モグラだってドラゴン名乗っていいじゃない!   作:すこっぷ

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投稿しないと言ったな、あれは嘘だ


18話

おぉ、成功したっぽい。

 

シゴき中にアザゼルさんから聞いたのだが、意志を持つ神器の禁手には、鎧の様な全身に装着する様な物が多いそうだ。

ライザーをぶちのめした時のイッセーの様に。

 

俺もモグラさんと一緒にイッセーみたいな変身を!!

そう思ってやってみたが、イッセーとはちょっと違うな。

なんていうか、メカっぽい。

 

メタリックでカッコいいのだが、装甲薄くね?

出来れば鎧でガチガチにして、攻撃食らっても痛くない様にして欲しかった。

 

というか腕と脚のこれは何?

バッファ◯ーマンの腕のカバーみたいなの。

うお、回転すんのか。

タービンってやつ?

火花散って危ないな。

 

この掌と手首にある穴って何だろう?

ビームとか出たりするのかな?

ロマンを感じるね。

 

ヘルメット被ってるのに外の様子とかもちゃんとわかるのも地味に凄い。

ちなみに口にドリルは付いてない。

一応言っておく。何故かはわからないけど。

 

身体のチェックをしてたらなんか落ち着いてきちゃったな。

お、蒸気が晴れてきた。

さて、気合を入れてブチのめす!

 

「ほぉ……それが貴様の禁手か」

 

ニヤニヤしてんなハラ立つ。

あ、アザゼルさんもやってた光の剣だ。

他の人に厨二病だと馬鹿にされてたけど。

 

「いいぞ、かかって来い。遊んでやろう」

 

言われなくてもやったんよ。

てうぉ、なんか加速した!?

後ろに加速装置ついてんのか、ビックリした。

いや、背中は見えないしね?

 

殴ろうと思ったら勝手にコカビエルに土の柱が襲いかかった。

あ、モグラさんがやってくれてんのか。

ありがとー。

 

「ふん、くだらん曲芸を」

 

モグラさんの好意になんて言い草だ。

カッコつけて剣振り回しといて土も切れないでやんの、ププッ!

え? あれもモグラさんなの?

いつの間にかハイスペックになってるね、モグラさん。

 

ともかく、まずはそのムカつく面に一発!

 

フハハ、モグラさんの援護のおかげで面白いように拳が当たる!

はいボディ、リバー、んでもって横っ面ぁ!

まだまだ行くぞオラァ!

 

剣が飛んできてメット割れちゃったけど、そんなの気にせず殴りまくってやる!

お前のせいで、お前の所為で俺はぁ!

あぁくそ、特訓の事思い出したら涙出てくる……。

 

む、余計な事考えてたら逃げられた。

 

「ぐふぉぁ、何故だ……何故人間の拳程度でこの俺がダメージを……ッ!」

 

あん? 何ガンつけて……いや、俺の手を見てる?

あれ、何か光ってる。

成る程、これが噂の『気』ってやつか。

今のテンションなら手からビームも出せそうな気がする。

 

「なるほど……闘気、いや純粋な生命のエネルギーを消費して拳に纏わせているのか。狂っているな、人間の身でそんな真似をすればすぐに死ぬぞ」

 

そんなハッタリ効きません。

空孫悟(そらまごさとる)はドラゴン波バカバカ撃っても死ななかったし。

 

「お前を殴れるなら、それでいい」

 

何、モグラさん。

え? ドリル出るの!? やるやるっ!

ウッヒョー、テンションあがるわぁー!

 

「カズキ! そんな力使うな! 今から俺たちも一緒に戦えば……!」

 

おいおい、そんなに簡単に騙されるなよ。

 

「バカ、敵の言葉を鵜呑みにするな。俺が死ぬ訳無いだろう」

 

人間、そんな簡単に死ぬ訳ないない。

じゃなかったら、アザゼルさんやヴァーリさん達に長年虐められ続けた俺は、ここにいない。

 

「嘘です」

 

意外な事に朱乃さんまで信じてしまった。

なんだかんだで抜けてる所があるんだなぁ、朱乃さんって。

つい笑いを堪えながらイッセーたちの方を見てしまった。

 

何でみんな辛そうな顔してんの?

あんな言葉を信じるなんてみんな純粋すぎるな、悪魔のくせに。

 

さぁ、八つ当たりの続きだ。

ドリルをキュインキュインさせながら、コカビエルに突っ込む。

 

「フハハハハ! そうだ、これだよ! 俺はこういう感覚が欲しかったんだ!!」

 

どんな感覚だよ、殴られて得られる感覚って。

こいつ、朱乃さんの対極の位置にいるドM?

だからアザゼルさん達にハブられてるのか?

なんかあんまり殴りたくなくなってきたな、喜ばすだけとか。

 

「そぅら、これが躱せるかな!!」

 

うぉ! あれはアザゼルさんが大好きな光の槍の滅多打ち!?

