キリト・イン・ビーストテイマー   作:クジュラ・レイ

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 エイジとユナ。

 長め。

 


11:歌姫と戦士 ―戦機との戦い―

          □□□

 

 

 目を開けると、そこは黒い空間だった。どこを見回しても何も見当たらない。黒以外の色がないように見えたが、自分の身体の色は確認できた。何も黒以外の色がないわけではなかった。だけど、ここがどこなのかはわからない。

 

 試しに手を伸ばしてみたところ、すぐに何かに触れたような感覚がして止まった。壁がある。そのまま身体ごとぐるりと回ってみると、全方位が壁に囲まれているとわかった。全方位が壁の、狭い空間の中にいると、重村(しげむら)悠那(ゆうな)は理解した。

 

 

「ここ、どこだろう……」

 

 

 ふと呟いても、声は響いていなかった。やはりここは狭いらしい。自分の身体がすっぽりと包み込めるくらいの大きさしかない、不可思議な空間。どこなのか見当もつかなかった。だが奇妙な事に空間そのものが暖かい。まるで何かの身体の中のようだ。

 

 これは何かの身体の中、胃の中なのだろうか。だとすれば自分は何かに食べられてしまったという事になるが、何に食べられてしまったのだろう。そしてもし本当に食べられているのであれば、自分の身体はどんどん消化されて溶けていってしまうはずだが、そんな気配はない。つまりここは胃袋の中というわけではないのだろう。

 

 では、何かの胎内なのだろうか。母親の胎内の中、子供が生まれる直前まで育てられるところに、自分はいつの間にか戻ってきてしまったのだろうか。どうしてそんな事になってしまったのか、やはり見当がつかない。

 

 

「あ……!?」

 

 

 その時悠那は異変に気が付いた。触っている壁がどんどん迫ってきている。空間そのものが小さくなってきているのだ。驚いた悠那は咄嗟に壁を手で押し返そうとしたが、びくともしない。壁は迫ってくる。空間は縮んでいく。

 

 

「んあ、ああっ……」

 

 

 あっという間に空間は悠那よりも縮んで、中にいる悠那ごと縮み切ってしまおうとし始めた。身体のあちこちがぎゅうぎゅうと潰されそうになり、胸を圧迫(あっぱく)される事で息をするのも難しくなってきた。

 

 どうしてこんな事になっているの。

 

 ここはどこなの。どうして私はここにいるの。

 

 このまま潰されるの。そんなの、嫌だよ。何もわからないまま潰れて死んじゃうなんて、嫌だよ。

 

 悠那は必死に(うった)えようとしたが、もう声を出すのも難しくなってきた。本当に終わりだ。このままわけがわからないまま潰されて、自分は死ぬのだ。

 

 生き返る事ができたのに。大切な人達――今となっては家族である人達のところに帰る事ができたというのに、理由も教えてもらえないまま別れさせられて、ここで潰されて死んでしまうなんて。そんなの、受け入れられるはずがない。

 

 

《歌える、これでまた、歌える》

 

 

 迫りくる壁に押し潰される直前で、声が聞こえた。

 

 

「え……?」

 

 

 悠那は思わず声を出していた。迫りくる壁からできる限り離れて、(のど)にほんの少しの余裕を確保して声を出す。

 

 

《私はこれで大丈夫。これでまた歌えるんだ》

 

 

 またしても声が聞こえてた。気のせいではないようだ。確かに何かが(つぶや)いている。ここに自分以外の何かがいるのは間違いない。だが、どういう事なのだろうか。聞こえてくる声は自分のそれによく似ている。これもまた気のせいとは思えなかった。

 

 

「誰……誰か、いるの……?」

 

 

 悠那の問いかけは闇に吸い込まれていった。無駄だとわかっていても、やめる事はできなかった。意外な事に反応があった。目の前にぼんやりと白い光が(とも)ったかと思うと、人の形を取っていく。見えない手がこねているかのようだ。

 

 その光景は自分の掌の向こうで見えている。一見真っ黒の空間と思われていたこの場所は、ガラスのように透明で、硬くてびくともしない(まく)の中であったらしい。真っ黒なのはこの膜の外だった。そんな事を考えつつも、悠那はこねられる光を見続けた。

 

 光が完全に人の形になったかと思ったところで、悠那は驚いた。白い光が姿を変えてできあがったものは、自分だった。髪の毛の色は雪のように白く、瞳は宝石のように赤く、黒をメインにしたサイバー系のデザインをしたユニフォームをまとっている事を除けば、自分に瓜二(うりふた)つだった。

 

 

「あなたは……私……?」

 

《……!》

 

 

 そう問いかけた時に、悠那を潰そうと(せま)る膜の圧縮が止まった。今の声が届いたのだろうか。身動きは取れないし、少し苦しいが、呼吸ができるようになった。悠那は改めて、目の前にいる自分によく似た少女を確認する。髪と目の色、ユニフォーム以外はやはり自分と同じだった。

