久方の早期投稿。
「俺の方が早かっただろう!」
「いや、オラだ!」
眼前で言い争う超サイヤ人二人。額をぶつけ合ってメンチ切る姿は中々レアではなかろうか。二人って元々仲が悪いから魔人ブウ編が終わるまではすれ違う感じだったはず。
おーい。お二人さんよ。言葉の殴り合いも良いけど倒れてる二人にトドメは差さないのかい?
「そんな事よりもカカロットとの勝負が大事だ!」
「勝負の方が大事だ!」
「駄目だこりゃ」
二人の喧嘩が止まらない件。倒れている稼働した17号と18号を完全に無視してる。まさかここまで強いとは完全に予想外だった。俺がいない間にも修行はしてたのね。寧ろ休む方が珍しいレベルだけど。
悟空は元々、俺と修行しているから伸び代と成長速度はベジータよりも上だろうがベジータもここまで強いとは思わなかった。もしかすると、ブルマに渡したトレーニングメニューをこなしていたり?
悟空が17号を相手にし、18号はベジータが相手にする。二人共ボコボコにする始末だが、人造人間なだけあってまだ動けるようだ。エネルギーが無限だと回復もすぐにできるようなものなのか。16号はいないようだ。
あー、もう(歴史が)滅茶苦茶だよ。ここで人造人間を破壊してしまえばセルとかどうなるんだ。完全体になれずに獅子に飛び込む兎みたいになるじゃないか。悟空とベジータに消される未来しか見えないんだが。
パワーインフレし過ぎて辛いです。既に魔人ブウに挑めるとまではいかんがバビディ一味涙目だよこれ。超サイヤ人2に近いのも悟飯じゃなくてこの二人な気がするし。
「埒が明かん。こうなれば奴に勝敗を決めてもらおう」
「それもそうだな。エリン、頼むぞ」
「へ? 何がどうなったわけ?」
「このままではいつまで経っても白黒ハッキリせん。ならば第三者である貴様が決める方が良いだろう」
「オラ達に近い強さを持ってるからな。目も良いだろうし」
「えー」
ズズイ、と顔を近付ける二人。取り敢えず金色のオーラが眩しい。
思わず反射的に二人の後頭部を掴んでごっつんこさせた。ゴチンなんて痛そうな音を出しながら二人は悶絶する。見えていないだろうが、腕を使って×を作ると淡々と告げる。
「イーブン」
「貴様ァ……!」
「おー、いちち……」
こういう時は誰が勝ちだのを決める前に引き分けにした方が良いと思うんだ。ベジータの向上心を煽れるし、悟空もしょうがないと諦めるはずだろうし。
ようやく二人の超サイヤ人状態は解かれ、冷静になったがベジータは悟空を睨み付けていた。あれだけ18号を女なのにボコボコにしたのにまだ不完全燃焼なのか。戦闘狂なのは変わらんらしい。超サイヤ人に変身できるのならそれで満足すればいいのに。
俺なんか地味なんだぞ。赤いサイヤ人になれるが超サイヤ人にはなれんのだぞ。
「界王拳じゃないんだが」
「もしかするとサイヤ人の新しい形なのかもしれん。大猿に変身もできる、伝説の超サイヤ人なんてものがあればまだ何かあると考えるのが普通だろう」
「神聖樹の実を食ったクウラを一方的に叩きのめせるんだからだからよ。超サイヤ人よりも強いのは確かだ」
ドラゴンボールファンなら卒倒でもしそうな光景だろう。人造人間編の悟空とベジータの仲が良いなんて光景は珍しいなんてものじゃない。二人だけで会話するのも然りだ。
トランクスを世話して丸くなったのが早まったとでも言うのだろうか。いちいちキレる事はせずに静かに会話を聞いてる。意見も出してくれる辺り、本性は優しいのだろうか。何だかあざといぞベジータ。
話題は赤いサイヤ人になる。具体的にどんなものかと聞かれたので熟練度が高まったそれを見せる。超サイヤ人のように派手に変身はせず、静かに雰囲気が変化する。
前まではなれなかったのに今はすんなりと変身できる。まだ仮説の段階だが、悟空が近くにいればこの状態になれるらしい。もう少し言えば、超サイヤ人の悟空が。
「……パワーアップしているのか?」
「寧ろ気が減っているように感じるぞ」
「そうか? 俺としては全能感を感じてるんだが」
