キリト・イン・ビーストテイマー   作:クジュラ・レイ

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08:射撃の試練

 俺達はアルゴの推奨していたレストランに寄った後に、再び街に戻って老人NPCを探し始めた。だけどその最中でも、先程のレストランの料理の事を考えていた。看板と大きな窓が付いている以外は、他の建物と同じ、白と青の外観だったが、中身は中世ヨーロッパの飲食店を彷彿とさせるような感じで、とても心が踊った。

 

 その外観も内装も良い感じの店のテーブル席に座って、俺達はアルゴが薦めていたクリームパスタを頼んだ。そして出て来たクリームパスタは茸と鶏肉が具材として入っている、牛乳を主な材料にした白色のものだった。如何にもクリームパスタらしい料理が出て来た事に二人でひとまず頷き、そして食べ始めたところで、俺達は目を丸くしてしまった。

 

 クリームパスタはいかにも素朴な見た目をしていたにもかかわらず、その味は今まで食べてきたどのクリームパスタよりも濃厚で、味付けも絶妙なものだったのだ。素朴な見た目に似合わぬ、まるで一級品料理のような味わいには流石のシノンも驚き、「どうやったらこの味を出せるの!?」と何度も料理を覗き込んだりしていた。

 

 だけど、今までシノンの作ってくれる料理を食べ続けてきた俺からすれば、NPCが出してくる料理よりも、シノンの料理の方が断然美味しいと思えた。当然このクリームパスタもそうだ。きっとこれと同じものをシノンが作ってくれた方が、美味しいものが出来上がるに決まってる。しかしそれを口にしたらシノンを恥ずかしがらせるだけだと思って、俺は何も言わずに食べ続けたのだった。

 

 一級品のようなクリームパスタを食べ終えて会計を終了し、店を出て、アルゴが指定した街の東に進み続けたところ、本当に老人のNPCに出会った。いや、NPCは確かに沢山いて、どれも似たような顔や見た目をしていたけれど、その老人だけはどこか違う雰囲気を放っているうえに、シノンと同じように背中に弓を装備していたのだ。

 

 この人で間違いないね、そう言って俺達はその老人から話を聞き始めたが、その内容とは、その老人の武勇伝だった。しかも老人は弓矢を装備したシノンを目の当たりにして「お前さんはパン屋のマリオの子かね?」と言い出したりなど、どこかボケているように思えた。その後の「パン屋じゃなくて配管工の間違いじゃないの?」と言うシノンの言葉には思わず笑ってしまったけれど、気にせずに老人は武勇伝を語り続けた。

 

 そして「これは儂が30年前、まだ村の勇者として名を馳せていた頃の話――」とか言い出したところで、シノンはようやく「アルゴの話であってるみたいね」と言って、老人の話を聞く姿勢になった。かなり長くなりそうだったので、俺はしばらく考え事に耽る事にして、老人の話を聞いていた。

 

 それから25分。

 

「んで、儂の放った矢がその竜の右目にプツリと……えぇっと……どこまで話したかの。まぁええわ、こんな話をいくら聞かせたところで儂の持つスキルがお前さんに受け継がれるわけではないからの」

 

 延々と続く老人の話の最中、老人がようやく物事に気付いたような言葉を口にして、だったら最初から「要件だけ手短に話せよ!」と心の中で怒りたい気持ちが出て来たが、それを上手く呑み込んだ。シノンも眉が若干寄っていたので、恐らく同じ気持ちだったのだろう。

 

「それでお爺さん、あんたの持つスキルを知りたいところなんだけど……どうすればいいのかしら」

 

「おぉ、それはだな、試練の中で己を磨く必要があるのじゃ。もしお前さんが儂のスキルを受け取りたいと思っているのであれば、お前さんはこの層の遺跡ダンジョンに封じられている《試練のアミュレット》を手に入れて来なければならん」

 

 そう言って老人はポケットに手を入れて、何かを取出し、そのまま俺達に差し出してきた。老人の手に握られていたのは、光を浴びて輝いている金色の鍵だった。

 