 

 自分と全く同じ姿をした存在がいる事をドッペルゲンガーというらしいぞ――そんな話を弟、いや、接していると我が子と思えてくる大切な子から聞いた。つまりあれは自分のドッペルゲンガーとでもいうのだろうか。

 

 いや、その子によれば髪や目の色も同じでないとドッペルゲンガーでなく、もし姿形が似ていても身体の一部の色相(しきそう)が違うならば、それは遺伝子レベルでのそっくりさんであって、自分とは異なる人という話だった。思い出した悠那はひとまず、自分そっくりの少女に問いかけた。

 

 

「ねえ、あなたは誰。色々と私によく似てる気がするんだけど」

 

 

 少女の口が動いた。よく見れば自分に似た色相の唇をしている。そこは似てるのね。

 

 

《私の名前。私の名前は、ユナ》

 

 

 《ユナ》。そう聞いて悠那はまた驚いた。自分の名前は悠那だが、前にやっていて、そして一度目の死に繋がったゲームの中で使っていた名前がユナだった。そしてその名前はこれからもゲームをする時に使っていくつもりだ。

 

 

「ユナ? あなたもユナっていう名前なんだ。奇遇(きぐう)だね」

 

《奇遇? あなたもユナ?》

 

「うん、そうなの。私もユナっていう名前なの。あ、本当は悠那っていうんだけどね」

 

 

 そんな事を気軽に教えるべきではないとは知っている。だが、悠那は目の前のユナに教えても良いと思っていた。姿のせいなのか、名前のせいなのか、他人ではないみたいに感じるのだ。

 

 

「ねえ、あまり考えたくないんだけど、私をここに連れてきたのってあなたなの。私、もう少しでここで潰されそうになってたんだけど……」

 

 

 ユナは答えない。きょとんとしているような顔でこっちを見ているだけだ。図星なのか、そうではないのかの判断も付かなかった。

 

 

《そう、必要だから。私がまた歌うために必要なの》

 

「歌う? あなたも歌が好きなの」

 

《ううん、歌を歌うために私は生まれたの。歌を歌って、皆を喜ばせて、楽しませてあげるために、私は生まれたの》

 

 

 明確な目的があって、そのために自分は作られた。先程から思い出している大切な子も確か、そんな事を言っていた。ユナとあの子は同じなのだろうか。ユナの話は続く。

 

 

《でも、今私は壊れてるみたいなの。歌を歌おうとしても、途中までしか歌えないの。だから、直さなきゃいけない。直して、また歌えるようにならないといけないの。そうでなきゃ私はきっと、私じゃなくなってしまう》

 

 

 歌が歌えないと自分が自分でなくなってしまう? 悠那はそこに引っかかりを感じた。歌を歌えないと、自分に価値がないとでも言うのだろうか。それでは歌う事を強制されているではないか。歌はそんな事のためにあるのではないし、誰かに強制されて歌うのが歌ではないはずだ。

 

 いや、仮にそうであるならば、それは――。

 

 

「そんな……歌えない自分は自分じゃないっていうの」

 

《そう。私はそんな存在。だから私は直って、また歌を歌わなきゃいけない》

 

 

 ユナが答えた次の瞬間、悠那を閉じ込める膜がまた縮み始めた。身体のあちこちが締め付けられて、潰れる痛みと苦しさがいっぺんに来る。悠那は身体をなるべく縮こまらせて、空間の余裕を確保しようとした。

 

 

《そのために必要なのが、あなたみたいなの。だから……》

 

 

 ユナは無機質な顔で告げてきた。あのユナを直すために自分はここに連れてこさせられて、そして今潰されようとしている。それはわかったが、悠那はその中で気になって仕方がない事があるのを掴んだ。

 

 ユナはまるで嬉しそうではないのだ。自分の役目を果たすために自分を直そうとしていて、今まさにその瞬間が来そうなのに、全然嬉しそうな顔をしていない。声だって無機質だし、表情さえもまた冷たい機械のように淡々(たんたん)としている。

 

 とても、歌を誰かに届ける事を願っているようには見えない。

 

 

「待って……あなたは本当に、歌を歌いたいの……?」

 

《うん。歌いたい。皆のために、歌いたいの。大勢の人々のために。私はそのために作られたんだから》

 

 

 無機質にユナは返事する。聞かれた事を機械的に返しているだけのようだ。

 

 そんなユナの言っている想いと願いは、偶然かそうではないのか、自分と同じだった。自分の抱いている夢もそうだ。とても大きなステージに大勢の客を集めて、歌を披露して、大熱狂を起こしたい。それが自分の願いと夢だが――それを成就させるために大事なモノがある事を知った。

