HUNTER×HUNTERの世界で動物とじゃれあいたいです   作:唯野歩風呂

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 「あいたっ!」

 

 底についたらしく、打ち付けた腰をかばいながら周りを見回す。

 

 「まっくら……。ここはいったい――」

 「こっちですこっち」

 

 振り向くと、真っ暗なのに何故か金髪碧眼の美少年が見えた。

 そういえば、私の姿もはっきり見える。

 

 「どうも。神です」

 「はぁ?」

 

 何を言っちゃってるんだこの子は。

 いやそれよりも、この状況はどうなってるんだか……。

 

 「あなたは『異世界に転生』に当たったんです」

 「だからそれがどうなってるんだって!」

 「おや?僕が本当に神だとか、実は騙されてるんじゃないか、とか疑わないんですか?」

 「一瞬思ったけど、ぶっちゃけ神でも紙でも今はどうでもいい。それより、『異世界に転生』って意味わかんないんですけど!」

 「あぁ、それはですね」

 

 神と名乗る美少年は素敵な笑顔でニッコリ笑い――

 

 「暇つぶしです」

 

 「あ゛ぁ゛?」

 「す、すみません。嘘です」

 

 

 いけない、いけない。思わず切れかかってしまった。

 ここは落ち着いて冷静に対処しないと。

 

 そう、笑顔で笑顔で……。

 

 

 

 ニコリ

 

 

 

 「ひっ!ごめんなさい!!」

 

 何故か謝られてしまった。

 

 「……で、本当の理由は?」

 「あ、は、はい。実は、これは新人神様――つまり僕の最終試験なんです」

 「最終試験?」

 「はい。現世から一人を選び、力を与え、異世界に飛ばすという試験です。どのような人を選ぶか、そしてどのような力を与えるか、飛ばした人間がどのような人生を送るかで合否がわかれます」

 「何が合格基準なの?」

 「ちゃんと選んだ人を異世界に飛ばせるか、望む力を与えられるか、などが主です。細かいことは言えませんが」

 「……ってことは何か。私はその神様試験のために殺されたってこと?」

 

 

 

 ニッコリ

 

 

 

 「ひっ!い、いえ!殺してはいません!正確にはコピーです!」

 「コピー?」

 「は、はい!僕の力であなたと全く同じ人物を作り出し、ここにいるあなたの代わりに、今までと変わらない生活をしています」

 「……つまり、私がここにいる以外、全く何も変わりなくもう一人の私は生活してて、誰の迷惑にならないと。……私以外」

 「ひゃ、ひゃい!!すみません!!」

 

 

 

 

 

 「ならいいわ」

 

 

 「へ?」

 

 美少年は目を丸くしながらも、青い顔でビクビクと私を伺って震えている。

 

 これ、はたから見たら私がいじめてるみたいじゃないか。

 

 「お、怒ってないんですか?」

 「突然何の説明もなしにつれてこられたことについては多少?」

 「す、すみません!」

 「でも、他の人に迷惑が掛からないなら別に。それに、異世界なんて、ちょっとわくわくするし」

 

 これでも小説は好きなのだ。特にファンタジーとか大好きだ。

 誰だって、一度は行ってみたいと思うでしょ?不思議世界。

 

 「よ、よかった~っ!!」

 

 美少年は心底ほっとした様子で、胸をなでおろしていた。

 

 その様子に苦笑すると、美少年は気を取り直し、ピシッと背筋を伸ばして咳払いをした。

 

 「それでは、転生するあなたに力を与えましょう。……何がいいですか?」

 「それって、何でもいいの?」

 「はい。構いません。僕は新人神の中でも特に優秀ですから。チート能力でも構いませんよ?」

 

 チート能力か……。

 ネット小説とかでは、身体能力とか魔法とかだろうけど、私が一番ほしいのは――。

 

 「動物と話せる能力がほしい」

 「ほう?」

 

 

 『ワンピース』オリジナルアニメに出てきた、アピスの「ヒソヒソの実」。竜と話すのを見て、ずーっと羨ましいと思っていた。

 

 

 私は無類の動物好きだ。

 しかし、今住んでいるアパートはペット禁止。

 だからせめて、将来は絶対に動物関係の仕事に就くと大学で猛勉強中なのだ。

 

 それを言うと、美少年は暫く考え込んだ後、「よし」と頷いた。

 

 「そう言ったアニメの能力ですと、飛ばす世界は同じアニメの世界になりますが、いいですか?」

 

 それは別にかまわない。むしろ先ほどよりワクワクが増すというものだ。

 

 「あ、でも原作とかはどうするの?私が入ったら壊すことになるんじゃ」

 「問題ないです。アニメの世界といっても、それと全く同じように歩んでいる実際の世界ですから。それに、平行世界というのは無限にあるんです。あなたがいる世界が増えても問題ありません」

 

 ならば何の問題はない。

 

 まぁ、私は動物と戯れていればいいし。

 

 「さぁ、準備は整いました。行きますよぉっ」

 「あ、ちょっと!どの世界に飛ばすの?」

 

 

 

 

 「言い忘れてましたね。『HUNTER×HUNTER』の世界です」

 

 

 

 

 

 「……え?」

 

 

 

 

 『HUNTER×HUNTER』って……。

 

 

 

 「じゃ、いってらっしゃい!」

 

 

 

 

 

 

 ものすごい死亡フラグ~~~~~~~~!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 


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