俺、総二と愛香が大好きです。   作:L田深愚

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ようやくリヴァイアさんと決着。そしてぼくらのアイドル熱烈見参!
このパワー、信じられるか?


第十五話「決戦! 大山脈!!」

 ────俺の戦友(とも)たるクラーケギルディは、テイルレッドとの決闘の最中、熱を上げる相手であったテイルブルーの横槍の前に散った。

 元来俺の相手はテイルミラージュであり、テイルブルーは本来の相手ではない。

 よって本命が来たのなら退くのは当然だ。当然なのだが……真っ向から加勢するならまだしも、背中から不意打ちとは何事だ!

 しかも輪をかけて腹立たしいのは、テイルミラージュと共に現れたテイルイエローが別人に成り下がっていたことだ。

 あのたわわなFカップの巨乳が、Eカップに下がっているとは! 貴重な巨乳のツインテールなのは変わりないし、巨乳を差別する気は無いが、期待していたサイズが1カップとはいえ小さくなっているのは落胆せざるを得ない。

 ツインテールは勝るとも劣らぬほど見事でも、こればかりは譲れん!!

 もはや俺は、普段心がけている本心を押し殺す姿勢を保つことすらできずに、心の赴くまま咽喉も裂けよと吼えた。

「おのれ……よくもクラーケギルディを……! 我が戦友を……! そのうえ何故(なにゆえ)テイルイエローが別人なのだ!? あの見事なFカップを返すがいい!!」

 

□□□□

 

「いや、お前のじゃねーから」

 ────そう血涙を流して慟哭するリヴァイアギルディの姿に、俺は呆れしか出てこなかった。先程まで感じていた不意打ちへの申し訳なさなど、一瞬でどこ吹く風だ。

 愛香は力を使い果たしたように膝を突き、総二に介抱されている。流石に幹部エレメリアンを宇宙まで吹き飛ばすような力を出せば、こうなるのも無理はないか。

「イエローは援護を頼む。奴との決着は……アタシがつける!」

「そのような新兵なぞ恐るるにたらず! テイルミラージュよ! 貴様のツインテール、巨乳もろとも奪い去ってくれる!!」

 ファイティングポーズをとった俺を前に、リヴァイアギルディは以前の余裕をかなぐり捨ててがむしゃらに向かってきた。

「たとえ別人でも、未熟でも……志は確と受け継いでいますわ! わたくしの力をご覧あそばせ!!」

 ショットガンのような触手の連撃が迫るが、イエローの肩部連装バルカンがその全てを阻み、奴の顔面に射撃の直前飛びあがった俺の飛び蹴りが突き刺さる。

「ぬおおお……!」

「イエロー! ミサイル発射!!」

「了解ですわ!」

 開閉した胸の装甲から爆煙の尾を曳いて飛ぶミサイル。たとえ躱されても目標をホーミングするそれを、リヴァイアギルディはあろうことか真正面から自らの肉体で受け止めた。

 予想外の行動に開いた口が塞がらない。

「ふっ……巨乳から生じた攻撃を躱すことが出来なかった……これも巨乳属性に生まれたものの(さが)か」

「そうだよな、エレメリアンってこんなだよな」

 ドラグギルディも総二並みのツインテール馬鹿だったが、これは総二がツインテール相手なら、髪が顔にかかろうがしなる鞭のように当たろうが受け入れてしまうのと似たようなものだろうか?

 だがまともに直撃したのが堪えたのか、エンブレムの刻まれた胸を押さえるリヴァイアギルディ。俺はその隙を逃さず引き抜いたミラージュマグナムをライフルモードにし、オーラピラーを放つ。

「────オーラピラー!」

「だがテイルミラージュ……貴様のツインテールと我が巨乳……どちらが上か今度こそ勝負を付けようぞ────巨ぉ乳ぅ膨御(ビッグバンバースト)おおおおおおおおおおお!!」

 奴の胸元に生じた球状の歪みが、こちらの拘束エネルギー弾と拮抗する。

 巨乳と眼鏡、奇しくも二つの丸が互いにぶつかり合い火花を散らすなか、競り勝ったのは巨乳の方だった。

 眼鏡を模った、二つの円環をつなげた形状のエネルギー弾が弾き返され、こちらへと逆再生するように向かって来る。だが────

「────こうなるのは予想済みなんだよ!」

 拘束が決まり、プリズムシュートで倒せればそれでよし。よしんば弾き返されても、こちらには対応する策が二重三重に用意してあったのだ。

 いわゆる“プランB”というやつである。

属性玉(エレメーラオーブ)────全身服属性(ボディスーツ)!!」

 俺はライフルを放り捨て、ウエストポーチからあらかじめ先端にエレメリーションキューブを取り付けていたロングロッドを取り出すと、装填していた全身服属性の属性玉を起動し粉砕バットの如く握りしめる。ちなみに何故わざわざ粉砕を付けたかと言うと、調理に使う角バットや写真で使う現像バット、祈ればマッハで駆けつける黄金バット等と区別するためで他意は無い。

