
「っと…急がねぇとな」
クロウは私室を出て、正門前に向かった。
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クロウが正門前に到着すると、加賀、そして菊月が既に集合していた。しかし菊月は少し不満そうだった。
「遅いですよ…駄目男…」
加賀がクロウに皮肉を言う。
「悪いな…着替えに手間取った…」
「まあ、私をつれて行くと決めたのは褒めてあげるわ…」
加賀は文句を言いながらも、怒っては無い様子だった。しかし菊月は…
「私は着いていくとは言った覚えが無いのだが?一体何の嫌がらせだ?クロウ…」
「おっと…いきなり辛辣だな、お姫様は…」
クロウの顔を見るなり、クロウに不満を言う菊月。
「辛辣にもなる…人が…」
「悩んでいるのに…か?」
「…………分かっているなら、そっとしておくのが大人の対応だろう?私は戻るぞ…」
「待ちなさい」
鎮守府内に戻ろうとする菊月を止めたのは、加賀だった。
「何だ?私は着いていくとは言っていない…折角の休みを興味の無い事に費やすつもりはなのでな…」
「貴女、それで良いの?『あの子達』の事をいつまでも引きずるつもり?前の提督は無能だったけれど…クロウ提督は少しはマシよ?騙されたと思って着いて来なさい」
「加賀さん…無理矢理つれて行くつもりはねぇよ…本人が嫌がれば、つれてはいかねぇ。菊月、悪かったな…悩みがあれば、何時でも聞くからよ。」
クロウの言葉にも、反応せず菊月は鎮守府内に戻ろうとした…その時。
「おっ、クロウっち早いじゃん!!チーッス!!」
「お待たせしましたわ!!」
鈴谷と熊野が到着した。そして鈴谷は鎮守府に戻ろうとする菊月を見て…
「菊月確保ぉ!!」
「なっ!?離せ鈴谷!!私は着いていくつもりは無い!!」
「まったまた~!!最近菊月は溜め息が多いからね~!!無理にでも気分転換に行かないと駄目じゃん!!ね!クロウっち!!」
目にも止まらぬ速さで菊月を担いだ鈴谷はクロウに同意を求めた。
「い、いや…嫌がってんならつれて行くつもりは…」
「ふ~ん…ヘタレだね」ボソッ
鈴谷の言葉にクロウは反応した。
「ヘタレ…だと!?」
「え~?だってそうじゃん?女嫌いのヘタレとか…ねぇ?」
「ハァ…また鈴谷の悪い癖ですわ…クロウさん?気になさらなくて結構よ?鈴谷は人をからかうのが好きなんですのよ…我が姉ながら、残念ですわ」
「ちょっと、くまのん!?酷くない!?鈴谷は事実を言ったまでだし!!」
熊野の指摘に対して鈴谷は反論するが、熊野は慣れた様子で受け流していた。
「くっ…鈴谷!!私を抱えた状態で喧嘩をするな!!離せ!!」
「菊月が着いていくって言うなら離すよ?」
「……仕方無いな…わかった、共にゆこう…」
ついに菊月が根負けをし、同行する事になった。
「なんだか鈴谷が恐ろしく感じるわ…」
加賀の呟いた一言に、鈴谷は満足そうにしていた。
「ふっふっふ!!鈴谷の底力を加賀さんも認めたみたいだね~!!クロウっちも褒めても良いんだよ?鈴谷、褒められて伸びるタイプなんです、うーんと褒めてね!!」
「そうだな、ヘタレの俺で良ければ、いくらでも褒めてやるよ…偉いぞー…」
クロウの拗ねたような言い方に、鈴谷は苦笑いする。
「う…もしかして、気にしてる?あれは冗談だって!!ね?機嫌直してよ~!!」
慌てる鈴谷を見て、クロウはニヤリと笑った。
「冗談だよ…今まであんまり鈴谷と熊野に接点が無かったからよ…からかってみたんだよ」
「む…もしかして鈴谷、掌の上で踊らされた感じ?」
「フフッ…その様ですわね?」
ムスッと膨れる鈴谷を見て、熊野は楽しそうに笑っていた。
「何か納得出来ないし!!くまのん!!必殺の奇声攻撃じゃん!!」
「え、えぇ?あれをやりますの?私流石に恥ずかしくってよ…」
「やられっぱなしは嫌だもん!!」
「うぅ…わかりましたわ…ゴホン…それでは…」
(流石にこれにはクロウっちも驚くっしょ!!)
鈴谷は楽観視していたが、クロウは熊野の奇声の事は知っていた…なので…
「とおおおぉぉうぅぅ!!」
熊野が声を発すると同時にクロウも…
「モウヤメルンダッ!!トゥ!!ヘアー!!」
あのオーブの守護者の真似をした…
「ふぇ!?なんですの!?」
「フッ…俺の勝ちだな!!」
奇声対決はクロウの勝利に終わった…
「……呆れました、菊月、こんな馬鹿達は放っておいて、行きましょう…」
「あ、あぁ…しかし何故あんなに間が抜けているのに強いのだろうか…クロウは…」
菊月の言葉をクロウは聞き逃さなかった。
「間が抜けている訳じゃねぇよ…心にゆとりがあるんだ。そしてそれは戦場でも重要な事だぜ?」
「戦場でも…か?」
菊月は真剣になって聞いている。その姿を見てクロウは直感した。
「菊月は、強くなりたいのか?」
「………愚問だな…私達は艦娘だ…強くなりたいのは当たり前だろう?少なくとも、姉妹くらいは護れる程度にはな…」
菊月の答えを聞き、クロウは菊月の頭を撫でた。
「っ!?いきなり何をするんだ!?やめろ!!」
「フッ…そうしていると、年相応の子供に見えるがな…だが、安心したぜ…冷徹なだけじゃあ、強くはなれねぇからな?さっきも言ったが…心のゆとりが大切だぜ?実際、俺はそれで何度も危機を逃れて来た…最初に刹那達に捕まった時もそうだったな…」
クロウが菊月に話をしようとしたその時、青葉と大和が正門前に到着した。
「おっ!!皆さんお揃いですねぇ!!ではでは!!光子力研究所へ行きましょう!!」
「………話の腰が折れちまったな。菊月、移動しながら話してやるよ…電車で三時間らしいしな…時間はたっぷりとあるからな…」
「わかった…宜しく頼む」
クロウ達は、光子力研究所に向けて、移動を始めた…それが想像以上に困難な道のりだとは知らずに…
アンケートに回答して下さった皆様、ありがとうございました!!