一年SAOに歓喜。
そしてどうなるKIBT。
その最新話をどうぞ。
「「自分から出てきた……」」
俺とシノンは声を合わせて、目の前にいるプレイヤーに向かって言った。
銀色の長髪を一本結びにしていて、緑色の戦闘服の上から黒緑色のポンチョを纏っている、少し背が高く感じられる男性プレイヤー。
それはシノンがフィールドに出ている際にストーキングしていると思われる奴がいるところから、慌ててやってきた。
普通ならば絶対に本人の目の前に出てくる事などないであろうストーカーが、自首するように出てくるという前代未聞の展開。
あまりの出来事に唖然としてしまい、俺もシノンも目を点にするしかなかった。
「ね、ねぇ二人とも、本当にどうしちゃったの!? 二人はもっと思い合ってて、お互いを大切にし合ってて……!」
長身の男に言われた事でハッと我に返り、俺は目を鋭くさせた。
どこかで見た事があるような気がするけれども、こいつはシノンをストーキングしているプレイヤーがいると思われるところからやって来た。
ならば、シノンをこれまでストーキングしていたストーカーは、こいつだという事になる。
それが自らやってくるというのには流石に驚いてしまったが、こうして出てきたのであれば丁度いい。俺は噛み付きかかるように、ストーカーに歩み寄った。
「おいお前。シノンにずっと付き纏ってるみたいだな。何のつもりだ」
「えっ」
少し驚いた様子のストーカーをシノンが睨みつける。まさしく獲物を狙う山猫を思わせる眼光がストーカーに向けられた。
「私をストーキングしてたのはあんただったのね。こっちは散々それに迷惑させられてきたの」
「えっ、あっ」
「こうして自分から出て来てくれたんだから、事情を話してもらおうじゃない。場合によっては悪質なプレイヤーに付き纏われてるって事で、運営に通報するわよ」
シノンがずんと一歩前に踏み出したその時、ストーカーはさぞかし慌てた様子で、両掌を向けてきた。止まってくれという意思表示を含めたジェスチャーだろうか。
「ち、違う違うよ! 僕、僕だよ和人、それに朝田さん!!」
「「へ?」」
もう一度同時にきょとんとしてしまった。
今ストーカーの口から出てきたのは俺の本名とシノンの姓名であり、そこら辺のプレイヤーが知りえないはずの情報だ。まさかこのストーカーは、そこまで集めているくらいに執拗な者だったのだろうか。だとするならばこいつは――。
「あれ……?」
違う、そうじゃない。俺はこのプレイヤーを見た事がある。いや、見た事があるどころじゃなく、会った事もあれば話をした事もある。
灰色がかった銀色の長髪を一本結びにしていて、迷彩服を思わせる緑色の戦闘服を纏っている。一種の強さを感じさせるような身体的特徴があるにも関わらず、その本質はそこまでのものじゃなく、かなりなよなよしている有様。
そんな特徴を持った友人を、俺は一人知っているし、シノンもまた知っている。その名を、俺は気付けば目の前の男に向かって口にしていた。
「……お前、もしかして……
「え? 恭二? 恭二って事は、もしかして
シノンが言った瞬間、銀髪の男は脱力したように、あるいは安堵したように大きな溜息を吐き、ぐらりと上半身を軽く倒した。
「や、やっとわかってもらえた……そうだよキリト、シノン……」
新川恭二。仮想世界ではシュピーゲルの名を使っているそれは、シノンの専属医師であったイリス/芹澤愛莉を、同じく専属医師にしていた患者の一人で、ALOでイリスと共に俺達の元へやって来た。
出会ったばかりの時は打ち解けるまでそれなりにかかったが、以降はALOの攻略を共に進め、最終的にハンニバルさえも共に討ち滅ぼす事となった仲間の一人だ。
俺と詩乃とも、愛莉を通じて現実世界で顔を合わせており、俺とは友人関係を結んでいる。
