超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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9.と言う事で合同演習。(御披露目)

ーーーーーーーーーーーーー寺塚sideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

久しぶりだね。提督こと寺塚だよ。

今日はトラック泊地の提督達と合同演習なんだ。

といってもそれは表向きでただの権力、戦力誇示なんだけどね。

 

「電」

「はいなのです」

「君を今回の演習連合艦隊の旗艦に任命する。頑張ってね」

「が、頑張るのです!」

 

何だかんだで電が一番Lv高いんだよね。

アメストリア達は一番艦を除き10台だし、(一番艦50Lv)第六駆逐隊は遠征の効果もあってか30〜40

重巡、大鳳はまだ入ったばかりだし、僕の嫌いなタイプの提督にあまり育てられなかったのか20台。電が75。うん。流石僕が着任してからずっと支えてくれただけあるね。

 

 

さて、話題は変わる。

『提督、アメストリアさん達は行かない訳?』

『姉さんよく考えて』

「まぁ、ね。あの子達は二次大戦中の戦艦じゃ無いし、今は存在自体隠匿しないといけないからね」

 

今は電の船内。電を中心とし輪陣形に二個艦隊を配置して航行。

十二隻しかいないけど充分だね。

駆逐艦は対潜、対空に長けるし、重巡は対艦、対空、対潜も行ける。

大鳳は立派な装甲空母だからね。索敵は捗っているよ。ちょっと搭載量は少ないけど開発で紫電改二と流星改、烈風はアメストリアが出したからスロットに装備してもらっている。

 

でも、アメストリア達には悪いことしちゃったかな...

あの子達には一切遠征、出撃はさせてない。精々鎮守府付近に深海棲艦が奇襲をかけてきた時くらいだろうから、戦闘は皆無。

あの仏頂面を崩した随分と落ち込んだ表情は少しつらいね。

 

でも、そろそろ御披露目しようかなとは考えてる。まず一隻。

 

「アメストリア、聞こえているかな?」

『よく聞こえている』

「アメストリアのみ出撃せよ。人目を避け、隠密航行を厳としてね」

『...良いのか?』

「うん。まずは一隻出して反応を確かめる。」

『了解した。ドック上げー!機関始動!』

「あ、合図があるまで120km圏外で待機。リバンデヒ、カイクルは出撃待機」

『了解した。』

 

ちゃっかり艦橋にいるのもあの子らしいけど...

他の鎮守府も己の力を誇示したがっているからね。

ならこちらも相応の対応はさせてもらわないと。まぁ、くだらない人間の対抗心だよ。アメストリアは下らないって切り捨てるけどね。

 

 

 

 

 

トラック泊地近海に到着し、周りを見ると巨大な戦艦や巡洋艦が所狭しと浮いている。

うわ...大和もいるよ...でもアメストリア型戦艦と比べると14分の1くらいだからあまり大きいとは感じないね...僕もアメストリアを基準として考え始めているな...ははは...

取り敢えず各鎮守府の提督が集まる会議に出席する。

十数人の提督が既に居て、皆一様に真面目そうな人ばかりだね。経験も豊富だろうし、ぜひ話を聞きたいな。一人だけ提督を貴族か何かと間違えている豚があるけど電の視界に入らないように立ち回る。あれは艦娘をただの兵器と見ているようだけど、艦娘達はあくまで協力してくれているだけだからね?いざとなれば反旗を翻す諸刃の剣なんだよ?

「利根。臨時の旗艦とする。少し待っていてね」

「了解じゃ...すごいの...じゃがアメストリアを見るとどうも迫力に欠けるの...」

「うん。百隻を超えているけどアメストリアを見るとね...」

 

「さて、これより第142回トラック泊地合同演習会議を始める」

そう切り出したのはトラック泊地で一番長く着任している近江大佐。この人がトラック泊地を最初に開拓し、ここまで作り上げた最大の功労者で、経験は豊富で新入りをいつも気にかけてくれるかなり優秀な方だね。貫禄がある。

そして各々自己紹介を済ませて行く。中佐、少佐、大尉、少佐...

