飛ばしても問題ありません。
いつも通りの形式じゃないなら興味ないという方は飛ばしても問題ありません。
4/12のUAが4666となりました。
多いのか少ないのかわかりませんが、個人的には過去最高記録です。
一日でこんなに読んでくださって本当にありがとうございます!
あの子を引き入れて一年以上経つ。
引き入れておいて放置だったけど、最近は見ていて飽きないぐらいに周りがバタバタしている。
彼の血筋だから引き入れてみたけど、一年間何もなかった。
だから血も薄まったと思っていたけど、父親と兄弟の実力は異常なほど。
ならば彼も強くなると踏んで引き入れたけど、こうしてみると当たりだったわね。
ゆっくり妖怪は今数を大きく減らしている妖怪。
畏れが必要な妖怪が多い中、そうではない妖怪もいる。
ゆっくりがその代表的妖怪なのだけど、その警戒心の薄さと、元々誕生条件が厳しいのが相まって、絶滅の危機にまでなってしまった。
他に畏れの必要ない妖怪だと、脛擦りなどが居る。
そんな彼らの生きる糧はもっぱら認識してもらう事であることが多い。
信じられ、認識され、触れられる。
ゆっくり妖怪が彼を好むのはそういう部分が大きい。
ゆっくりパチュリーが彼と初めて会った時は消えかけだった。それは確実。
それを彼は拾い上げて、驚いた時にも放り出さずに彼女をしっかりと離さなかった。
結果、ゆっくりパチュリーは消えることなく、海原参護という認識してくれる人間と出会えた。
あの娘が海原参護を全力で助けているのはそういう事だ。
認識してくれる人間であり、触れてくれる人間であること。
だからこそ、全力で彼を助ける。
そうしている中で、彼女は自身の全力が出せるまでに回復したことを機に、彼や周囲の意見を取り入れるように仲間を呼び出した。
彼女も仲間が生き難い世界であることも、危ない状態であろうことも理解しているだろう。
それでも、助かる可能性を信じて他のゆっくりたちを呼んだのだろう。
そして、その賭けは成功したと言える。
彼は他のゆっくり妖怪を受け入れ、その存在を確かなものにしていった。
そして、先日のゆっくり妖怪誕生の儀式だ。
これを行う所なんてここ数百年無かったことだ。
ゆっくり小悪魔。
彼女も幻想郷にいたゆっくり妖怪だったが、すでに消滅してしまっていた。
ゆっくり妖怪は、その存在を形作る情報の多くを外の魔力や霊力、妖力などに頼った形で誕生する。
ゆっくり小悪魔が生まれる時に見えた光はその魔力・霊力・妖力などが形となったから見えた光だ。
弾幕ごっこが流行りだしてから、本当はゆっくり妖怪が生まれる可能性は上がっている。
彼女たちが放つ弾幕。
これもゆっくり妖怪たちを生むために必要な魔力などの塊なのだから。
察しのいい人ならわかるだろうが、生まれる時に使われる力によってそのゆっくり妖怪は姿を変えるのだ。
今回、あの紅魔館の小悪魔の放つ弾幕や魔力を多く取り込んだ。というか、彼女たちが意図して多く集めて生んだのがゆっくり小悪魔ということになる。
ゆっくり妖怪はその姿になるために、その大元となる人物の魔力などを身体を作る時に多く取り入れる必要がある。
だからこそ、弾幕ごっこをしている実力者のゆっくりは軒並み存在すると考えていい。
私のも居るだろう。確認はしていないが……。
それぞれの人物の魔力などが身体に宿っているからこそ、その人物の能力を使える。
そして存在を保つためには、誰かに認識されていること、触れられていることなどが重要だが、誰かに大切にされているかどうかが何よりもその存在を保つのに必要だ。
海原参護はその条件を見事以上に満たしている。
ゆっくり妖怪を一人の存在として認めて、一緒に生きて、一緒に笑い、一緒に暮らしている。
里の人間だと難しいことだけど、外から来た彼だからこそ妖怪を受け入れ、人間と同じように接する。
人を襲う妖怪に対して容赦がなく、人と接する妖怪とは共に過ごす。
矛盾している行動原理だけど、彼の行動原理はもっと根底から常人とは違う。
護る対象にとって害であるかどうか。
彼の護る対象は人里、もっと言えば稗田阿求ということになる。
歪んだ価値観であると言えるが、稗田阿求に敵対しない限り、人里に害をなそうとしない限り、彼は友好的な態度で接してくれる。
彼をこちらに引き込んだ私に対しても、警戒こそしていたが、それでも決定的な亀裂になるような態度を取らなかった。
普通なら怒りに身を任せて罵詈雑言を浴びせてくるものなのだけれど、彼の第一声は未だに覚えている。
「俺を引っ張ってきてどうする気だ? 兄貴や親父と間違えてないか?」
もしこういう事があるなら、自分ではなく兄弟や父親であると考えている。
自身を低く見積もっているのだろう。
あの父親や兄弟を見たら仕方ないと思いますが……。
何なのかしらね、父親は英雄を身に宿すとか、上の兄は魔術師として封印指定の代行者とかいう役割をこなしている。
何よりも二番目の兄だ。
あれは、人の身で龍を超える実力を持っている。私のスキマに反応できている時点で人じゃない。
そんな人外じみた家族に囲まれていれば、自己評価が低くなるのも頷けるというものだ。
そして家族全員が何かしら護るものを持っている。
参護の場合は、それが稗田阿求、もしくは彼女が暮らす里という事なのだろう。
彼女や里を護る為なら、どのように傷つこうとも護り通す。
あの、妖怪を撃退した波紋の力とその力で得られる究極の加速。
人の身で得られる速度を超越しているあの技は、彼の切り札だろう。
こんな人間がゆっくり妖怪を匿い、育て、そして新しいゆっくり妖怪が生まれた。
ゆっくりパチュリーは海原参護に対して絶対の信頼を置いている。海原参護もゆっくりパチュリー、そしてゆっくり妖怪たちへも信頼を寄せていて、たぶん護る対象にもなっていると思う。
一年間ほとんど動かなかった彼の幻想郷での生き方だけど、ゆっくりパチュリーと出会ってから大きく彼の生き方は変わった。
ゆっくり妖怪を拾って彼の人生は転機を迎えたのだ。
ここからは、彼の動きを注視して行こう。
なにしろ、彼を連れてきたことで私の目的は終了した。
後から彼の生活を覗き見ているのは、単なる暇つぶし。だけど、暇も潰せないほど平々凡々の生活だった。
それがゆっくり妖怪を拾った途端に、一日でも目を離せばもったいないと思えるぐらいに面白い生活になっているのだ。
もしかしたら、海原参護の人生にはゆっくり妖怪が必要だったのかもしれない。
これからも目が離せないわね。
いかがだったでしょうか?
月曜は会社泊まりなので、投稿出来ないです。
次の更新をお楽しみにしてください。
一応予定は、参護の日記の予定です。