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「ア……リス……?」
出迎えの整合騎士を見るなり、治った右目を含んだ両目を見開いて、ユージオが呟いた。
昨日の夜、キリト達はライオスが変じた怪物を倒す事に成功した。倒れた怪物は大量の赤黒い粒子をばらまきながら消え、やがて中から出てくるようにしてライオスが姿を見せた。片腕を失い、地面に仰向けに倒れていたライオスは
こいつはどうなったのかと思った次の瞬間、ライオスの身体は黒い炎に包み込まれた。誰かが神聖術を使って火を放ったりしたのではなく、自然発火のようだった。黒い炎に焼かれながらもライオスは「愚民が愚民が、虐げられる愚民が」と繰り返していたが、炎の勢いが強くなると同時に言わなくなった。喉が焼かれてなくなったのだ。そうしてライオスの身体は黒い炎によって徐々に原形を失い、小さくなっていった。
やがて黒い炎が勝手に鎮火した時、そこにライオスの姿はなかった。血や体液や
間もなくして、上空に奇妙な空間が出現した。紫色の板のようなそれは《ステイシアの窓》に似ていない事もないが、そこに血色も何もないような白い顔がいる。生気の
明らかに英語――この世界における神聖語というものを唱えていたそいつが、それで何をしたのかというのは、不思議な事にすぐにわかった。自分達はライオスを殺害したという禁句目録違反をした。あの白い顔はその瞬間を監視し、通報したのだろう。
禁忌目録を管理しているのは公理教会であり、その先兵と言える存在が整合騎士。自分達の違反は公理教会に知られた。近いうちに整合騎士が捕まえに来るだろう。アリスの時みたいな事が起きるんだと、ユージオは言った。
そしてその通りになった。ライオスが消滅したのを確認した後、学院の寮監達がやってきて、キリト、シノン、ユージオ、そしてルコとリランを地下
アズリカはユージオとシノン、ルコの負傷を見るなり、四大聖花から作られる神聖力の結晶を取り出し、治癒術を唱えた。するとユージオの破裂していた右目、シノンの折られた右腕、ルコの切断されていた両耳が元通りになった。一体どうしてそんな事をしたのかと尋ねたが、アズリカは答えず、こう言った。
「あなた達はきっとセントラル・カセドラルで、この世界の真実を掴む事になるかもしれない。いいえ、右目の封印を破れたあなた達ならば、きっと真実を掴める。ここからそれを祈っています」
それがどういう意味なのかはわからなかった。ただ、アズリカはキリト達を、そして人界の敵であるダークテリトリーの民かもしれないルコを人と、生徒として扱ってくれたのは間違いなかった。
その恩義に、キリトはいつか必ず報いようと思った。整合騎士に連れられて、どこに行かされようが、必ずここへ戻ってきて、アズリカにまた会おう。目的のうちにそう加え、眠りに就いた。
翌朝、修剣学院の教員の一人がやってきた。公理教会の迎えの使者がやってきたのだそうで、直ちに移動するように伝えてきた。これからどこへ連れていかれるかは
いつもならば移動する生徒達が行き交っているはずの大広場には、人の気配はなかった。その代わりと言わんばかりに、存在感の大きなモノが鎮座していた。白銀色に輝く鱗に全身を包み込み、弧を描く長い尾と巨大な翼を生やしている巨大な生物、リランとはまた異なる種の飛竜だった。
法と秩序の守護者たる公理教会の整合騎士が操るとされる最強の霊獣と言われるそれが、堂々と大修練場前の広場に座っていて、その
「……どうして名前を知っているのか疑問ですが、その通りです。セントリア市域統括、公理教会整合騎士、アリス・シンセシス・サーティです」
青色の大きなマントを
だが、そこには違和感があった。何かを成し遂げようとしている、命令に従っている騎士らしい光が
