遊戯王GX 転生者が精霊達と過ごす学園生活   作:星無

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第三話 オベリスクの女王とのデュエル 巻き起こす旋風 妖仙獣 

入学した日に起きた十代君とのデュエルでの騒動で

 

何故か私は、廊下を歩くだけで人が逃げるように道を開けてくるようになっていた

 

それだけではない…誰も彼も私を見るとヒソヒソと耳打ちをするように話を始めるのだ

 

正直…やめてほしい…転生前の中学生時代のトラウマが蘇るから…いやホント…

 

『マスター…あまり気にしない方がいいと思いますよ?

 

この学園の愚民共にマスターの良さが分かるわけないのですから…』

 

ネフィ…慰めになってない…というか更に傷つく…やめて…

 

うう…入学時に目立ったデュエリストと軽々しくデュエルするんじゃなかった…

 

私まで目立っちゃったじゃない…

 

『お姉ちゃんもしかして入学試験で1キルしたのに自分が目立ってないとか思ってるの?』

 

『…マスターのこの様子だとそうみたいね…』

 

私は学園生活をなるべく平和に過ごしたいのよ…

 

平和に過ごすと言っても孤独に過ごしたいわけじゃないのよ…?お友達も欲しいのよ…

 

精霊が居るとはいえもし精霊が居なければ私はぼっちだ…喪女だ…

 

『もうお姉ちゃん!後ろ向きに考えてたらだめだよ!』

 

幽鬼…お姉ちゃんをいじめないで…無理だから…この空気耐えれないから…

 

『…駄目ね…このモードのマスターには言葉届かないわ…』

 

『立ち直るまで待つしかないね~…』

 

 

 

 

 

そんなこんなで喪女オーラを出しながら1週間くらい過ごしたある日

 

部屋のドアをノックするものが居た…

 

「聖!大変だ!」

 

「…どうしたの?十代君…もう結構夜遅いのだけれど…」

 

ドアを開けながら見ると酷く息を切らした十代が膝に手を当ててそこに居た

 

「どうかしたの…?」

 

「翔が大変なんだ!」

 

「丸藤君が…?」

 

十代は状況を説明し始めた 聞くと丸藤翔は誘拐されて

 

十代は私を連れてブルー寮女子風呂場裏に行かなければならない

 

と言うことらしい

 

「大体分かったわ…デッキ持ってくるから少し待って…」

 

「わかった!俺は下で待ってるからな!」

 

と十代は階段を駆け足で降りて行った

 

部屋に戻るとネフィが話しかけてきた

 

『どうしたのですか?マスターそんなに慌てて…?』

 

「丸藤君が誘拐されたから十代君と一緒に助けに行ってくる…」

 

お友達増やせるチャンスかもしれないし

 

『それはいいのですが…幽鬼が今寝たばかりで私もこれから少し用事があるのですが…』

 

「今回は十代君と一緒に行くから私だけで大丈夫、デッキも精霊は宿してないはずのデッキを

 

持っていくけど多分大丈夫…」

 

『ああマスターすっかり十代さんと仲良くなられて

 

私はうれしゅうございます』

 

およよと演技ったらしく泣く素振りを見せるネフィを放置してデッキを

 

ディスクにセットし部屋を出る

 

「聖!早くしろー」

 

「待って待って!」

 

十代はその場で足踏みしながら待っていたが

 

私が下に降りるや否や走り出してしまった

 

 

 

 

「わぁ…おっきいお風呂…レッド寮の共同お風呂場とは比べものにならないね…」

 

「そうだな…それより翔はどこだ!?」

 

ボートで湖を超えた先にあるブルー女子風呂場前にたどり着いた私達は

 

丸藤君を探した

 

「アニキィ~…」

 

丸藤君の声がした方へ行ってみると…ロープで手首を縛られて捕まっている丸藤君が居た

 

「翔!どうしたんだ!?」

 

「こいつがね、女子寮のお風呂を覗いたのよ」

 

後ろに居たブルーの女子がそう言った…

 

「えっ…丸藤君…」

 

私はズリズリと2、3歩後ろに後ずさる

 

「覗いてないッス!冤罪ッスよ!それに中務さん引かないで欲しいッス!」

 

「この件が学校にばれたら、きっと退学ですわ」

 

もう一人の女子がそう言う

 

「ねぇ十代、私とデュエルしない?