怪訝そうな顔をするベジータ。三度目になるこの形態に慣れているであろう、悟空は顎に手を当てて覗き込むように観察してくる。
手を広げて全体が見えるようにすると、意見を求める。自分ではわからなくとも、同じサイヤ人の二人なら何か気付く事があるかもしれない。超サイヤ人に到れる二人なら何かわかるはずだと思いたい。
「よく見れば少し痩せてる」
「瞳も少し赤い。全体的に赤くなっているようだな」
「スリムアーップ」
ムキッとポーズを取ってみれば悟空が細くなった腕をニギニギしてくる。並べればどれだけ太いか細いかがよくわかる。
インテリ派のベジータは考え込んでいる。赤いサイヤ人を見て何か思うところがあるのだろうか、深く考えているようだ。
「おいベジータ。見てみろよ」
「……なるほど」
「何かわかったのか?」
「おそらくだが貴様のその形態は俺達の超サイヤ人に似るところがある。全体的に赤いオーラをしているが少しだけ超サイヤ人のオーラも混ざっている。しっかりと観察しなければわからん事だ」
何かしたか? とベジータに聞かれる。超サイヤ人のオーラ? 心当たり? あっ。もしかして。
そういえば初めて変身した時もそれ以降に変身できた事もそれで何となく納得ができる。悟空が近くにいる事で変身できる理由も。
「前に超サイヤ人の悟空のパワーを吸い取った事がある」
「オラのエネルギー波を吸収した時の事か」
「つくづく思ったが貴様の技は多彩過ぎる。どれだけの種類があるんだ?」
「まあ、ジッカ人のネットワークは凄まじいですから。コネを使えばこれくらいは容易いもんですよ」
悟空やベジータから見ても俺は色々技が使え過ぎるらしい。特に超サイヤ人のエネルギーを吸い取る時点でバグってると言われるレベル。
これで赤いサイヤ人の変身条件は判明した。回数を重ねる度に練度が上がるのはパワーアップする悟空に合わせるように俺の赤いサイヤ人もパワーアップしてる、って事だろう。超サイヤ人のパワーを吸わなくとも変身できたのは体が慣れたからか、感覚を覚えてしまったからか。僅かに体に残っている悟空の超サイヤ人のエネルギーを利用できたからか。
どちらにしても、超サイヤ人のパワーがあれば赤いサイヤ人のパワーも上がるというわけなんだろう。これは良い事を知れた。
「オラだけであれならベジータのパワーも吸えばどうなるんだ?」
「火を見るよりも明らかだな」
「ちょい待ち。この状態でもまだ完全にコントロールできていないのにこれ以上パワーアップすると暴走しそうだから勘弁してくれ」
超サイヤ人2の少年悟飯みたく自惚れてとんでもない事をしでかすのがわかる。もう少しだけコントロールできるようになってからだな、それは。
慎重に呼吸を整えながら赤いサイヤ人を解除する。欝にならないようにゆっくりと体に浸透させるように。
それでもまだ駄目なのか、膝から崩れそうになる。驚いた悟空が支えてくれるが、少しだけ膝が地面に接触した。
「……何をしてるんだ」
「ふ、副作用でござりまする。強力な力の反面、鬱みたいなのに陥るみたいなんだ」
「ますます意味がわからん。だが、超サイヤ人以外にもサイヤ人の形態がある事を知れただけでも収穫であると思うべきか」
「あちゃー。戦ってもらおうと思ったんだけどなぁ」
「ちょっと待てば回復するからそん時な」
最近は回復が早いから赤いサイヤ人に変身できるはず。一人での修行よりも力がハッキリとしている悟空とベジータと戦えば、赤いサイヤ人がどれほどの強さなのかも知れるはずだ。
多分、セルさんの出番もないはず……あ。
「そういえば人造人間は?」
「ありゃ」
「むっ」
なんてこったい。赤いサイヤ人雑談してたら人造人間を逃がしてしまったでござる。
三人揃って正座で説教を受けるハメになった。いや、ベジータだけは膝を立ててそっぽ向いてる。
近くの町の山の中で人造人間17号と18号を見つけたのは良い。悟空とベジータが本来の歴史以上のパワーで圧倒したのも良い。問題は油断しすぎて逃がしてしまった事だ。俺が一番悪いんだろうが、人造人間の気が感じれないのが悪いんだ。つまり、人造人間絶対に許さねえ!