 

 その事を目の前にいるユナは知らないのだろう。大きなステージで大勢の客の前で歌いたいという夢を抱いたばかりの時の自分と同じだ。

 

 

「私と、おんなじだね……私も、あなたの言ってる事と、同じ事をしたいと思ってるの……」

 

《そうなんだ》

 

「そうだよ……でもね、いきなりそんな事をしようとしたって、上手くいかないよ……」

 

 

 ユナは首を傾げた。膜の縮みが止まる。

 

 

《上手くいかない?》

 

「うん。だって、大勢の人の前で歌を歌って喜んでもらうにはまず――」

 

 

 悠那は顔を上げた。頭の中に大切な人の顔が浮かび上がる。自分に大切なモノを気付かせてくれた人達であり、自分にとって必要不可欠の存在。

 

 

「自分自身が歌を好きになって、それで一番身近にいる、大好きな人に歌を聞いてもらって、喜んでもらわないといけないもの」

 

 

 

 

 

          □□□

 

 

 ケルベロスとの戦いはかなり長引いている方に入っていた。三体の犬型戦機が合体する事で具現しているボスエネミーという事もあってか、三体分のHPやステータスが積み上げられているという事なのかもしれない。あまりこういったゲームで遊んだ事のないエイジでも、それはわかった。

 

 一緒に居るかつての敵であり、今は理解者となってくれたキリト達もいるが、事は上手く進んでいるとは言い難い。こういうゲームは彼らの方が得意だが、そんな彼らが加わっているというのに、迅速(じんそく)な撃破に辿(たど)り着けていない。これはつまり、キリト達から見てもケルベロスは強敵であるという事だ。

 

 

「くそッ……あと少しで悠那のところに行けるのに」

 

 

 エイジは歯を食い縛ってケルベロスの向こうを見た。そこには巨大な宇宙船が浮かんでいる。その下の広場にユナ/がいるという悠那がいるという話だ。

 

 自分達はユナの近くまで来る事はできているのだが、その寸前のところに扉があり、そこをケルベロスが守っている。ケルベロスはユナへ続く扉を(ふさ)ぐ番人だ。

 

 そう言えばケルベロスは地獄の門を守っている番犬という話を聞いた事がある。となるとユナは今地獄に行こうとしているという事なのだろうか。いや、そんな事をさせるわけにはいかない。ユナはれっきとした生者であり、死者ではないのだ。

 

 地獄などという死者の向かう場所へ行かせてなるものか。連れて行かせるものか。エイジは再度ケルベロスへ目を向け直す。合わせるようにして上空を何かが飛んでいった。キリトを乗せたリランだ。

 

 この世界では飛行ユニットに変形できるという彼女は、上空からの攻撃をしてくれている。搭載(とうさい)している武装はヴァンのものよりも強いものばかりで、頼もしい限りだ。特に彼女の放つミサイルがよく効いているようなのだが、それでケルベロスの《HPバー》をごりごり削ってくれているかというとそうでもない。

 

 どうした、もっとしっかり火力を出せ――そう言ってやりたくもなったが、エイジは言えなかった。彼女を使役するキリトには助けられてきたのが事実だし、もしこの場で彼らがいないのであれば、あのケルベロスを倒してユナを救う事など絶対に叶わない。

 

 不平不満を言っていい立場に自分はいないとわかったからこそ、エイジはずっと何も言わずに戦っているのだった。

 

 

「こいつは強いよ。わたし、ここまで強いエネミーとやり合ったのは初めてかも」

 

 

 キリト達の仲間であるという少女レンが呟く。彼女は素早さをとにかく意識したステータス構成をしているらしく、とんでもない速度で動き回るから驚いたものだ。その動きの俊敏(しゅんびん)さは、オーディナル・スケールで強化外骨格(エクソスケルトン)を装着した際の自分の動きに近しい部分を感じられた。あれだけの事ができるならば、一度ステータスをリセットして、素早さ重視に振り直そうかとも思ったくらいだった。

 

 そこまでの動きを出せる彼女も強いと言っているのだから、やはりケルベロスは厄介なエネミーだという事なのだろう。よりによってそんな奴の縄張りに行ってしまったのがユナだなんて、なんともひどい状況だ。

 

 

《お前らでも強いっていう奴のところに行ってるのかよ、ユナは》

 

 

 ヴァンの《声》が頭に響く。直後に光学ライフル銃を構える恩師イリスが答えた。

 

 

「あぁ、実に運が悪いというか、嫌な要素が詰まってしまってるね。文句の一つでも垂れたいかい?」

 

《当たり前だ。ユナを取り戻したら文句を言ってやる。面倒な奴のところに行くなってな!》

 

「じゃあ、ユナを一刻も早く取り戻さないとだね!」

 

 