その恭二で間違いない銀髪の男は上半身を起こし、顔を俺に向けてきた。
頭上には緑色のカーソルと、《
「もしかして今日こそ気付いてくれるかなって思ったんだけど、本当に気付いてくれたね、キリト」
「お前……来てたのか。《SA:O》に」
「……うん」
シュピーゲルは静かに頷いた。その様子を見てシノンが珍しいものを見るような顔をする。
「そういえば最近新川君……シュピーゲルの事は見てなかったかも……」
ALOではしょっちゅう顔を合わせてパーティを組み、クエストに出かけていた恭二/シュピーゲルだったが、《SA:O》になってからはその顔を見る事も、姿を確認する事も出来なかった。
シュピーゲルもセブンを通じてチケットを入手しているはずなのに、いつまで経っても《SA:O》にログインしてくる事はなかったのだ。どうしたのだろうかと少し思っていたけれど、本人にも事情があると思って大して連絡や催促はしないでおいた。
だが、そのシュピーゲルがこんな形で俺達の前に出てくるなんて。言葉を掛けようとしたその時、シノンの声の方が先に発せられた。
「っていうか、私のストーカーがいたところから来たって事はシュピーゲル、私の事をストーキングしてたのは君だって事になるけれど」
「えっ、えぇと……そ、そうなる、かな……」
「どういうつもりよ。皆の前に出てこないで私をストーキングするなんて」
シノンの眉間に少し
如何に同じ専属医師に掛かっていた患者同士であるシュピーゲルと言えども、ストーキングなどという事をされて気持ちがいいはずがない。シノンの反応は当然だ。
それにこうなった以上、俺にもシュピーゲルには聞き出さなければならない事がある。
「シュピーゲル、シノンにストーキングしていた理由は。《SA:O》に来たのはいつだ。前からずっとログインしてたなら、なんで俺達に合流しなかった」
聞きたい事を吐き出すように言ったその時だ。シュピーゲルの顔が徐々に悲しそうな、或いは寂しそうなものへ変わっていった。
直後に、シュピーゲルはぼそりと呟いた。
「……僕は、部外者だったから」
「え?」
シュピーゲルの顔が徐々に下がっていき、俯き加減になった。そのままシュピーゲルは口を動かして言葉を紡ぐ。
「皆にとってこの世界は、かつて過ごした思い出の場所じゃないか。皆はかつてこの世界で力を合わせて戦って、最後まで生き抜いた。
けど僕は違う。僕はSAO生還者じゃない。SAOの思い出なんか何にもない。
だから、ログインしても皆の前には出ていき辛かったんだ。SAOの思い出を共有し合ってる皆からすれば、僕は部外者だから……だから、皆の見えないところから皆を見ている事しか出来なかったんだ。部外者の僕が出ていったら、皆の邪魔になると思ったから……」
そこでシュピーゲルの言葉は止まった。最後まで聞き届けた俺とシノンは、その内容に瞬きを繰り返すような反応をするしかなかった。
確かに俺達にとって《SA:O》はかつて生き抜いた世界が再現された場所だ。かつての世界が再現されているのを見る事によって、あの世界での数多の出来事を思い出したり、感傷に浸ったりする事も出来る。俺達SAO生還者からすれば、この世界は思い出の場所と言えるだろう。
だけど、それはそれだ。ここはSAO生還者達だけにとっては特別な場所というようなもので、SAO生還者以外のプレイヤーが来てはいけない聖域でもなんでもない。現にこの世界にはSAOの事など微塵も知らないプレイヤー達が沢山来ている。
ここはSAOではなく、SAOを基に新たに作り出された、ただのVRMMORPGでしかないのだ。SAO生還者とそうでないものの線引きなど存在しているはずもないし、そんな線など存在していてはならない。
