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「ったく、最後まで反吐が出るような奴だったよ」
エネミーアファシスと思われるイツキとツェリスカを撃破する事に成功した。その途端、ツェリスカは「調べたい事がある」と言って闇風、ダイン、銃士Xと一緒にダンジョンを離脱していき、残されたキリト達はその場に留まっていた。
そしてキリトの疑問はイツキに向けられていた。エネミーアファシスのイツキは妙にハイテンションであり、如何にも仲間の力などを信頼しているかのような口振りであったが、それを見た途端イツキ本人はかなり怒り、明確な殺意を持って彼の者を倒そうとしていた。
あまりの剣幕と様子であったから、違和感を覚える外なかったが、戦闘中だったので聞けなかった。戦いが終わった今ならば聞き出せるだろう。そう思ったキリトと同じ行動をしたのが、アルトリウスだった。
「イツキ、どうしたんだよ。さっきからずっとおかしかったぞ」
イツキは何も言おうとしない。アルトリウスの隣に並んでいるクレハが続ける。
「あの、イツキさん。確かに過去の自分を見せられて、嫌な気持ちになってると思いますけれど、過去のイツキさん、なんだかとても楽しそうにしてたと思います。あんなふうに楽しそうにしてるイツキさんを見たのは初めてです。だから、そんなに嫌がったりしなくても……」
イツキがついに口を開けた。
「あぁそうさ。あれは過去の僕さ。でも今とは違うんだよ。僕は過去と決別したんだ。僕は変わったんだよ。だから、今の僕は――」
「変わってないのです!」
急に大声を出したのは、アルトリウスの右隣に居るレイアだった。思わず皆で驚き、そちらに向き直る。
「イツキは今も楽しそうにしています! それに、イツキにはわたし達が居て、他のスコードロンにもすごい仲間が大勢居ます!」
「……確かにさ。今も楽しんではいるよ。それは否定しない。でも、僕のスコードロン――アルファルドのメンバーは明確な仲間とは言えないんだ」
キリトは目を見開いた。
アルファルドというスコードロンを組んでおきながら、彼らの事は信頼していない? では自分達もまた、イツキから仲間だとは思われていないという事なのだろうか。
それを聞き出そうとしたその時に、イツキはアルトリウスを見つめた。
「だって僕にとっての仲間っていうのは、アーサー君やキリト君、皆の事だからね。僕がこのエクスカリバーに入ったのは、君達が本当の仲間だと思えたからなんだ」
キリトはきょとんとした。皆も同じような状態になっている。
イツキはアルファルドは信頼していないが、自分達エクスカリバーの事は信頼していて、自分達こそが本当の仲間だと思えたからこそのアルファルド脱退、エクスカリバーへの加入だった。
自分達を仲間だと思っていない――そういうわけではなかったようだ。驚かされたが、これがイツキの真意らしい。
それを聞いたアルトリウスは小さな声で言った。
「そうだったのか……イツキは、ちゃんと俺達の事を……」
イツキがいつもの様子を取り戻したように答える。
「ん? もしかしてアーサー君、僕が君達を仲間と思って無いんじゃないかって疑ってたのかな」
「……本当の事を言うと、少し」
アルトリウスがまた小声で言うと、イツキは少し下を向いた。
「そう思われてたか。でも大丈夫だよ。僕は君達の事は信頼してるからさ。……だから……君と、君達ともっと早く出会いたかったなぁ……」
その時イツキの顔は、寂しそうな表情になっていた。仲間が一緒に居る、自分達を仲間だと思っていると言ってすぐだったので、キリトは思わず首を傾げていた。
……もしかしたら、イツキに真意を話されているわけではない?
イツキはまだ内側に何かを隠し持っている?