 

もし十代が勝ったら、風呂場覗きの件は大目に見てあげるわ」

 

真ん中に居た女性がそういう…えっと…確かアニメGXでの

 

メインキャラだかだったの人だったよねこの人…名前は確か…

 

明日香さん…だっけ…

 

「なんだかよく分からないけど!そのデュエル受けて立つぜ!」

 

「待って…十代君…お風呂覗いた件については丸藤君が悪いと思うけど…

 

十代君がこの人のデュエルに応じる必要はないよ…

 

私がデュエルをして丸藤君を助ける!」

 

「えっ?でも聖、明日香は俺にデュエルを挑んで来たんだから俺が…」

 

「あら私はどっちでもいいわよ?その娘を

 

十代と一緒に呼び出したのはその実力を知りたかったのも

 

あったしね」

 

ここで丸藤君を助ければ十代や丸藤君からの好感度は上がるだろう

 

そんなチャンスを逃すわけにはいかない…!

 

「じゃあ私とデュエルね、えっと…天上院明日香さん!」

 

「あら名前教えたかしら…?」

 

「オベリスクの女王とか呼ばれてる人ですし名前くらいなら知ってますよ」

 

勿論嘘だ、名前だってたった今、前世で見てたアニメGXの記憶から引っ張り出した

 

「あら光栄ね黄昏の姫に名前を知られているなんて!」

 

…今この人なんて言った?何?その黄昏の姫って…

 

「…あの…何の事ですか?黄昏の姫って…」

 

「あら?自分が学園で何て呼ばれてるかも知らなかったの?

 

貴方は入学試験での後攻1キルや十代を一方的に圧殺した事と

 

そのデッキが光と闇をコンセプトにしたデッキが多かった事から

 

その幼い容姿もあって黄昏の姫って呼ばれてるのよ」

 

いやいやいや知らないよ!?そんな中二病こじらせたみたいなあだ名

 

誰よそんな事言い出した生徒は!今すぐとっちめてやりたい!

 

「…誰ですか?私のことそんなふうに呼び出したの…」

 

「万条目君ッス!最初のアニキと中務さんのデュエル見た時に光と闇がとか

 

なんとか言って黄昏の姫とか言い出したんス」

 

あの電気野郎おおおおおおおお!

 

まだ電気じゃないけど…いずれとっちめてやる…

 

「あの…全く知らない所で勝手な呼ばれ方するの結構不本意なんで

 

やめてください…」

 

「え?かっこいいじゃない?いいじゃないの」

 

「いや…本当にやめてください…私の名前は中務聖なので名前で呼んでください…

 

お願いします…それにデッキだって光と闇が多いのは偶然です…

 

今回使うデッキも光闇じゃないですよ…」

 

「…わかったわ…聖ちゃんって呼ぶわね…」

 

ちゃん付けがなんか子供扱いされてる気がするが…まあ及第点だろう…

 

「とりあえずデュエルを始めましょう、場所はどうするの?」

 

「そこのボートを使って湖の中心あたりに行ってデュエルをするわ、

 

行きましょう…」

 

 

私と明日香さんはボートに乗り湖の中央に行く

 

私のボートは十代が

 

明日香さんのボートは取り巻きの二人の女子が漕いでくれた

 

そしてデュエルディスクを構える

 

「「デュエル!」」

 

「先攻は私!ドロー!」

 

なんかいつも先攻とられてる気がするなぁ…やっぱり少し強気になったほうがいいのかな…?」

 

「私は手札からブレード・スケーターを守備表示で召喚!」

 

ブレード・スケーター 攻1400/守1500

 

ああ…今更だけどこの時代だと表側守備もOKなんだっけ、

 

皆、攻撃表示で召喚するもんだから忘れてた…

 

「更にカードを一枚伏せてターンエンドよ!」

 

明日香 LP4000 手札4枚

 

「私のターン!ドロー!」

 

…この手札…私も大概なチートドローなのかもしれない…

 

「私は手札から永続魔法、修験の妖社を発動!」

 

私の後ろに蝋燭が10本程建てられた神社の分社のようなものが現れる

 

「修験の妖社は自分が妖仙獣と名の付くモンスターを召喚・特殊召喚される度に

 

妖仙カウンターを一つ点灯していく…」

 

「妖仙カウンター?」

 