大佐は近江大佐のみだね。

 

「私がこのトラック泊地で一番の戦果を挙げる大崎様だ!よく覚えておけ!特にそこの小屋提督!」

 

まずは自分を様付けしてる時点でダメだよね。大本営にお父さんが居て、血筋がいいからといっていばり散らして言い訳じゃないし、家の名を穢す事になるけど。馬鹿だね。

 

ほら、秘書艦の大和も大分嫌そうにしているし、他の提督も少し顔を顰めている。

 

「...では会議を始めよう。今回有志諸君によって132隻の艦娘達が集まっている。よって66隻ずつに分け、紅白戦や艦隊行動、射撃訓練をしようと思うのだが、どうかね?」

「少し待て!まずはあの新入りの実力を図ろうと思うのだがなぁ?」

 

毎回イラっとくるなぁ...アメストリア呼んどいて正解だね。少し挑発に乗ろうか。

 

「分かりました。では試しにお手合わせでもどうです?なんなら1対132でもよろしいですが」

アメストリアならこれくらい楽勝だろう。

 

「何だと!?こっちには大和、武蔵、長門、陸奥がいるんだぞ?おたくは駆逐に重巡、欠陥空母しかいないじゃあないかぁ?」

「大丈夫ですよ。我が鎮守府には今まで必死に隠匿してきた最終兵器がいますから」

 

そう言ってニコリとすると周りの提督達がザワザワとし始めた。信じていないのだろう。

 

「本当...いや、正気かね寺塚君」

「えぇ。本当ですとも。おそらくあの子を相手するには全世界が手を組み、核を一斉発射してもビクともしない艦ですから」

「それは...大和かね?」

「いえ、見てのお楽しみということで。電、全艦に通達。凱旋の道を艦開けて」

「り、了解なのです!」

 

一気にどよめく。まぁ、百隻を超える艦娘をと相手取る艦娘なんて聞いたことがないからね。

しかし僕は確信している。あの子は世界最強だ。この世にはいてはならないほどに強い。

 

「では近江大佐、桟橋の方へ移動を。」

「う、うむ」

「アメストリア、聞こえているかな?」

『こちらアメストリア。よく聞こえている。そして全て把握した』

「なら、機関始動。」

『了解。機関始動!電力伝達確認。電探感度よし。姿勢制御装置良し。オールグリーン』

「全武装の砲弾を演習弾に換装」

『換装。』

「戦闘用意のまま最大戦速!」

『よーそろー!最大戦速!』

「おい、どこだ?お前の最終兵器って言う奴は?」

「近江大佐。電の直線上の全ての艦娘を撤退させてください。幅は15000m以上。でないと高潮に呑まれます」

「......了解した。皆の者。撤退させてくれ」

「さて、貴官殿のご自慢の艦隊は?」

「き、貴様...!大和!第一艦隊をここにもってこい!」

「......了解、しました」

 

大和は...高練度っぽいけど疲労が激しくまともに戦えるとは思わないな。

 

「さて、舞台は整った。寺塚君、どうするのかね?」

「電。引け。引き裂かれる」

「分かりましたのです!」

 

 

あのご自慢の艦隊は大和、武蔵、長門、陸奥、加賀、赤城だったよ。オールスターだね。練度も7、80位なんだろうね。第二艦隊と思うのは金剛、霧島、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴。

こちらも高練度。でも手も足も出ない。

 

電が駆逐艦では出るはずのない速力で離脱してゆく。

以前、アメストリアを調査させてもらった時、燃料を消費しないエンジンを見つけて、妖精が作れると言ったから全艦に搭載して、速力が倍以上になったんだ。

もっともあの子はサブエンジンとして使っているようだけどね。主機は...ウンター何とかエンジン。ごめんドイツ語で言われたから分かんないや。

 

「レーダーに感あり!ありえない速度でこちらに向かってきています!大きさは計測不能!」

レーダー要員が走って報告に来た。まぁ、アメストリアだろうね。

 

「速度は?」

「それが....その、90ノットです」

「それは航空機か、ミサイルかね?」

「いえ、間違いなく船舶です!」

「では、君の艦娘かね寺塚君?」

「はい。アメストリア型戦艦一番艦アメストリア。彼女の名です」

 

ドゴォォォォォォォォォオン...........

 

「...あ、赤城、加賀、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴大破!」

「何っ!?」

まぁ、150cm四連装砲だからね。前方の三基十二門を使ったんだろうけど。

 

水平線の向こうから巨体が見えてくる。

船を簡単に引き裂く鋭利な艦首に天にそびえる大和型の艦橋群、そして前方に搭載された150cm四連装砲三基。

豪快に大量の海水を巻き上げながら90ノットという信じられない速度で向かってくる。

なんか海水で両舷に山ができてるけど気にしない。

 

アメストリアって前方から見ると三角形なんだよね。(日本武尊みたいな船体)

だから余計に海水を巻き上げている。

 