その部分を除けば、シノンと同じくらいの身長の少女であると言えるのが、目の前にいる整合騎士だった。てっきり屈強な男がやっているのが整合騎士とばかり思っていたが、そんな予想は軽く外れていたのだった。整合騎士は少年少女もやっているものであるらしい。
だが、そんな事はどうでもよかった。問題は整合騎士の名前である。
アリス――それはユージオの口から何度も聞いていた、彼の幼馴染の名前と一致している。更に彼から聞いていたアリスの身体的特徴である、長くて綺麗な金色の髪の毛と深い青色の瞳というのも、あの整合騎士と一致していると来ていた。
ここから考えられる事はただ一つ、あの整合騎士こそユージオの探しているアリスであるという事だ。そして、今のユージオの行動が、それが真実であるというのを語っていた。彼はふらふらとした足取りで、整合騎士アリスに歩み寄ろうとしていたのだ。
「アリス、君なのかい……?」
「まさかユージオ、あなたなの?」。次の瞬間に整合騎士アリスはそう言って驚くのではないかと思っていた。長い間会えなかった幼馴染との再会に感動するのではないかと思った。
だが、キリトの予想は裏切られた。アリスは近寄ってきたユージオに剣を鞘ごと抜いたかと思うと、素早く振るってユージオを弾き飛ばした。驚いたルコが小さな悲鳴を上げてシノンの影に隠れ、キリトは膝を落としてユージオを助け起こす。
「言動には気を付けなさい。私にはお前達の天命を七割ほど削ってもよい権利があります。次に私に触れようとしたならば、その手を斬り落とします」
アリスは極めて冷たい声色でそう告げた。どうやらユージオが自身の幼馴染のユージオであるというのを認識できていないらしい。
そんな馬鹿な事があるわけがあるか。アリスとユージオはとても仲が良かったのだ。どちらかが離れ離れになったとしても、片方の事を忘れてしまうわけがない――そう思ったところでキリトは疑問を抱いた。
あれ? 俺はどうしてそう思っているんだ。
彼らの事など二年前に知ったばかりだというのに、何故そんなに彼らの関係を深く知っているように思っているんだ。
ユージオとアリスが、こんな事になるわけがないと、どうして知っているんだ。
(……!)
そこまで思ったところでキリトは首を横に振った。今、そんな事を考えていても仕方がない。整合騎士アリスはこれから自分達を、自身らの本拠地であるセントラル・カセドラルへ連れていくのだろう。現実世界と連絡を取る事ができるかもしれない場所へと、こいつは連れていくつもりのはずだ。ならば目的を達成する事ができる。その事をキリトは小声でユージオに伝えた。
「あの
「……うん。そのはずなんだけど、なんで、あんなふうに……」
「どんな事情があったのかはわからないが、多分セントラル・カセドラルに秘密があるはずだ。ここはひとまずあの娘の命令に従って、罪人としてセントラル・カセドラルへ潜入しよう」
ユージオは何かを考えたような顔をしていたが、すぐに頷いた。その場に居る四人――リランはシノンのスカートの内部に隠れているのでカウントしない――で整合騎士に視線を向けた時、騎士は両手に拘束具を持っていた。丁度四人分。あれでこちらを拘束するつもりなのだろう。
「上級修剣士キリト、ユージオ、シノン。ダークテリトリーの指金の子ルコ。お前達を禁忌条項抵触の
アリスはそう告げて、キリト達に歩み寄ったかと思うと、手慣れた仕草でキリト達を拘束していった。この娘はこういった事をこれまで何度もやってきたようだ。手際の良さがその事を如実に語っていた。そして拘束具と繋がれた鎖を飛竜の足元の金具に繋ぐ。なるほど、この飛竜が罪人の運搬係というわけらしい。
