NARUTOうずまき兄妹伝~天の書~   作:ハマT

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映画公開記念ということでちょっとした番外編 本編とは一切関係ありません


ヒナタ秘伝

とある森の中。何人もの忍が走っている。突然後ろで何かが光るとそこから電撃が飛んで来て走る忍の一人に命中する。するとその忍は地面に倒れる。体が痺れているため動けないのだ。彼らの仲間は50人近くいたがこの電撃で動けなくなりそのまま敵に拘束された。

「止まれ!!お前たちに逃げ道はないぞ!!」

後ろから追ってくる旅人のような服装をした男が叫ぶ。その後ろには雲隠れの忍が二人ついてきている。どれも見たことある顔だ。

「隊長!!間違いないですよ!!こいつらうちはサスケに雲のダルイとオモイです!!」

仲間の一人が隊長らしき男に報告するがサスケの電撃で動きを封じられる。

「先に行くといいよ~♪」

目の前には大きな体をした男がいた。

「すまない」

「いいよ仲間だからね~♪」

「サスケ!!あれは砂の抜け忍東口のジャグだ!!」

「関係ない!!」

勢いを止めずジャグに突っ込むサスケ。

「~♪~♪~♪」

一方のジャグは歌い始める。そしてその瞬間その歌はとてつもない轟音になり回りを吹き飛ばした。

 

「やっとついたね」

木ノ葉隠れの里の門、ここに四人の影があった。日向ヒナタ、奈良シカマル、山中いの、秋道チョウジである。四人は岩隠れの里の要請で先日の隕石騒ぎの復旧を手伝っていた。その任務が終了し現在里に戻ってきたところだ。

(ナルト君帰ってきてるかな?)

長年の思いが実りナルトと付き合いだしたヒナタだが二週間前ナルトは里の郊外の抜け忍捕縛の任務に出ており全く会えていない。そろそろ戻ってきてもいい頃だと思うヒナタ。すると肩に黒い鳥が止まる。サイの超獣戯画だ。シカマルが巻物を取り出すと鳥は巻物の中に入り文字になる。

「もしかして六代目が急かしてるんじゃない?予定より遅くなったから」

「いや………それ以上の事態だ」

シカマルはヒナタに巻物を渡す。そこには衝撃的な事が書かれていた。

 

「サクラちゃん!!」

「ヒナタ……」

木ノ葉病院に来たヒナタをサクラが迎える。サクラに案内された病室のベッドには最愛の人であるナルトが横になっていた。身体中には色んなコードがつけられており口には呼吸器、また心拍計も数字を弱く表示している。

抜け忍捕縛任務において敵のアジトを発見し突入したナルト達、だがそこに敵の姿はなく変わりに罠が仕掛けられていた。ナルトはその罠から仲間をかばい瀕死の重症をおい意識も戻らずさらに未だに気を抜けない状態となった。最愛の人の変わり果てた姿に涙するヒナタ。

「怪我はナルトの生命力もあって大丈夫でも問題は毒………見たことないもので何とか解毒しようとしてるけど効果は……」

 

ヒナタの帰還から約2日、ナルトはなんの進展もなく目を閉ざしたまま。ヒナタも悪夢を見てしまいほとんど寝れていない。丸2日ナルトに付きっきりのヒナタ、時折図書館にいっては薬草の図鑑を見て何か治療に役立ちそうな薬草がないか探している。

「ヒナタじゃないか」

声をかけられ振り向くと先代の火影である綱手がいた。

「ナルトの事は聞いたそれで少し調べてみたが解毒を成功させる可能性を秘めた薬草を見つけたんだ」

「本当ですか?!」

綱手の発言にすぐに食い付くヒナタ。

「白蓮草って言うんだがとても稀少でな雷の国との国境近くに存在する幻楼の森に咲くと言われている」

「分かりました!!」

綱手から白蓮草の話を聞いたヒナタはその場を去っていった。

 

「話は分かった」

白蓮草の話を聞いたヒナタは六代目火影であるカカシのもとに来ていた。

「その白蓮草があればナルトを助けられるのねならヒナタ頼めるかい?」

「はい元からそのつもりです!!」

「……では日向ヒナタに任務を言い渡す春野サクラ、奈良シカマルと共に幻楼の森に向かい白蓮草を入手し戻ってくること、ただしこの任務は極秘であるため決して口外するな」

カカシから任務を受けシカマルとサクラ共に幻楼の森に向かうヒナタ、白蓮草を探すだけの任務だがその行く手には強敵が立ち塞がっっていた。

 

