東方饅頭拾転録 【本編完結】   作:みずしろオルカ

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 お待たせしました。

 空き時間にネタを詰めて、一気に書き上げました。

 この場を借りて、推薦をしてくださった『クーマン』さん。
 本当にありがとうございます!

 感想貰っただけでもニヤニヤが止まらないのに、推薦までしてくださって小躍りしたい気分です!

 それでは、本編どうぞ!

 今回は、アンケートから取り入れましたゆっくり妖怪の登場です。



海原参護の日記 Å月

Å月((((;゚Д゚))))ガクガク日

 

 広告を出してから、初の妖怪がらみの依頼が来た。

 

 とある妖怪に花の種を届けてほしいというもの。

 非常に珍しい品種の種が手に入ったらしく、その商人は届け先の妖怪にこういう珍しい種が手に入ったら届けるように頼まれていたのだそうだ。

 

 しかし、依頼内容と届け先を聞いて、知識から当てはまる妖怪を検索するとあっという間にヒットした。

 

 四季のフラワーマスター、風見幽香。

 

 あれ? 死亡フラグビンビンで悲しくなってくる。

 

 風見幽香と言えば、太陽の畑に住んでいる古参妖怪の一人だったはずだ。

 その強さは上級妖怪の中でも最強クラスな上に、八雲紫とも交友がある。

 俺の様な中級になりたての妖怪に辛くも勝利する程度の実力では埃を払うようにやられるだろう。

 

 人格は会ってみないことにはわからないが、人里の花屋さんと交流があるならば少しは交流が持てるかもしれない。

 

 妖怪と交流があるとすれば、射命丸文ぐらいだろうか?

 ベクトルが違い過ぎて泣けてくる。

 

 明日が配達日なのだが、受け取ったのは小さい袋に入った植物の種。

 依頼人からの注意事項は、機嫌を損ねない様に、彼女の目の前で花を傷つけない。

 

 注意事項が必要な届け先か。

 風見幽香の危険度は知識と噂で十分知っている。

 

 後は、対応を間違わない様にしなくては……。

 

 

 

Å月( 0w0)ノ ウェーイ日

 

 無事に配達完了。

 

 噂と知識だけじゃ、その人の人柄は分からんね。

 

 礼儀と花を傷つけないように接していれば、不意打ちを一回される程度で済んだ。

 

 種子を渡して、証明にと彼女が小さい花を渡してくれた時に、おそらくかなり手加減していただろうが横っ面に貫手を放たれた。

 

 あらかじめ弱めの波紋を動体視力に回していたのが良かった。

 

 上体を反らすことで、どうにか一撃を躱すことができた。鼻先を少し削られたが、彼女の貫手を受けてその程度で済んだのなら御の字だろう。

 

 幽香さんが言うには、珍しい力を持っていたから試してみたくなったと言っていた。

 

 完全に自業自得じゃないですかー、ヤダー……。

 

 鼻先から出血したまま家に戻ると、YレミリアとYフランが代わる代わるに鼻先をチューチューと吸ってくれた。

 

 満足してくれたようで二人とも上機嫌だった。

 

 依頼は無事成功。

 お客さんも満足してくれたようでよかった。

 

 

 

Å月( ゚д゚ )クワッ!!日

 

 朝にY美鈴と稽古をしていると、風見幽香が現れた。

 

 うん、何を言っているのかわからないと思うが、風見幽香だった。

 

 ゆっくり妖怪を知っているようで、

「こんなに、ゆっくり妖怪がいるなんて珍しいわね」

 と言っていた。

 

 そして裏庭の一角をいきなり畑と花壇に変えて、数種類の種を植えて行った。

 

 きちんと育てて見せろという事か?

 

 Y美鈴なんてさっそくジョウロで水をあげているが、俺自身ガーデニングの知識は無い。

 里の花屋さんにアドバイスを貰ったとしても、常時家にいるわけでも無い訳で、早出して日付をまたいで帰ってくることも多い。

 

「幽香さんみたいな知識があれば、きちんと育てられるんだろうけどなぁ」

 

 思わずつぶやいてしまった後で、慌てて周囲を確認した。

 

 Yパチュリーどころか、他のゆっくり妖怪もいない!

 

 よし、不用意な発言だったが、誰も聞いていないのなら問題ないだろう。

 

 

 

Å月(´゚ω゚`;)ズーン日

 

 ゆっくりには……勝てなかったよ……。

 

 新しい居候、ゆっくり幽香ちゃんこと、Y幽香ちゃんだ!

 

 ちくせう。

 

 増える分には構わないが、俺の不用意な発言に応える様に増えていくのはいかがなものか……。

 

 出会って最初の言葉が、「ゆっくりしていくよ!」だった。

 

 どこで聞いていたのか?

 それとも、俺のせいじゃないのか?

 

 理由は分からないが、恒例の阿求様に報告に行った後、彼女の寝床などの細かいものを買いに行った。

 

 帰り道に文さんに会って、軽く取材を受けた。

 

 幽香さんのくだりで笑顔が引きつっていたが、俺だって良く生きてたと思うよ?

 

 鼻先を削られる程度で済んで運が良かったのは確かだし、相手がかなり手加減してくれていたのがわかるから、その手加減状態で避けるしかできなかった自分に涙が出る。

 

 だって、その後で本気の貫手を岩で見せてもらったが、動体視力強化してようやく初動を視認出来た位だ。何もしない状態だと気付いたら岩に穴が開いている状態なのだから、冷や汗でシャツがグッショリにもなる。

 

 文さんも彼女の恐ろしさを説明してくれたが、身を持って味わった。

 知識じゃなくて体験は本当に重要だ。

 百聞は一見に如かず、とはよく言ったものだと思うね。

 

 家に帰るとY幽香がY美鈴と一緒に植物の世話をしていた。

 

 そういえば、紅魔館の庭の手入れは彼女の仕事だったか?

