二人の『ゼロ』   作:銀剣士

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カトレアおねーちゃんのお話


番外・カトレアの優雅なお昼

トリステイン魔法学院に勤め初めて暫く経ちまして、大分仕事にも馴れました。

 

カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌと申します、あ、ご存じですか。

 

私は現在、此方で水の魔法の補助職員として勤めさせていただいているのですが、幾つか以前の私では及びもつかない悩みが御座います。

 

一つはこの学院にて学ぶ貴族諸侯の子息方。

 

事ある毎に口説きにこられるもので、些かお断りするのも疲れてきています、この事を可愛い妹、ルイズに相談したら『可憐な天使はそう言うもの』と、よく解らないことを言われたのですが、可憐な天使とまで評してくれるなんて、夢のよう。

 

コホン、二つ目は……

 

「あら、モートソグニル、お使いですか?」

 

ちゅう、と一鳴きすると、私の体を登ってきて肩に鎮座しました。これはナッツを欲しがっている様ですね。

 

「どうぞ」

 

一粒手のひらに乗せて、モートソグニルに差し出すと、カリカリっと勢いよく食べきってしまいました。この子はこうして愛くるしい様を見せてくれるのですが、この子の与えられた使命が、なんと言いましょうか、非常に困ってしまいます。

 

言いづらいのですけど、その、下着を盗み見る手伝いをやらされているようで、時折マチ……ではなく、ロングビルさんに捕らえられているのを見かけます。

 

「貴方も大変ね」

 

そう言って頭を一撫ですると、気持ち良さそうに目を細めます、可愛い。

 

モートソグニルと触れ合っていると、他の子息方の使い魔さんも寄ってきます、ですので。

 

「おいで」

 

と、椅子から降りて、皆を誘うと一斉に飛び掛かってくるので、少し気を張らないと潰されちゃうんです。

 

様々な動物や幻獣達、こうしていると邸の皆を思い出してしまいますが、これは仕方がありません、私が選んだ事ですから。

 

暫くすると使い魔さん達は主の元に戻っていきます。それから再びテーブルに着いて、ルイズの使い魔さんが作ったオ・ハギと言うお菓子とグリーンティーと言うこれも使い魔さんが教えてくれた、苦味の強いお茶を頂くのですが……冷めてしまっています、どうしましょう?

 

……あら、冷めても美味しい。

 

と言うか、冷めていると苦味が少し落ち着いていますね、こちらの方が好みです。

 

オ・ハギの甘味と相まって、とても美味しいですね、これ。

 

そうそう、この使い魔さんが作ったお菓子がもう一つの困った事なのです、と言うのも今朝の事。

 

 

「あら……胸が、少しきつく?太ったのかしら……?」

 

とは言うものの、ウエストやヒップ回りは変わりません。

 

「む、胸が大きくなっているみたいね、これは……」

 

今度の虚無の曜日にはトリスタニアにお買い物に出掛けましょう、ルイズと姉様も一緒に行けたら良いな。

 

 

 

「ふう……美味しかった、さて、午後も頑張りましょう」

 

では、ごきげんよう。


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