鳴上悠と艦隊これくしょん   作:岳海

32 / 32
 わ、忘れていた訳じゃないです!!
 どういう文にしようかうまくいかずにスランプになって、ついうっかり八兵衛でヴァ○コネやら、『あした○ジ○ー』の動画やらで遅れちゃったんです!!…はい、見苦しい言い訳です。

 あ、それと私、とうとう艦これプレイはじめました。まだ始めて2~3週間目ですが、『キス島』攻略中です。赤城さん以外の正規空母求めてレシピ回したら那珂ちゃん出ました。つまらん、おまえは綾波の餌(近代化改修)だ。
 で、ジャム島行ってボスを倒したら一発で飛龍出ました。弥生と大井っちもダブりで出ました何これ。


The balance of the sword in the left hand to the right hand 後編

「…こちら港。そちらの反応はどうですか、電探係」

『こちら電探係、相も変わらず異常なし』

「了解です。引き続き警戒を怠らないようにしてください。何かあったらすぐに「があああああああ!!!!」で連絡お願いしますね」

『…すいません、もう一度言ってもらえますか?』

「はぁ……何かあったらすぐに館内放送で連絡お願いしますね」

『……了解、引き続き索敵を続けますね』

 

 基地内の施設と繋がる電話にて(因みに艦娘さん達から見れば、足元にある高さで設置された、我々妖精に合わせたサイズの電話)別所にいる索敵係の工廠妖精と、ため息交じりに短い定時連絡を交わす。この3日間『モーレイ海』の深海棲艦を、いくら鳴上さんが体を削って殲滅し尽したとはいえ(やっぱあの人人間じゃねえ)、万が一の事がある。電探による索敵が、我々にとって命綱なのだから気は抜けない。

 勿論それ以外にも対策は施して無いわけではない。

 唯一の戦力である鳴上さんが出撃している間、万が一深海棲艦の襲来があった場合、いくつかの取り決めを彼と決めている。

 

 まず1つ、彼が不在の間、留守を預かっている者は、止むを得ない場合を除いて極力、基地内からの外出を控える事。

 

 これは先日、elite艦隊やヲ級flagshipが襲来してきた時、艦娘が外出していたせいで、索敵係からの伝達が遅れてきたことに原因がある。本来は鳴上さんを含む、艦娘全員分にすぐに連絡が行き渡るよう、通信機器の類…もしくは艦載機の類があれば一番よかったのだが、それらが無い以上、すぐに連絡や報告が行き渡る館内放送が行き届く範囲——つまりこの基地内に留まることを原則としている。

 

 2つ、もしその間に深海棲艦の襲来がありその部隊が島に上陸した場合、すぐさま基地内にいるもの全員が地下にある隠し部屋に避難し、敵の撤退…もしくは鳴上さんの帰還を待つこと。そして帰還した鳴上さんが、途中で敵に遭遇、もしくは内線電話から電探係の応答がない事で、襲来を察知。事前に使い方を教えた基地の電探によって、敵の大体の数と位置を確認してから敵の殲滅を終わらせた後に、地下隠し部屋にいる私達と合流してから漸く、帰還と敵の殲滅を報告という流れだ。

 

 強大な武力を持つ深海棲艦に対し、こちらは手のひらサイズの妖精が三人、怪我人の天龍さん、実戦不足の駆逐艦の電ちゃん、艦載機どころか艤装のない雲龍さんと、悔しいがまともにやりあった所で勝てるわけがない。電ちゃんや雲龍さんは、歯がゆい思いをしながらも渋々この取り決めに応じたが、残った天龍さんが随分ごねたものだ。

 そんな天龍さんを30分の論争の末、鳴上さんの自称『言霊使い』級の伝達力と、『ヒートライザ』かけてのほっぺつねつねによって、力づ…もとい、渋々天龍さんを納得させることに成功。…決して力に屈服した訳ではないとは論争の後、ほっぺを赤くして半べそかいてた天龍さんの弁。まぁ、彼女の気持ちも分からないでもないが。

 

 

「それで、「がああああ!!!!!」への索敵はどんな感じですかな?」

『……え~と……』

「『キス島沖』への索敵はどんな感じですか?」

『う~ん、言いにくいんですが…。この基地の電探では『モーレイ海』全域を索敵するのが限度でして…流石に別の海域での索敵はちょっと厳しいですね…。これでも出来る限り改良はしたつもりなんですが…「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」……というわけで『そちらの方』のうまい具合に説得をお願いしたいんですが…』

「…そいつは別の海域の索敵以上に、困難を極めま…」

 

 

バチィィッッ!!!