飛竜に繋がれて空を飛ばされ、セントラル・カセドラルまで運ばれる。恐らくこれが罪人である自分達に待っている一連の流れというものだ。これからの空の旅はきっと快適とは言えないだろう。飛竜は翼こそ大きいが、体型からして、飛行能力はリランよりは劣っている可能性が高そうだ。仮に空中戦になれば、リランが圧勝するのは目に見えている。
……ならば飛んでる途中でリランを狼竜形態に戻させ、この飛竜とアリスを撃ち落させるか? それでそのままリランの背に乗ってセントラル・カセドラルの
駄目だ。そうなれば整合騎士達と公理教会が何をやり出すかわからないし、このアリスだって無事で済まされるかも定かではない。どうしてこうなったかはわからないが、このアリスこそがユージオが探し出そうとしていたアリスその人なのだ。彼女を死なせるような事は論外、傷付ける事も避けるべきである。やはりここはアリスにされるがままになっているしかない。
キリトは気付かれないように歯を食い縛って前方を見た。その時だった。
「騎士様、お待ちください!」
不意に背後から声が聞こえてきた。間もなく足音も続いてくる。一人ではなく二人の足音だった。その二人が誰なのか、キリトは
想像の通りだった。やってきているのは、赤毛長髪の少女と、焦げ茶色の短い髪の少女。それぞれユージオとキリトの《傍付き練士》であるティーゼとロニエだった。二人は鞘に入った剣と弓を重そうに抱えながら、こちらに向かって走ってきていた。
足取りはかなり悪く、歩くたびに足元に血の雫が落ちているのも見えた。血は手元から流れ出ている。無理もない。ティーゼが抱えている青薔薇の剣も、ロニエの持っているギガスシダーの枝から製造した黒き剣、シノンの使う大弓も、彼女達では抱えて運ぶのも困難なくらいに重い。それらを無理矢理運んでいるせいで、手が血が溢れるほどの擦り傷だらけになっているのだ。
「ティーゼ!?」
「ロニエまで!?」
ユージオとシノンが言ったのはほぼ同時だった。間もなくして、二人の初等練士はキリト達のすぐ傍に辿り着く。そこで二人はアリスに近寄り、膝を落として
「騎士様、お願いがございます」
「三人に剣と弓をお返しする許可を、どうか……」
アリスは何も感じていないような表情を浮かべて二人の少女を見ていたが、やがて小さく
「いいでしょう。ただしそれらの武具は私が預かります。会話については一分ほど許可しましょう」
そう告げてアリスは二人の抱える剣と弓を軽々と持ち上げ、拘束具の入っていた飛竜の荷入れに収めた。重そうにしている様子はなかったので、彼女が自分達と同じくらい、または自分達を上回る実力の持ち主であるとわかった。
そんなアリスの事を恐れもせず、ティーゼはユージオ、ロニエはキリトとシノンの
「ユージオ先輩、ごめんなさい……私が、私が愚かな事を、したばっかりに、こんな事に……」
最初に言ったのはティーゼの方だった。それを皮切りにしてその紅葉色の瞳からぼろぼろと涙が零れ出す。普段ならばここでユージオが肩に手を添えるところであるが、拘束具に繋がれているせいでできない。だからこそユージオは、声と表情で彼女を支えるようにしていた。
「大丈夫だよ、ティーゼ。君は何も悪くない。悪いのは全部僕だ。僕がウンベールを斬ったせいでこうなったんだから。だから、君は何も悪くないよ」
君は悪くない――その言葉がキリトの思考を
あの時は誰が悪かったのだろうか。あの時、ユージオがウンベールを斬らなかったならば、連中は最悪の暴挙を
しかし、自分がライオスを斬ったせいで、ライオスは怪物になって、最後は黒い炎で
あの時、最も正しい選択はなんだったのだろうか。そんな思考が回り巡るキリトを、我に返らせたのはロニエの涙声だった。
「キリト先輩、シノン先輩、ルコちゃん……」
「ロニエ……酷い目に遭わせてしまって、ごめんなさい」
キリトより先にシノンがロニエに謝った。ロニエは一瞬きょとんとしたような顔になる。