 そう言ってイリスは掌に小さな立方体を零れそうなくらい持ち、ぶんと投げた。グレネードかと思われたそれはふわりと宙を飛び、ケルベロスへ向かってレーザー光線を放った。浮遊型ビット武器といったところらしい。そんな武器もあるのかとエイジは感心していたが、ケルベロスのHPをがりがり削れると言えるような火力は出ていなかった。

 

 それを見たヴァンが地を蹴って走り出し、ケルベロスに殴りかかるが、ケルベロスも大木と同じくらいの太さがある腕で防御する。直後にお返しにと言わんばかりにもう片方の手でヴァンを殴りつけようとするが、ヴァンは咄嗟(とっさ)にバックステップして回避、左肩の迫撃砲(はくげきほう)を放つ。

 

 本来は地面に設置して射角を取って放つものだという話だが、ヴァンはそれを左肩に搭載して、射角もほとんど気にせず放つ事ができるようだった。そのヴァンの放った砲弾は真っ直ぐケルベロスへ突進し、炸裂(さくれつ)。爆炎を巻き散らかしてケルベロスのHPをほんの少しだけ削った。

 

 

「この一撃はどうかなぁッ!?」

 

 

 直後、ゴグマゴグなる双頭の狼型戦機を操るピトフーイの声がして、彼女を乗せたゴグマゴグがケルベロスの許へ向かった。距離が一気に縮み、丁度殴り掛かれるようなところまでいくと、ゴグマゴグは肩から生える巨大な両腕を組み、所謂(いわゆる)アームハンマーを作って叩き付けた。

 

 だが、その時ケルベロスに驚くべき事態が起きた。ゴグマゴグの巨腕が作るハンマーが振り下ろされる直前で、一番上のシェパード型の首が外れた。

 

 いや、違う。合体していたシェパード型戦機がその合体を解いてジャンプしたのだ。そして残された二体はそのまま身体を傾ける事でゴグマゴグのアームハンマーを回避する。

 

 

「なッ……」

 

「「なんじゃそりゃあああああああああ!?」」

 

 

 シノンが(こぼ)し、レンとフカ次郎が絶叫した。合体している戦機が自ら合体を解いて回避に利用してくるなんて、予想できるものではない。ここまでの事ができる存在がゲームにいるなんて知らなかったものだから、もう絶句するしかなかった。他の者達も声を上げて驚いている辺り、熟練者でも見た事のないものだったようだ。

 

 

「そ、そんな事もできちゃうの!?」

 

「なんていう……」

 

 

 アスナとユピテルも驚いてしまっている。彼女達をそうさせたケルベロスはゴグマゴグを両腕で殴り返した後にバックステップし、分離していたシェパード型戦機が追い付いて再び合体し、元のケルベロスの形態へ戻る。

 

 

「うっは……ははははははははははははははは!!!」

 

 

 直後、ピトフーイが絶叫に等しい声量で笑い出した。先程からずっと見てきて、おかしい奴なんじゃないかと思っていたが、それを肯定(こうてい)して来ているような様子だ。

 

 

「そんな事できるとか、革新的(かくしんてき)! っていうか私でも思い付かなかったわ!」

 

「ピト、何が思いついたんだ」

 

 

 亀型戦機に乗り込んでいるエムの声がしたかと思うと、ピトフーイは答えた。彼女を乗せるゴグマゴグが体勢を直してぶんと首を横に振る。

 

 

「分離だよ! 今までは戦ってる最中に分離させるとか考えた事なかった! でもこいつのおかげでやり方がわかっちゃったんだよねぇ!!」

 

 

 ピトフーイが言った直後、ゴグマゴグはケルベロスへ向かって走り出した。双頭の狼型戦機と、三つ首の犬型戦機。その強さは後者の方が上であるとわかってしまっているのが現状だが、前者が(あきら)める気配などなかった。

 

 その前者となっているゴグマゴグに顔を合わせたケルベロスは、その口内にエネルギーを収束させ始めた。火炎、冷気、電撃が一斉に放たれようとしている。あんなものを喰らったら拙いんじゃないか――そんなエイジの視線を浴びたケルベロスは、集束させたそれを放った。火炎と冷気と電撃が(ほとばし)り、ゴグマゴグに勢いよく突進していく。

 

 

「ゴグマゴグ、分離だよ! 離れなッ!!」

 

 

 その刹那にピトフーイが一声発した瞬間、またしても驚くべき光景が起きた。合体して一体になっていた狼型戦機の身体が左右に分離したのだ。それによって二体となった狼型戦機は左右方向に回避していき、ケルベロスの三属性ブレス攻撃を空撃ちで終わらせた。

 

 

「えええええええええええ!?」

 

 

 またまたレンが大声で驚く。彼女はゴグマゴグを見慣れているようだと思っていたが、あんなふうになったところは見た事がなかったのだろうか。キリトならわかりそうだが、エイジにはわからなかった。