 

 

「すねっ!?」

 

 さっきからこちらの通話を邪魔しようかと言わんばかりの大音量で、背後から聞こえてくる雄叫びだか遠吠えともつかない様な叫び声にいい加減、苛々し始めて背後を振り向いたとき、人の声とは違う弾けるような音と共に、私が向いている壁の近くで、目を鼓膜を傷めてしまいそうな眩しい閃光と音にびくりと驚き、うっかり持っていた受話器を取り落とす。バネ状に伸びた受話器のコードが重力に従って、ぶらぶらとブランコのように揺れる。

 

 

「…困難どころか、命の危険まで感じます…」

 

 

 松葉杖ついた一人の大絶叫大会選手の周り…黒焼け焦げた壁や床を見ながらため息をつく。…帰って来た鳴上さんが、留守中にまた『襲撃があったのか!?』と勘違いしそうだ。少しずつ良くなってきているとはいえ、それでもまだベッドの上で安静にしてほしい体なのに…さっきからこちらが何言っても言う事聞いてくれず、相変わらず声帯に無茶掛けるような叫び声をやめず、こうして時折放たれる電撃にびくびくしながら、遠くで見守ることしかできない。

 これだけでも大変なのに、更には問題がもう一つ…この場にいない雲龍さんもだ。

 先程電探係に向けて、何やらパニくった様子で電話を寄こしてきたのだが、内容が鳴上さんが危ないとの事。またこの人訳が分からない事言って困らせるんだからとうんざりしたところ、鳴上さんがいない今の状況で、ストッパーとなるはずの天龍さんでさえ、同じことを言ってきたのだから扱いに困る。どうしてこの二人が急にそんなことを言い出すんだと首を傾げるも、『そんな場合ではない』と質問を一蹴され、うまく事情が呑み込めず二人の鬼気迫る様子に押し切られ対応に困った末に、うまく出来るかどうかは分からないがとりあえず、『キス島』まで索敵をしてみると約束したところ、雲龍さんはまさしく飛んでいくように、亡くなった仲間の艤装が保管してある場所へと走っていった。

 恐らく自分に装着できる艤装があるかもと思ったんだろうが、指紋が一人ひとり違うように、艤装だって同型艦ではない限り装備する事なんて、『鳴上さん以外に』うまくいくとは思えない。とりあえずもう一人の工廠妖精が着いて行っているものの、恐らくは今頃、癇癪を起している雲龍さんに辟易しているかもしれない。そんな状態の二人にやっぱり索敵は無理でしたと言ったら、一体どんな目に遭わされるか…、ま、こんな状態じゃあ話が通じるかどうかすら、分からんけど…。こんな状態の二人を止められるのは、なんかこの基地のまとめ役へとなりつつある鳴上さんじゃないと無理だ…私達には荷が重い…。

 

 ふと、いつの間にか電撃が収まって来たか?と思って目を向けると、漸く息を切らした天龍さんが松葉杖に凭れる姿が目に入る。やっと大人しくなってくれたかと、ゆっくりと天龍さんへと近づいて行く。

 

「天龍さん、そんな叫んでばかりだと体に響きます。いい加減自分の部屋のベッドに…」

「うるせえ…!」

 

 折角心配してんのに、僅かに顔をあげてぎろりと睨みながらうるせえって、傷つくんですけど。ていうか怖いです。雲龍さんといい天龍さんといい、どうしていきなりこんなことしてんだろう?

そもそも鳴上さんの事は電ちゃんに任せるとか言って見送っておきながら、急に怪我人の自分が行くとか言ってなんなんだろう?

 

「この『コウリュウ』には体を治癒する力があるってアイツが言っていた。こんな怪我さえ治れば…アイツや電の元へ今すぐにだって向かって行ける…だから…」

「いやあの、ですからね…」

「ぐちゃぐちゃぬかしてんじゃねぇ!!俺の心配する暇あったら、艤装の準備でもしろ!!雲は無理でも俺の分だけでも…痛っ!」

「ああ言わんこっちゃない!!」

 

 

 …急に脇腹をおさえて、顔を苦痛で歪める天龍さん。鳴上さん助けるとか助けないとか以前に、このままじゃアンタの方がぽっくり逝っちゃいますって。本当にもう!

 

 

 

ジリリリリリリリリリリリリリリリ

 

 

 

 先程放り投げた受話器に繋がっている電話が、急になりだした。さっきから数分もたっていないってのに、こんな時に今度は何だ!?悪いけど今はそれどころじゃないんだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクン……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああもうッ!鳴上さんが不在の時こそ、貴方がしっかりしなきゃいけないのに、いつまでも駄々こねて…」

「『全くだ。菜々子やあの電とかいう子の方が、もっと落ち着きがあるってもんだ』」

「本当ですよ!頼みますからもう少し冷静に……え?」

 

 急に先程と180度違う事を言い出して、思わず来るりと顔を戻す。

 

「『痛たた…このじゃじゃ馬どんだけ無理してたんだよ。こんなんでよく外出ようとかぬかしたもんだ。馬鹿じゃねえのか?』」

 

 相変わらず痛みが残るのか、脇腹をさすりながら先程までの自分に悪態をつく。え~と…あ、はいそうですよね…?何考えてんですかねアンタは…いくら鳴上さんが心配だからって…。

 っていやいやいやいや、急にどうしたんですかアンタは。痛みで頭おかしくなって、キャラ変わりました?

