キャプテン・アメリカ the first Reincarnater 作:天戒騎士
コラボが出来なかったら・・ほんとどうしましょう・・
僕はただ何も考えずにニューヨークを走っているモノレールの中から街を眺めていた。コンクリートのビルが軒並み建っており時代の最先端を走っている光景だ。この光景を70年近くも前の人間が見たらなんと思うのだろうか、想像していたのと違うと言うのだろうか。少なくとも僕はそうは思わない。
モノレールから降りてしばらく歩いた僕は近くのカフェテラスの腰かけコーヒーを飲むことにした。と言っても砂糖とミルクは必至だ。僕はどうも苦いコーヒーが苦手だ、それからなんて言ったっけ、そうそうコーヒー牛乳だ!それを飲めばいいだろうと思うかもしれない。でもこの年でコーヒー牛乳が飲みたいなど言ってしまえばいい笑いものだ。昔の僕は今でいう、いじられキャラのような性格でいじられることで周りを和ませていたと自負している。でもバカにされまくるのだけは嫌だ。
女性店員が持ってきてくれたコーヒーにミルクと砂糖を入れて苦味を和らげる。うん。この具合がちょうどいい。コーヒーを飲みながら途中のコンビニで買った新聞を開いてみるとデカデカとこう書かれていた。
『エドワーズ・インダストリーズ!次は宇宙の半分をつかむのか!?』
エドワーズ・・・
ISが存在するなんて信じられなかった、いや
モノレールを降りた時、僕は見知らぬ女性から声を掛けられた。
「ちょっと、そこの貴方!」
なんなのかと思い後ろを振り向くとそこにはコートを着込んだ女性が立っていた。なぜ声を掛けられたのかわからないが、とりあえず応えよう。
「はい、どうしたんですか?」
「この荷物を運んでもらいたいの」
「荷物を?」
彼女の荷物を探したが見当たらなかった。少しすると彼女が自分の持っている服や靴などが入った紙袋をこちらに差し出してきた。もしかしてこれのことなのだろうか。
「これを?」
「そうよ、お願い」
このぐらいなら一人で運べるのではと思ってしまうが、どうせ時間をつぶす予定もあまりないし、運ぶのも悪くないかもしれない。こう思う時点で僕は変人なんだろうな。
「わかりました。では『ちょっと何してるの!』・・?」
彼女の荷物を運ぼうとした矢先、別の女性が僕たちに話しかけてきた。
「あっ!姉さん!」
「あなた何しようとしているの!?これくらいの荷物くらい自分で運びなさい!」
「でも・・」
「でも、ではありません!・・妹が無礼を働きました申し訳ありません」
この女性は彼女の姉のようだ。僕に対して謝罪してきた。これくらいのことで謝罪されるのもなんだかしのびないな。
「いえ、どうせ暇でしたか」
「だとしてもです。妹はどうもいろいろなことに調子づく癖がありまして・・ほら貴女も謝って!早く」
「・・ごめんなさい」
「もっとはっきりと言いなさい!」
「あ、いや大丈夫ですよ・・謝ろうとする姿勢は大事ですから。ぼくはこれで大丈夫です」
「・・そうですか」
姉は申し訳ないような表情を浮かべていた。
「では私たちはこれで・・」
「いえ、やはり運ばせてください」
僕は彼女たちの荷物を運ばせてもらうよう願い出た。
「え!?でも!」
「この量の荷物を女性だけで運ぶのも大変でしょう。それにこの後は対して予定もありませんし大丈夫ですよ。あとこのぐらいの荷物なら軽いものです」
そう言って僕は彼女たちが持っている紙袋を持って歩き出そうとした。
「この荷物はどこまで運べばいいでしょうか?」
「ここから少し歩いたところにあるマンションまで」
「ちょっと!!」
姉が妹を注意したが、妹は聞く耳持たずと言うか、我先にと歩き出した。姉は妹の傍若無人な振る舞いに怒り心頭という状態だった。さすがにこれはまずいかな。
「まあまあお姉さん、妹さんもいつかわかってくれますよ」
「・・貴方も貴方です!!なんで断るなりなんなり、言い返そうとしないんですか!?貴方もあの
「い、いえ!違います!僕は本当にただ予定も何もないので運んであげようかと・・確かに僕の行いはおかしな人がやるやましい行為かもしれません。でも、自分で言うものなんですが善意でやろうとしているだけです。不愉快なら謝ります」
そう姉に対し僕は自分の気持ちを伝えた。しばらく彼女とにらめっこ?になったが、やがて彼女はため息を吐き、あきれた者を見る目で僕を見た。
「珍しい人もいるものね。今どき貴方みたいな人はまずいないわ。善意で人のわがまま二に付き合うなんて」
「自覚はしています。でも、実を言うと少し話がしたいとも思いまして」
「話し?」
「はい、僕はその、結構遠くの田舎から来た身でして、この街のことや街に住んでいる人のことがあまりわからないんです。だから、これを切っ掛けに話が出来ないかと」