「ミラージュホームラン! かっとべええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」

 俺は全エネルギーを注ぎ込む勢いでロングロッドを完全開放(チャージアップ)し、踏ん張る足に受けた地面からの反作用、腰の回転、腕の振りと、粉砕バットを使うために必要な全てを込めて真芯へと振りぬいた。

 エネルギー弾と振り抜かれたロングロッドがぶつかり合う。全身服属性の拘束力場が、跳ね返されたオーラピラーを握り拳大にまで圧縮してゆき、白球打つ快音と共に再びリヴァイアギルディの元へ打ち返された。

 奴は大技の直後で身動きが取れない。リヴァイアギルディは圧縮され過ぎて攻撃力すら備えるに至ったオーラピラーの直撃を受け、その胸板に風穴を開けられた。

「やった……のか?」

 訪れた沈黙に、総二がポツリと疑問の声を発する。いつものように爆発もしていなければ、前兆の紫電が奔っているわけでもない。

 俺は油断なくロングロッドを構え、リヴァイアギルディの動向を注視した。

『属性力急上昇! 上空からも何かが来ます────3、2、1……今!!』

「────巨ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 トゥアールからの通信より一瞬早く、奴が突然咆吼を上げる。それは燃え尽きる寸前の灯火にも似て、最後の生命を燃やし尽くさんばかりの激しさだった。

 その瞬間頭上へ向けて、間欠泉じみたおびただしいエネルギーの奔流が解き放たれ、引き寄せられるように宇宙から何かが高速で飛来する。

「みんな、伏せろぉ!!」

 

 ────貧ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!

 

「きゃああああああああああああ!」

「愛香ああああああああああああ!!」

 着弾と同時に巻き起こる爆風から身を守るため、レッドは身を挺してブルーを庇い、イエローは手近な機材に掴まった。

 俺も吹き飛ばされそうになるのを必死にこらえ、巻き起こった煙の向こうへ目を凝らす。

「嘘だろ…………………………?」

 煙の晴れた中に居たのは、胸の傷が完全に塞がったリヴァイアギルディ……否、頭部からツインテールのように触手を生やし、その胸に貧乳属性のエンブレムをも抱いた新たなエレメリアンだ。

「あの烏賊野郎……属性玉になってなかったのか!?」

『爆発はこちらの衛星でも確認されています、瀕死のリヴァイアギルディがクラーケギルディの属性玉を引き寄せ、取り込んだとしか……』

「つまり絶体絶命の危機を前に、両者の生命が引き合ったのですわね!」

 会長は拳を握って鼻息荒く盛り上がり、目の前の個体をリヴァイアクラーケギルディと名付けていた。

「「見事なり、ツインテールの戦士よ! 貴様たちの前に敗れ去っていった幾多の同胞の無念を晴らすため、今こそ我らの二つの魂、ツインテールとして燃え尽きよう!!」」

 リヴァイアギルディとクラーケギルディ、両者の声が重なり合って同時に聴こえてくる。やはり完全に奴らは一つになっていたのか。

 だが俺はもうエネルギーが心もとない。ブルーもダウンした今、頼れるのは消耗の少ないレッドとイエローだけだ。

「……頼んだよ、レッド、イエロー」

「任せとけ!」「お任せくださいまし!!」

 合体した幹部怪人と言うどれほど強いか想像もつかない相手に、小手調べや牽制などと生易しいことを言っている暇はない。

 イエローは開幕早々全身の火器を全開にして、無数の火箭をリヴァイアクラーケギルディへ叩き付ける。

 着弾の爆炎の中から現れたのは、予想通りと言うべきか、無傷の合体エレメリアン。

 頭部から生えた触手の先端から、それで攻撃を防いだのだろうバリアーのような光の波紋が生じていた。

「クラーケギルディのシールドがバリアーに!?」

 そして防がれるのを織り込み済みで、爆炎に紛れて懐へ飛び込んだレッドだったが、そうはさせじと股間の触手が迎撃に出る。

 ブレイザーブレイドの刀身が、空気を切り裂いて振るわれる股間の槍とぶつかり合って衝撃波を撒き散らし、リヴァイアクラーケギルディが剣圧に負けじと吼える。

「「巨ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」」

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 胸元から生じた反発フィールドのダブルパンチ。不意を食ったレッドの矮躯が宙を舞い、廃工場の壁面へ叩き付けられる。