 

 そんなふうにレンに叫ばせたゴグとマゴグ――その主であるピトフーイはマゴグの背中に飛び移っており、ケルベロスから見て右方向にいた。

 

 

「良いヒントのアドバイスをサンキュー。そしてご苦労さんッ!」

 

 

 ピトフーイの掛け声と同時にゴグとマゴグが左右方向からケルベロスへ襲い掛かり、それまで巨腕だった方の腕で思いきり殴り掛かった。二匹の狼型戦機のパンチはケルベロスの左右の頭に直撃、鋼鉄同士がぶつかり合う金属音が鳴り響き、火花が散って辺りが一瞬だけ明るくなる。

 

 ケルベロスの《HPバー》がかなり減ったのが確認できた。それまで大したダメージを与えられていなかったはずだが、今のは効いた。

 

 

「効きました! そこです、ケルベロスは頭が弱点です!」

 

 

 ユピテルが声を張り上げる。そう言えばこれまではとりあえず攻撃しようという事で、ケルベロスの身体のあちこちを狙うだけで、どこかを重点的に狙ったりはしなかった。ダメージが与えられていなかったのはそれが原因か。

 

 納得するエイジの近くに、空を飛んでいたリランが元の姿に戻って降りてくる。

 

 

「なるほど、そこを狙えば良かったのか。焦ってて全然気付かなかった」

 

 

 リランの背中にいるキリトが言ってくると、エイジは思わず鼻で笑った。

 

 

「なんだ、お前でも気付かなかったのか。お前の事だからとっくに気付いているものだと」

 

「俺でもそんなに万能じゃないんだ。でも効くものはわかってたぜ」

 

「効くもの?」

 

 

 エイジの問いかけにキリトは不敵な笑みを返してきた。

 

 

「エイジ、お前の持ってる剣だよ。お前がその剣で斬った時、明らかに多くダメージが入っていたんだ。多分それには戦機系に対する特効みたいなものが付与されてる」

 

 

 キリトの言葉にエイジは目を見開いた。

 

 僕の持っている剣がケルベロスなどの戦機によく効く――エイジはそれに誘われるようにして自分の持っている剣を見つめる。大部分が鋼鉄でできていて、刃に該当する部分だけ光剣になっているという特殊構造。

 

 内包しているスキルや効果を確認してはいないが、思い出してみると、確かにこれまで戦機を斬った時には強い手応えがあったような気がする。これが効くのか。

 

 

「本当か。本当にこいつがあいつに効くのか」

 

 

 エイジに問いかけにキリトは頷いた。

 

 

「多分な。少なくとも俺が持ってる剣より効いてるはずだ。だからエイジ、思いっきりやってやれ! そのフォローはする!」

 

 

 キリトが勢いよく言うなり、リランのミサイルポッドの蓋が開き、対地ミサイルが飛翔した。そこにケルベロスはブレス攻撃を仕掛け、そのほとんどを撃墜(げきつい)して見せる。攻撃は不発に終わったようなものだが、ケルベロスの注意がキリトとリランに向いた。(すき)を突いて攻撃をするならば今がチャンスだ。

 

 

《エイジ、やるぞ!》

 

 

 それをわかっていたのか、ヴァンがケルベロスの許へ走っていく。ケルベロスの意識はキリトとリランに向いたままで、ヴァンの接近には気付いていない。それは自分も同じだろう。今ならば特効の乗った攻撃を入れる事ができるはずだ。

 

 

「ッ!!」

 

 

 エイジは雪で覆われた地面を蹴り、ケルベロスへ走った。側面へ回り込み、ケルベロスの横腹を剣で一閃した。確かな手応えが帰ってきて、ケルベロスの《HPバー》が目に見えて減ったのが確認できた。

 

 

 

          □□□

 

 

 

 

《一番身近にいる、大好きな人……?》

 

 

 ユナが首を傾げると、膜の収縮が収まった。悠那は一旦安堵(あんど)して、頷きを返した。

 

 

「そうだよ。大勢の人に歌を届けたいと思ったなら、まずは一番身近にいる、大好きな人達に歌を聞いてもらわなきゃだよ。いきなり大勢の人に届けようとしたって、全然伝わっていってくれない。感動もしてくれないし、喜んでもくれない。ううん、感動させられないし、楽しんでもらえないし、喜ばせる事もできないの」

 

《なんで。私は歌を歌えば、皆熱狂してくれたよ》

 

 

 ユナは首を傾げたままだった。その口から出た言葉に悠那は思わず驚く。

 

 

「そうなんだ……あなたは最初から沢山の人に歌を聞いてもらえる状態だったんだ」

 

《あなたは違うの》

 