聞き出そうとしたその時、イツキを乗せた神武が回れ右をした。そのまま出口に向かって進んでいく。
「あれ、イツキさん? どうしたんですか」
リーファに尋ねられたイツキは、こちらを向く事なく答えた。
「ごめんキリト君、アーサー君。僕は一旦これで離脱するよ。少し一人になりたいんだ」
エネミーアファシスを倒しただけで、まだ探索は終わったわけではないのだが――そう呼び止めようとしたが、キリトはやめた。
今の自分とは異なる過去の自分を見せられたのだ、イツキだって来るものがあったのだろうし、あれだけ怒った後なのだから、
「わかった。ゆっくり休んでくれ、イツキ」
「そうさせてもらうね。また誘ってもらえると嬉しいよ」
イツキはそう言い残し、神武と共にダンジョンの入口の方へ歩いて行った。パーティからイツキの名前が消え、アルトリウスのパーティは三人になった。間もなくして、情報屋アルゴが腕組をしつつキリトへ寄ってきた。
「キー坊、とんでもないモノが出てきたナ。これは高く売れる情報だゾ」
「そうだろうな。最近実装されたっていうエネミーアファシスは過去のプレイヤーデータを参照して作られてて、しかも公式からの発表無しだろ。これは確かにとんでもないな」
「全くダ。しかもリーファ達、フィリア達のデータを参照したエネミーアファシスは既に出てきてテ、今回はクレハ、イツキ、ツェリスカのデータを参照したエネミーアファシスが出てきタ。どんどん増えていってるような気がするナ、これハ」
アルゴに続いて、フィリアがキリトへ声掛ける。
「アルゴとユウキから聞いたけど、わたしの姿をしたエネミーアファシスも出てたんだよね。なんだかすごく不気味って言うか……自分の知らないところで、過去の自分の姿をしたエネミーが出てきてるなんて、すごく気持ちが悪いよ」
「そのとおりです! 自分の知らないところで自分の姿をしたモノが勝手に動いてるなんて、気持ち悪いったらありはしません! 迷惑極まりないです!」
急に大声を出したのはレイアだった。そこでキリトは思い出す。
そうだ、エネミーアファシスのリーファ達とここで出くわす前に、ここの存在を教えてきたのはレイアだったが、それは本人ではなく、レイアそっくりの姿をした別のモノだった。
いや、元々は《SBCフリューゲル》の開かずの扉を開くための鍵を探していた。それが中々見つからなくて困っていたところに、彼の者は現れ、それはここにあると教えてきたのだ。
当時はレイア本人だと思っていたため、自分達は何も疑わずにここに向かったわけなのだが、そこで待ち構えていたのがリーファ達に扮したエネミーアファシスだった。これは偶然なのだろうか。
同じ事を考えたのか、リランの《声》が飛んできた。
《そういえば、あの時レイアそっくりの何かが我らにこの場所を教えてきたのだったな。……まさかとは思うが、あいつはレイアの姿をコピーしたエネミーアファシスだったのか?》
キリトはリランに答えた。今まさにリランと同じ推測をしていた。
「可能性としては考えられるけど、そうだとするとなんであいつは街中に出てこれたっていうんだ。エネミーアファシスだったとすれば、少なくともSBCグロッケンの中には入れないはずだぞ」
《では、あれはなんだったのだ》
リランの《声》にキリトは腕組をする。あれがわかればすべてが解決しそうだが、如何せん何も掴めそうにないし、何も掴めていない。
せめてもう一度だけ、レイアそっくりのエネミーアファシスと思わしきモノに出会う事ができたのであれば、間違いなく情報を掴めるはずだが――。
「お困りのようですね! ならば今こそわたしの出番です!」
不意に声が聞こえてきて、キリトは驚いた。随分と聞き覚えのある声だったが、それはすぐ近くではなく、離れたところからのものだったから、周りの皆も同じように驚いている。この声が遠くから聞こえてくるとは、どういう状況だろうか。
