東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 ども、更新です。

 咲夜さんの日記です。

 色々な設定が錯綜している彼女ですが、可愛いですよね。


十六夜咲夜の日記 Я月

Я月(|||゚Д゚)日

 

 今日は規則的に衝撃音が何度も鳴り響くお昼時。

 

 弾幕ゲームの音じゃないから、無理やり突撃してきた妖怪か美鈴に挑戦に来た人間だろう。

 

 しかし、十回を数えるぐらいまで音が響いているから妖怪かしら?

 

 一方的に叩き潰しているようだし、私は屋敷の仕事に戻るとしましょう。

 

 お嬢様もこの時間ならこの程度の音では起きないぐらい深い眠りに入っているので問題ない。

 

 最近は人里でも雑魚妖怪を相手にできるぐらいの傭兵が現れたらしいが、会ったことは無い。

 

 変わったことと言えば、たまに買い物に行く人里に少々明るさが見えるようになったことだろうか?

 その前はちょっとギスギスしてた雰囲気があったこともあったが、今は良い雰囲気と活気が出てきている。

 

 お嬢様のメイドとして仕えている私が言うのもなんだが、バランスから見れば妖怪側に比重がある状態がちょっと長く続いていたから活気が出てくるのはいいことだ。

 

 心なしか、里の色々な商品が潤沢しているように思える。

 やっぱり、町が明るくなると生産効率も心なしか良くなるのかもしれない。

 

 

 

Я月(〃ω〃) ポッ日

 

 美鈴からの報告で、紅魔館の外壁にヒビを入れてしまったと驚きの話が上がってきた。

 

 パチュリー様に簡単に壊されないよう強化の魔法をかけてもらっていたので、それにヒビを入れられるとは考えていなかった。

 

 これまで壊されたのって、霊夢や魔理沙が突入してきた時に破壊されて以来のはずだ。

 

 妖怪の襲撃にも無傷で耐え切った外壁を壊すとは……。

 

 しかも、相手が最近美鈴が稽古をつけている人間らしい。

 あの重低音の衝撃音がそうなのだとすれば、人間相手になんてことをしているのだろう。

 

 普通なら壁にトマトの様な何かが張り付く事態になる。

 

 波紋という太陽の力に似た力を練り上げて全身に纏う技術のようだ。

 

 よりによって太陽とは、吸血鬼の弱点を露骨に突いている。

 

 美鈴が言うには敵意は無く、温厚で妖怪を育てるなど妖怪側にも理解がある。

 あと、異様な戦闘経験があり、才覚もある。

 

 育てるのが楽しみな人間らしい。

 

 しかし、お嬢様を狙う外界のヴァンパイアハンターの可能性も捨てきれないのだ。

 

 私が直接調べる必要がある。

 

 

 

 

Я月ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル日

 

 早朝に件の彼が来る前に壁に入ったヒビを見に行ったが、想像していた壁の状態じゃなかった。

 

 美鈴、これはヒビとは言わないわ。

 陥没って言うのよ。

 

 中心から蜘蛛の巣状に陥没している。

 

 昨日も書いたが、この壁はパチュリー様の魔法でかなり強化されていて、中級妖怪までなら無傷で耐え切るほどの強度を誇っているはずだ。

 

 もちろん、美鈴やお嬢様、妹様、パチュリー様なんかがその気になれば砕ける程度の強度だけど、モノをぶつけてこの程度の破損をさせようとするなら、たぶん美鈴に岩を全力で数回ぶつけてもらう必要があるだろう。

 

 そんな強度の壁に人間をぶつけて破損させるというのは、美鈴にも殺意があったんじゃないかと疑うぐらいの話になるが、人間の方も人間の方だ。

 

 強度だけなら風見幽香の一撃にも耐えられるかもしれない。

 

 そんな人間に会った時の印象が、人畜無害な人間だった。

 

 この男が常時波紋という力を纏っていること、歩き方からも分かるほどに異常な実力を持っていることが良くわかった。

 

 模擬戦を頼むと彼も色々な相手と戦って経験を積みたいらしく、了承してくれた。

 

 正直驚いたなんてものじゃなかった。

 

 私の時間停止を初見で対処して見せたのは驚きだ。

 

 最終的に、全方位遠近無視のナイフ配置でハリネズミにしてしまった。

 

 加減こそしていたが、まさか一センチも刺さらないのはびっくりだ。

 

 それでも刺さったことに違いは無いので、手当てするために救急箱を持ってくると、一部ではもう出血が止まっていた。

 

 驚くべき回復力だ。

 

 あえて、気にしない様にしていたけど、美鈴の言っていたゆっくり妖怪というのはあの娘かしら?