「怖かったでしょ。ライオスとウンベールに襲われかけて……」
ロニエは下を向き、答える。
「……怖かったです。だけど、先輩達が助けてくれました。私とティーゼは先輩達に救われたんです」
ロニエがそう言ってすぐに、ティーゼが続けた。
「私達……先輩達を助けに行きます。強くなって、整合騎士になって、それで、私達を、私を助けてくれたユージオ先輩を、助けに行きます。だから、それまで、待っていてください……」
その言葉を聞いて、ユージオは何度も深く頷いていた。その後に、ロニエが膝をついて目の高さを低くした。その目線はその時既にルコの許へ届けられていた。
「ルコちゃん、本当にごめんね……あの時私達がルコちゃんを遠ざけられていれば、あんな目に遭わせる事もなかったかもしれないのに……すごく痛かったし、怖かったでしょ……」
ルコは何も言わずにロニエを見ていたが、そこから十秒も経たないうちに、顔に笑みを浮かべた。
「すごく痛かったし、怖かったけど、ルコ、もう平気」
更にルコはロニエの向こうにいるティーゼを見た。ティーゼはユージオと共にルコの方へ視線を向けてきていた。それを確認したルコは、満面の笑みを顔に浮かべた。
「ロニエ、ティーゼ。遊んでくれて、一緒に居てくれて、ありがとう」
そう言われて、ティーゼは数秒間目を見開いた後に、
「ルコちゃん、待っててね。私とティーゼで、先輩達と一緒にルコちゃんの事も助けに行くから……!」
ルコが「うん」と頷いた直後、いつの間にか飛竜の背にある
「さぁ、時間です。離れなさい」
そう言ってアリスが手綱を鳴らすと、キリト達を捕まえている飛竜がむくりと起き上がった。銀色の巨大な翼が広げられ、力強く打ち鳴らされると、巻き起こった風がティーゼとロニエの髪を、周辺の草木を揺らす。
間もなくして、飛竜はがらんどうの広場を走り出す。助走をつけているのだろう。やがて十分に速度を付けると、銀色の翼を羽ばたかせて空へと舞い上がった。瞬く間にティーゼとロニエの姿が小さくなって見えなくなり、北セントリア帝立修剣学院も、街も小さくなっていった。
その光景は、これまでの世界でリランの背に乗って空を飛んだ時に見られたものとほとんど変わりがなかった。この世界でも飛べば見られるだろうと思っていたが、まさか目の当たりにする時がリランの背に乗った時ではなく、飛竜の足に繋がれた今になるとは。自由な空の旅を満喫できるようになるのはいつになるだろうか。
そんな事を考えると同時に、キリトは自身らを捕えて飛んでいる飛竜を見つめていた。修剣学院の授業で習った、最強の霊獣とされる飛竜。公理教会の象徴の一つともされ、同じく公理教会の実働部隊のような存在である整合騎士を乗せて空を舞うと言われる生物。その姿は教科書に載っていた図と全く変わらなかった。
銀色の鱗と甲殻に身を包み、大きな翼を生やし、比較的長い尾を持ち、前足が小さい――
(やっぱり……)
リランと明らかに異なっている。リランは白金色の体毛、巨大な羽毛の翼を持ち、聖剣を思わせる一本角、大剣を
それだけではない。こいつの飛ぶ速度は、はっきり言って遅い。この飛竜は公理教会の本拠地である白亜の塔、セントラル・カセドラルを目指して一直線に飛んでいる。その証拠に、空を貫かんとしているかのように
今現在のこの世界の常識では最も速度が出ているのだろうが、キリトにとっては。とてもゆっくり飛んでいるのと変わりがないようにしか感じられなかった。これまで体験してきた世界でのリランならば、とっくにセントラル・カセドラルに到着している頃だ。初めて見た時から予想していた事だが、やはり飛竜はリランに劣る種族であるらしい。