 

「『…さて…と』」

 

 

 先程まで鳴上さんが危ないとか、急に訳わからない事言いながら取り乱していた様子とは打って変わって、やけに落ち着いたような…まるで長年生きてきた人物の貫禄みたいな…とにかく先程までとは別人じゃないかって思えるほどの豹変ぶり。

 と、天龍さんが徐に手を伸ばしたかと思いきや、一枚のカードを呼び出し、慣れた手つきでそれを握りつぶす。次の瞬間、青白い光を伴った黄金の体を持った巨大な龍が我々を見下ろすように現れ、それを見てまたしても腰を抜かしかける。まるで代々の宝を守る守護神のような気迫、敵ではないと分かっているのに、思わず息を呑んでしまう。

 

「ってか天龍さん、またこの場で雷出すつもりですか!?いい加減この空間を黒焦げにするつもり…」

「『黙ってみてろ』」

 

 なんか落ち着いたと思ったのは気のせいだったのか!?しかもまたあの得体のしれない龍使って!?黙ってみてろとか言われても、無理ですってば!

 また再び奇声をあげながら、バチバチやられたらたまったもんじゃない!そう思って制止の言葉をかけようとするも時遅く、すぐに眩い光が我々を呑み込んで…?

 

 

「ってあれ…?」

 

「『も一つおまけに…てかっ!!』」

 

 

 

 そしてもう一度、光がさらに増しているのが、瞼を通じて感じる…いや、見えているというのが正しいのかな?

 てか、雷じゃないの?雷特有の激しい音もしないし、今だしているこの光も、どこか優しい感じが…まるで鳴上さんのあの回復してくれる光みたいに…!

 光の中で悪態をつくような声。やがて瞼の裏から感じるほどの強い光も、漸く収まっていき、眩しさで閉じていた目を開いて見る。

 

 

 

「『…っち、今の状態じゃあこれが限界か。本来なら、体の不調全部回復するはずだったんだがな…。あのレ級とかいう奴にも、あんな無様な遅れは取らないはずだったんだがな…仕方ねえか』」

「…へ?」

 

 

 

 その光の中心に立っていた天龍さんを見る。レ級との怪我で、満足に一人で歩けないほどの損傷を負っていた筈なのに、頼りの松葉杖を足元に放り投げる。そしてその次には一人で歩くどころか、まるで短距離の前の準備運動を始めるかのように膝を曲げ伸ばししている。骨折している足では考えられない行動である。

 そしてそれが済むと、頑丈に巻かれていた包帯を邪魔くさそうにちぎって、未だに状況の整理が追い付かない私の方へと、乱暴に投げ捨てる。そして包帯が剥がれたさらされた足の素肌は、所々瘡蓋や僅かな赤みが目立ち完治とはいかないものの、三日前の不自然な方向に折れ曲がれ、倍以上に膨れ上がった見るだけでも顔をしかめてしまいそうな状態とは、比べ物にならない程の回復している。普通の人間なら全治まで数か月のレベルの怪我が、ざっと見積もって退院まで3週間位までといえばわかりやすい表現だろうか?

 つーか天龍さん、さっきなんて?本来なら全回復?ってか回復する変な光って、いつの間に出せたんですか…?…鳴上さんだって、こんな一気に治すなんて無理だと言うのに…。

 見れば見るほどこの天龍さん、やはり何か様子がおかしい。そもそもさっきまで、駄々こねた子供みたいに喚いていたのが急に賢者モードになったりとか…見た目は紛れもなく天龍さんなのになぜか、まるで『赤の他人』にすら見えてくるような…ってか本庁って何?大本営の事か?

 

 

「『おい、お前』」

「ふぇっ!?」

 

 急に声を掛けられ、変な声が出て気を付けの体勢を取ってしまう。普段の天龍さんから中々お目にかかれない様な泰然とした様子で見下され、緊張感が体中を駆け巡る。

 

「『とにかく、悠の事が心配なのは同意見だが…それよりもやるべきことがある』」

「…え?」

 

 ごめんなさい、心配というよりも事情がさっぱり呑み込めてないんです…とは言えなかった。怖いから。そんな私の考えを他所に、天龍さんは話を続ける。 

 

「『俺の刑事としての勘…というのもここで使うのは変だが、とにかく何か嫌な予感がしやがる。どっかにすっ飛んでいった雲龍とかいう嬢ちゃんも、急いで連れ戻せ。』」

「は?あ、あの…何の話ですか?」

 