「あ、あ、ああああああああああああッ!!?」
直後、非常に大きな声がして、キリトは驚いた。急に聞こえてきたのと、今しがた聞こえた声色と同じものであった事の二つが理由だ。叫んだのはアルトリウスの横に居るレイアであり、彼女は部屋の奥を指差していた。
「ま、ま、マスター、大変です! あそこにわたしが、わたしがいます!」
「は!?」
アルトリウスと一緒になって、レイアの指差す方向を見て、キリトは目を見開いた。そこには本当にレイアがいた。
銀色の髪の毛をショートボブくらいの長さにしていて、紫の大きな瞳をしている少女。その特徴と合致しているのはレイア以外に存在しない。あちらにもレイアが居て、こちらにもレイアが居る。
レイアが二人に分身しているような、おかしな事態。これはつまり、アレはレイアのエネミーアファシスであると判断していい。クレハ、イツキ、ツェリスカと続いて、レイアのエネミーアファシスまで出てくるとは。キリトは迎撃態勢になり、他の皆にも迎え撃つよう
「何よ何よ、レイちゃんのエネミーアファシスまで出てきたっていうの!? どれだけのエネミーアファシスがいるのよ、ここには!?」
クレハが焦りながらサブマシンガンを構え、エネミーアファシスのレイアと思わしきモノに向き直る。キリトも同じようにもう一度そちらへ向き直り、対象を確認しようとしたが、そこでとある事に気が付いた。
向こうに居るレイアの服装は、身体に張り付いているようなデザインをしている黒紫色のスーツだった。一方、こちらに居るレイアはコートとスカートが伴っている、白と紫のコンバットスーツ――つまり見慣れた服――を着ている。
これで見分けが付けられるようになっていたが、過去にレイアがあんな服装を身に纏った事はあっただろうか。レイアはカプセルから出てきたばかりの時、今とは異なるスーツを着ていたが、その時とは異なるデザインをしている気がする。
ツェリスカによって「エネミーアファシスはプレイヤーの過去のデータを参照して作られている」という推測がされていたが、あれはレイアの最初期の姿とは異なっている。この推測は外れたという事か?
「あぁっと、わたしは敵ではありません! わたしは《リエーブル》、皆さん無事で何よりです!」
エネミーアファシスであると思われたレイアにそう名乗られて、キリト達はきょとんとした。レイアそっくりだから、レイアと名乗るのではないかと思われたアレが、《リエーブル》という名前を口にした。
エネミーアファシスの中には、他人と同じ見た目をしておきながら、独自の名前を持っているユニーク個体のようなものが混ざっているという事だろうか。
「あれ……ちょっと待ってキリト。あの服装って確か、一番最初に私達に情報を教えてきたアレと同じじゃないの」
シノンに言われたキリトははっとして、その時の光景を脳裏にフラッシュバックさせる。
そうだ、SBCグロッケンから出ようとしていた自分達に接触してきたレイアの服装は、確かにあんな感じだった。あの時のレイアの姿をした何かと、今まさに目の前にいるリエーブルの姿は完全に一致している。
「間違いない。あの時レイアのフリをして俺達に近付いてきたのは、あいつだ」
キリトの返答に皆から「えぇっ」という声が上がる。あいつは一体何だったのかと皆で思っていた最中での接触だから、驚いて当然だ。その中の一人だったレイアが、すぐさまリエーブルに怒り出す。
「や、やはりあなたがわたしのニセモノですね!? ニセモノさん、あなたのせいでわたしは大変な目に遭ったんですよ!」
レイアと同じ見た目、同じ声色で、リエーブルは告げた。
「わたしは偽者でもコピーでもありません。わたしの名前はリエーブルなのです!」
リエーブルはしっかりと主張してきていた。レイアの見た目と声をしておきながら、名前は違う。アレはアレの主張通り、レイアと同じ見た目と声をしているだけの別個体であるという事のようだ。その証拠にリエーブルはレイアと名乗ろうとしてこない。