これは正直な話、僕の本心だ。
「田舎からだったんですか。でも、わざわざこんな回りくどいことをぜずにそのまま私たちに話かければいいじゃなかったんですか」
「それもありますね、でも・・・みんな電話に夢中になっていてなかなか話かけずらいんです」
「電話?電話ねぇ」
周りのみんなが持っている・・携帯電話とスマートフォンに夢中になっているから話しかけてもいいのかどうかわからなかったのだ。
「話しかければ答えてくれたのでは?」
「あぁ・・それもそうでしたね」
「しっかりしてそうに見えて意外と人見知りなのかしら」
「たぶん、そうです」
これはあまり否定できないな、昔は人見知りなところもあったし。
「あ、それより急ぎましょう!妹さんが待ってますよ」
「・・・では、お願いします」
僕は彼女たちの紙袋を両手に持ち、姉と並んで駅からマンションまで歩き始めた。
「本当にすみません」
姉が僕に対して謝罪してきた。謝るのは大事だが何回も謝られてはこちらも、なんというかあまりいい気分にならない。
「先程も言いましたが、大丈夫ですよ」
「それでもです・・・あの子が変に調子づいてしまい、わがままを言うようになってしまうと思うと・・・これも
「女尊男卑ですか・・」
女尊男卑・・ISの登場からしばらくして社会に広まった考えの一種だ。ISが、どういう訳なのかはわからないが、女性にしか反応せず結果的にISを纏い操縦をできるのは女性だけということになっている。そのことからかISに乗れる自分たち女性は偉い、選ばれた存在だという選民思想に似た考えになった。そういえば
「あの子が女尊男卑の考えのままに、変なことをしないか心配なんです。私の両親も妹に変なことをするなと言いつけてはいるのですが、なかなか・・」
「そう焦ることはないと僕は思いますよ」
「え?」
「私見ですが、妹さんは思春期の真っただ中にいます。いろいろの価値観や考えに触れてみたい好奇心が旺盛なんです。今は先程のような感じでもこれからもっといろいろなものを見て、聞いて、感じていけば絶対にそうはならないと思いますよ、それにあの年頃は周りの影響を受けやすいものです。大丈夫、あなたやご両親が根気よく接していけば、悪いことにはなりません」
「あら・・見ず知らずの人にここまで言ってもらうのは、その・・」
「自分でもおかしいと思っています。すみません説教じみて」
「あ、いえ。それよりあなたはどちらの方からいらしたんですか?田舎の方から来たと言っていましたが」
ここでの会話の切り替えはいい判断だな。自分でこの雰囲気を作ってしまってなんだが。
「ずっと、北です。とても遠いところからきました」
「北と言うと、バーモンド州からですか」
「いえ、もうほんとずっと北なんです。カナダよりもずっと遠く」
「カナダよりも・・
「どうでしょうね・・」
そうこう話している間に彼女の住んでいるマンションに着いた。結構大きくてかなりしっかりした建物だ。玄関先まで来て、ここまででいいと言われた。
「あとは私が自分で持っていきますから」
「大丈夫ですか」
「心配性なんですか、大丈夫ですってこれくらい自分でも持てますよ。それに男の人に頼りっぱなしの非力な女じゃありませんよ」
「それもそうですね、では僕はここで」
「はい。ではこれで今日はありがとうございました」
荷物を持った彼女が玄関をくぐるのを見た僕は、らしくないかもしれないが軽く手を振って見届けた。
「女尊男卑・・ね」
男尊女卑も女尊男卑も結局は互いを自分より下の存在と見てしまうから起こるものかもしれない。今の僕のように・・・
そして今に至っている。新聞には女尊男卑のことに関する記事も載っている。自分たちの社会的地位を上げろ、豊かな社会を自分たちに提供しろ、書かれていることは大体そんな感じだ。パワードスーツが出ただけで世界がここまで変わるなんて想像できないだろう。ましてや数に限りがあるなんて兵器としていかがなものかとも思う。
コーヒーを飲み終え、料金を払いカフェテラスを後にしてからまたぶらりと歩き始めた。先程の姉にはあまり予定はないと言ったが、実は小さな予定が僕にはあった。ある住所に伺いたいのだ。その住所が書かれているメモ用紙を手に持ちながら、人通りの中を歩いていく。時には店を出している人にこの住所はどこかと聞いたりもした。こんなことなら先程の女性にここの住所はどこですかと聞けばよかった。そう考えている内に住所に近づいてきた。この住所には思い出のあるカフェではなく、
ビルが建っていた。
なんとなく、なんとなくだがこうなっているんじゃないかと思っていた。あれから何年も経っているから、こうなってもおかしくない!!
