「うっわ、めちゃくちゃ美味しい――ッ!!」
ユウキの賭けたものは俺にこの世界で一番美味しい店の料理を奢ってもらうというものだったが、ユウキが負けたにもかかわらず、俺はユウキの願いを叶えてやることにしたのだ。ユウキに、自分の事を話させる事を条件に。
ユウキの方だが、その実力は俺とほぼ互角であり、最前線で戦ってもお釣りが余るくらいのものだと言える。多分だけど、現実世界で例えるならば、一人で一師団並みの戦闘能力を持っているだろう。これほどの実力者で、尚且つ性格もいい。こんなにいい娘を攻略組に入れない理由はない。
そして俺のお勧めしたかった料理とは、55層の街にある中華料理店のラーメンと炒飯だ。現実世界にいた時によく寄っていた定食屋も、そこと同じようにラーメンと炒飯を取り扱っていたのだが、その定食屋のそれらは、他の料理天と比べて抜群に美味しかったのだ。
その味が懐かしくなって、中華料理店を見つけて、試しに食べて見たところ、これもまた絶品で、間違いなくアインクラッドで最も美味しい店であると思う事が出来た。多分、俺が寄っていた定食屋の味にかなり似通っていたモノだったからだろう。
なお、この店にはシノンとユイ、リラン、クライン、エギル、ディアベルも連れてきた事があるのだが、全員が出される中華料理を美味しいと答えた。その結果、俺はここにユウキを連れてくる事にしたのだ。
ユウキはここがアインクラッドで一番ご飯の美味しい店なのかと首を傾げたが、まずは入って注文して食べてみろと言ってみたところ、とりあえず頷いてくれて、店の中に入り込んでくれた。
そしてユウキが頼んだのは俺がよく食べているものと同じラーメンと炒飯のセット。俺も同じものを頼み、シノンとユイ、リランは炒飯だけを注文。NPCに言い渡して、軽い話をしていると、NPCが二人くらいやってきて、俺とユウキの元にラーメンと炒飯のセットを、シノン、ユイ、リランの元に炒飯を三つ置いて去って行った。
あの定食屋の味と同じような味を食する事が出来る事に喜びを感じながら、ラーメンをすすって炒飯を口に運んでみたところ、戦って疲れた身体に現実の高級中華料理店に負けないくらいのラーメンと炒飯の旨味が染み込んできて、俺は嬉しい悲鳴を上げそうになったが、ユウキもこれ以上ないくらいに幸せそうな顔をして、嬉しい悲鳴を上げそうになっていた。
その後、ユウキは夢中になってラーメンと炒飯を食べていったが、その様子から、ユウキがこの店の味を気に入ってくれたのがわかったような気がした。
「さてとユウキ、君の願いを叶えてやったし……そろそろこっちの願いも聞いてもらおうかな」
夢中で料理を食べているユウキに声をかけると、ユウキはもぐもぐと口を動かして、ごくりと喉に飯を通した後に、口を開いた。
「ボクの事を話す、だったね。結構深いところまで話さなきゃ駄目かな」
「いやいやそんなに深いところまで話す必要はないよ。
咄嗟にシノンの方を見ると、シノンの顔には苦笑いが浮かんでいた。まぁシノンの場合は深いところまで聞かないとわからなかったし、そもそもシノンとこういう関係になれたのも、シノンが深いところまで話してくれたのが理由なんだけどな。
「わかった。約束は約束だから、話すよキリト。まずは、ボクがやってたゲームの、ALOについて話すよ」
そう言って、ユウキはここに来るまでやっていたゲームであるALOについて話し始めた。ALO、《アルヴヘイム・オンライン》とは、今のところSAOのサーバー維持やシステム管理などを行っているレクトプログレスが運営している、VRMMORPGで、妖精達の世界を再現したものなんだそうだ。そこでは、プレイヤーは翼を持つ妖精となって、魔法や武器を駆使しながら戦い、様々な場所に冒険を繰り広げていくものらしい。