 やっぱりこの天龍さんなんか変だ。嫌な予感?本当にどうかしたんだろうか?前に龍田さんや、駆逐艦の子達の前で急に、『何か近づいてきやがる…この『気』を感知する電探と、俺のこの封印された邪眼が疼きやがる…』とか言って、可哀そうな目を向けられていた時とは違う…このただならぬ雰囲気から、何やらふざけている様子は見えないけれど…。

 

「そ、そもそも先程電探係から問題は無しとの報告を貰ったばかりなんですけれど…」

「『うるせぇ!ごちゃごちゃぬかしてねえで、いう通りにしやがれッッ!!!何かあってから遅いんだぞっっ!』」

「ひぃっ!?」

 

 本日二回目ののけ反り。肺の中の空気を爆弾に変えたんじゃないかと思えるぐらい怒声。、声がデカすぎて天井まで、グラグラと揺れているんじゃないかと思う程の音量だ。というかなんつう気迫だよ!?激怒した鳴上さん以上に怖い。天龍さん、アンタいつからそんな迫力身に着けたんですか?

 

「『とにかく!今から俺の言う通りにしろ!でねえと……』」

「で…でないと?」

「『………』」

「………?」

 

 でねえと…といいかけてその先の言葉を言おうとして、まるでスイッチが切れたみたいに急に黙った。と、次の瞬間には急にがくんと、立ったまま糸の切れたマリオネットのように力なく、首をだらんと不気味に落とす。急に気を失ったけどまさか、死んでるんじゃないだろうな…。駆け寄って俯いた顔を見上げる。

 

「て…天龍…さん?」

「………」

 

 目を瞑っているが、僅かに胸が呼吸で上下している。寝てる…のか?それとも気絶しているのか?どちらにせよ、とりあえず生きているみたいだ。ほっとする。さっきの変貌ぶりといい、さっき口走った言葉といい、急に様子が変わって、いきなりうなだれるんだもの。まさか何かに取り憑かれて、そのまま魂が飛んで行ってしまったという馬鹿馬鹿しくも、性質が悪い冗談を本気で信じてしまいそうになった。

 けど、さっきの言葉は一体…?嫌な予感がする?さっきも言ったけれど、この辺りには生体反応がないと、電探係から報告を受けたばかりなんだけれど…。さっきから訳の分からない事ばかり起こって、頭の整理が追い付かない…。  

 

「…あの天龍さん?でないと…何ですか?」

「………」

「もしもし?天龍さ…」

「……だアッ!クソったれがぁ!!」

「!???!?!!?」

「回復魔法が出るはずなんだよぉ!!」

 

 急に黙ったと思ったら、また騒ぎ出した!?

 

「そう!回復ができりゃあこの体だって何とか…」

「いや、今あなた自分で治したじゃないですか…」

「ああっ!?何言ってんだ!!訳の分からない事を…ってうお!?」

 

 こちらを胡散臭そうに一瞥して、そして自分の体を見ると、包帯の少なくなった体に一人ツッコミみたいな驚きの声を上げる。

 

「マジで治ってやがる!?あれ!?いつの間に!?何が起こったんだ!?え、このコウリュウ何かしたのか俺の気づかないうちに何が!?」

「だから今言ったじゃないですか、貴方が治したって。自分で変な光出して、そしたら体が治っていて、『まだ本調子じゃないかって』悪態ついて…」

「…あぁ?」

 

 ぽかんと、空いた口が塞がらないといった表情でこちらを見ている。先程まで『コウリュウ~~!!』だとか、『天龍ホーリーブレ~ス!!』とか痛い事言いながら、癇癪起こしていた子供みたいに興奮していたとは思えない程間抜けな印象を与えていた。

 

「…俺、そんな事言ったつもりないんだけど…」

「………」

 

 

 

 …この人、とうとう頭がぼけてしまったのか?と言う可能性を除けば、嘘をついたりとぼけている様子じゃないみたいだ。そもそも天龍さんは隠し事下手だし、さっきの様子を顧みれば、ふざけているわけでもないだろう。

 何だったんだ今のは?さっきの天龍さんって一体…。

 あれまてよ…?そういえば今のこの様子って…確か一昨日の時の天龍さんも『こう』なってなかったかな!?悠だとか、なんとかちゃんが心配がどうとか言ってたけれど、あの時と同じ感じじゃ…!それに『嫌な予感』って…?