「責任転嫁しても油断したアンタが悪いの」
「はい。すいません」
深々ーとブルマに土下座する。呆れたように額に手を当てて溜め息を吐いているのがわかる。そりゃ、人類の脅威になる奴を逃がしたとなれば、ね。
「オラは悪くねーぞ」
「赤いサイヤ人なんてものを見せた貴様が悪い」
こんな時だけ犬猿の仲を忘れて見事なコンビネーションを見せる悟空とベジータ。俺に責任を擦り付ける気満々なのが見え見えだ。そっぽ向いて俺があげたベジータの好物の果実を二人で食べてるし。
そんな二人にブルマがコラァと怒鳴る。流石に反省しない態度にブルマも我慢ならなかったのだろう。
「そもそもエリンは地球の人間じゃないでしょうが! 孫くん、あなたは地球育ちのサイヤ人なんでしょう! なら地球の危機は孫くんが救わないでどうするの!」
「あー、たはは」
「そしてベジータ! アンタは小遣いカットよ!」
「!!??」
「こんなに反省して土下座までするエリンを見習いなさいお馬鹿さん達!」
結論。やっぱりブルマのヒエラルキーは頂点に位置するらしい。ベジータの顔が公開できないものになってるし。
人造人間逃がしたのは皆の責任って事に落ち着いた。俺が赤いサイヤ人見せなければ良かったんじゃないの……? と不思議に思ったが喧嘩した悟空とベジータも悪い、って事らしい。確かにどっちが勝ったか負けたか喧嘩してたもんね。
何かベジータが小遣いカットされて人造人間見つけるまで家に帰ってくんなとか言われてるし。ブロリーでヘタれるベジータのorzと全く同じポーズじゃねーか。
ごめん。本当にごめんベジータ。飯抜きは辛いよね。悟空と一緒に慰めるよ。
「アンタ等仲良いわねぇ」
爆発したベジータに追い掛けられる事になり、悟空と逃げる。悟空は笑いながら逃げてるが、俺はベジータの攻撃でカプセルコーポレーションが壊れないように慎重に捕まらないように逃げる。ブルマのしみじみとした言葉は敢えて聞かなかった事にした。
軽くベジータをあしらえるのは人造人間と戦った悟空とベジータのエネルギーの残滓を無意識に吸い込んだからなのか。超サイヤ人のエネルギーが鍵なら二人と一緒にいるだけで簡単にパワーアップできるのかもしれん。
と。ここでカプセルコーポレーションの館内で変な音が聞こえてきた。追い掛けてくるベジータが止まり、視線をブルマに向ける。
どうやら変な音の正体はチャイム、来客を告げる音だったらしい。ブルマがとあるモニターに近付いて何かを話し込んでいる。一言、二言と言葉を交わすと不思議そうな顔をして俺達に振り返る。
「ねえ。未来から来たってあの子が来てるんだけど」
「ああ、トラ――」
「迎え入れるのか?」
ナチュラルに名前を呼ぼうとする悟空の言葉を被せるように聞けば、ここに案内させてると答えが返ってくる。悟空はやべ、と小さく呟いてる。
「人造人間の件でしょうね。アンタ等の不手際は黙っておいてあげるわ」
「ありがたい。ってか知られてもいいんだけど」
チラッとベジータを見る。悟空もそれに気付いたらしく、一緒にベジータを見る事になった。息子に格好悪い姿を見せるのはどうかと思ったらしい。
未来からの来訪者がベジータの息子のトランクスであるのを知ってるのは俺と悟空とピッコロだけ。ブルマすら知らない事なんだが、もうトランクスは生まれてるからバラしてもいいんじゃなかろうか。
「あらー。久し振りね。元気だった?」
「え、ええ。まあ、はい」
トランクス現る。ブルマに話し掛けられてタジタジしているのがよーくわかる。母親が若かったら誰でも驚くよね。しかもフランクに接するもんだから。