この翼を生やして飛行する事が出来ると言うのが、最大の売りらしく、現実では出来っこない飛行が出来ると言う謳い文句に数多のプレイヤーがこのゲームを購入し、その楽しさにどっぷりつかっているんだそうだ。勿論、ユウキもその一人らしい。
そしてこのゲームをプレイするのに必要なのはVRMMOをプレイできるフルダイブゲームハード。その名は《アミュスフィア》というそうだ。
《アミュスフィア》はナーヴギアの後継機ともいえる物で、ナーヴギアみたいに被ってプレイするモノではなく、バイザーのように装着して、ネットの世界にプレイヤーを送り込むものなんだそうだ。
ナーヴギアが茅場晶彦によって悪魔の危機と言われてしまっても、フルダイブVRMMOというのは爆発的な需要があった。そこで、ナーヴギアのように脳を焼切れるほどの電磁パルスを持たず、値段も安く、プレイヤーを閉じ込める事も出来ない《アミュスフィア》が、大手ゲームメーカーによって販売される事となったそうだ。
その話を聞いた時点で、俺は大手ゲームメーカーに元アーガスの社員が入り込んで、アーガスで培った知恵や技術を分け与えたのだと気付いた。
「なるほど。だけど《アミュスフィア》を使ったとしても、飛ばされるのはSAOのあるネットの海。ネット中に伸ばされているSAOの魔の手に掴まってしまうと言う危険性はあるという事か」
ユウキは頷き、ラーメンの器を両手で持って、中のスープを軽く飲んで、器を置いた。
「そういう事だね。いつもどおりALOをプレイしようとしたら、辿り着いた先はSAO。とんでもない衝撃っていうものを感じたような気がしたよ、キリトから話を聞いた時には」
続けて、シノンがユウキに声をかける。
「ねぇユウキ、そのALOで待ってる人がいるって言ってたけれど、その人って誰なの。関係とかそういうのは話さなくてもいいけれど、せめて名前とかは聞いてみたいわ」
ユウキは困ったような顔をした。
「それなんだけど……ここに落ちてきたせいなのかな。その人の名前を度忘れしちゃったんだ」
「えっ、覚えてないのかよ」
リランが咄嗟に《声》を出す。
《きっとキリトがユウキに攻撃を仕掛けたからに違いないぞ。キリトの攻撃は頭に受けると記憶が吹っ飛ぶくらいの威力があるからな》
「いやいやいや、確かにユウキを攻撃したけれど、頭は狙ってないから」
ユウキが頷く。
「キリトのは関係ないよ、本当に度忘れしちゃっただけだから。だけどどんな名前だったかなぁ。喉の辺りまで出かかってるんだけど、思い出せなくて、もうちょっとなんだけどなぁ」
ユウキが喉の辺りを指差して、天井を仰ぎ始める。多分思い出そうと必死なのだろうけれど、どこか間が抜けているよう感じる。
「人の名前が覚えられないのはよくある事だけど、それ以上のこと忘れてたら記憶力
ふと軽く悪態を吐いた次の瞬間、ユウキは驚いたような顔になって、俺に視線を向けてきた。いきなり見つめられてぎょっとする。
「お、おいなんだ」
「キリト、今なんて言った?」
「え、だとしか言えないぞ……」
「その前だよ!」
「えっと、それ以上の事を忘れてたら記憶力
次の瞬間、ユウキは俺を指差して、大きな声を上げた。
「それだ――――ッ!!!」
「いきなりでかい声出すな! 何がそれなんだ!?」
「カイムだよ! ボクの大事な人! カイムっていうんだ! やっと思い出した!」
カイム。その名前を聞いた瞬間、俺はふとある者の事を思い出した。まだ現実世界にいた時に、リアルでも友達で、ネットゲームでよくパーティを組んで楽しんでいた友人。そいつの名前もカイムだった。
「カイムって……まさか、俺の友人のカイムと同じか!?」
「えっ、キリトの友達にもカイムって名前の人がいるの!?」