「この鍵で試練への扉は開かれる。アミュレットを無事に手に入れられたら、またここに戻って来るがいいぞ」

 

 老人の差し出す鍵を、一番近くにいたシノンが受け取った。しかし、シノンはどこかうかない顔をして鍵をじっと眺めていた。俺は気になって声をかける。

 

「どうしたんだ、シノン。上手くいったみたいだぞ」

 

「上手くいったの?」

 

「うん。アルゴの言っていた話と違う展開になってるから、やっぱり射撃スキルを持っている事が起動の条件だったみたいだな」

 

 シノンは少しきょとんとしたような顔をする。

 

「って事はこれ、射撃が、威力の低い射撃が強くなるクエストなのよね?」

 

「あぁ。きっとだけど、シノンが一番悩んでいた部分を解決できるクエストに違いないよ」

 

 そう言った次の瞬間、シノンの顔はぱぁと一気に明るくなった。

 

「やった、やったわね! 変な長い話を聞き続けた甲斐があったものね! ねぇキリト!」

 

 俺は思わず驚いてしまった。喜んだ拍子に、シノンが思いきり顔を近付けて来たからだ。それこそ、顔に息がかかるくらいに。

 その反応を見て、シノンはすぐに首を傾げた。

 

「ってあれ、どうしたのキリト。そんな浮かない顔をして」

 

「浮かない顔をしてるわけじゃないよ。ただ、君の顔が急に近くなったから驚いて……」

 

 シノンの顔が何かに気付いたような表情に変わり、頬が桜色に染まっていった。――またやってしまったというような感じだ。

 

 そういえばかなり前にリズべットの店でシノンが悶絶した理由について考えた事があるけれど、その前にあったシノンとのやり取りから考えたところで、意外と簡単に答えを導き出す事が出来た。シノンは人前で俺に近付いたり、触ったりする事を恥ずかしいと思っているみたいなんだけど、感情が高ぶったりすると、人前であろうともやってしまうようだ。

 

 あの時は俺が一日中行方不明状態だったで、シノンも心配ゆえの行為だったんだろうけれど、後から正気に戻って、人前で俺と恋人らしい行動をとってしまった事に気付き、恥ずかしさのあまり悶絶したらしい。俺で言う「やっちまった」みたいな感じだろう。そして今も喜びのあまり人前、しかも街中であるにもかかわらず、俺にかなり近づいてしまった。

 

「えっと……とりあえずこの爺さんの言う遺跡っていうのは迷宮区の前にある遺跡群だろう。そこにいけば、スキルを強化できるんだから、早く行こう」

 

「う、うん。そうね。早く行きましょうか」

 

 すっかり桜色に頬が染まっているシノンを愛らしく思いながら、俺達は老人に別れを告げて、55層のフィールドに出た。その時に、普段ならすぐそこにいるリランの大きな気配と足音が無いものだから、違和感を感じて周りを見回してしまい、シノンに少し笑われてしまった。リランがいないフィールドというのも、すごく久しぶりに感じる。

 

 

「リランがいないっていうのも、やっぱりどこか新鮮に感じるな」

 

「確かに、今までずっとリランと一緒だったものね。っていうか、リランと貴方が一緒になったのって、いつだっけ」

 

「去年のクリスマスの時だな。今は4月で当時12月だから、4ヶ月前か。つまりリランがいないのは、実に4ヶ月ぶりになる」

 

「そんなに長らく離れてないなら、違和感の一つくらい感じるでしょうに」

 

 確かに去年の12月から今までリランと一緒だ。だけど同時に12月は俺の中でも大きな変化が起きた月だった。それは、シノンと出会った事だ。あの時から、俺の守りたいものは固定されて、しかもログハウスまで買って、そこに住まう事になった。

 

「でもさシノン。君、何か重要な事を忘れてないか」

 

「え、私何か忘れてる?」

 

「うん、忘れてるよ。すごく大事な事を忘れてる」

 

 シノンが悩むような顔になり、顎に手を添える。

 