「リエーブルちゃん……あなたはそういう名前なの」
アスナの問いかけに、リエーブルは両手に腰を当てた「えっへん!」の姿勢で応じる。
「はい! わたしはマスターのサポートをお助けする、とってもとっても利口なサポートAIなのです! それに、皆さんに《ムフフなお得情報》をお届けする、頼れるアファシスでもあります!」
《《ムフフなお得情報》……それは確か、街で聞いたものだな》
リランの《声》にキリトも頷く。確かあの時レイアだと思って接していたリエーブルも、そんな事を口走っていた。その時と同じ事を言っているので、やはりアレはリエーブルで間違いないようだ。
それがわかった途端、レイアが更に怒り出す。
「という事は、結局全部あなたのせいだったんですね!? あなたがわたしと同じ見た目をして走り回ったせいで、わたしの身の回りで色々おかしな事が起こるようになったんですよ!」
「そ、それについてはご迷惑をおかけしたのです……でも、わたしの役割は皆さんを幸せにする事であって……そのためには仕方がない事だったのです」
リエーブルは申し訳なさそうに弁明している。見たところリエーブルは悪意を持ってあのような事をしたわけではないようだ。レイアがそれで迷惑を
それがわかるなり、アルトリウスが怒っているレイアに声を掛けた。
「レイア、そう怒らないでくれ。リエーブルも悪気があってやったわけじゃないみたいだしさ」
「ぬぬぬ……確かに、悪い事をしているような感じはありません。それにマスターがそう
どこか不本意そうにレイアが答えると、リエーブルが喜んだ。
「ありがとうございます! ご迷惑をおかけしましたが、わたしはあなたに会えてとても嬉しいです! 良かったら仲良くしてください!」
「むむ、わかったのです……」
リエーブルに言いくるめられているみたいに、レイアはお辞儀をした。初対面のプレイヤーなどに挨拶をする時のいつもの動作だった。
「リエーブル、よろしくなのです! わたしはレイアと言います。レイちゃんと呼んでください!」
「わーいなのです!」
レイアが気を許したのを嬉しく思ったのか、リエーブルはぐんとレイアに近付き、そのまま強引に握手をした。レイアと同じ声、同じ顔をしていて、しかも仕草などもよく似ている。まるで完全なる一卵性双生児の再現のように思えた。
自分の知る双子にはプレミアとティアがいるが、この二人は彼女達よりももっと双子している。そんなふうに思えて仕方がなかった。そんな二人の様子を見て、リズベットが呟いた。
「なんだか本当に双子みたいね。どっちが姉で、どっちが妹かしら」
「というか、レイちゃんにも姉とか妹とか、家族の概念があったんだね。そこまで作り込まれてると、なんだかユピテル達みたい」
そう言うアスナの横で、ユピテルが感慨深そうな顔をしていた。リラン、ユピテル、ユイ、ストレア、プレミア、ティアは全員がイリスという一人の女性の手によって産まれている存在であり、全員が家族となっている。
しかしこの、同じ人から作られたAIは全員家族であるというのはイリスのこだわりから来ているものであるため、その他の人間が作ったAI達には、家族や兄弟のような概念は存在していない――と思っていたのだが、どうやらレイア達アファシスにも、兄弟や家族のような概念が設定されているらしい。
高度なAI達を作り、作られたAI達は自分達の家族や兄弟を認識する。そのやり方や設定の仕方などは、確かにイリスのそれによく似ていた。
この《GGO》はザスカーというアメリカの企業が開発しているゲームであるが、そこにもイリスと同じような事を考える開発者がいたようだ。
「レイちゃんとリエーブルちゃんは、イリス先生みたいな優しい気持ちでAIを作る人が作ったんでしょうね」