すると、未来トランクスの姿にベジータが目敏く反応する。眉がピクッと動くくらいだが、これはもしや。ベジータに引っ張られた。
「おいエリン。もしかしてあの野郎、トランクスか?」
「……」
「沈黙は肯定と取るぞ。道理で超サイヤ人になれるわけだ。髪の毛の色もよく見ればブルマに似てる」
やはりベジータは頭脳派だった。頭が良いというか、頭がよく回るらしい。ドクターゲロを追い掛けた時にトランクスの正体に勘付いたから何れはバレるもんか。
否定するのもあれだからベジータに改めて名前はトランクス、未来の人造人間に滅ぼされた世界の住人である事も告げた。未来トランクスはブルマと悟空と話し込んでいるからこっちに意識は向けられていないのでじっくりゆっくり説明ができた。
「……なるほどな。俺達が逃がしたブリキ野郎共がトランクスのいる世界を壊滅に追い込んだ奴等か」
「超サイヤ人になりたてのベジータを殺した奴でもある。違う自分とはいえ、殺した奴は憎い?」
「弱いのが悪い」
ひでぇ。自分なのにひでぇ。淡白すぎないかひでぇ。
未来トランクスの世界のベジータは既に死んでる。多分、このベジータは死んだベジータよりも強いから大丈夫よ。丸くなったら心に余裕ができて視野が広がった的なアレだろう。悟空も付き合いやすいと俺が来る前に模擬戦とか手合わせをしてるらしいし。
互いに切磋琢磨して腕を磨けば強くもなるよ。悟空の強さに引っ張られるからベジータも強くなるよ。
「で、どうする? あの逃げた二人の気は感知するのはほぼ不可能だぞ。家を追い出されるなら早めに終わらせたいでしょ」
「前までの俺ならば町ごと吹っ飛ばすと考えただろうが、何か良い手はないか?」
発想がテロリスト。ビッグバンアターックと叫びながら町を一つ滅ぼすビジョンが簡単に見えた。高笑いするベジータは本来のベジータの姿なのか。魔人ベジータみたいな所業をしでかしそう。
俺の知っている地球の日本ならまだしも、全く知らない地球だと瞬間移動の座標が狂う。悟空なら見込みはあるがまだ熟練度が足りないんだよなぁ。
「どこか町が襲われてるとかってニュースがあればすぐに行けるんだが」
「貴様も大概外道だな」
「別に正義を名乗る気もないし。自分と親しい人間が無事なら何でも、って感じ」
魔法の言葉、ドラゴンボール。死んだのなら生き返らせればいいじゃない、と考えればヘーキヘーキ。俺が言うのも何だが、ドラゴンボールの世界の住人って大体こんな思考だからなぁ。
その前にデンデさん連れて来なきゃ(使命感)
ってか、ピッコロは神コロ様になる予定なのか? 人造人間にボコボコにされて危機感を覚えたピッコロが神様の所に行って神様がセルを見つけて融合する事になるんだっけか。セルはどうなんだろう。あの声は聞いてみたい気もするが完全体は無理だよな、多分。
「それに人造人間って悟空を狙ってるんでしょ? 悟空を釣り餌にすれば万事解決だって」
「あれだけ力の差を思い知ればそうそう攻めて来ないと思うがな。カカロットの場合は噛み付く釣り餌だぞ」
「魚を釣るのに鮫を使う的な」
言い得て妙である。レッドリボン軍許さねえ! とか叫びながら超サイヤ人パンチしそう。フリーザとか手合わせで何度も見たせいで超サイヤ人での攻撃方法がそれだけにしか思えなくなってしまった。
「名案だがカカロットはそれを聞くか?」
「頼んでみるよ。飯で釣れば一発でしょ」
「ふんっ。サイヤ人の男は胃袋を落とせと言うくらいだからな」
「ベジータも悟空も奥さんに胃袋を攻められたってわけですかい」