僕は心の中から出てくる、どう言えばいいかわからい感情を抱いたままその場から立ち去った。
どのくらい歩いたかな、なんだかレトロな感じが漂っているボクシングジムの前にいた。ここはスポーツジムも兼任していて、料金を払えば誰でも利用することができるようだ。
僕は受付の人に利用料金を払い、このジムを利用することにした。来ていた上着を脱いで半袖のシャツ1枚だけになった。周りの他の利用客は僕を見て驚いたような顔をしていた。自分で言うのも何だが僕はかなり体ががっちりとしている。ボディビルダーほどじゃないよ。
吊るされているサンドバックを僕はグローブを填めた拳でただ殴る。何も考えずただただ殴る。周りの人が1人また1人と帰って行ってるのに僕はまだ殴り続ける。そんな時、殴り続けている僕の頭の中にいろいろなことが駆け巡った。
‘待ってるから!‘
‘必ず帰ってこい!キャプテン!‘
‘キャプテン!必ず帰って来てください!‘
‘キャプテン!‘‘キャプテン!‘
“必ず帰って来て・・・私、待ってるから・・”
「!!!」
その言葉が頭をよぎった時、僕は力任せにサンドバックを殴り、袋に穴を開けた。普通の人がサンドバックを殴ったら穴などまず開くはずがない。だけど現に僕は穴を開けている。それはどうしてかできるか。答えは簡単だ、僕が普通じゃないからだ。
予備のサンドバックを
「眠れないのか」
男性は僕にそう聞いてきた。眠れないのか?わかっているくせに・・
「もう十分、と言うより一生分寝ましたよ・・それといちいち見張るのはやめてくれませんか」
「うん?」
「朝から僕のことをつけていたでしょう、貴方ではなく他の人が」
そう僕は朝からここに来るまでずっと見張られていた。
「君が心配だったんだ。君にもしものことがあったら・・」
「
「誰もそんなことは言っていない」
「僕には貴方がそう言おうとしているように思いましたけどね・・・それより何なんですか。こんな所に現れたんですから何かあったんですか」
「・・ある過激なグループが我が国が放棄したISを使いテロを起こそうとしている情報を入手した」
「ISを使ってテロを?」
「ああ、すでにチームが戦闘配備のまま待機している。君にもチームに加わってほしいんだ」
「はっ。何を言っているんですか。ISは今の世界で最強のパワードスーツですよ。そんなもの相手に貴方は戦えと言うんですか?無理な話だ」
「はたしてそうかな?」
「というと」
「君の活躍はよく知っている。君があの時、彼らと戦ってなければ我が国だけではなく多くの国や世界がやつらの恐怖に怯えていただろう。君がいたから今の世界があるのだ」
「そうですね、僕がいたから今の世界があるんだ。いや僕がいた性でか」
この男性の言葉には二重の意味があるのを僕は知っている。そう今の世界がこんな形になっているのは僕の責任だからだ。
「あまり自分を責めるのはやめた方がいい。確かに君の
「そうだとしてもです。自分の血を引く人間が世界を歪なものにしてしまったなんて聞かされて、罪悪感を感じないはずがない!」
「そうか、君らしい考えだな、さすが
この人はこのアメリカや世界のためになることをしようとしているはわかっているが、喋り方や言葉の1つ1つに神経を逆なでられるのは、僕がまだガキだからだろう。そうに違いない。
「ふう、はぁ・・で結局どうするんですか」
「参加してくれるのか?」
「テロが起きようとしているのを黙って見過ぎすほど落ちぶれていないつもりです。そのことを踏まえて、
僕なりに皮肉を込めて言ったつもりだが、こんなものでいのだろうか。
「作戦の方は問題ない、君はチームを率いて事態に当たってほしい」
男性がそう言ったら、僕に黒いファイルを渡してきた。中身を開けてみるとファイルにはこう書かれていた。
「
「そうだ君のように特殊な能力を持つ者達を集めチームを組んで行動してもらうつもりだ」
「つもり?」
「計画自体はまだ実用段階まで行っていないが、メンバーがそろえばすぐにでも行動が可能になる」
「それはすごいことで」
僕は作戦に参加するため、ファイルを片手にすぐに向かおうとした。ちなみにサンドバックも持っている。まだ殴り足りない気がしたから・・
「そういえば、エドワーズは参加しないんですか。彼も確かパワードスーツを持っているとか」
「彼らはどうも私の下で働くのが気に入らないようでね今回は参加しないようだ」
「・・そうですか」
そして今度こそこの建物から出ようとした時、男性は僕に向ってこう言った。
「こんなことを聞くのはおかしいかもしてないが、君は今何のために闘うんだ。
「今言えることは1つです・・どちらでもだ」
僕は吹雪・スティーブ・ロジャーズとしても、篠ノ之吹雪としても戦う。今はそうとしか言えない。アメリカのため・・そして自分の孫かもしれない存在がしでかしたことを償うために・・
主人公は篠ノ之柳韻の父で束、箒の祖父
そしてキャプテン・アメリカ
無理があったかな・・