「あぁ、こっちはリアルでも友人だった。あいつもSAOにログインするはずだったんだけど、始まりの日は都合が悪くなってログインできないって言って……そうか、あいつはあの後ALOに行ってたのか!」
「カイムもそんな事言ってたよ。大事な友達がSAOに閉じ込められちゃって、生きてるかどうかわからないって。カイムの言ってた友達って、キリトの事だったんだね」
「そうだ。しかしまさか、あいつにもそんな余裕が出来るようになったんだな。君と一緒にALOをプレイできるくらいの余裕が……」
シノンがどこか複雑そうな表情を浮かべて、溜息交じりに言った。
「なるほど、数奇な運命もあったものね。ユウキの大事な人っていうのが、キリトの昔からの友達で、その友達はナーヴギアを被りそうだったけれどそうはならなくて、SAOに巻き込まれる事はなかった……だけどその人も危ないっていえば危ないんじゃないかしら」
ユウキと一緒に顔をシノンに向けると、シノンはまだ残っている炒飯の山をスプーンでつついた。
「その人もALOにダイブしてるって事は、ユウキと同じようにSAOに呑み込まれてくる可能性があるわ。その人には、なるべくVRにダイブしないよう言っておいた方がいいんじゃないかしら」
確かに、ユウキがALOをプレイするためにダイブした結果、SAOに拉致されてしまったというこの事件は、VRMMOをプレイしているすべてのプレイヤーにも当てはまる出来事に他ならない。このSAOの存在しているネットの海に行くという事は、SAOに拉致される可能性があるという事だ。
「大変だ! カイムに伝えないと!」
そう言って、ユウキはメッセージウインドウを開いたが、ユイが困ったような表情を浮かべた。
「残念ですがユウキさん、ここではALOにメッセージを送る事は出来ません。そのカイムさんという方には、自分で警戒してもらう他ないかと……そもそも私にも何故ユウキさんのような事例が起きているのか、理解できない一方です。このゲームにそんな機能はなかったはずなのに……」
一応ゲームマスターのようにこの世界の事を理解しているユイでも、このゲームに他のゲームをプレイしていたプレイヤーが巻き込まれてくるのかは、わからないようだ。多分この真実を知っているのは茅場晶彦なんだろうけれど、あいつは今どこにいるのやら。同じ制作者であるイリスも知らないみたいだし。
「大丈夫かなぁ」
「大丈夫である事を祈るしかないよ。さてと、ユウキの話はそれくらいでいいな。あと、ユウキ、君をアインクラッド攻略に招き入れるかどうかの判断だが……」
俺はユウキに親指を立てた拳を突き出した。
「ばっちりだ。君の強さは折り紙つきどころじゃないほどの高いもの、他の連中が見たら希望を抱くくらいの強さだ。共に力を合わせて、この城を突破して、一緒にカイムのところへ行こう」
「え、いいの!? キリト達と一緒に戦って、いいの!?」
「いいともさ」
シノンが頷いて微笑む。
「流石絶剣と呼ばれるだけあるわね。あの強さには恐れ入ったわ。あんたは攻略組に加えても何の問題もないもないどころか、攻略組の強さを大幅に引き上げるわ。私もキリトに賛成よ。力を合わせて戦っていきましょう」
《異論なしだ。お前の強さは確実に攻略組の者達の希望となるだろう。共に戦おうではないか》
ユウキはにっこりと笑って頷いた。
「ありがとう、みんな!」
これだけ強い娘が攻略組に加わるのだ、次のボス戦はアスナもディアベルも腰を抜かすようなものになるだろう――そう思ったその時に、メッセージウインドウが突如動き出した。メッセージが届いたという通知だ。
何事かと開いてみれば、差出人はディアベル。内容を見てみたところ、攻略組の活躍により早くもフィールドが突破されて、フィールドボスも倒されて、迷宮区も攻略され、ボスの部屋を発見する事に成功したそうだ。その文章に、随分と手際が良くなったなと思っていたところ、最後の辺りにあった文章に俺はハッとした。