全てを教えてくれたシュピーゲルが顔を上げたその時、突き上げてくるものがあった。胸から生まれたそれはどんどん上がっていき、最終的に口に到達。大きな溜息となって出てきた。
「シュピーゲル、そんな事はないぞ」
「え?」
きょとんとするシュピーゲルに、シノンがほほ笑みかける。
「確かに君の言うとおり、ここは私達がそれぞれの思い出を感じられる場所でもあるわ。私達からすれば懐かしいものだって沢山ある。けど、それが全てっていうわけじゃない。この世界はあくまでSAOの基幹システムと設定を使ってるだけで、SAO生還者以外お断りってわけじゃないのよ」
「……!」
「まぁ、ALOから入ったお前がそんな事を思うのもわからないでもないが、そんな事はないぜ。お前は部外者なんかじゃないよシュピーゲル」
俺は驚いているシュピーゲルの肩に、そっと手を置いた。少しびっくりした様子でシュピーゲルが見つめ返してくる。
「お前は俺達と一緒にゲームを楽しんでくれる仲間の一人だ。陰でこそこそしているのはやめて、皆の前に顔を出せって。それでこれまでどおり一緒にパーティ組んで、一緒にこの世界を楽しもうぜ」
シュピーゲルはきょとんとするのをやめられないようで、ずっと同じような様子で俺とシノンの事を交互に見ていた。だがやがて、その顔は深く安堵したような笑みへ変わっていった。
「ALOでしか皆と遊んでなかった僕でも、一緒でいいのかい」
「勿論だ。誰もお前の事を部外者扱いなんかしないよ」
別にギルドやチームを組んでいるわけではないけれども、集まり合っている俺達。その中にSAO生還者以外を除け者にする者など存在しない。SAOに居た居なかったで分けるような事はしないのだ。
その事が伝わってくれたのだろう、シュピーゲルの表情がぱあと明るくなり、瞳に穏やかな光が瞬いた。
「それじゃあ、それじゃあ僕は――」
「あぁ、ここでもよろしく頼むぜ、シュピーゲル」
そう言ってやり、シノンが静かに笑むと、シュピーゲルは笑み返して頷いた。
一時はどうなるかと思ったシノンのストーカー騒ぎだが、それはかなり意外な形で決着がついた。
俺達に加わりにくくて、ストーカーのような動きをしてしまっていたシュピーゲルも、これで俺達の前に堂々と出て来れるようになるだろう。
何よりSAOについては無知であったシュピーゲルが加わる事で、攻略もより楽しいものになるに違いない。パーティに入れた時には、シュピーゲルに沢山SAOでも見られたものを紹介してやらねば。
安堵しているシュピーゲルを横目にそんな事を考えていたその時。突然シュピーゲルの目がとある場所に向けられ、動きが止まった。
追うように視線を向けてみたところ、そこにあったのは俺の食べかけのブラックチョコレートケーキだった。
「それは……」
「え? あぁ、これはこの店の新作のケーキだよ。ログインした時に広告があっただろ? そこに書いてあるものなんだ」
「黒い……黒……」
「そうそう、黒いだろう。けれどこれ、見た目の黒さに反して結構美味くてだな。なんならお前も頼んでみるといいよ」
シュピーゲルは俺とシノンと同じように、このケーキの黒さに驚いているに違いない。そして改めてこのケーキを食する事で、その見た目に反する美味しさにもう一度驚くのだ。
その時の様子が安易に想像できて、思わず笑い出しそうになったそこで、シュピーゲルが「あ!」と小さく言った。
急に何かを思い出したようなその様子に、俺もシノンも一瞬きょとんとしてしまった。
「どうしたんだ。急にそんな声出して」
「黒いので思い出したんだけれど……二人とも、黒いブルーカーソルって知ってる?」
二人でシュピーゲルの質問に「は?」と応じるしかなかった。
ブルーカーソルの事は勿論知っているけれども、黒いブルーカーソルなどというシステムが存在しているなどという話は聞いた事もない。クローズドベータテスト中のアップデートで追加されたのだろうか。