 耐えられずに倒壊してゆく建屋の瓦礫の中から這い出してきたテイルレッドだったが、ふらつき、ブレイドを杖代わりにしている有様でも、未だその闘志は消えていない。

「危ないところだった……最初から二人が力を合わせてたら、敵わなかったかもしれないな……」

「「そうまでして何故戦おうとする? 属性力を糧とする我らと違い、お主らは属性力を失おうとも生きていけるではないか? 何故生命と天秤にかけてまで、属性力を守ろうとするのだ?」」

 満身創痍でも挫けることなく戦おうとするテイルレッドへ、奴の疑問の声が投げかけられた。だがその答えなんて聞かなくてもわかりきっている。

 座り込んでいたブルーが、歯を食いしばり俺の肩を支えに立ち上がった。

 そうだよな、こんな大事な時に、大人しくなんてしてられないもんな!

「何故だって? 最初から釣り合ってるものを、秤にかけようがないだろうが!!」

「そうよ! 世界で……ううん、宇宙で一番大事な人の愛したものを、守りたいと思うのは当然でしょうが!!」

「レッド……ブルー……あなた方はまさしくヒーローですわ! わたくしも、人々の心の輝きを守るために力を尽くします!!」

 ここからが正念場だ! 胸に炎を燃やした俺たちは、最後の力を振り絞って合体エレメリアンへ立ち向かう。

「「ドラグギルディとの戦いを経たのならわかっているはずだ! 容易く掌の上で踊らされ、芽吹き奪われる属性力の儚さを! それでも抗うかテイルレッド! ツインテイルズよ!!」」

「知っているからこそ、儚いからこそ守るんじゃないか! それがこの世界にツインテールを花咲かせた俺たちの使命だ!!」

 頭部から繰り出される触手を、ミラージュライフルと腕部ガトリング砲の連射が牽制し、レッドがブレイドを、ブルーがランスを振るい、オーラピラーを同時に叩き込んだ。

「「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」

 業火と激流、二重の捕縛結界が海魔を封じ、勝利への秒読みを開始する。

「────うあっ!?」「任せろ!!」

 だが飛び上がる直前、ダメージが蓄積していたレッドの足がもつれ倒れ込みそうになる。

 俺は咄嗟に抱きとめると、勢いをつけてそのまま上空へ放り投げた。

 脳裏に浮かんだのは決闘での必殺キック、そして愛香とトゥアールのじゃれ合い。

 アイコンタクト……否、ツインテールでの会話が二人に不可思議な相互理解をもたらす。

「イエロー! お前の大砲で、レッドを砲弾代わりにぶち込め!!」

「了解いたしましたわ!!」

 瞬間、イエローのギアから装甲が、武装の数々が一斉に分離し急上昇。レッドを追い越して空中で再集結する。

「完成! ────合身巨大砲(ユナイトウエポン)! 完全開放(ブレイクレリーズ)ですわ!!」

 投げられたレッドは空中で一回転すると、組み上げられた巨大砲の中心へ着地した。

 そのまま空中の足場を蹴って跳んだ瞬間、二つ並んだ主砲──大型陽電子砲──から推進ビームが放たれ、後押しされたテイルレッドは紅蓮に燃える真紅の流星と化した。

「レッド!」

 その姿は、かつて部室で披露された愛香の急降下爆撃を彷彿とさせる。

 手には二振りのブレイザーブレイド、エクセリオンブーストとユナイトウエポンで推進力も倍増したうえ、胸の闘志は四人分。これで勝てなきゃ嘘ってもんだ。

「テイルレッド!!」

『総二様!!』『総くん!!』

 二振りのブレイドが完全開放されて炎を纏い、その切っ先を合わせたレッドがドリルじみた高速回転を始める。

 周囲の空気を根こそぎ吸い尽くすかのようなおびただしい求心力を発揮して、刃の中心へと炎が集束してゆくその様は、奇しくもクラーケギルディの大渦盆地胸(サイクロンフルフラット)の再現だ。

「いっけええええええええええええレッド(そーじ)! やっちゃええええええええええ!!」

「サイクロンッ! ブレイザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 俺たち全員の声援を受け、旋風を巻き起こして一層激しく燃え上がるテイルレッドは、ツインテールの全てを込めて眼下の大海魔を貫いた。

「俺の……俺たちのツインテールは“生命(いのち)”だ!!」

 

「「よかろう……ならば我らに吠えたその心、真かどうか星となりて見守ろうぞ! 歪まず、穢れなく、ただひたすらにツインテールへの……“互いへの”愛に邁進せよ!!」」

 ────その輝き、果たしていつまで見続けられるだろうな?