 くそ、自慢じゃないが頭を使うのは得意じゃ無いっていうのに…何なんだこの状況…。

 

 ジリリリリリリリリリリリリリ

 

 

 混乱の極みに陥りそうになった思考が、再びけたたましく鳴らされた電話のベル音によって幸か不幸か、中断させられる。振り返り、相変わらず受話器がぶら下がっている電話へと視線を向ける。

 ああ、そういえばさっき電話を受け取り損ねたっけ。多分索敵係だと思うが…。

 とてとてと、小走りで電話の元へと向かって受話器を受け取り、内線のスイッチを押す。

 

「はい、こちら港」

『ああ!やっと繋がった!さっき鳴らしたのにどうして出なかったんですか!?』

「ああ…まぁ色々と…」

 

 受話器の向こうから聞こえるやけに慌てた声に、見えるはずもないがばつが悪い苦笑を浮かべながら天龍さんの方へ見る。突然の変化に首を傾げながら、先程まで包帯が巻かれていた自分の体を見ている。一体何が起こったのか自分でも把握できていないせいであるが、そのお陰で幾分か落ち着いた様子を見せていた。…先ほどの事はひとまず伏せておこう。ややこしい事になってきているこの状況で混乱の種を持ち込むような事をしたくないし、何より未だに先程の天龍さんの異変に対して、実際に目撃した私ですら頭の中で未だに理解できていないと言うのにうまく状況説明なんて…今すぐこの場で『震電改』を開発しろと同じぐらいに無茶な事だから。一先ず今の事は、鳴上さんが帰ってくるまで私の胸の内にしまっておくとしよう。

 

 

「…で、何かあったんですか?」

『え、ええ…実は先程の電話が終わってから、すぐに起きたんですが…」

「…何です?」

 

 いやに勿体ぶるな。もしくは歯切れが悪いというか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『基地の電探に…ここから数キロの地点からこの基地に近づいてくる複数の反応がありまして…』

 

 

 

 

 

 

 

 

-----------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天上楽士。

 

 俺達は菜々子のダンジョンともいうべきその奥で、菜々子を誘拐した生田目をついに追い詰める。しかし追い詰められた生田目は狂気に取り憑かれながらも、『サギリ』の一つである『クニノサギリ』へと変貌。相手の『あやつり』に苦しめられ、危機に陥りながらも、堂島さんとの絆で手に入れた『コウリュウ』と、その隙を逃さなかった仲間達の連携によって何とか勝利をもぎ取った。

 しかし、捕まった菜々子を取り返して喜びを仲間達と分かち合う暇もないまま、次の問題が起こる。

 

 

『シャ…シャドウが収まらないクマー!』

 

 

 激戦の後に、大勢のシャドウに囲まれる俺達。普段ならばどうという事も無い相手でも、消耗しきった俺達では、戦えるかどうか。しかも気絶している菜々子まで背負っているというのに…苦虫を噛み潰したような表情で現れたシャドウを睨むことしかできず、もはや万事休すか?そう思った時。

 俺の手を、小さく握りしめる力。気絶していた筈の菜々子が弱々しく微笑むと、現れる一枚のカード。何か確信めいたものを感じて、火傷を負った手でそれを握りしめる。

 そして、現れたのは…。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 …もしかしたらと可能性は考えていた。出来れば当たっては欲しくなかったが、天龍の件もあったから恐らくはと思ったが、まさかこのタイミングで来るなんて…。

 しかも、どういう訳か天龍の時とは違う。『何かが』おかしい、完全に、彼女の様子が明らかに違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『えヴぃでぃ…ヤングライふ……』」

 

 

 

「……!!」

 

 

 

 

「『ジュ・ネ・ス』」

 

 

「イ…急いデは…離れろ!!マズイ!!!」

 

 

 およそ駆逐艦どころか、艦娘本来の戦いとはかけ離れた戦いだった。いや、たしかに年端もいかない少女が、化け物相手に大砲引っ提げてどんぱちやらかすのも、およそ日常ではかけ離れた光景だが、目の前で繰り広げられているのはそんな物すら、所詮現実に起こり得る可能性の一つとして認識できるものに過ぎない程の、奇奇怪怪の光景。

 目に入れても痛くない微笑ましい年頃の子供らしい、天真爛漫なはずの歌うような楽しげな声。しかしその次の瞬間に行われるのは、彼女の頭上に浮かんでいる“異形”が、持っている巻物を思いきり広げて超常現象を用いて、これまた奇怪な生物たちを光で塗りつぶし、そしてこの世から消滅させていく。

 …理不尽ともいえるその力は、本来なら電が持っている筈がない。いくら最近訓練を始めたとはいえ、せいぜい普通の駆逐艦を倒すのが関の山の筈の彼女が、自分より格上の敵を次々と沈めているなんてありえない。ではなぜできるのか?