あれは喰らいたくないっ!

モグラさん、回避、回避!!

 

モグラさんの能力で足下に穴を開けてそのまま接敵。

背後から思い切り殴り飛ばす。

 

ちっ、あんま効いてないか。

すぐに態勢を立て直して、光で剣を形成しながら飛びかかってきた。

 

「楽しいっ! 楽しいぞ人間!! あの戦争が終わってから、こんなに楽しかったことはない!」

 

「ぐっ……!」

 

「もっとだ! もっと俺を楽しませてくれぇ!!」

 

くそ、選択間違えた!

この人羽まで硬いの!?

手数が違いすぎる。

いまは受け流せるけど、そろそろマズイ。

殴っても堪えてくれないし、笑い声にドン引きしてヤル気は下がるし散々だ。

 

「っいけない! みんな、カズキくんの援護にいくわよ!!」

 

おぉ、そうだ!

助けてみんな! 変態に襲われる!!

 

「邪魔をするなザコどもがぁ!!」

 

早いよ!? やられるの早過ぎるよ、もっと頑張って!

くそっ、離れろ変態め!!

コカビエルを蹴り上げて、距離を開いて何とか仕切り直す。

 

しかし、さっきから調子が悪い。

息切れするし、心臓がバクバクとうるさい。

スタミナにはそれなりに自信あったんだけど。

どんだけ変態が嫌いなんだ、俺。

いや、好きでも困るけど。

 

「クハハ、そろそろ限界か? お前のお陰で久し振りに楽しい時間が過ごせた。お礼に最大威力で葬ってやろう!!」

 

うわぁ、お空にでっかい槍が。

あれは無理だろ。

これは負ける。

まぁ負けてもどうせアザゼルさん、が……俺を、シバき倒すよね。

幹部の皆さんも、一緒になって無理難題吹っ掛けてくるに決まってる。

……負けたくねぇ!!

 

「畜生め……ここで負けたら、意味がないんだよっ!」

 

ペナルティは嫌だペナルティは嫌だペナルティは嫌だ……!!

 

モグラさん、なんか無いの!?

え? ある?

じゃあそれで行こう!!

使った後倒れるかも?

どうせ使わないで負けても倒れるまで虐められるんだから変わんない!!

モグラさん、GO!!

 

俺の意思に反応して、胸の装甲が開く。

同時に手脚のタービンが回転を始め、徐々に速度が上がっていく。

なんだ、スゴイかっけぇ!

これは男の子なら、ついテンションが上がってしまう!!

 

「何をしようが無駄だ、全員纏めて吹き飛ぶがいい!!」

 

コカビエルが叫びながらあの巨大な槍を振りかぶっている。

けど、今のテンションで負ける気がしない。

一緒に行くぞ、モグラさん!!

 

「お前がぶっ飛べ、くそったれぇぇぇ!!」

 

ビーム! 俺の胸からビーム出た!!

しかもめちゃくちゃ太い。

あぁ、女は胸からミサイルを出して、男はゴン太ビームを捻り出す。

意味深だね、ビーム。

 

アホな事を考えてる間にも、互いの攻撃が拮抗し合う。

てかこのビーム、撃ってると凄い疲れる。

足もガクガクしてきた。

 

「カズキ、今の俺にはこれが精一杯だ。情けないけど、頼んだ!!」

 

うぉ、イッセーいつの間に後ろに。

なんで肩に手を置いてるの?

 

『Transfer!!』

 

あれ? イッセーの籠手から声が……うおぁ!?

ビ、ビームがゴン太から極太に!

そう言えば力が渡せるようになったとか言ってたっけ。

つまりこれは!

 

『親子ドラゴン波』!

 

いや、親子じゃないけど。

似た様なもんだろ、多分。

 

「俺の槍がこんな容易く!?くっ、舐めるなあぁぁぁ!!」

 

うわ、なんかガラスが割れる様な音した。

あのビーム、飛んでったけどどこまで行くんだ?

 

しかし、あのビームはダメだ。

モグラさんの言った通り、倒れそう。

もう使いたくないな。

うわ、コカビエルが焼け焦げて落ちてきた。

これでもう大丈夫だよね?

あ、やばい。

ホントに意識が……

 

「やった……これで……みんなに……」

 

虐められなくて、済む……。

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

起きました。

ここ、俺の家か?

うーん、どうにも身体の調子が悪い。

関節とかゴリゴリいってるし。

 

あれ? なんで朱乃さんがここで寝てんの?

モグラさんも一緒に寝てるし。

 

「む、起きたのかカズキ」

 

「え!? カズキさん気が付いたんですか!?」

 

ゼノヴィアにアーシアちゃんまで?

なんで俺の家にいるんだ?