「黒いブルーカーソル? 何の事を言ってるの」
シノンが尋ねたところ、シュピーゲルはその全容を話してくれた。
シュピーゲルが俺達に隠れてこのゲームにログインしていた時、プレイヤー達の間で《黒いブルーカーソル》、《黒服のブルーカーソル》というものが確認されているという話を聞いたらしい。
それによれば、カーソルが青色になっている、黒い衣装を身に纏ったプレイヤーがフィールドに一人で出没しているという。
この世界で最も大きな禁忌は、NPCへの攻撃や殺害、《使い魔》への虐待だ。
それを破って罪を犯したプレイヤーはカーソルが青色になる《ブルーカーソル》になり、フィールドに出れば全てのモンスターとNPCから最優先ターゲットにされ、更に街や村に入れなくなり、近付けば強力な守衛NPC達からも狙われるようになってしまうという、まともにこの世界で遊ぶ事は出来ない状態になる。
既に何人かのプレイヤーがNPCや《使い魔》に意図的に攻撃を仕掛けて、このブルーカーソルになってしまい、どうにもならなくなって、この世界に来れなくなってしまったという話は聞いていた。しかし、それは結構前の話で、最近は全く聞く事はなくなっていた。
だからだろう、ブルーカーソルという用語自体、久々に聞いた気がする。
そしてシュピーゲルの話だが、その《黒衣を纏ったブルーカーソル》という言葉を聞いただけで、俺はある人物の姿を頭の中に描く事が出来た。
血のように赤い髪の毛をオールバックにし、俺と同じように黒衣を纏っている事、そして黒い狼竜を従えている事から《黒の竜剣士》と呼ばれている、ぎらついた目の男。
その名をジェネシスというそいつは、俺と同じ《黒の竜剣士》という二つ名を持ち、モンスターとプレイヤー相手に散々暴れ廻っていた。
このジェネシスは非常に強い武器を使っているのだが、おかしいのがそれだ。ジェネシスの武器は《使い魔》の尻尾であったものと思われるモノであり、《使い魔》の尻尾を切断しなければ手に入りそうにないのだ。
立派な虐待行為に及んだが故に手に入れたであろう武器を使っているはずなのに、ジェネシスはブルーカーソルにならない。下されるべき罰が下されないという不可思議なその現象は、長らく俺達の間でもわからない事だった。
だが、シュピーゲルの話を聞いてようやく安心できた。ようやくそいつに罰が下ったのだろう。ブルーカーソルという最悪の罰が。
「なるほど、そいつはジェネシスだな。あいつは自分の《使い魔》の尻尾を斬って武器にしてた。ブルーカーソルにならないのが不思議だったけれど、ようやく罰が下されたんだ」
俺と同じ事を思っていたようで、シノンも軽く溜息を交えて言った。
「やっぱりね。あいつは《使い魔》を可哀そうな目に遭わせてたし、他のプレイヤーにも沢山迷惑をかけてた。なんでかブルーカーソルにならずに済んでたけど、とうとうその時が来たってわけ――」
「違う、そいつじゃないよ」
「え?」
シノンの言葉を遮って、シュピーゲルは話を続けた。
プレイヤー達の間で話されていた《黒服のブルーカーソル》なる存在は女性プレイヤーであり、全身を黒い服に包み込み、頭と顔さえも黒い装束で隠しているという。それは俺やレインと同じように二本の剣を扱い、尋常ではないくらいの動きをしながら、向かってくるモンスターの群れもNPC達も
モンスターから素材を、NPCから武器を剥ぎ取り、不気味極まりない大きな笑い声を上げて。
「な……!?」
その話には俺も驚くしかなかった。
ブルーカーソルになったプレイヤーは押し寄せるモンスターと街と村を守る守衛NPCの群れに駆逐される運命にあるとばかり思っていたのに、それを覆して、逆に駆逐し返す存在が現れるだなんて。