「今日の午後5時から攻略会議を行う。今回は、俺達に因縁のある相手だ。必ずキリトも参加してくれ」
俺達に因縁のある相手……一瞬何なのか戸惑ったが、すぐに丁度いいと思った。午後5時にボスの攻略会議とくれば、戦いは明日。ユウキの実力ボス戦で発揮するのに最適だ。
「なるほど、丁度いいところにボス戦が来たもんだ」
「え、ボス戦? もうボス部屋が見つかったの?」
シノンの言葉に頷く。
「あぁ。今回は凄く手際よく進んだみたいでな。明日のボス戦会議を午後5時からやるつもりらしい。俺達も参加してくれだってさ。ユウキ、君にも参加してほしい」
ユウキが目を丸くする。
「おぉっ、早速ボス戦だね! いいよいいよー! あっ、でも……」
いきなりしょんぼりしたユウキに首を傾げる。
「どうしたんだ」
「ボク……ちょっとだけ自信が無いかも」
「えぇっ、なんでだよ。君は俺とほぼ互角に戦い合ったんだぞ。自信がないなんて事は一切ないよ」
「そうじゃないんだ。キリト、ボクが最後に付き攻撃を撃ちまくったよね。あれ、実はソードスキルなんだよ」
俺は思わず目を見開く。ソードスキルというのは剣が光を纏って発動するものであるから、ソードスキルを使えば剣が光を纏うはずなのだが、あの時のユウキの剣は光を纏っていなかった。それに、そういえばあの時、最後の辺りでユウキが何が起きたかわからないような顔をしていたな……。
「でも、あの時の君の剣は光を纏っていなかったぞ」
「そうなんだよ。ALOじゃ光るはずなのに、こっちじゃ光らないし、システムアシストも働かないわで……あの技が一番威力のある技だったんだけど、やっぱりここじゃあOSSの発動は出来ないんだね……」
「OSS? OSSっていうのは、何の事なの」
「OSSっていうのは、ALOに実装されてる、オリジナルソードスキルの事だよ。ボクはそれですごい威力を持つものを持ってるんだけど、SAOで発動させようとしても発動出来なくて、驚いた。それでキリトに負けちゃったんだけどね」
オリジナルソードスキル。というか、ALOにもソードスキルなんてものが存在しているのか。なんというか、SAOに似ているような気がしないわけでもない。
「ソードスキルまで実装されているなんて……なんというか、SAOに似ていて親近感が湧くな」
「あぁうん。なんなら、このゲームが終わったらキリト達もALOに来る?」
「うん。考えておこうかな。だけどユウキ、君はその技が無くても十分に戦える。だから明日のボス戦は平気、へっちゃらだ。俺達だってフォローするんだからさ」
ユウキの顔に安堵のような表情が戻ってきた。
「それもそうだね。何だか明日が楽しみになってきた」
俺はメッセージを再度確認した。場所は56層の聖竜連合本部前広場であるようだ。更にメッセージの内容によると、血盟騎士団の方にも招集がかかっているらしく、かなりの大所帯になる事が予想できる。そして時間の方を確認してみたところ、既に午後4時を回っており、攻略会議まで1時間を切っていた。
「よし、食べ終わったら聖竜連合本部に向かおう。そこで明日の攻略会議だ」
そう言って、俺はラーメンのスープを啜った。
◇◇◇
食事を終えた後に、俺達は聖竜連合の本部のある56層に赴いた。そこでは既に、攻略会議のために多くのプレイヤーが集まっており、まるでイベント会場のようになっていた。そして広場の中央付近の高台に、聖竜連合の証である青い鎧に身を包んだ騎士、ディアベルの姿があった。
「それでは、始めさせてもらいたいと思います。本日は俺達の声掛けに応じてくれてありがとうございます。
早速ですが、今日、迷宮区が早くも突破され。ボス部屋が発見されました」
ディアベルは一枚の小さな紙を取り出して、その中を軽く見つめた後に顔を上げた。