 

「何、隣へ越してきたからな。隣人とは親しく付き合うものだろう?」

 

マジでか、いつの間にそんな話に。

……あぁ、あれからもう何日か経ってるのか、道理で関節が固まってる訳だ。

みんなで看病してくれてたのか。

ありがとね。

 

あ、アーシアちゃんがこけた。

そんなに慌てなくても……お?

今の音で朱乃さんも起きちゃったみたいだ。

 

「カズキ……くん?」

 

「おはようございます、朱乃さん」

 

うぉ、いきなり抱き着かれた!?

な、何だこれ、ドッキリ?

カメラは??

朱乃さんなんか泣いちゃってるよ!?

だ、抱き締め返せばいいのか?

 

いや待て。

抱き締めたりした途端、プラカードを持ってイッセー辺りが登場するに違いない。

それで朱乃さんが

『本気にしました? ウフフ』

とかSな笑顔で言うに決まってる。

 

お、俺は騙されないぞ!?

騙されないからな、頭を撫でたりなんかしないんだからな!

 

「髪の毛サラサラで、撫でるの気持ちいーとか思ってないからなっ!」

 

「声に出てるぞカズキ。ふむ、アーシア。私たちは俗に言う『お邪魔』という奴なのではないか?」

 

「そ、そうですね!だから静かに観察しましょう、後学のために!!」

 

この状況から何を学ぶ気なんだアーシアちゃん。

人の陥れ方かなにか?

というか、助けて。

考え過ぎてなんか変な汗出てきた。

 

「お邪魔しまーす、カズキの様子は……」

 

きた!イッセーきた!

これで勝つる!!

 

「助けてくれイッセー!!」

 

イッセーは俺を見るなり一言。

 

「な、なんだその羨まけしからん状態は!」

 

駄目だ、こいつは役に立たん。

 

「あ、朱乃さん。俺、もう大丈夫ですから……ね?」

 

ほらこんなに元気!

そう言いながら、イッセーにコブラツイストをかける。

必死だからイッセーの悲鳴なんて聞こえない。

 

「ふふ……本当に、へんな人ですわね」

 

お、笑ってくれた。

すまんイッセー、お前はやっぱり役に立つ男だったみたいだ。

 

 

 

その後に他のみんなもやって来て、オカルト研究部が勢揃いした。

だから狭いってば。

 

「はぁ、俺が倒れた後にそんな事が……」

 

コカビエルの言ってた事本当だったのかよ。

生命エネルギーって……そんなおっかないもん垂れ流しにしてたのか、俺。

朱乃さんに本気で心配されたし、モグラさんも気を付けてくれるらしいからもう大丈夫だろう。

 

てかヴァーリさん、いたならもっと早く助けてよ。

相変わらず厳しい人だなぁ。

今度会ったらお礼言っとかないと。

 

モグラさんも少し成長した?

体重も肌触りも毛並みもいつも通りパーフェクトだ。

おでこにオレンジ色の宝石みたいなのが張り付いてるくらいしかわからん。

 

「そういえば、ゼノヴィアはこれからどうすんの?」

 

悪魔に転生してるのは意外だった。

何でも神の不在を知ってヤケクソで悪魔になってみたらしい。

人の事言えないが、行き当たりばったりな人生だな、こいつ。

 

「部長が部屋を用意してくれたし、学校にも通える様に取り計らってくれた。悪魔稼業をしながらやりたい事でも探してみるよ」

 

そういや隣に越してきたんだっけ?

隣ってあのマンションだろ?

高いのに勿体無い。

 

「まぁ何かわからなかったらウチに来い。飯位なら食わせてやるから」

 

「む、良いのか? カズキの料理は美味かったからな、楽しみだ」

 

なんかこいつに餌付けしてばっかだな。

 

「あら? だったらカズキくんの家に引っ越す? 一緒の方が何かと便利でしょ?」

 

もちろんカズキくんがよかったら、だけど。

リアス先輩が悪戯っぽく笑いながらそう言う。

困るの解ってて言ってるな、この人。

悪魔かこの人。あ、悪魔だった。

 

ゼノヴィアは乗り気だったが、結局朱乃さんの一声によりその案は否決。

その後小猫ちゃんのリクエストで、俺が料理を作って復帰祝い兼祝勝会が行われた。

女性陣もそれぞれ料理を作ってくれたりして、なかなか楽しかった。

 

アーシアちゃんや朱乃さんはイメージ通りだったが、リアス先輩や小猫ちゃんまで料理をしたのは意外だった。

それを口に出したらリアス先輩は黒い笑みを浮かべ、小猫ちゃんが不貞腐れてしまった。

モグラさんと新作芸を披露して、機嫌取りに必死でした。

 

え? いつの間に練習を?

どんなに凄い特訓からでも、サボるのが私です。

結局バレて三倍虐められるけどね!

 

これで暫くは静かに過ごせるといいなぁ。


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