「えっと……何忘れてるかな。ごめんなさい、思い出せないわ」

 

 俺はそっと、シノンの頭に手を置いた。シノンの顔がきょとんとしたものになった。

 

「俺と君が出会って、一緒に暮らし始めた月じゃないか」

 

 シノンは小さく「あ……」と言い、また頬を桜色に染めた。しかし先程の恥ずかしがっているような顔にはならず、非常に穏やかな微笑みが浮かび上がった。

 

「そうだったわね……あなたと出会ったのも、去年の12月だったわね。私がSAOに巻き込まれてしまって……あなたと出会って……色んな事が変わって行った最初の月……だったわね。すっかり、忘れてた」

 

「まさか唐突に空から君が降って来るなんて思ってもみなかったさ。だけど……」

 

「だけど?」

 

 俺はあの時からずっと気になっている事があった。それはあの時シノンがやって来た理由だ。元々シノンは、メディキュボイドを使って、VRに入り込んでいたというが、その時突然床が抜けて吸い込まれ、気が付いたらこのアインクラッドにいたと言っていた。

 

 そもそも、そんな事があり得るわけがない。メディキュボイドとナーヴギアは確かに同じ、人間をVRに(いざな)う代物だけど、規格だって全然違うし、このゲームはナーヴギアでしか基本的に動作しないようになっているはず。メディキュボイドでこの世界に入り込む事は、規格上不可能なはずなのだ。

 

(待てよ……?)

 

 いや、メディキュボイドとナーヴギアにはもう一つだけ、共通している事がある。

 取り扱うVRが、同じネットの中にあるという事だ。このSAOはデスゲームではあるものの、元はと言えばMMORPG、発達したインターネットに接続してプレイする、所謂ネトゲだ。

 

 このナーヴギアも有線ネットワーク回線に繋がっているから、その中に居る俺達は、一応インターネット世界の中に居る事になる。これはメディキュボイドによるカウンセリングアプリとかも同じなはずだ。有線を差してネットに接続、その先に広がるインターネット世界に入り込み、カウンセラーも同じくネットに接続して患者の元へ行く……。

 

 メディキュボイドが構築するVRも、SAOのアインクラッドも、一応は同じ世界に存在する別な世界。同じ海に浮かぶ島のようなものだ。

 

 

(まさか……)

 

 

 このSAOは、同じネットの海にある島に手を伸ばし、そこにいる存在を拉致したのではないだろうか。あくまで理論上に過ぎないけれど……そう考えると何故か辻褄が合うような気がする。

 

 このSAOの基本プログラムがどうなっているのかはわからないが、茅場がデスゲーム化させた際に何かしらの機能が作動、もしくは暴走を引き起こし、ありもしない機能をいつの間にか取得して、別な世界に手を伸ばし、住民を掴んでそのまま持ち帰ってきたと推測すると、妙に納得できる。

 

 というよりも、前に見たネットワークを舞台にしたSF映画や、サイボーグアニメにこういう話が付き物だ。そんなSF映画みたいな話、あるわけがないと思いたいところではあるけれど、あの茅場晶彦が作り出したこの世界とこの世界を構築するシステム群だ、何をやらかしても、もはや不思議な事はない。

 

 ――シノンはもしかしたら……SAOに拉致されてきた被害者なのかもしれない。だけど、シノンは凄く僥倖だっただろう。もし俺とリランのところに落ちて来なかったら、今頃どうなっていた事か。

 

 そして、もしシノンが本当にSAOに拉致された存在なら、尚更現実に帰してやらなければならないし、現実のシノンは酷い心の傷を負って、メディキュボイドを使っていたのだ。現実に帰ったとしても、俺はシノンを守る。そう決めたのだから。

 

「りと……キリト。キリトってば」

 

 いきなり聞こえてきた声で、俺はハッとした。声の方向に目を向ければ、心配そうな表情を浮かべたシノンの顔があった。

 

「どうしたのよキリト。なんだか怖い顔をしてるわよ」

 

「えっ。俺、そんな怖い顔してた?」

 

