白肌娘がダンジョンで活躍するのは間違っているだろうか 作:粉プリン
「そういえばティア、今日は
「………………行きたいの?」
「僕はやる事があるから行けないんだ。もし行くんだとしたらお小遣いはここに置いておくから、偶には目一杯楽しんできなよ!それじゃあ夜までには帰ってくるからね!」
唐突に祭りがあると言ってきて、本人はそのまま何処かに行ってしまった。ティア自身も特にやることもなかったため祭りに行こうとは思ったが、誘うような相手はいない。別に一人でも良かったが主神にああ言われた手前一人で行くのもなんだか変な気がした。それでも自分に知り合いなど殆どいない。カリタスは勿論のこと、エイナは忙しいだろう。前にうちに来ていたヘスティアも居場所は分からないし、この前知り会ったベル・クラネルも同じだ。そもそもその二人とは大して交友関係もない。こうなると完全に一人で行くことになりそうだった。
「………………しょうがない」
結局、祭りは一人で行くことにした。無理に誰かを誘うこともないだろうし、自分自身一人でいる方が好きだ。
「………………どこ?」
街といってもなかなかに広い、早速どこで祭りをやっているのかわからなくなり途方にくれるティアだった。
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ティアが迷っているのと同時刻、カリタスはとある喫茶店に来ていた。他より少しグレードが高い以外はその辺にある喫茶店と大して変わらない。その中にいる客が異常だった。
「それじゃあ、こんなところに呼び出した理由をそろそろ教えてくれない?」
「そうだね、僕もどちらかというと暇じゃないしティアと祭りにも行きたいからね。さっさと終わらせてくれると有難い」
「んぅ、ちょい久々に駄弁ろうと思ってなぁ」
「嘘ばっかり」
カリタス、フレイヤ、ロキの三人がそこには揃っていた。ただの喫茶店にあり得ないほど濃密な威圧感が満ちていた。いつの間にか逃げるように店内の客は出て行ってしまった。
「率直に聞く。何やらかす気や」
「何を言っているのかしら、ロキ?」
「とぼけんな、最近動き過ぎやろう、自分。興味ないとかほざいておった『宴』に急に顔を出すわ、ここんところお前のことよー見る奴らがおるわ……今度は何企んどる」
「企むだなんて、そんな人聞きの悪いこと言わないで?」
「じゃかあしい」
『お前が妙な真似をするとろくなことが起きない』ーーロキは言葉の端々からそう告げていた。こちらに面倒が及ぶようなら叩き潰すぞと、朱色の瞳が明確に告げていた。しばらく視線の応酬が続いていたが、ふとカリタスが立ち上がった。
「なんや?」
「あははー!用を思い出したからこれにて失礼するねー!」
「ちょ、待ちや!」
「それじゃあ、私もこれで失礼させてもらうわ」
「なんやなんや!待て言っとるやないか!」
ロキの忠告も無視して二人は店から出て行ってしまった。後に残されたのは仏頂面のロキとお供でついてきたアイズだけだった。
「なんやあいつら……どうしたん、アイズ?」
「えっ?……いえ、何でも」
ロキには見えていなかったが、話を聞かずに窓の外を眺めていたアイズは他の二神よりも先に気づいていた。店のすぐ外を通りかかった白い少女の存在に。
(……あの子、白い子になんだか似てた)
「まぁ行ってもうたなら仕方ない。うちらもとっとと祭りの方に行こ……」
「モンスターが脱走したぞぉ!!」
「?!なんや、今日はついてへんなぁ!アイズ行くで!」
「分かりました」