 …その答えは彼女の頭上にあるありえない生き物…それでいて俺にとって見覚えがありすぎる…存在。

 

 彼女の頭上にいる“異形”…エメラルドブルーの体色を持ち背中には六枚の羽根、腰に紅い腰布を巻いきその手には両腕を広げた長さにまで及ぶであろう巻物を持つ。ゾロアスター教にて『耳を傾ける』という意味を持つ、菜々子との絆によって育んだ『正義』のアルカナの最高峰の力を持つペルソナ…その名は『スラオシャ』。攻撃も回復もオールマイティにこなせるコウリュウとは違って、より敵への攻撃…というよりも殲滅力が桁違いのスキルを持つ『ペルソナ』。およそ、今それを行使している少女――電の本質とはかけ離れた攻撃的なペルソナ。秩序の為に、大勢の人間を殺したという天使が、今度は海の上の亡霊たちをその光でもって断罪していく。

 

 そして次の瞬間、もはや『五回目』となる、海の上ではありえない程の光る札がいくつも浮かんで並び、そしてそれらは彼女に敵対する青白い肌を持った女性たちに襲い掛かる。その指揮官格が急いで号令を出すも、時すでに遅し。無数の札から眩いばかりの光——『マハンマ』が彼女達を包み隠していく。

 

 

 

「電…」

 

 

 

 

 

 

「『天国って?どんなところだと思う?』」

 

 光で包まれ、見えなくなる敵艦隊を見ながら、電が後ろにいる俺か、もしくは光に包まれた敵艦隊にか、誰に向かって喋っているのか分からないが、言葉を発する。

 

 

「『『菜々子』はね?『菜々子』達がいるこの場所よりも高い高いお空の上にあって、お花畑がたくさんあるとてもきれいな所だと思うの。そこでね、『お母さん』や『お姉ちゃん』達がいな…『菜々子』や『お父さん』を見守ってくれてるんだと思うんだ』」

「………っ」

「…あれ?『菜々子』には『お兄ちゃん』はともかく、『姉ちゃん』はいないのに…』」

 

 

 かみ合わない独り言に、首を傾げる電。どちらの意思が、そう言っているのかは知らないが、俺はその内容の答えを知っている…そう、俺は実際にあの時見ているから。あの時実際に

 

 戦いの場で相手を仕留めたという確証はないのに、命取りともいえる余計な考え事をしているのは、実践不足の表れなのか。それとも、この光で敵を一掃できるという余程の自信があるのか。

 電が先程から繰り出している『マハンマ』は、敵対する複数の相手を低確率で即死させる『ペルソナ』の光属性魔法。『マハンマオン』や『回転説法』よりは圧倒的に成功確率は劣るものの、力の無い電のような駆逐艦でも、うまく決まれば格上のeliteやflagshipでも確かに一撃で倒すことが出来るだろう。…下手をすれば装甲空母姫のような存在でも。

 だが、それはあくまで『決まれば』との事。確かに先程から繰り出している『マハンマ』は、低確率にしては数を減らしている方だ。今の五回だけでもeliteはざっと『15体』、flagshipを『1~2体』程消滅させている。本来『マハンマオン』を覚えている『スラオシャ』が『マハンマ』止まりなのは、恐らく天龍の時と同じ…ともかく俺から離れた時になぜか弱体化している所為なのかもしれない。未だにどういう原因かさっぱり…あえて仮定をあげるとするならばもしくは本人の練度の所為なのかもしれないが。そんな低確率であるはずの『マハンマ』がこうもポンポン決まるのは恐らく、『ハマ成功確率アップ』が残っている可能性が高いからだろう。

 だが、だからと言って、この大勢の敵艦隊を全滅させられるとなると…。

 

 

 そしてその予感は、一発の砲弾によって肯定される。

 

 

 

「電!」

 

 

 慌てて電の服の裾を乱暴に掴み、俺の後ろに下げる。飛んできた砲弾はイザナギが縦に両断して軌道を逸らしていく。

 …やはりこの程度では、相手を倒すまでには至らないか。

 

「『お兄…ちゃん?』」

「『電』、危ないから俺の後ろに下がるんだ。それと後は俺がやるから、お前はもう戦わなくていい…」

「『…でも』」

「…『お兄さん』に、後は任せろ」

 

 お兄ちゃん(・・・・・)ではなく、お兄さん(・・・・)と呼ぶ。後ろにいる電は、どんな感じでこの呼び名を聞いたのかは分からない。あえて…後ろを見ないようにする。

 どちらにせよこのスラオシャは弱体化しているであろうから、精神力(SP)の上限も下がっている筈だ。『マハンマ』の連発で、いつガス欠を起こしてもおかしくはない…と、自分の中で勝手な言い訳も付ける。だが俺は…それ以上に俺は…。

 分かっている、お前がここに来たのは、ボロボロになっているであろう俺を心配してここに来たことは。俺のこの行為は、そんなお前の心を無碍にしてしまうんだってことも。彼女は落ち込むだろうか、傷つくだろか、それとも頭の中で『勝手な奴』だと軽蔑するだろうか。去年の時と同じことを繰り返して、叔父さんと『お前』を心配かけさせたように。