 思わず顔に手を当ててみると、筋肉がどこか硬くなっているように感じた。これ、本当に怖い顔をしていたかもしれない。

 

「やっべ、あの爺さんの時に考えてた事を思い出して、また考えに耽っちまったのかも」

 

 シノンは軽く溜息を吐いて、困ったような表情を浮かべた。

 

「何をしてるんだか。考え事に夢中になるのはいいけれど、戦闘中に考え事の世界にダイブするのはやめてよ?」

 

「ごめんごめん、気を付ける。それじゃ、早いところ遺跡エリアに向かおうか」

 

「そうね。でもキリト、あなた場所わかる? あの遺跡エリア、結構広かった覚えがあるんだけど……」

 

 俺は遠くに見える遺跡群を眺めて、55層攻略時の冒険を思い出した。確かあの時、鍵穴のある開かない扉をリランが見つけて、じっと気にしていたような覚えがある。恐らくあの扉こそが、シノンの射撃スキルを強化するための試練の部屋だろう。場所は……遺跡群の奥の方で、迷宮区に入る手前だった気がする。

 

「まずは迷宮区を目指そう。確かその手前に扉があったはずなんだ」

 

「迷宮区の手前ね。それじゃあ、行ってみましょうか。何が起こるかわからないから、用心して。今は頼れるリランはいないんだから」

 

 俺はうんと頷いた。今、俺は《ビーストテイマー》ではあるものの、一般プレイヤーと大差無い状態になっていて、シノンを守れるのは俺の持つ剣だけになっている。リランという大きな力が無い今は、いつも以上に力を入れ、そして警戒して進まなければ、シノンを守る事は出来ないだろう。

 

「あぁ、リランがいないから、用心して進もう。何が起きてもいいように、転移結晶を常に使用できるようにしておこう」

 

 シノンは頷き、アイテムウインドウから転移結晶を呼び出して、懐に仕舞い込んだ。同時に、俺はシノンの身に何かあった時のために、とあるスキルの発動がいつでもできるようにしておいた。どれほどのものかはわからないが、きっと強力なスキルである事に変わりはない。リランのいない今は、俺しかシノンを守る事が出来ないんだから……。

 

「よし、行こうシノン」

 

 俺はシノンと共に、遺跡群目指して歩き出した。

 

 

 しばらく平原地帯を進んで遺跡群の中に入り込み、出会った骸骨型モンスターを片っ端から撃破しながら進んで、迷宮区の一歩手前まで来ると、やはり記憶通り、リランが頻りに気にしていた扉を見つける事が出来た。シノンと共にその扉に近付くと、シノンが懐に入れていた、老人から貰った鍵が、扉と共鳴しているかのように薄く光り始めた。

 

「鍵が光ってるわ」

 

「ビンゴ。この扉で間違いないようだな、あの(ジジイ)の言ってた扉は」

 

 シノンが少し険しい顔をする。

 

「この先が試練の部屋ってわけね。私は準備完了のつもりだけど、キリトの方はどう?」

 

「こっちも準備完了だ。さぁ、入ってみよう」

 

 シノンは頷き、試練の扉の鍵穴に、鍵を差して回した。がちゃり、という音が響いて、木と石で出来た扉は重々しい音と振動を起こしながら、ゆっくりと開いた。シノンは弓を、俺は背中の剣に手をかけながら扉をくぐり、まだ誰も入った事が無いであろう試練の部屋の中に入り込んだ。

 

 その時点で、試練の部屋が遺跡群のなかで最も大きな部屋である事を、俺達は理解した。証拠に、入口に入った時点で部屋の向こう側の壁が見えず、天井も遥か遠くにあるのか、真っ暗だった。

 

 そして部屋の中央付近に来たところで立ち止まり、二人で背中をカバーし合うように周囲を確認した。試練の部屋という割には敵の気配はなく、がらんとしている。前方に目を向けてみれば、高さ30メートルはあるかと思われる背の高い、塔のような祭壇が確認でき、更にそこから50メートルほど離れたところに、梯子が付いた同じ高さの塔が確認できた。