明日香は首を傾げる、まあ知らないのは当然だろう

 

「見せた方が早いので、これから見せますね

 

私は手札から妖仙獣 鎌壱太刀を召喚!」

 

妖仙獣 鎌壱太刀 攻1600/守 500

 

私の場に昔の浪人のような服を着て、鎖鎌を持った

 

イタチを擬人化したようなモンスターが現れた

 

「風属性のデッキも持ってたのね…」

 

「妖仙獣モンスターの召喚に成功したので修験の妖社に妖仙カウンターが一つ点灯します」

 

後ろの分社の蝋燭に火が灯る

 

「さらに鎌壱太刀の効果発動!このカードの召喚に成功した時、鎌壱太刀以外の、

 

妖仙獣モンスターを続けて召喚できます、私は妖仙獣 鎌弐太刀を召喚!」

 

妖仙獣 鎌弐太刀 攻1800/守 200

 

今度は、昔の新撰組のような服を着て刀を持ったイタチの擬人化モンスターが現れる

 

「そして妖仙獣の召喚に成功したので再び修験の妖社に妖仙カウンターが点灯」

 

分社の2本目の蝋燭に火が灯る

 

「更に鎌弐太刀も鎌壱太刀と同じように召喚に成功した時、

 

同名モンスター以外の妖仙獣モンスターを召喚することが出来る効果を持っています

 

この効果で私は妖仙獣 鎌参太刀を召喚!」

 

妖仙獣 鎌参太刀 攻1500/守 800

 

風を巻き起こしながら三体目のイタチが召喚される

 

鎌参太刀は右手に脇差を持っており

 

左手には貝殻に入った薬を持って、着物を着崩している

 

「そして妖仙獣モンスターの召喚に成功したため3つ目の妖仙カウンターが点灯!」

 

「おお!すげぇ!一気にモンスターを3体も展開した!」

 

十代が目を輝かせながらこちらを見ている…少し恥ずかしい

 

「そして鎌壱太刀の効果発動!このカードは、このカード以外に妖仙獣モンスターが

 

居て、フィールドに居る時に一度だけ…相手のフィールドのカードを手札に戻せる!

 

そのセットカードを手札に戻します!」

 

鎌壱太刀が巻き上げた風で明日香さんの場のセットカードは手札に戻る

 

「くっ!(私のドゥーブルパッセが…!)」

 

「バトル!鎌壱太刀でブレードスケーターに攻撃!」

 

鎌壱太刀は鎌でブレード・スケーターを切り裂き破壊する

 

「続いて鎌弐太刀でダイレクトアタック!」

 

鎌弐太刀が刀を振ると巻き起こった風圧が明日香さんに当たる

 

「ううっ!」

 

明日香 LP4000→2200

 

「更に鎌参太刀の効果発動!このカード以外の妖仙獣モンスターが、

 

相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時!デッキから妖仙獣モンスターを手札に

 

加える…この効果で私は妖仙獣 大幽谷響(オオヤマビコ)を手札に!」

 

「そして鎌参太刀でダイレクトアタック!」

 

鎌弐太刀の時と同じく巻き上げた風圧が明日香さんに当たる

 

「くうっ!」

 

明日香 LP2200→700

 

「バトル終了、メインフェイズ2、修験の妖社の効果発動!妖仙カウンターを3つ

 

取り除き、デッキから妖仙獣モンスターを手札に加える!

 

私が加えるのは魔妖仙獣 大刃禍是(ダイバカゼ)!」

 

「待って!何なのそのカードは!?下半分が魔法カード!?」

 

「このカードはペンデュラムモンスター…いずれ分かりますよ…いずれね…」

 

ペンデュラムモンスター…ペンデュラム召喚はまだ使わない

 

きっと使うべき時は来るだろうがまだその時ではない…

 

「あんまりあっさり決着がついては面白くないですよ…?

 

カードを1枚伏せてターンエンド

 

ターン終了と共に鎌壱太刀3兄弟は全て、自身の効果で手札に戻る」

 

聖 LP4000 手札6枚 妖仙獣カウンター0

 

「明日香様!まだライフは残っていますわ!」

 

「相手の場はがら空き!逆転のチャンスですよ!」

 

取り巻きの女の子達が明日香さんを励ます…いいなぁ…励ましてくれる人が

 

居るって…羨ましいなぁ…

 

私の精霊達は励ましてくれるけどあんな風に人間のお友達に励ましてもらうのも

 

また違うんだろうなあ…

 

「ええ!まだまだ負けないわ!私のターン!ドロー!