 

 突貫の勢いをブレイドを突き立て、モルタルの地面を削り取りながら殺したレッドの背に投げかけられた、二大幹部の最期の言葉。

「ツインテールを愛する限り……いつまでも見られるだろうさ」

 爆風にツインテールをはためかせ、呟かれた言葉は茜の空へ風と共に溶けてゆく。

 まるで散っていった二体への手向けのように────

 

 ブルーとイエローは遂に倒れ込み、俺たちも立っているのがやっとなくらいだ。

 限界まで戦い抜いた俺たちが、彼女らを抱えて安らぎの我が家へ帰りつこうとした刹那────夕暮れの景色に闇が生じた。

『見事じゃ、また一段とツインテールの輝きを増したのう』

 不気味なほど澄んだ声が響き渡り、闇が周囲を侵食せんばかりに色濃くなる。

 滲みだすように人の形をとったそれは、そのまま真っ直ぐにこちらへと歩き出す。

 身を包む黒衣も、眼鏡のフレームも、おさげのように胸元へ垂らされたツインテールも。

 あらゆるものが黒一色の少女────彼女は今しがた、やっとの思いで打倒した幹部エレメリアンすら上回る圧倒的な属性力をその身に纏っていた。

 ────なんていう圧力だ……ツインテールだけじゃない、あの眼鏡……只者じゃないぞ!!

「君は一体……?」

 気圧され言葉を失った俺に代わり、テイルレッドが向ける誰何の声に、闇の少女は瞳に寂しげな色を浮かべる。

「そうか……判らぬか」

 レッドは忘れているだけかもしれないと弁明するが、眼鏡であれツインテールであれ、これだけの属性力を持った娘と会っていて気づけないはずがない。

「無理もない、小娘がこれほど艶やかに成長を遂げたのじゃ。昔の姿と結びつかなくとも仕方あるまい」

「だが……貴女が幼女になってしまうとはなんという皮肉な運命か! わらわがこうして、貴女の愛を受け止められる身体になったというのに!!」

 彼女の発言に、もしやと思う中、闇の少女が黒衣を脱ぎ捨てる。覆い隠されていたその身に纏われていたものは────

「それは……テイルギア!?」

「違う。これはグラスギア、眼鏡装甲(がんきょうそうこう)グラスギア! 眼鏡属性で造り上げられた最強の鎧……貴女のテイルギアに憧れて造ったのじゃ、トゥアール」

 やはり彼女はトゥアールの知り合いだったか。だがどう見ても味方と言う雰囲気ではなさそうだ。

「そして……今のわらわは“ダークグラスパー”アルティメギル首領直属の戦士じゃ」

 絶句する俺たちを前に、ダークグラスパーと名乗った少女は告げた。

「貴女を迎えに来たのじゃ、トゥアール。わらわと共に戦ってほしい」

 純粋に眼鏡属性のギア、そしてアルティメギルに与する人間の存在という衝撃的な存在を前に、俺たちはその吸い込まれそうなほど透き通った眼鏡から目を離せないでいた。

 テイルレッドをトゥアールだと思い込んでいるということは、ギアに組み込まれた彼女の属性力を感じとっているのだろう。これでもし違うとばれたらどうなることやら……

『総二様、トゥアルフォンのボイスチェンジ機能を利用します。外部スピーカーをONにしますので動きを合わせてください』

 通信が入り、総二を通じたトゥアールの応対が始まる。

『貴女はイースナ……イースナですね? いったい何故この世界に!?』

「おお! 気付いてくれたか! そうじゃ! 貴女の一番のファンであった、イースナじゃ!!」

 トゥアール渾身の話術と総二必死の名演技によって、彼女はアルティメギルが侵略を完了する前に奴らの仲間になったこと、異常なほど執念深い観察力によって得た、眼鏡に宿る不思議な力によって、トゥアールオリジナルのはずのテイルギアをコピーすることに成功したことなど、様々な情報を得ることが出来た。

 しかしその力が宿った眼鏡が神眼鏡(ゴッドメガネ)というネーミングなのはどうなんだ?