「そうかもしれないね。AIがお互いを兄弟みたいに思うようになってるって、イリス先生くらいしかやってないって思ってたけど、この《GGO》を作ってる企業にも、そういう考えの人がいたんだね」
シリカとリーファが、微笑ましそうにレイアとリエーブルを見ていた。イリスが作ったMHHPとMHCPの技術は、イリス自身が完全に秘匿にしているものであり、その他の企業に流出などしていない。
しかしイリス以外にもAI研究者は沢山おり、
そんな、イリスのような異質な考えを持っているからこそ、レイアやリエーブルを作るに至ったのか。ザスカーの事は全く知らないせいで、少し気がかりだった。
そこでキリトは思い出した。今現在自分達は《SBCフリューゲル》の攻略に詰まっており、その鍵がここにあるとリエーブルから聞いたのだ。教えてきたリエーブルがその詳細を知らないはずがない。
「リエーブル、君はあの時俺達に、ここに《SBCフリューゲル》の奥へ進む鍵があるって話してくれたよな。その鍵がどこにあるとか、教えてくれないか。まだそこまで行けてないんだ」
リエーブルは「あぁ、そうでしたね!」と言って、キリトへ向き直った。
「《SBCフリューゲル》にある、開かない扉に困っていた皆さんに朗報です! 皆さんを止めていた扉は、解放されています!」
「え、もう開いてるの。鍵が落ちてるって話じゃなかった?」
ユウキが首を傾げると、リエーブルは詳細を話してくれた。
自分達を完全に
そして今のところあの鳳凰型戦機を撃破できたのは自分達だけなので、自分達だけが《SBCフリューゲル》の更に奥部まで進めるようになっている――それがリエーブルからの報告だった。
最後まで聞いた皆はテンションが上がったように喜び、その中でアルトリウスが納得したように言った。
「俺達が一番最初なのか、《SBCフリューゲル》の奥に進めるのは!」
「そうですよ! 早く進まないと他の人達に先を越されてしまいます。今もここへ他のプレイヤー達が侵入してきてますから、早く出て、《SBCフリューゲル》に向かってください!」
リエーブルはこちらを祝ってきているように言っていた。人々を幸せにするのが自分の目的であると言っていたが、それに
いずれにしても、良い存在に巡り合えたのには間違いないだろう。キリトは皆に声掛けをした。
「よし、そうと来たら向かうしかないな! 皆、これからすぐに《SBCフリューゲル》へ向かおう――」
と言いかけたその時だった。
耳元に着信音に似た音が飛び込んできた。先程のリーファの時のように、誰かがこちらへ通話を呼び掛けてきているようだ。こんな良いタイミングでなんだ――キリトは心中で舌打ちしながら、通話に出る。
今度は通話相手の出ているウインドウをしっかり確認した。相手はシュピーゲルだった。
「シュピーゲル、なんだ。今良いところなんだよ」
《あれ、キリトに繋がった!?》
通信端末の向こうから聞こえてくるシュピーゲルの声には、明確な戸惑いが混ざっていた。銃撃の音と爆発音が後方から聞こえてきている。シュピーゲルはどこかで派手な銃撃戦に巻き込まれながら、こちらに通信して来ているようだった。
キリトは少し驚き、シュピーゲルに尋ねた。
「シュピーゲル、どうしたんだ。バトル中に通話は良くないぞ」
《キリト、これ、どうなってるの!? キリトに通話ができて、けれど――》
シュピーゲルが焦りつつ言っている内容に、キリトは背筋に悪寒を感じた。このやり取りには覚えがある。つい先程に体験している、身の毛がよだつような出来事のやり取りが起きている。
キリトは恐る恐る、もう一度シュピーゲルに尋ねた。
「シュピーゲル、何が起きてる? お前今どうなってるんだ」
《キリトと、リランじゃないリンドガルムに襲われてる!!》
シュピーゲルの言った事は、自分が先程リーファ達に言った事とほとんど同じだった。間もなくして、ミサイルが炸裂したような爆音が端末の向こうから聞こえた。