 

私は魔法カード死者蘇生を発動!墓地のブレード・スケーターを復活させるわ!

 

更に融合を発動!場のブレード・スケーターと手札のエトワール・サイバーを融合!

 

現れなさい!サイバー・ブレイダー!」

 

場にバイザーを付けた女性スケーターのモンスターが現れる

 

サイバー・ブレイダー 攻2100/守 800

 

「今、貴女の場はがら空き!行きなさい!

 

サイバー・ブレイダー!ダイレクトアタック!」

 

「私は手札の妖仙獣 大幽谷響の効果を発動…」

 

「相手のバトル中に手札から効果を発動するですって!?」

 

「大幽谷響は相手が直接攻撃をしてきた時手札の妖仙獣を墓地へ送り

 

このカードを手札から特殊召喚出来る…手札の妖仙獣 木魅(コダマ)を墓地へ送り

 

特殊召喚!」

 

場に巨大な山の影のようなモンスターが特殊召喚される

 

妖仙獣 大幽谷響 攻?/守?

 

「攻撃力が決まっていない!?」

 

「大幽谷響の攻撃力はバトルする相手モンスターの元々の攻撃力と同じになる

 

そして妖仙獣モンスターを特殊召喚したので妖仙カウンターが1つ点灯」

 

「モンスターの数が変わったのでバトルは巻き戻し、サイバー・ブレイダー

 

は再び攻撃のチャンスを得ます…どうします?相打ち覚悟で攻撃しますか?」

 

「サイバー・ブレイダーには効果があるわ!相手のコントロールするモンスターが

 

1体のみの場合このカードは戦闘で破壊されない!パ・ド・ドゥ!

 

サイバー・ブレイダーで大幽谷響に攻撃!グリッサード・スラッシュ」

 

サイバー・ブレイダーの蹴りが大幽谷響にの顔面に入り破壊される

 

「大幽谷響の効果…このカードが戦闘で破壊された時デッキから

 

妖仙獣モンスターを手札に加えることが出来る…デッキから大幽谷響を手札に」

 

「せっかく倒した大幽谷響がまた手札に…!

 

私はカードを2枚セットしてターンエンドよ!」

 

明日香 LP700 手札1枚

 

「私のターン!ドロー!

 

私は手札から鎌壱太刀、鎌弐太刀を召喚!妖仙カウンターが2つ点灯、更に鎌弐太刀の効果

 

で妖仙獣の召喚権利を得る!

 

このデッキの切り札を見せましょう…2体の妖仙獣を生贄に捧げ…生贄召喚!

 

烈風纏いしあやかしの長よ。

 

荒ぶるその衣を解き放ち、大河を巻き上げ大地を抉れ!

 

いでよ魔妖仙獣 大刃禍是!」

 

私の場に風を纏う巨大な獣が現れる

 

魔妖仙獣 大刃禍是 攻3000/守 300

 

「妖仙カウンターが1つ点灯」

 

「攻撃力3000…!このまま攻撃を受けたら…!

 

速攻魔法発動!融合解除!サイバーブレイダーの融合を解除し!素材の

 

ブレード・スケーターとエトワール・サイバーを守備表示で特殊召喚!これで

 

このターンは凌ぎきれる!」

 

「大刃禍是は召喚・特殊召喚に成功した時に相手のフィールドのカードを二枚選択し

 

持ち主の手札に戻す効果があります…」

 

「…ここまでね」

 

明日香さんがデュエルディスクを構えていた腕を下げる

 

「大刃禍是の効果発動!ブレード・スケーターとエトワール・サイバーを手札に

 

戻す!そして、バトル!大刃禍是でダイレクトアタック!」

 

明日香 LP700→-2300

 

「じゃあ私が勝ったから丸藤君は連れて帰るわね…行こ、十代君」

 

丸藤君をこちらのボートに乗せて帰ろうとすると

 

「ちょっと待ちなさい!貴女、オシリスレッドが

 

まぐれで勝ったからと言っていい気にならないことね!」

 

「そうですわ!」

 

取り巻きの女子2人がいちゃもんをつけて来た…

 

こっちはもう帰りたいんだけど…

 

「今日はもう夜遅いから帰りたいんだけど…文句があるなら2人まとめて相手に

 

なってあげてもいいけど…?」

 

「なんですって!?」

 

「オシリスレッドがオベリスクブルーの生徒に向かって…!