 だけれど済まない、俺はそれ以上にお前が戦っている姿を見るのが辛いんだ。まるで、お前がいなくなってしまうんじゃないかと。たとえこの戦いに勝っても負けても、『電』と言う存在が果たしてそこにあるのか…今はそれを解決する術は思いつかない…。

 ああでも、たとえ『どちら』の存在であろうと共通点はあったな。どちらも、本当に優しく…守るべき『妹達』だってことだ。

 

 

 

 

「貴様ラ…」

 

 

 

 

 『マハンマ』の光が次第に晴れていき、その中から次第に敵の姿が露になっていく。

 相変わらずカルシウムゼロみたいに忌々し気に表情を歪ませ…大した損傷も負っていない装甲空母姫。しかし顔には僅かに、恐怖の色が混じっている。全く、最初の時の余裕に満ちた顔をしていたのに、いよいよ化けの皮が剥がれてきたな。取り繕ってきたペルソナ(仮面)が見事に剥がれて、ありのままの自分が出てきたってか?

 そしてその周りを要人を守るSP宜しく取り囲む、ペルソナどころか個性も感情も感じさせない深海棲艦の面々。そのどれもが、『影』のように黄金色に輝く瞳やオーラを纏っている。が、それに交じって先程までいた筈の赤黒い瞳やオーラを纏っていた奴—すなわち10数人はいた筈のeliteクラスが、すっかりいなくなっている。そいつらは『マハンマ』で消え去っていっただろうが、低確率の『マハンマ』にしては随分数を減らしているな…やはり『ハマ成功率up』が付いているのだろう。他に何かスキルがあるのかが気になるところだが…それでも流石に残りの金色軍団―flagshipを全滅させるには至らなかったか。

 それでも装甲空母姫にとっては『マハンマ』はちょっとした牽制としてはちょっとした恐怖の的らしく、僅かな脅えの顔もそれが原因だろう。

 

「貴様トイイ、ソコノ駆逐艦トイイ、あのレ級トイイ…貴様ラハ一体ナンナンダ。コンナ戦イ方、艦娘デモ、我々深海棲艦ニモ存在シナイ…ソシテソノオカゲデ、私ノ艦隊ノeliteガ悉ク全滅シタ…」

 

 

 

 …コイツ急にカタコト増えたな。それもしかして怒ってるサインか?後ろで電が僅かに息を呑む音が聞こえる。悪い事して叱られている子供みたいだ。 

 

 

 

 

「…コノ……」

「…?」

 

 

 

 

 

 

「人ノ皮ヲ被ッタ、化物『共』メ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビキッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ!?」

「おい…聞き間違いかな…何だって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヒートライザ』『チャージ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人の皮を被った化け物『共』…だと?その言葉はここにいる『電』と『菜々子』も入っているのか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あら?」

「おい…どうした?少し顔色が悪いが何かあったか?」

「そ、そういう貴方だって…」

「というか…気のせいかなんかさっきより寒くないかしら?な、何故か震えも感じるし…波も少し荒くなっている様な…」

「…一体どうなってんの、この先は…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ何とか言ったらどうだ今にも過呼吸起こしそうな顔でこっち見てないで」

「ウ…ウウ…」

「もう一度言えと言うのが分からないのか?」

 

 

 

 

「『お、お兄ちゃん…怖いよ…?』」

「大丈夫怒ってないよ」

 

 

 先程まで疲れと傷でだるかった体に、マグマのような温度を持ったエネルギーを入れられたみたいに沸々と、何かが沸き上がる。なのに頭は凄く冷えっきたよう。電の少し脅えたような声にも、我ながら棒読みみたいになってしまう。

 

「それよりもう少しだけ待っていてくれるかすぐ終わらせるからな」

「『………』」

 

 返事も待たずに、傍らのイザナギに『あのスキル』の構えを取らせる。方向は…何やら…多分聞き間違いだと思うが、先程後ろにいる電の事を化け物呼ばわりした装甲空母姫と、その腰ぎんちゃく共に向けて…だ。どういう訳か、気味悪い位に白かった顔に青みがかかっていて、まるでこちらの事を『処刑』する一秒前の桐条さんでも見るみたいに脅えた顔をしている。

 …ああ、つまり先程の発言は俺の聞き間違いではなかったという事か。そうかそうかそうかそうかそうか。

 

 

「お前に一ついや二つ忠告をサービスしてやる」

「ッ!?」

「俺はこれからお前らを一網打尽にする『切り札』を使うからその前にお前らは俺に向けて一斉砲撃を仕掛けた方がいいぞ今すぐ」

 

 びくり…と恐怖の波紋が装甲空母姫から、部下の深海棲艦へと伝わる。あ、今まで表情を変えなかった奴らのうち一部が、指揮官と同じ表情がシンクロしたな。…そういえば、こないだのelite艦隊で、最後に『十文字切り』で倒した戦艦も、同じような顔していたっけ。