「これからボスの情報を発表しますが……どうやら第1層の時から一緒に戦い続けてきた人達にとっては、因縁深い相手のようだ」
ディアベルは辺りに集まるプレイヤー達を見回した。
「そのボスの名は、デトネイター・ザ・コボルトロード」
その名前に、俺達、第1層から攻略を続けている者達はハッとしてしまった。
コボルトロードと言えば、第1層の強力なボスの名前と同じだ。まさか、今回のボスはあれの強化型だとでも言うのか。
戸惑う俺達にディアベルは更に話を続けた。
「このデトネイターは、第1層の時に戦ったイルファングの強化型ともいえるタイプで、戦斧と盾を装備しているが、腰に強力そうな外観の大剣を携えている。
この事から察するに、ダメージを負うとこの大剣に武器を持ちかまえ、行動パターンやソードスキルを大幅に変化させる事が予想される。きっと、非常に強力なボスであり、辛いボス戦になるだろう。どんな戦いが繰り広げられるかは全く予想が出来ない。各自気を付けて事に当たってくれ」
ディアベルはそう言った後に、周りに集まるプレイヤー達のレイドを組むよう指示、明日はそのパーティでボス戦に臨むようにと言って、そそくさと攻略会議を解散させた。
まぁボス戦の事をああだこうだ言って細かく作戦を考えるよりも、現地に赴いて即席で作戦を立てる方が、上手く事が運びやすいから、あれでいいと言えば、そのとおりなのだが。
「コボルトロード……まさかその名前をまた聞く事になるなんて」
「コボルトの主って意味の言葉だけど……あなたにとって因縁深いの?」
シノンの言葉に頷くと、近くから声が聞こえてきた。
「俺達にとって、コボルトロードは因縁の相手なんです、シノンさん」
声の聞こえてきた方向に目を向けてみれば、そこにあったのはつい今作戦会議を開いていたディアベルの姿だった。
「ディアベル……」
俺の呼び声に答えるように、ディアベルは近付いてきて、微笑みながら掌を立てた。直後に、シノンの方へ顔を向ける。
「コボルトロードは、第1層の時に戦ったボスなんです。あれが俺達の初めてのボス戦だったものですから、よく記憶に残っています。俺もまたコボルトロードなんて名前を見た時には驚きましたよ」
シノンが腕組みをする。
「そうだったんだ。それは確かに因縁の相手になるわね」
俺の隣にいたユウキが力むような姿勢を取る。
「なんだかわくわくしてきた! 早く戦いたいなー!」
まだユウキの事を見た事が無かったであろうディアベルが、ユウキに顔を向けてきょとんとする。
「あれ、この人は?」
「この人はユウキだ。今日から俺達と一緒に攻略を繰り広げてくれる、頼もしい仲間だ」
「本当なのか? 何だかそうは見えないんだけれど……」
頭の中でユウキとの戦闘の光景がフラッシュバックされて、思わずふふんと笑う。
「この人の実力はとんでもないぞ。明日のボス戦を楽しみにしておく事だディアベル君」
「なんだかよくわからないが、過小評価はするなって事だな。了解しておくよ」
ディアベルは苦笑いした後に、表情を険しくした。
「さてとキリト。明日のボス戦はどうなるか全く見当が付いていない。そこで、いつもお前に頼むようで悪いんだが」
「言われなくたって、人竜一体を駆使して戦うさ。第1層の時と違って、今回は俺達にも切り札があるんだ。怯えずに、不安にならずに戦おう」
《あすも十分に頼ってくれていいぞディアベル。肝心なのは怯えずに戦う事と、空腹のまま戦わない事だ》
「あぁ、そうだな。明日も頼りにさせてもらうよ、キリト、リラン。シノンさんも、えっと、ユウキさんもだ」
ディアベルの言葉にシノンが頷き、ユウキもにっこりと笑った。ユウキが来てくれたとはいえ、どんな事になるか予想が付かないのがボス戦。気を引き締めていかないと。