 

なんて口のきき方なのかしら!」

 

あ…駄目だこの学園のオベリスクブルーの生徒…傲慢すぎる…

 

本気で喧嘩腰で煽りを入れてやろうかしら…と

 

「やめて二人共!私が負けたのは事実よ…それは覆らないわ…」

 

…明日香さんは普通にいい人なのね…取り巻きは傲慢だけど…

 

「でも明日香様!この娘オシリスレッドの癖に…!」

 

まだ言うか…

 

「そのオシリスレッドに負けたのは私よ…約束も守らなければならないし

 

ここで素直に返さないとオベリスクブルーの名に傷が付くわ…」

 

「……オシリスレッドの貴女…名前は中務聖だったわね…覚えましたからね…」

 

覚えてくれなくて結構…

 

「…帰ろう…十代君、丸藤君…」

 

「ああ!それにしても、やっぱ聖はつえーな!」

 

「助けてくれてありがとうッス!凄かったッス!カッコ良かったッスよ!

 

今度からアネゴって呼ばせてくださいッス!」

 

十代と丸藤君は目をキラキラ輝かせながらボートの上で話しかけてきた

 

「…アネゴはちょっとやめてほしいかな…恥ずかしい…」

 

と、そういえば忘れてた…クロノス先生も確かこの場に隠れてたんだった…

 

好感度上げるために話しかけておこうかしら…

 

「十代君…ちょっとボートストップ!」

 

「ん?どうした聖」

 

十代にボートを止めさせて水面を覗きこむ…やっぱ居た…

 

目と目が合う~瞬間好きだ~と気づい…いやいや違う違う違う

 

「ぶくぶくぶく…なんでここに居るとわかったノーネ」

 

「…デュエル中ずっと見てましたよね?」

 

「何の話なノーネ…これはワタシの趣味の夜のスキューバダイビングなノーネ…」

 

この先生…しらばっくれる気か…

 

「いやここ湖ですし…………先生…ちょっと取引しませんか?」

 

「取引なノーネ?」

 

「先生はあそこのボートに居る明日香さん達含む

 

私達深夜徘徊組を見逃してくれる…私達は先生が怪しい全身黒いゴムタイツで

 

湖を泳いでいた事を学園側に黙る…

 

もし見逃してくれたならこんなおまけも付けますが…」

 

と言って私はクロノス先生に懐から取り出した3枚のカードを見せた

 

「こ、これはオークションで何万円もするアンティークギアの

 

フィールド魔法、歯車街なノーネ!しかも3枚も!本当にこんなカードもらってもいいノーネ?

 

後で返してと行っても返さないノーネ!」

 

「ええ、いいですよ♪私達を見逃してくれればの話ですが…」

 

「見逃す見逃す見逃すノーネ!でもワタシが賄賂を受け取ったなんて事も

 

秘密なノーネ!」

 

「賄賂だなんて…毎日、大変ためになる授業をしてくださるクロノス先生への

 

ほんの気持ちですよ…ふふふ♪」

 

「アナタ…なかなか交渉術がうまいノーネ、評価に値しますノーネ

 

ただ今回は見逃しますが夜に生徒が外に出歩くのは危険だカーラ

 

教師としては控えるようにとだけ言っておくノーネ」

 

「はい、以後気を付けます…あ、そうだ湖の水でカードが濡れてしまうのも行けないので

 

これをどうぞ耐水性のカードケースです…では…クロノス先生

 

おやすみなさい…良い夢を」

 

「おやすみなさいなノーネぶくぶくぶく…」

 

クロノス先生は沈んでいってしまった…

 

「…すごいッス…あの意地悪なクロノス先生を丸め込んじゃったッス…」

 

「意地悪だなんて…話のわかるいい先生じゃない…」

 

「アネゴの交渉術すげえッス…ねえアニキ」

 

「アネゴはやめてってば…」

 

「なあ翔…」「なんスか?」

 

「交渉術ってなんだ?」

 

十代は首を傾げてそう聞いた

 

「………」「………」

 

こうして風呂場覗き事件は幕を下ろしたのであった

 

 


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