幻楼の森についたヒナタ達は早速白蓮草探しに取りかかっていた。幻楼は薬草の宝庫と呼ばれるだけあって辺りには珍しい薬草がたくさんあった。白蓮草は別名変わり身草と呼ばれており男女で匂える臭いが違うらしい。男だととんでもない激臭だが女だととても安らぐ臭いらしい。それを手掛かりにして探しているが一向に見つからない。そんな中ヒナタ達はとある遺跡を見つけた。

「ここの感じからして何百年もまえのものだな」

遺跡は石造りだが至るところに草やツタが絡み付いている。その遺跡をどんどんと奥に進んでいくヒナタ達、奥の大広間につくとシカマルが反応した。

「おい何かへんなにおいしねぇか?」

「何いってんのよシカマル?へんなにおいなんてしないわよそれよりいいにおいがするわ」

「安らぐにおいと激臭………もしかして白蓮草?!」

すぐに臭いのもとをたどるヒナタ、臭いの先にはーー目当ての薬草白蓮草がたたずんでいた。

「これで任務完了だ後は里に戻るだけだ」

「少し待ってくれ」

後ろから声をかけられ振り向くと雲隠れの忍がいた。

「ここは雷影公認の薬草研究所だすまないが薬草は別の場所を当たってくれないか?」

「分かったがどうしてもこの薬草が見つからなくてなどこかいい場所はないか?」

「幻楼の森は薬草の宝庫どこにでもある」

「そうそうそっちの里に被害は大丈夫か?あれだけの規模だから大変だっただろ?」

「ああ、ここの研究員もほとんど復興に出払っていてなここには俺しかいない」

雲の忍の言葉を聞きシカマルはニヤリと笑う。

「悪いがこのままこの薬草を諦めることは出来ないお前は雲隠れの忍じゃないからなだって雲隠れに隕石は落ちてないんだよ」

少し前の隕石の騒動で多くの里が被害を受けた。だが采配が優秀なのか雲隠れの里だけは隕石の被害を受けていない。

「ああ、お前の言う通り俺は雲の抜け忍、ネムイだそれよりその白蓮草を俺にくれないか?そうしたらお前達は見逃してやる」

「何いってんの!!こっちにはこの薬草が必要なんだから!!」

「ならあの金髪のガキみたいになるか?」

ネムイがあくびをしながら告げた言葉にヒナタは少しばかり引っ掛かりを覚える。金髪のガキ……。

「そういやあのガキ傑作だったな仲間をかばって白蓮草の毒を食らって死ぬなんてな……せっかくだから教えてやるよ白蓮草の毒について」

そう告げるとネムイの回りに三人の忍が現れる。一人はフードを被っていて顔はよく見えない。残りの二人は見たことがある、砂の抜け忍、ジャグと岩の抜け忍、セバンだ。

「この毒は作ったやつとのチャクラの呼応して他人の意識を奪い取れる。それがこいつだ!!」

その言葉と共にフードの忍のフードがとられる。そこにいた忍の顔に見覚えはない。

「眠れ闇の彼方で」

その瞬間その男の顔が変化した。顔だけだなく体とチャクラもだ。黒かった髪は金髪になり顔には三本の特徴的な髭、目は青色。木ノ葉で意識の戻らないヒナタの彼氏、うずまきナルトだ。

「まあ毒っていっても呪印術の方が近いなこの毒を食らったやつの力を別のやつに移しかえる、その上こいつは俺の支配下にある」

「ここは僕がやるよ~♪口寄せの術!!」

ジャグが巻物を取り出し印を結ぶと大量の傀儡かヒナタの回りに現れる。

「ここは俺がやる……お前達はあのネムイとかいうやつを倒せ!!」

そういうとシカマルは印を結ぶ。

「影真似・人形劇!!」

シカマルの影が伸び回りの傀儡の影と一体化する。それと共に傀儡が同士討ちを始める。かつて月に行ったときトネリの傀儡を操り仲間割れをさせたのと同じだ。

「僕の傀儡で遊ばないで~♪」

「なら傀儡に名前でもつけてろよ」

 

シカマルにジャグの相手を任せたヒナタとサクラは他の三人を追っていた。薬草は手に入れたが敵が呪印術を使っているならそれを何とか解除しなければ毒を治療したところでナルトの意識は戻らないかもしれない。三人を追う二人の前に突然壁が現れる。

「しやーんなろー」

その壁にサクラの渾身のパンチを叩き込み砕く。

「私の壁を砕くなんてさすがです」

「ヒナタ先に行って!!」

 