だとすると、リランは何なのだろうか。まだリランと飛竜を戦わせた事はないので定かではないが、もし戦ったとしても、飛竜がリランに勝てる可能性は極めて低いだろう。最強の霊獣が飛竜であるならば、それを叩きのめせるリランは何者という事になるだろうか。
試しにリランと同種族の霊獣が存在していないか、飛竜を上回る力を持つ霊獣がいるかどうかの情報を調べようとした事もあったが、修剣学院のどこを探しても、リランと同種族の霊獣の情報は勿論の事、飛竜を超える力を持つ存在の情報を見つける事はできなかった。
ここまでリランの事がわからなくなったのは、アインクラッドでリランに出会ったばかりの頃以来だ。
《ぬううううううううううううむ……!》
その時、不意に頭に《声》が飛んできてキリトはびっくりした。時には凛とし過ぎていると感じる事もある少女の声色。シノンのスカートの中に隠れているリランの《声》だった。しかも何だか不満そうな《声》だ。
隠している本人であるシノン、比較的近くにいるユージオ、ルコが反応している様子がないので、キリトにだけチャンネルを合わせてきているようだった。
キリトは小声で応じる。
「ど、どうしたんだリラン。そんな声出して。まさか苦しいとか」
シノンは確かに隣にいるが、距離がないわけではない。小声で話しかけても届かないかと思いきや、リランは正確に拾い、返事してきた。
《シノンのスカートの中はお前の背中の服の中よりずっと苦しくはないから大丈夫だ。それよりも、今お前達は飛竜とやらに繋がれて飛んでいるのだろう?》
「そうだ。整合騎士が飼い主やってる飛竜に繋がれて飛んでる。行き先はセントラル・カセドラルらしいぞ」
《だとすれば、セントラル・カセドラルにはあとどれくらいで着きそうなのだ》
キリトは目の前を見る。風が吹きつけてくる中で、少しずつ大きくなってきている白亜の塔の姿が確認できた。どこに着地するのか定かではないが、あと五、六分ほどはかかりそうだ。
その事を伝えると、リランが抗議に近しい《声》を送ってきた。
《飛んで五分から六分もかかるのか!? 飛竜は我と同じような体型をしているのであろう。何故我と同じくらいの速度を出して飛ぶ事ができないのだ? 我なら三分もあればセントラル・カセドラルまで着けるぞ!》
キリトは思わず
特に遅いものが嫌いらしく、ゲームのイベントなどの移動手段として用意された飛竜や生物が遅かったりしたならば、「自分で飛んだ方が早い!」と言って飛び出す事もあった。そしてその時は本当にリランが先に目的地に着いていたものだ。なので、文句をつける彼女に反論する事はなかなかできなかった。
今もまさにその状態に当たるのだが、この飛竜への文句を俺に言われたって困る――キリトはリランへ伝えた。
「……俺に言うなよ。だけど、お前も同じ事考えてたんだな」
《キリトも我と同じ事を?》
「あぁ。この飛竜、遅いなって思ってたんだ。いや、これが今のところのこの世界の高速なんだろうけれど……お前ならもっと早く飛べるよなって。お前って、この世界だと何なんだろうな」
そう問うた後、リランからの答えが返ってくるまで少しだけ時間がかかった。
《……わからぬ。だが、それもセントラル・カセドラルでわかるかもしれぬな。この
「え?」
キリトは目を丸くした。信号らしきモノとはなんだ。キリトが尋ねるより前に、リランが答えてきた。
《セントラル・カセドラルに近付いている今、気が付いたのだ。本当にそれなのかと言われたら微妙なところだが……セントラル・カセドラルの上部から、《アニマボックス信号》らしき信号が検知できている》
《アニマボックス信号》。リラン達《
これのおかげで、《アニマボックス搭載型AI》は互いの位置を把握し合う事ができるのだが――それがセントラル・カセドラルの上部から検知できているだって?
「《アニマボックス信号》って事は……お前の《家族》があそこに居るって事なのか!?」