「うん……私も本当はそうなりたいよ。最初から何もしなくても、沢山の人に歌を届けられるようになりたかったよ。でも、私の場合はそうじゃなかったの。そのおかげで、大切な事に気が付けたんだ」

 

 

 大切な人達のところへ帰ってこれた後に学んだ事。大勢の人々を熱狂させたい、歌で楽しませてやりたいと思ってもいいが、それには手順があり――意外にも大勢を見ようとする必要も、大勢を楽しませようと思う必要もない。その事を悠那は話した。

 

 

「大勢の人達に歌を届けて、熱狂してもらいたくても、大好きな人達を楽しませる事も、喜ばせる事もできないような歌じゃ駄目なの。大勢の人達を熱狂させたいなら、まずは身近にいる大好きな人達を熱狂させなきゃいけなかったの。それでね、その人達だけに歌を届ければいいってわかったりもしたんだ」

 

《その人達だけに歌を届ければいい?》

 

 

 悠那は頷き、脳裏(のうり)に大切な人達の姿を浮かばせた。

 

 

「そうだよ。その人達のための歌う場所を用意して、その人達に歌を聞いてもらうの。そこに大勢の他の人達を巻き込むだけで良かったんだよ。そうすれば大切な人達に歌を聞いてもらう事ができるし、一緒に他の人達にも届ける事ができる。それに、大切な人達に向けて歌うから、自然と心が籠るっていうか……上手に歌えちゃうんだよね。自然と力も心も籠るから、沢山の人に伝える事もできるようになっちゃうんだよ」

 

 

 大勢の人の前で歌いたいならば、そう思う必要はない。自分が大切だと思うごく僅かの人達に向けて歌を歌うステージを用意し、そこに大勢の人達を呼び込むだけでいい。本番の時にも、大勢の人に向けて歌うのではなく、大切だと思う少数の人達だけを見つめ、その人達に向けて歌えばいい。大切な人に届けたいという一心だけを抱いて歌う。全身全霊を込めて、大好きな人達に歌を披露するのだ。

 

 そんな感じで歌い切った時には、気付けば周りの他人達にも歌は届いており、彼らは大好きな人達よりも熱狂しているのだ――恩人から教わった事を悠那は話し切り、深呼吸をした。

 

 

「ねえ、あなたにはそういう人達がいないのかな。あなたが本当に大好きだって思える人達が……」

 

《……》

 

 

 そこで悠那は思っていた事を口にできた。ユナを見ていて思った事、彼女から感じられる事。

 

 

「今のあなたは、なんだか楽しくなさそうに見えるの。とても寂しそうにしてるように思える。せっかく歌を歌えるのに、そんなんじゃもったいないよ。だからまずは、思い出していて。あなたが本当に大切に思っている人達、大好きな人達を。その人達に歌を届けてあげれば、あなたもきっと――」

 

 

 ユナは沈黙した。膜もまた沈黙する。間もなくして、その目が見開かれていくのがわかった。

 

 

《大好きな人達……私には、そんなの、いなかった》

 

「え……」

 

《だって私は歌うために作られたから。誰かのためじゃなく、大勢の人達のためだけに歌うために作られたから。だから、誰かのためとか分からない。そんなのいない。誰もいなかった》

 

 

 悠那は言葉を失った。いや、ある程度は感付いてはいた。

 

 ユナには誰もいないのではないか。大好きな人などおらず、ただただ歌を歌う事だけを強制されていたのではないかと。最悪な事に、その予想は当たってしまっていた。目の前にいるのは、歌を強制された悲しい機械だった。その機械は完全に俯き、やがて膝を付いた。

 

 

《……だから、歌を歌うのは好きじゃなかった。ただ、役目がそうだったから、私は歌ってただけ》

 

 

 悠那は呆気(あっけ)にとられたようにして、口を半開きにしたまま沈黙していた。やがてユナが顔を上げて、悠那と目を合わせてきた。

 

 

《……あなたはそうじゃないの? あなたには大切な人達が、大好きな人達がいるの?》

 

「……うん、いる。その人達が一番のお客さんで、私が一番歌を聞かせたいって思える人達、だよ」

 

 

 悠那は事実を言うしかなかった。それはある意味嫌な自慢だったかもしれないが、だからと言ってユナの問いかけに沈黙を返すつもりはなかった。その話を聞かされたユナは、しばらく悠那を見つめていたが、やがてその口を開いた。

 

 

《……きっと、あなたの方が歌が上手で、私よりも多くの人を喜ばせられる》

 

「え?」

 

 

 ユナがそう言った直後に、悠那を圧し潰そうとしていた膜が弾けて、悠那は突如(とつじょ)として自由になった。思わず声を上げて驚くと、更に驚くべき事象が起こる。ユナの身体が光に包み込まれ、シルエットへ変わっていき始めたのだ。

 

 