 

「あれが試練?」

 

 シノンの声に頷きながら、俺は梯子のついていない祭壇の頂上が見える角度まで行き、望遠スキルを使って祭壇の頂上を確認した。数本の松明に照らされて薄暗い部屋の中、ぼんやりと光り輝いている金色のアミュレットの姿が見えてきて、俺はハッとした。あれだ、あの爺が取って来いと言ったアミュレットは。

 

「あれが試練のアイテムって奴か。うーん、あの塔をよじ登ってアイテムを取るのは難しそうだな」

 

「無理よ。例えあなたでも、よじ登ったり駆け上がったりするのは難しいと思う。というか、これはクエストだから、そんな事が出来ないようにできてるでしょう」

 

「それもそうだな。となると、あのアミュレットはどうやって入手したものか」

 

 シノンははるか上空付近に見えるアミュレットを見上げた。

 

「あのお爺さんの話の中に、遠くにあるアイテムを矢で撃ち落としたっていうのがあったわ。多分、それと同じ方法で取るんじゃないかしら」

 

 どうやらそんな話が合ったらしい。俺は完全に考え事に耽っていたせいで気が付かなかったけれど、確かにシノンの弓ならば、あのアミュレットを撃ち落す事は可能そうだ。

 

「それじゃあ、ここから狙ってみるか?」

 

「いいえ、下側からだと角度が悪すぎて、当たったとしても落とす事は出来ないと思う。あれを落とすには、角度がほぼ平行じゃないと難しいかもしれないわ」

 

 俺は祭壇から、もう一つの塔へと目を向けた。あそこには梯子が付いており、頂上まで登ればアミュレットとほぼ平行の位置になるだろう。

 

「あの塔の上から狙い撃つのはどうだ」

 

「というかそうやって手に入れる仕組みでしょう。あの塔から祭壇のアミュレットまでの距離はせいぜい50メートルってところだから、ソードスキルを使ったうえで狙い撃てば、命中させられるわね。そして、アミュレットを手に入れる事が出来ると思う」

 

 シノンは俺の前に出て、塔に目を向けた。

 

「ちょっと行って来るわ。流石に二人で登れるほどの広さはないみたいだし」

 

「それもそうだな。くれぐれも気を付けて行ってきてくれよ」

 

 シノンは頷き、そそくさと祭壇から離れている塔の梯子を登り始めて、あっという間に頂上にたどり着いた。

 

「どうだシノン。見えるか」

 

 塔の天辺から、シノンの声が聞こえてきた。

 

「よく見えるわ。ここは絶好の射撃ポイント。アミュレットがすごく狙いやすい位置にある」

 

「よし、狙い撃って落としてくれ。丈夫そうだから、落としても割れないだろう」

 

 シノンの「わかった」という声のしばらく後に、ぱしゅっという矢が飛んでいく音が聞こえ、同時に光を纏った矢がシノンのいる塔から祭壇に向けて放たれ、一目散にアミュレットへ飛翔、金属音に似た音を立ててアミュレットに直撃した。すぐ後に、金色の光輝くアミュレットが祭壇からこぼれ落ちてきた。

 

 咄嗟に俺は走り出して、アミュレットの元へ向かい、軽くジャンプして掴みとる。アミュレットは金色の身体にエメラルドのような美しい緑色の宝石が埋め込まれたネックレスのような形状をしていた。

 

 思ったより綺麗だったアミュレットを注視しながら、俺は着地の瞬間を待ったが、いつまで経っても床に着地しない。

 

 確かそんなに高く飛んだ覚えはないんだけどな……そう思って下を見てみたところ、そこに床はなかった。いつの間にか、床が抜けている!

 

「床がっ、う、うわああああああ!!?」

 

 俺は一応着地に備える姿勢を取りながら、黒く染まる空間へ落ちていった。

 




今回の原作との相違点

1:シノンの射撃スキル強化クエストが早い。原作では86層のイベント。



次回、激甘を目指す。

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