セバンの相手をサクラに任せたネムイとナルトを追うヒナタ。何度か巻かれそうになるが白眼と自分の勘で追跡を続けている。しばらく進むと入り口近くの大広間に出る。そこにはナルトがいた。

「ナルト君!!」

ヒナタがナルトに呼び掛けるが返事は反ってこない。そのままナルトはヒナタにたいし攻撃を仕掛けた。

 

「お前コウモリか何か?」

シカマルはジャグの姿に驚きを隠せなかった。先ほど傀儡を仲間割れさせたシカマルだがジャグが傀儡をしまい自分の体を変化させた。手の部分からは羽が生え天井に逆さでぶら下がっている。

「僕は昔迷い混んだ変な施設で体に注射を打ったらこんなことになったんだよ~♪」

そう告げるとジャグが歌いだしそれにあわせ空気の玉のような物がシカマルの頬を掠める。

「……コウモリだけに超音波か……めんどくせー」

そう告げるとシカマルは印を結び影を伸ばす。影真似で拘束するつもりだ。だがジャグはそれをすぐにかわす。

「食らわないよ~♪」

「ならこれはどうだ?」

再び印を結ぶシカマル。その瞬間ジャグの体が地面に落ちる。

「ど、どういうこと?」

「どっかの風影の言葉を借りるなら影さえあれば何でもできるだな」

影真似は自分の影が相手の影にさえ触れれば相手の動きを止められる。しかも回りの影を利用して範囲を伸ばしたりできる。かつての中忍試験でシカマルはトンネルを通って相手を拘束した。さらにこの広間は建物の中にあり四個ほどある窓から光が差しているだけ。つまり自分の影と広間の影を一体化させジャグの影を捕まえたのだ。ジャグを拘束したシカマルは一言めんどくせーと口にしサクラたちの後を追った。

 

「私の土遁をあっさり破壊するとは中々の怪力ですね」

ヒナタを先にいかせセバンの相手をするサクラ。セバンは土遁で壁を作り安全なところから岩を飛ばして攻撃してくる。

「正々堂々正面から来なさいよ!!」

「そんな安い挑発にのるわけにはいけません」

そう言うと再び岩を飛ばしてくる。それをサクラはかわしたり破壊したりしている。

「あーもうめんどくさい!!」

そう言うとサクラは地面を殴る。その瞬間地面が割れ通路だった場所は崩壊した。

「とんでもない怪力ですね私も少しばかり本気を出しましょう!!」

そう告げ印を結ぶセバン、すると回りの瓦礫が浮き上がる。

「潰れてしまいなさい!!」

「しやーんなろー!!!」

同時にサクラを襲う瓦礫、それを近くにある柱をヌンチャクのように振り回し破壊する。

「…………え?」

呆気に取られたセバンの顔面にサクラの拳が突き刺さり大きく吹き飛ばされその動きは止まった。

 

「お願い目を覚まして!!」

入り口近くの大広間で戦うナルトとヒナタ。ヒナタはナルトにたいして傷つけたくないため攻撃しないがナルトは攻撃をしてくる。まだ忍術は使われてないがもし使われたらヒナタは大怪我ではすまされない。何度もナルトを呼び掛けるが応答はなくその上容赦なくヒナタを攻撃してくる。どうにかして元に戻そうと考えているとある考えが浮かんだ。昔読んだことのある絵本に毒リンゴを食べて死んだお姫様に王子様がキスをしたら生き返ったというのを見たことがある。もしかしたらと考えるがそもそも難易度が高い。そもそもそれは絵本の話で現実にそんなことは起きない。その上キスするためにはナルトの動きを止めなければならない。いや、それは可能かもしれない。ナルトとヒナタの実力の差なら、そもそも目の前にいるのはナルトの意識だけだ。攻撃してもナルト自身が傷つく訳ではない。そう考えたヒナタはダメもとで攻撃を繰り出す。たった一瞬隙を作ればいい。まずは接近して足払いを仕掛けるが飛んでかわされる。すぐナルトの体に攻撃を繰り出すがそれも受け止められる。ヒナタはすぐに後ろに倒れこむ。予想しなかったのかナルトはヒナタと共に倒れ混み二人の唇がふれあった。

 

気付けは何時も一人ぼっちだった。回りのみんなは誰も自分に声もかけないし話そうともしない。それどころか殴ったり物を投げてくる。

 

ー何でみんな俺のことを……もう嫌だ!!苦しい!!死んだ方がましだ!!