《あなたも私と同じで、抜けちゃいけないところが抜けちゃってる。だから、そこを埋めてあげるね。直って、沢山の人達に、あなたの大好きな人達に歌を届けてあげて》

 

 

 その言葉を最後に、ユナの身体は白い光の(たま)へ変わった。それはふわりと悠那の許へ飛んできて、やがて悠那の胸の中へ吸い込まれるようにして溶けていった。間もなくして、悠那はずっと気になっていた自分の中にある欠損が満たされていくのを感じた。

 

 

 

――エイジ、そこだッ!!――

 

 

 

 そして、声が聞こえた。

 

 

 

          □□□

 

 

 

 勝機が見えてきた。ケルベロスの《HPバー》は最後の段へと突入し、(すで)に半分を切るくらいの量にまで減少している。あともう少しで倒せるのは間違いないくらいまで進む事ができていた。

 

 

「キリト、あとどれくらいで終わりそうだ!?」

 

 

 エイジはビークルオートマタに(またが)るキリトに声を掛けた。かつて自分と戦い合った英雄は、目を細めてケルベロスを見る。

 

 

「全員で(たた)みかければいけそうだ! ピトフーイにエムにヴァン、頼めるか!?」

 

 

 本当に隊長のようにキリトが呼びかけると、双頭の狼型戦機に乗るピトフーイ、亀型戦機に乗り込むエム、そしてヴァンがそれぞれ答えた。

 

 

「いつぞやの一斉放火だね。やってやろうじゃないの!」

 

「こちらはいつでも準備オーケーだ。ありったけをくれてやろう」

 

《有り弾全部やるってか。いいぞ、やってやる!」

 

 

 三人の声がすると、前衛に出ていた仲間達が一斉に後退し始めた。エイジもその中の一人となって後ろに下がる。間もなくしてリラン、ゴグマゴグ、霊亀、ヴァンが一斉に身構えてケルベロスに狙いを定める。

 

 

「準備はいいねぇ!?」

 

「発射!!」

 

 

 ピトフーイとキリトが叫ぶと、四体のビークルオートマタが一斉に重火器を発砲した。ガトリング弾、狙撃砲弾、ミサイル、ロケット弾の数々がケルベロスへ突進していく。まずはガトリング弾と狙撃砲弾が着弾し、そこにミサイルとロケットが着弾して連続で爆発が起きる。

 

 更にそこに仲間達が持ち前の銃火器で更に追撃していった。それらは全てケルベロスの弱点部位である頭部に吸い込まれるようにして向かっていき、ケルベロスの《HPバー》を確かに削り取った。

 

 爆炎が晴れると、身体からスパークを起こしてふらふらになっているケルベロスの姿が見えてきた。《HPバー》の残量はあとごく僅か。一撃でも加えればそのまま撃破できそうなくらいだ。

 

 

「エイジ、そこだッ!!」

 

 

 キリトの呼びかけに応じて、エイジは走り出した。雪を蹴り上げて踏みしめ、ケルベロスとの距離を一気に詰める。ケルベロスは反撃しようと思ったのか、その顔を向けてきたが、既に装甲が剥がれて内部機構が丸見えになっているという、醜悪(しゅうあく)なものになっていた。本当に地獄の住民のような顔だ。

 

 悠那を地獄へ連れていったつもりか? ならばそれは(はず)れだ。悠那は死者ではないし、まだ死者の世界に行くほど寿命が迫っているわけでもない。地獄の番犬め、自分の守っている門の先へ行くがいい。

 

 

「はああああああああああああッ!!」

 

 

 ケルベロスに接敵したエイジは全身の力を剣に込め、かち割るようにケルベロスへ振り下ろした。鉄を斬り裂くような手応えが返ってくると同時にケルベロスの動きが完全に静止し、空間に静寂(せいじゃく)が取り戻された。

 

 エイジが体勢を立て直すと、ケルベロスの身体は左右に真っ二つになり、崩壊。そのまま赤い光を(まとう)うポリゴン片となって消えた。勝った。地獄の番犬を地獄へ送り込む事に成功した。数秒を置いてキリトの仲間達から歓声に近い声が上がる。

 

 

「エイジ!」

 

 

 しかしそれはキリトの声で消された。直後、キリトとリラン、セブンとレイン、そしてヴァンとイリスが駆け寄ってきた。そこでエイジは重要事項を思い出し、四人に問うた。

 

 

「おい、ユナはどこだ。この先で合ってるのか!?」

 

「間違いないわ。ユナちゃんはこの先に行ってて、その道をケルベロスが塞いでたんだもの」

 

 

 セブンの答えを聞き、エイジは振り返った。銀世界の空に(たたず)む巨大宇宙船の下部に存在する広場。ケルベロスによって封鎖されていたそこへの道をよく見ると、奥の方に人影が確認できた。しかもそれは倒れてしまっている。