 

 

「そしてもう一つまぁこれが二つ目というか本命って言った方がいいんだがお前にありがたい言葉を一つ送ってやる」

「…ッ!?」

「『口は禍の元』だ言いたいこと終わり」

「ウウ…コ、コロセェェェェェェ!!!!!」

 

 

 

 言い終わったと同時に、装甲空母姫が部下たちに合図をおくると、囲んでいた深海棲艦たちが連装砲やら艦載機やら魚雷やらを、次々と放つ。後ろで電が声にならない悲鳴を上げる。

 …が、遅い。いや、実際銃弾とかと同じ速さで動いているのだろうが、今の俺には何故か欠伸が出そうな位ゆっくりに見えた。

 …随分かかったが、終わりにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『先日のお礼にございます。くれぐれも用法・容量をお守り、ご使用くださいませ。我々の『メギドラオン』やあの方の『ハルマゲドン』には劣りますが、このスキルの威力・危険度は、貴方様なら説明はご不要でしょうから』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヲいクソ装甲空母、まだ意識はあルカよ?エェ?』

『ウゥ…ガッ…』

『ザマァねえなあ。あんダけデカい口叩いておきナガら私ニ為す術もなくその様ダ。呆れを通り越しテ、気の毒にすら覚えルゼ。マァもっともペルソナの力…それモあの『ワイルド』の力を手にしたんでは無理もないけどネ』

 

 全身傷だらけの、大火傷で下半身をぐしゃぐしゃにされ、ぼろ雑巾のようにうつ伏せに地面に倒れ伏している私に対し、所々焦げて黒ずんでいる私の頭を踏みつけるレ級。その背後では、奴が昨日手に入れたという『玩具共』が、命令を待つ機械のように、奴の背後に控えているのであろう。

 今一歩及ばずとか、一矢報いるとかそんなレベルではない…ほとんど一方的な戦い。私の艤装が吐き出した艦載機が悉く蹴散らされ、主砲ですら当たらず…もしくはレ級の尻尾によってつまらなそうに防がれた。『姫』である私の攻撃が通用せず呆然とする私に対してレ級は、私よりもはるかに強力な砲撃、爆撃、そして何よりも強力な謎の攻撃を繰り出し、私の体を大破と言うには生温い様な状況にまで追い込み、そしてそれ以上に、『姫』という積み上げてきた誇りと自信を、粉々にして打ち砕いた。たとえ肉体によるダメージがいくら大きくても、それだけならば私はまた立ち上がることはできたのであろう。今の私は肉体のダメージ以上に、たかが一戦艦であるレ級を前にして為す術もなくやられたという事実が、私から立ち上がる力を奪ってしまった。たとえ、この下半身が無事だったとしても、何の意味もなさず同じ結果になっていただろう。私に対して振るったであろう、先程私に対して振るったというレ級が『例の男』から奪ったという力とは何か?と言う疑問も無かったわけではないが、それ以上に、心に植え付けられた絶望感が、頭を踏みつけられているという事実に対してさえ抵抗する力を奪ったというのが、私にとっては何よりもショックだった。そんな私の胸中を知る由もなく、グリグリと、私を踏みつける足に力を籠めるレ級。

 

『どうしタ、立タないのか?頭踏みつけられてムカっ腹が立たないのか?情けネぇ、それでよくあの『ワイルド』と戦おうなんて思っタナ。あの男なラ同じ状況になってモ臆することなく睨み返し、また立ち上がっテ私に喰らい付くだロウよ』

『…………ッ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…あの男は私の事は知らないだろうけど、私にとってあの男こそは唯一私が憧れる『存在』。私が目指すべき『存在』。超えるべき『存在』。私以外には、倒されたとあってはいけない存在なんだ。『ペルソナ』の有無以前にお前如きなんざ、端から同じ土俵に立つ資格なんてないんだよ。わかったら二度とあの男と戦うなんてぬかすんじゃねーぞクソ女』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レ…級…ワイ…ルド…」

「………」

 

-----------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛っ…やはり反動が半端じゃないなこの技は…」

 

 

 

 それに比例して相変わらずひどい威力だ。ぶっ放した瞬間大きく海を割り、その衝撃が艦隊やflagshipを呑み込んだと思えば、後には鉄くずの残骸だけが残っているだけとはな。まるで台風だ。間違っても島の上や、艦娘相手にはつかってはいけないな。

 こんなもの、『タナトス』に積もうとしたのかエリザベスさん(・・・・・・・)は…。

 

 

「先の言葉…海の底まで持っていくんだな…『口は禍の元』覚えておくんだな」




鳴上「すごく長い戦いだった…ような気がする」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。