 

ーそんなことないよ。ナルト君が死んだら私が悲しいんだよ

 

ー誰だよ……俺なんか誰からも必要とされてないし愛されてなんかないんだ…………

 

ーそんなことないよ……私はナルト君が必要だし……私がナルト君を愛してるよ!!

 

そういわれ振り返るとそこには自分にとって愛しい人がいた。

 

ーヒナタ……ありがとう

 

二人がキスしてからわずかな間のあとナルトの体が光だしただ一言ありがとうとつげナルトの体は元の男の体に戻った。その男はまだ息はあるもののほとんど瀕死だった。ヒナタはその男を横目で見るとネムイを追いかけた。

 

「そこまでだネムイ」

遺跡を抜けしばらく進んだ先にある草原。ここにネムイがたどり着いたのと同じ頃目の前が二人の忍が現れた。ダルイとサスケだ。

「雲の忍が他里のやつと組むなんてな」

「こいつは確かに木ノ葉の忍ッスけど実力と信頼はボスのお墨付きッス」

そういってダルイとサスケは剣を構える。すると後ろからまた人影が現れる。

「追い付きました!!ネムイ!!」

「ヒナタ?!」

出てきたのはヒナタだ。

「どういうことだ?お前はあのガキと戦ってたはずじゃ……」

「あなたの思い道理いくほど甘くないってことです!!」

そういって構えるヒナタ、それにあわせダルイとサスケも構える。

「zzz」

一方のネムイは寝ている。寝ていても容赦なくサスケが千鳥で攻撃する。それをネムイはかわし逆にサスケに攻撃し吹き飛ばす。

「サスケ!!こいつは眠拳の使い手だ!!眠っている間はこいつの思うつぼだ!!」

「私が行きます!!二人は援護を!!」

今度はヒナタが攻撃するがやはりかわされる。そこに黒い雷で出来たパンサーが飛んでくるがそれをネムイは殴って消滅させる。そのネムイの一瞬の隙をつきヒナタが蹴りを入れるがそれも受け止められる。そこにサスケが千鳥を放つが受け止められる。すぐさまヒナタは天穴をつこうとするがかわされる。その瞬間ヒナタとサスケの位置が入れ替わる。輪廻写輪眼の能力、天手力だ。いくつかの制限はあるが自分と対象の位置を入れ換えることができる。ヒナタと入れ替わったサスケはジャグの腕を掴む。

「零距離千鳥流し!!」

千鳥流しをくらいのけぞるジャグ。

「嵐遁・励挫鎖苛素!!」

そこにダルイが誘導忍術で攻撃しサスケとジャグの間に隙間を作る。

「柔歩双獅拳!!」

その隙間に入り込んだヒナタが即座に攻撃しジャグを吹き飛ばす。飛ばされたジャグは地面に倒れ動きを止めた。

「これで任務完了だな……それでヒナタは何でここにいるんだ?」

任務のことをはなそうとしてヒナタは口を紡ぐ。ナルトを助けるための薬草探しは極秘事項、サスケでも話すことが出来ない

「悪いがそれは極秘事項だいくらお前でも話せない」

後から追いかけてきたサクラとシカマルも合流してきた。サスケはその面子を見て何かを悟ったのか僅かに微笑んだ。

「極秘事項なら仕方がない………サクラこの任務が終わったら里に一回帰るまた手料理を作ってくれ」

「こいつの仲間はこの先の遺跡に拘束してるわ……サスケくん必ず帰ってきてよね」

 

 

幻楼の森から帰ってきてから二日、白蓮草で作られた解毒薬がナルトに投与され解毒に成功。後はナルトの目が覚めるだけとなった。ヒナタは相変わらずつきっきりで看病している。

「ナルト君……」

いまだ目を覚まさない愛しい彼の名前を呼んだ瞬間ナルトの瞼が僅かに動く。それと同時にナルトの体が動き始めそして起き上がった。それを見てヒナタは我慢できずナルトに飛び付く。

「よかった……ナルト君の……目が覚めて……」

自分に抱きつきながら泣き続けるヒナタの頭を撫でると一言ありがとうとナルトは呟いた。

 

ナルトが退院した次の日二人はデートに来ていた。

「そういえばナルト君あのときのこと覚えてる?」

「あのときのこと?」

「あ、何でもないよ!!」

あのときはヒナタにとっては物凄く恥ずかしいことだ。キスしただけでなく『愛してるよ』とナルトに対して告白したのだから。ヒナタはそれ以上聞かれないためにナルトを急かして一楽に向かった。

(忘れねぇよ……ありがとなヒナタ)

 

(了)


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