しかも向かってくる者達を高笑いしながら返り討ちにして、素材も武器も奪い取って逆利用しているのには、異常や狂気を感じるしかない。
ジェネシスも戦闘中に突然高笑いを始めて大剣を振り回し、《使い魔》と共に狂気的なまでに暴れ回る者だったが、あいつはまだグリーンカーソルだったから、街に補給に入る事は出来る。
だが、そのプレイヤーは補給のために街に入る事も出来ない最悪の状態であるブルーカーソルに堕ちて尚闘争を続け、補給を向かってくるモンスターやNPC達から剥ぎ取る形で行い、それでモンスターと守衛NPC達の死体の山を築き上げているというのだから、ジェネシスよりも異常であるとしか言いようがない。
「なんなんだよそいつは……ジェネシスよりおかしいじゃないか。色んなベクトルで」
「NPC達を狩って……武器を現地調達し続けてるっていうの。それで全部鏖って……」
シノンが信じられないようなものを見ているような顔をしていた。一方でシュピーゲルの表情も、嫌なものを思い出しているようなものへ変わっていく。嘘を吐いているような雰囲気は一切感じられなかった。
「僕もなんかの冗談じゃないかって思ったんだけど、この前フィールドに出た時見つけたんだ。全身キリトみたいに黒ずくめで、二刀流で……その場のモンスターが全部ターゲットを向けてる人。モンスターとNPCの群れが向かってくると大笑いして……全部喰らい尽くすみたいに鏖にするんだ」
普段からイメージ力は鍛えているつもりだったが、シュピーゲルの話に出てくる《黒服のブルーカーソル》の姿は全く想像がつかなかった。そもそもブルーカーソルになった事を喜んでいるように高笑いして、モンスターもNPCも鏖にするなど、常軌を逸しているにも程がある。
恐らくだが、SAOを含めたVRMMOで前代未聞の存在だろう、そのプレイヤーは。
「そいつに話を伺ったり、名前を見たりする事は――」
俺の問いかけに、シュピーゲルはすぐさま首を横に振った。
「とても怖くて、近付く事なんかできなかった。話しかけられるわけないよ、あんなのに」
「だろうな。近付いたらお前までどうなっていたかわかったもんじゃない。そんなのを見つけたお前が無事で、よかったよ」
シュピーゲルは「うぅ」と小さく言って俯いた。きっと今でも鮮明にその者が放つ狂気や異常性を思い出せるのだろう。
その《黒服のブルーカーソル》だが――向かってくるモンスターやNPCを鏖にしている時点で異常だけれど――、普通では考えられない数のモンスターや戦闘NPCを狩りに狩っているのだ、同じく尋常ではない経験値を得ていて、異常なまでの武器を使い、異常な程レベルを上げている事だろう。
それでおいて異常行動に走っているのだから、俺達が近付こうとしようものならば、即座に周りのモンスターやNPC達と同様に喰らい尽くされるに違いない。名前が出てこないのは、情報屋でさえも近付く事が出来ないからなのだろう。
何のためにブルーカーソルになり、何のためにモンスターもNPCも鏖にしていくのか。その目的や思惑は一切想像できないし、理解する事もきっとないだろう。
《黒の竜剣士ジェネシス》、《白の竜剣士ヴェルサ》、そして《黒服のブルーカーソル》。
この《SA:O》には変わったプレイヤーが多い――実際俺もその一人だろう――が、最後の《黒服のブルーカーソル》だけには接触しない方がいいだろう。
その情報と、ようやく加わった者と一緒に、俺達にはいかなければならないところがある。再確認して、俺はその者に言った。
「ひとまず、そいつの事も皆に話す必要があるな。シュピーゲル、一緒に来てくれないか」
それまで暗い顔をしていたシュピーゲルは表情を笑みに変えて、頷いた。
「勿論だよ。キリト、シノン!」
現れた《黒服のブルーカーソル》とは。