 

 エイジはヴァンと一緒にそこへ向けて駆け出した。近付いていくと、倒れている人影の形がはっきりしてきた。白くて長い髪の毛に、黒を基調としたサイバーテックな意匠の服を纏った少女。悠那がVRゲームで遊ぶ際に使うアバターの姿だった。

 

 

「「ユナッ!!」」

 

 

 エイジとヴァンは同時に呼びかけていた。いつの間にかヴァンは人狼型戦機から降りて元の姿に戻っていた。二人でユナの許へ駆けつけるなり、エイジは姿勢を落としてユナを抱き上げた。雪にまみれていたせいで冷たいが、ひどいわけでもなかった。ユナから温もりが抜けてしまっているのではなかったのだ。

 

 

「ユナ、ユナ!!」

 

「ユナ、おいユナ!!」

 

 

 エイジは呼びかけながらユナの身体を揺する。ヴァンも同じように呼びかけてくれているが、ユナは返事をしてくれない。まさか間に合わなかったのか。内部に欠損があったから埋めなくてはいけなかったユナは、そのせいで死んだのか。

 

 心が締め付けられるような思いに駆られながら、エイジは更にユナを揺すった。

 

 

「悠那……悠那ッ!!」

 

 

 頼む、どうか――そう思ったその直後だった。ユナの喉から小さな声が漏れたのが聞こえた。同時に口許がぴくりと動く。

 

 見逃さなかったエイジが思わず唖然とすると、ユナの瞼がゆっくりと開かれた。宝石のように赤く美しい瞳が姿を見せると、それはエイジの瞳と交差した。

 

 

「……悠那」

 

「……エーくん」

 

 

 その呼びかけにエイジは瞬きを繰り返した。聞き間違いだろうか。それを確認するためにエイジはユナに尋ねた。

 

 

「僕がわかるのかい、悠那」

 

 

 ユナ/悠那は目を少しだけ細め、微笑んだ。

 

 

「わかるに決まってるじゃない……エーくん、来てくれたんだね……」

 

「あぁ……来たよ。迎えに来たよ、悠那……」

 

 

 出した声は震えていた。キリト達に聞かれているだろうが、もはや気にするに値しない。直後に、今度はヴァンが悠那に声を掛けた。

 

 

「悠那……本当に悠那なんだな」

 

 

 悠那はまたゆっくりと動き、ヴァンを見つめた。

 

 

「ヴァンも来てくれたんだ……わざわざ、ここまで……」

 

 

 そう言われるなり、ヴァンの瞳に揺るぎが生じた。今にも涙が零れ出しそうになっている。

 

 

「あぁ……お前を追いかけてきたら、こんな変なところに来てしまった……お前のせいだぞ悠那……こんな変なところまで勝手に行きやがって……」

 

 

 すると悠那はその手を伸ばし、掌でヴァンの頬を優しく包んだ。一瞬ヴァンがきょとんとしたその時、悠那はもう一度微笑みを顔に浮かべていた。

 

 

「ごめんね……でも、来てくれてありがとう、エーくん、ヴァン」

 

 

 その言葉が皮きりになったのだろう、ヴァンはいよいよ泣き出しそうになったかと思うと、悠那の胸元へ飛び込んだ。そんなヴァンを悠那は両腕で抱き締め、その二人をエイジは両手で胸の中に抱き寄せた。

 

 もう一度、三人で揃う事ができたという実感が、エイジの中を満たした。

 





――解説――

三犬型合体戦機ケルベロス
 原作に登場しない戦機。シェパード型、土佐犬型、ダルメシアン型の三体からなり、土佐犬型は右腕が異様に大きく、ダルメシアン型は左腕が異様に大きい。それぞれ後ろ脚側にのみ重火器を搭載している。

 普段は三体とも行動を共にする程度だが、本格的に敵の排除が必要になった場合は三体とも合体し、三つの頭を持つ巨大な犬型戦機となる。その際シェパード型、土佐犬型、ダルメシアン型はそれぞれ火炎、電撃、冷気を放つ火砲を口内に持ち、土佐犬型、ダルメシアン型の後ろ脚が組み合わされ、更に展開される事で現れる蛇型戦機を尻尾に持つようになる。

 エネミーの中でも比較的高い知能を持っており、状況に応じて分離や合体を行う事も可能。ビークルオートマタにはできない。

 名前の由来はファンタジー世界の引っ張りだこモンスター、ケルベロス。


ユナについて
 原作での黒ユナは色々あったが、今作での黒ユナは本当にただのARアイドルとして作られた存在であり、歌う事をただ目的としている。製作者は重村徹大とその部下。徹大は亡くした悠那を生き返らせるための依り代として作ったが、結局イリスのそれと比べると非常に劣っていた。


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