「何事も、食が基本なんだ。疎かにしてはいざという時に力が出ない。他の星を攻める時もその星に住む種族を食べた事もあった」
か、カニバリズム……? とは言えんな。魚の形をした種族を食べた事もある俺がベジータをカニバリズムなどと責める事は筋違いだ。生きるには何かを犠牲にするのが生き物だしね。骨とかどうしたんだろう。ネックレスにでもしたのだろうか。
プレデターみたいに人間の頭蓋骨と脊髄を飾りにしたりはしていないのだろうか。サイヤ人のパワーならプレデターよりも悲惨な事になる気がする。
「下級戦士なら似たような事はしていたな。皮を剥いで内臓を抉り出した後で飾っていると聞いた事がある」
「うへぇ」
「獣欲に駆られて女を集める奴もいたな。サイヤ人の混血を大量に孕ませている罪で王に断罪されていた」
「ただの種蒔きじゃねーか。奴隷ハーレムですか」
正直、美人に囲まれるのは羨ましいです。なんて事は口が裂けても言えないので胸の内に仕舞っておく。美人じゃないかもしれんし。
それにしてもベジータと話すのは楽しいわー。悟空は戦うのが楽しいけどベジータは会話が弾む。知らないサイヤ人の生態とか教えてくれるから勉強にもなる。ベジータ王からサイヤ人の歴史をちょっとだけ聞いてるかもしれんし、情報を集めるのにもベジータは最適と言える。
ベジータへの好感度がギュンギュン上がる。ベジータって実はこんなにも魅力的なんだな、と新しい発見ができた。
「はいはい。仲が良いのは良い事だけどこっちに来て会話に参加しなさいな」
「何だブルマ」
「あ。そっちの話は終わりました?」
「もう信じられない事だらけよ。未来から来たって子が未来の我が子なんだもの」
「何だ。もう知っているのか」
どうやら未来トランクスがブルマに自分の正体を明かした……じゃなくて悟空が口を滑らせたに一票。
なんて事はなく、過去の赤ん坊の自分を見て自分が消える事はもうなくなると判断したトランクスが自分から正体をバラしたらしい。タイムパラドックスとか大丈夫か。
「兎に角、未来のトランクスはアンタ達に協力するらしいわ。人造人間のクセとかわかってるみたいだから力になれるって」
「ありがたいがぶっちゃけ悟空とベジータだけで十分な気がする」
「同感だ」
「けどオラ達じゃ人造人間の居場所はわかんねーぞ? トランクスなら何となく攻める場所とかわかるんじゃねーか?」
というわけで皆で未来トランクスを見る。申し訳なさそうな反応をする辺り、わからないらしい。ここはこう、人造人間が攻めてきた地域のデータを持ってくるとかさぁ。
データ参照とかして次に襲う場所を予測できるかもしれないじゃないか。どうしてドラゴンボールのキャラは脳筋が多いんだ。俺が言えた事じゃないけど。
「……その手があったか」
「おい聞こえてんぞトランクス」
肝心なところで躓くトランクス。ベジータの家系はあかいあくま並のうっかりスキルとかドジっ子スキルでも備えているのだろうか。
! これはっ!
「感じたか?」
「ああ。誰かが戦ってやがる」
「それもかなり大きな気を持つ誰かですね」
どうやら三人も感じたらしい。何か大きな力がいきなり現れた。このタイミング、まさかと思い悟空に目配せをする。頷いてくれたので了承したと思っていいだろう。
近いベジータの肩に手を置く。悟空はトランクスの肩に手を置いて、人差し指と中指をくっつけた指を額に着ける。
「なん――」
ベジータの抗議する声が途切れるようにほぼ同時に瞬間移動を悟空と共にするのであった。
冷静だったらベジータは超有能。