『こちらアメストリア。あと20秒で到達する。』

「了解。速度下げ」

『速度50ノットに下げ!』

 

驚きのあまり全ての音が消える。砲撃もされず、何も起きない。信じられないんだろうね。

そしてアメストリアは悠々と接近すると全ての主砲を起動し、毎発で演習弾を放ってゆく。

加賀とかの航空隊がまだ残っているけどアメストリアの艦橋群にびっしりと設置された30mm機関連装砲の空が見えなくなるほどの濃密な弾幕により全機が一秒以内に墜落。

確かアメストリア曰く30mmは対噴進機用と言っていたからレシプロ機なんか屁でもないんだろう。

ーーーん?でもミサイルは使ってないし、結界?も使ってないみたいだね。

 

「何なのだ...あの戦艦は大きすぎるぞ...」

 

あ、座礁する危険性無いかな?

アメストリア途轍もなく重いから底が深い海でしか航行出来ないはずだけど。

ーーあ、座礁した。けど岩ごと粉砕し何もなかったかのように航行し桟橋に着く頃には5ノットに減速。

 

100mの高さを誇る艦首の一部が接岸し、左側と後方の錨が投錨される。

そして艦首甲板から巫女服のアメストリアが飛び降りてきて軽やかな足取りで着地。

 

「アメストリア、只今到着した。」

「ん。お疲れ様。近江大佐。こちらの艦娘がこの戦艦アメストリアの艦娘です」

「......規格外過ぎてなんとも言えないな...こ、この船の大きさは?」

「全長4650m、全幅520mです大佐殿」

「よ、四千...これは一隻だけかね?」

「...お答え兼ねます」

「.......まぁ何んせよ素晴らしい戦力ではないかね。」

「はい。彼女に協力の意思があれば」

 

さて、御披露目の効果は上々だね。隻数も誤魔化したし。

提督達も目を見張っている。技術に関しての関心が高いようだ。ここは優秀はですが多いな........一部を除き。

 

「(提督、あの豚がいないが?)」

「(うん?...そうだね)」

 

そういえばあの豚がいない。

演習だから一切艦娘達は轟沈していないけど、船体は凹んでいる。機関室に当たる部分。第一艦橋、主砲と。完全に狙っているよね。アメストリアって主砲の正確性には眼を見張るものがあったけど...

大和でさえ水偵を飛ばさないと当てれないのに?ても以前目標の座標、ミリ単位の瞬間調整、それを可能とする瞬間演算装置があるって言ってたし...

 

「そういえば大崎中佐は何方に?」

「分からないな...おそらくまだ大和の船内だと思うが...」

「キサマァァァァァァア!ガキの分際でぇ!」

 

アメストリアが素早くホルスターから銃を抜き取るが、手で制する。

 

「アメストリア、ダメだ」

「何故?」

「とにかく抑えて。」

「...承知した」

 

不服そうだけどアメストリアは拳銃をホルスターに収めてくれた。

 

「僕はしっかりと申し上げたはずです。最終兵器と。」

 

酷いものだったよ。直々の指揮を執るとああなるんだろうね。憐れだ。艦娘が。

 

「今に見ていろ!必ず潰してやる!!」

 

大股で歩いて行ってしまった。

大和は随分と疲れておりこちらに助けてと言わんばかりの目線を向けてくるし、悲しい表情には何処か怖れも混ざっていた。顔は青白くなっていたけど、それよりもさらに目立つ、右の頬が赤くなっているのが強く印象に残ってしまった。

 




アメストリア御披露目回。
愉快ですね。アメストリア型戦艦一番艦アメストリアの世間への公表、それによる反応、上層部の反応が分かりやすすぎて愉快です。
アメストリアは邪魔と判断すると国であろうと皇族であろうと容赦無くBGM-9をぶっ放します。罪悪感?
4900年かん生きた''彼女''のメンタルはそんな事じゃ揺るぎません。選民主義ですね。
地味に書くのを楽しみにしていた回でした。


姿勢制御装置について。
姿勢制御装置とは、主砲である150cm四連装砲や副砲の46cm三連装砲を一斉射するとアメストリアであっても転覆しますので、自動的に舵を切ったり、バラスト注水したりしてバランス調整するための制御装置です。
これのおかげでアメストリア達は安心して暴れれます。


大崎中佐(豚)
今作品のイライラ要素。多分今後こう言うキャラは出てこないと思う。
掴み所のないキャラなら沢山。アメストリア欲しがるキャラも沢山。
鬼畜米帝とかall不良品の国とか。

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