「わらわにも教えてくれぬか? 何故そのような幼い姿になってしまったのじゃ? かつての貴女は幼女を愛する戦士としてその勇名を全世界に轟かせておったが……」

 やはりそういうことだったか。おそらくこの場の全員の考えが一致したであろうことを確信し、俺は発言に突っ込みたくなる気持ちを必死に抑えつつ、会話の行く末を静かに見守る。

『それは────愛する人と出会ってしまったからです』

 思わず共に振り返ってしまったテイルブルーの姿を目にし、ダークグラスパーも驚愕に目を見開く。

「形は変わっているが、まさしくそれはトゥアールのテイルギア! まさか貴女は……」

『そうです、この世界を訪れて出会ったテイルブルーに恋をした私は、彼女のツインテールを守るために、かつて使っていたテイルギアを改修したものを託し、彼女と同じ学校で過ごし、同じ目線で物を見、いかなる時も彼女と共にあるために自らを幼女と化しました』

「なんじゃと!? ではおっぱいは……わらわを始めとして、幼女らを虜にし続けてきたあのふわとろの巨乳は……」

『そこのデカチチ眼鏡に差し上げました』

 なんじゃとー!? と彼女の叫びが黄昏の空に木霊する。俺も叫びたいのを必死にこらえ、トゥアールのカバーストーリーに乗っかった。

「ああ……アタシはブルーの姉なんだが、別口で戦う力を授かった後にコイツと知り合ってね……無理矢理コレを押し付けられたのさ」

 おかげでサイズが3桁越えして重いのなんの……などと言っていると、視界の隅で気絶していたブルーがピクリと動いた。

「ですのでイースナ……貴女は私のことなど忘れて新しい恋を探してください」

 うーらーやーまーしーいー!! とのたうち回るダークグラスパーへ、トゥアールは告げる。

「いいや……この携帯電話に登録されたたった一つのアドレス……貴女はそれを捨ててしまったのじゃな。しかしわらわのアドレスはあの時のまま……トゥアール、どうかもう一度貴女のアドレスを教えてはくれまいか?」

 やたらと年季の入ったスマートフォンを取り出した少女の願いを、長い沈黙で受け止めたトゥアールは重々しくその口を開く。

 

『ワタシ、イマ、ケイタイモッテマセン』

 

 目の中で飛び魚が泳ぐどころか跳ねまわっているような大嘘をついたトゥアールに、ダークグラスパーはやれ昔は出会った幼女たちにアドレスを教えまくっていただの、自撮りの写メを送らせただのと過去に行われた痴女の所業を天下に知らしめてゆく。

 陰から這い出てきた過去による大暴露大会を咳払いでごまかし、強引に中断させた痴女は、ダークグラスパーの誘いをはっきりと拒絶した。

「よかろう……今回は退くとしよう。じゃが決して諦めはせぬぞ! 幾多の世界を越えてようやく巡り合えたのじゃ!!」

 見慣れた極彩色のゲートが開き、目尻に涙を浮かべた彼女が言い放つ。

「じゃがこれだけは覚えていてほしい……わらわは人間に仇なすためにアルティメギルの軍門に下ったわけではない」

 わらわは守る物の為に戦いを選んだのじゃ! との言葉を残し、ダークグラスパー────イースナはマントを翻してゲートの中へ消えた。

 彼女が消えたのを見届けると、総二とトゥアールはようやく息をつくことが出来た。

 俺は恐るべき新たな強敵の出現に対する危機感と、かつてトゥアールを悩ませていたストーカーとはイースナのことだったのではないか? との疑念を胸に募らせていた。




リヴァイアクラーケギルディ・アナザー爆誕。
ラフレシアの姐さんと臆病大帝が属性玉になってもまだ意識が有ったっぽかったので拡大解釈。
リヴァイアさんの穴にクラさんがINしますた。バリアーもバリバリ使ってきます。
そして新技、二刀流で斬るのはライジングブレイザーと被るので刺突に。つーか拘束技からトドメのパイオニア、超電磁ロボ先輩へのリスペクト。あと科学戦隊も入ってます。

バストサイズに関してですが、ドラマCDで慧理那イエローがEカップという発言があったのと、俺ツイキャラの考察サイトが有ったので恋香さんのカップ数はそこのデータを参考にさせていただきました。

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