 

 Y小悪魔はYパチュリーとY咲夜が世話をしていた。

 

 YレミリアとYフランはY小悪魔の隣で子守唄でも歌うように、ウーウーと言っていた。

 

 今日も我が家は平和です。

 

 

 

Å月∑(゚д゚ノ)ノウワッ日

 

 今日も朝からY美鈴と組手をしていたが、屋根の上で文さんがニコニコしながらその様子を見ていた。

 

 何が面白いのか尋ねてみても、取材だから気にしないでと言うばかり。

 

 そしてなぜか屋根の上にまでお茶を届けるY咲夜ちゃん。

 家の接客担当の地位に君臨する彼女はうちの家事全般もこなす瀟洒(しょうしゃ)なメイドだ。

 

 揉まれている時は幸せそうだから、ゆっくり妖怪としての特性の方が強いのだろうか?

 

 Y幽香の揉み心地は、なんというかフワッとした揉み心地とサラッとした肌触り、そしてほのかに香る花の香りが素晴らしい。

 揉まれている時のY幽香は幸せそうなのだが、やめると恥ずかしそうに逃げてしまう。

 それでも揉まれに来るあたり、ツンデレなのだろう。

 本人がそうだとは言えないので、彼女の特性はゆっくり妖怪として取り込んだ際のオリジナリティだと思うことにする。

 

 さすがに、風見幽香本人にツンデレですか? などと聞くほど自殺志願者ではない。

 

 ちなみに、Y幽香ちゃんを見た文さんは再び口元を引きつらせていた。

 

 分かるけどね?

 Y幽香ちゃん、優しいよ?

 

 

 

Å月φ(゚Д゚ )フムフム日

 

 俺の家にいつの間にか、電話の様な物が設置されたらしい。

 

 朝、庭で組手をしていたら、突然に幽香さんの声がしたので周囲を探していると、畑と花壇の間に一輪の花が咲いていた。

 

 声はそこから聞こえてくる。

 

 呼び出されましたぜイェイ!

 

 気分は校舎裏か使われていないトイレに行く気分かな?

 

 いや、幽香さんとっても礼儀正しかったよ?

 でもね、どんなに礼儀正しくても、人の横っ面に貫手を繰り出した時点で若干苦手っす。

 

 手加減してたのは理解してるけど、鼻の頭削られて、逃げ出しそうなのを必死にこらえた記憶があるから逃げ腰になってしまう。

 

 おかげでほぼ一日中、YレミリアとYフランに鼻の頭を吸われ続けるという謎の状態を味わったわけですがね。

 

 呼び出しに急いで向かうと、野菜やら果物やらの種をいっぱいもらった。

 

「私のゆっくり妖怪に世話を手伝ってもらいなさい」

 

 と言っていたので、自分のゆっくり妖怪がいることを理解している模様。

 花の世話の仕方を一日ずっとレクチャーされた。

 

 どうやら、俺に育て方を教えることで俺の家の裏庭を花で埋めるつもりらしい。

 

 まぁ、組手は裏庭じゃなくてもできるからいいのだが、裏庭の使い道が半分ほど決まってしまったのは、どうしてこうなった? 状態だった。

 

 どうやら彼女は、普段は花が咲いている場所から場所へ移動しているらしい。

 

 つまりどういう事か?

 家を中間地点にでもする気だろう。

 

 溜り場になりつつある我が家だけど、鈴仙さんから薬や薬草を、妹紅さんからタケノコや焼き鳥を頻繁にもらえるのでむしろ我が家の家計的に助かっている。

 家に帰るとゆっくり妖怪以外誰かしら居ることが多くなってきている気もするがな!

 

 

 

Å月アワ((゚゚дд゚゚ ))ワワ!!日

 

 模擬戦という名の一方的な虐殺を味わったぜ。

 

 幽香さんが来て、人里の外で模擬戦をさせてもらった。

 

 文さん以外では初めての上級妖怪との模擬戦だったが、一方的に何もできずにボコボコにされるって模擬戦じゃなく、虐殺と言わないだろうか?

 

 最終的に、威力を絞ったであろうマスタースパークで黒焦げにされた。

 

 家にまで連れて来てもらい、ゆっくりたちの敷いた布団に寝かせてくれたあたり優しいのだが、模擬戦中の空中コンボで体力九割持っていくとか鬼畜ですか。

 落下時にマスパ合わせてくるあたり徹底している。

 

 幽香さんが帰った後に、文さんが来て心配してくれた。

 

 まぁ、人間がオモチャのように空中で舞う姿は心配もしたくなるだろう。

 トドメに落下と同時のガード不可マスパを撃ち込まれている所を見れば、本気で生きているか確認したくもなるだろう。

 

 とりあえず、Y幽香ちゃんと一緒に畑に貰った野菜や果物の種を植えた。

 

 おいしく育つといいな。




 いかがだったでしょうか?

 誤字脱字の指摘、ありましたらよろしくお願いします。

 何気に重要ポジの風見幽香さん。

 ゆっくり妖怪の存在を知っている数少ない人の一人です。

 どう物語に絡むのかは今後のお楽しみという事で!

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