 

 パチュリー様にそっくりなあの娘は、彼に懐いているのだろう。

 楽しそうにくっついていた。

 

 

 

 

Я月ヘ(゚∀゚ヘ)月

 

 彼、海原参護さんの評価をお嬢様に報告すると、楽しそうに笑っていた。

 

 興味を持ったのだろう。

 運命的に会うことになるのだろうか? 特に連れて来いと言う命令も無く、次来たらもてなしてあげなさいと言われただけだった。

 

 美鈴が言うには紅魔館全員のゆっくり妖怪が彼の家にいるらしい。

 ということは、私やお嬢様のゆっくり妖怪も?

 

 ちょっと行ってみたいと思ってしまった。

 

 

 

Я月(^◇^)日

 

 私のゆっくり妖怪に会った。

 

 犬耳なんかもなぜか付いていた。

 

 確かに、『吸血鬼の狗』なんて呼ばれ方もしていた時期もあったが、その影響なのかしら?

 

 そして美鈴、どうして私のゆっくり妖怪をずっと抱きしめて愛でているのかしら?

 

 結局一日中、美鈴はゆっくり妖怪を抱きしめたまま過ごしていた。

 

 参護さんに家にお嬢様や妹様のゆっくり妖怪も居ますよと情報をいただいた。

 

 ……これは、彼の家の視察も必要でしょう。

 

 妖怪に理解のあるという話が事実かどうか。

 しっかりとこの目で確かめましょう。

 

 

 

 

Я月( ^ω^)ワクワク日

 

 さすがに恥ずかしかったので、美鈴に昨日のあれを注意した。

 

 いくらなんでも私の容姿をした妖怪を一日中抱きしめて頬ずりしたりするのは、本人としては恥ずかしいのと、気まずいのとでやるせない。

 

 すると、美鈴は明日ゆっくり妖怪に会いに参護さんの家に行くそうだ。

 

 それに便乗させてもらえることになった。

 

 彼の家は美鈴が大体の場所を教わっているそうなのでそれに従うとしよう。

 

 人里に買い物に行くこともあるのだから、そのたびにお嬢様や妹様のゆっくり妖怪に会えるかもしれない。

 

 ちょっと楽しみだ。

 

 

 

 

Я月(`・д・´)キリッ日

 

 参護さんは人里の外れの廃墟だった家を修繕して住んでいた。

 

 家に入ると玄関に美鈴のゆっくり妖怪がいた。

 すよすよと眠っている姿は、少し前の美鈴を思わせる。

 

 参護さんが言うには、彼女はここが落ち着くのか眠るのは玄関なのだそうだ。

 

 居間に着くと、お茶とお茶菓子で歓迎された。

 

 茶葉は良いものを使っていますし、素人ながらに丁寧に淹れられたそのお茶は美味しいと思えるほどにしっかりとお茶の味わいがあった。

 

 美鈴は裏庭にある花壇を見に行ったみたいだし、私は私でお嬢様と妹様のゆっくり妖怪が懐いてきてくれた。

 

 他のゆっくり妖怪よりも小さいが、子供らしく悪戯盛りだと苦笑しながら言っていた。

 

 両肩に乗って頬を摺り寄せてきたときは正直和んだ。

 

 これはまた来たい。

 

 そう伝えた時、参護さんからここに出入りしている人達を知った。

 

 色々すぎる。

 蓬莱人や妖怪なんかも出入りしているし、あのフラワーマスターも花壇の花を見に時折訪れるらしい。

 

 喧嘩しないでくれという話なんだろう。

 

 とりあえず、お嬢様たちが来るまでにきちんとルールを作って私達を楽しませてほしい。

 




 いかがだったでしょうか?

 明日は泊まり込みなので更新できません。

 参護日記か外伝の更新になると思いますので、ゆっくり待って行ってね!

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