HUNTER×HUNTERの世界で動物とじゃれあいたいです 作:唯野歩風呂
ドンッ
「あいたっ!」
っ~~~~また腰を打ち付けた。
あんのくそ美少年め……。
『HUNTER×HUNTER』なんて死亡率ものすごく高いじゃないか!
それが分かってたらもう少し生き残れる能力をもらうんだった!
動物と戯れるのだって、生きていればこそなのだぞ!
よし。絶対に原作と関わらないぞ。関わったら死ぬ。
そう心に決め。痛む腰をさすりながらあたりを見回そうと顔を上げると――――。
「何……ここ……」
見たこともないほど太い木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木、木。
その木に巻き付いている見たこともない蔓や草花。
見回してみると、キラリと光るものが見え、よく見ると水辺のようだった。
とりあえずそこに向かってみようと立ち上がるが、
ん?
なんだか、地面との距離が近い。
サラ
…………。
こ、これは……。
急いで水辺の方に向かう。
木々を抜けると、ものすごく広い水辺で、湖と言っていいほどの大きさだった。
その水辺に近寄り恐る恐る覗いてみると……。
…………
……六歳ごろの自分が映っていた。
いや、正確にいうと、顔だちは私だ。
変わったところは、身長と髪くらいのものだろう。
以前の私の髪は天然パーマで、手入れのかいあってか雨の日以外はふわふわの髪だった。
それが今は真っ直ぐのサラサラストレート。
憧れのストレートだ!
大学の友人が黒髪のストレートで、成人式に着物を着たとき、大和撫子みたいで羨ましかったのだ。(あくまで見かけだけの話で、性格は決して大和撫子とは言えなかった)
私は憧れのストレート髪に浮かれていて忘れていた。
今自分がどんな場所にいるかを。
それに気づいたのは、覗き込んでいた水面が揺れたときだった。
ふと視線を上げてみると、目があった。
…………
……ん?
目があった!?
それに気づいた瞬間、その目の持ち主が水面から飛び出してきた!
「でかぁっ!!」
その目の持ち主は、体長十メートルはありそうな巨大な魚?だった。
なぜ「?」をつけたかというと、その魚には足がついていたからだ。
馬の。
顔と身体、それに尾びれは魚だが、それ以外は馬のものだった。
『ちっちゃいが旨そうな肉――――!』
あぁ、これが「ヒソヒソの実」の能力なのだろう。
本当に言葉が分かる……が、
「最初で最後がこれとか――――――っ!!!!」
怨んでやるぞ美少年!
不合格にでもなればいい!!
死を覚悟した瞬間、
コケコッコー
「うわあああああああっ!!」
馬魚より大きな鶏(空飛んでる!)が鋭い爪で魚を掴んだ。
ガルルルルル
「ひゃあああああああっ!!!!」
それよりさらに大きな猫が鶏の首に噛みついた。
しかも羽が!羽がある!!
羽根つき猫は鶏とその足に捕らわれたままの馬魚を咥えたまま、水の上から遠ざかると、私の近くの地面に置いた。
その際、「ズドオオオオォォォン」とものすごい音がし、六歳の体重しかない私は座ったまま一メートルほど飛び上がってバウンドした。
思わず「あいたっ!」と声をもらしてしまい、食物連鎖の頂点に立った羽根つき猫は鋭い眼光をこちらに向けた。
あ、これ死んだかも。
でも、こんなきれいなにゃんこに食べられるんならいいかな……。
主人公、人や物で死ぬのは嫌ですが、それに動物が関係してると寛容になります。