超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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やっと着任できました(挨拶)
4日前にラバウルに着任しまして、ナウルに居る艦娘を当ててキャラ再把握に尽力していました。
みんなちょっと違う...あとちとちよの泥率がおかしい。


76.くちくかんのしれん

ーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーー

さてさて、みんな大好き妖精さんの改造タイムだ。

今回の犠牲者は夕立、初月、親潮の三人。

妖精さんに話聞いてみた所、既に設計図は出来ており、幾つかの計画案があるらしい。

 

まずはA案。

これは機動性を主観に置いた改装案で、隼よろしく機関を噴式に変更してスピードを限界まで上げる。ステルス性は気にしない為名一杯武装、装備を満載して潜水艦型の船体に載せるそうだ。これは実際にアメストリア海軍のぜかましの艤装パターンらしく実績があるらしい。

確かに''彼女''によると二隻だけやけに早い駆逐艦が居たそうな。

しかしながら早すぎて細かい舵取りは出来ないとの事。そんな器用貧乏要らんがな。

 

B案。

これは防御力に主眼を置いた火力捨てて守る事しか考えていないパターン。

船体側面に展開式の特殊鋼製防盾を設置し、艦隊護衛をするらしい。しっかりと傾斜装甲を採用し、一応ミサイルが積んであるらしいが砲は対空砲のみ。そりゃ射界が確保できんもんな。

これ、アメストリアと気質というか基本姿勢からあまりにも離れた異端作じゃないのか?

妖精さんによると''オールドタイプです?'' ''シールドできたら取ったです?''とのこと。

成る程、絶対干渉結界が開発されていない頃の苦肉の策だったようだ。まぁ使えないこともないが鈍足だし、重戦士そのものだ。火力に期待できないし艦隊行動の妨げになりかねない。

あんまり採用したくないな。夕立とか絶対嫌がるだろうし。

 

C案。

これが一番アメストリアの気質を表していた。

民族病と言っても差し支えないほど、アメストリアは火力を求める。

確かに()()()()()機動力や装甲を要求するが、これは資材、技術ともに余裕があるからこそできたごり押しで、地球ではこんな欲しい機能を全部持ってく、というのは不可能だ。

WWllの日本海軍じゃないんだから変に優秀な設計士のせいでデタラメ要求が実現する訳がない。だからこそ各国は其々専門の機能を与えた適材適所の艦や戦車を開発してきたのだ。

しかしアメストリアには隔絶した高すぎる技術力がある。資金は無限大。そもそも通貨制度ないしな。資材も万能生産装置によって無限に湧いてくる。

これらが合わさるとどうなるか?アメストリア型戦艦一番艦アメストリアが出来上がるのだ。

私だってそもそも初期の初期の戦艦だぞ?改装を前提にしていたとは言え設計も建造も珍しく手作業で組み合わせられた古い艦だ。

知ってたか?初期状態は船舶用粒子エンジンしかなかったんだぞ?

おかげで鈍足で仕方なかったし。私が出てきたことは既にウンターガングが実装されていたが、進水当時は酷いったらありゃしない。電子化もされていなかったしな。

全部感覚と経験に依存した扱いの難しいわがまま姫。

アナログ操作によって操艦、照準、伝令がされていた為初動が遅かった。そりゃまぁ伝声管なんて届かんからな。艦橋から機関室とか。流石に電話が引かれていたらしいぞ?今は四次元無線だが。

それは電波というよりは「波」そのものを四次元を通して伝達する方法で、傍受や妨害が難しい安全な通信になったのだ。詳しくはナデシコ見てくれ。

んで、C案だが、これは火力しか考えていない案だ。

現状の艤装配置を一新して現代艦よりに。と言っても主砲は15.5cm三連装砲だし、ミサイルハッチは敷き詰められている。

艦橋は一応据え置き。しかし延長して演算装置やらを搭載するらしい。あと装甲面を考慮してT-34/76みたいな三角になるらしい。まぁアメストリアはミリ単位の照準が出来るからな。艦橋だけピンポイントで狙われても可笑しくない。

 

艦橋より前に三基三連装砲を置いて後方には煙突を据え置いて魚雷を保管していたあの出っ張りは縮小して対空砲陣地に。 アレだ。高雄型みたいな。

主砲は5基らしい。計一五門。対空砲は100位だが、まぁそれくらいだろう。

電探も最近妖精さんが開発した新型電探、【特 一一六号三次元電探】を搭載。こいつは成層圏外まで探知可能なもう何したいかよう分からないキチガイ電探だ。

なんだろう。lCBMでも撃ち落とすのだろうか。主砲で。

あ、主砲の15.5cm三連装砲だが、60口径になるらしい。

当初は50口径あたりだったらしいが、装甲貫けないやんってことになったらしく急遽60まで延長。お陰で成層圏まで届くようになったらしい。これ三式弾の話な。流石に徹甲弾は届かんよ?あと、夕立には15.5cm砲すら積まれていない。火力を第一に置いたため、特別な主砲を用意した。ズバリ、【65口径20.3cm上下連装三連装砲】である。まさかの軽巡標準口径だし、主砲一基に六門搭載するというキチガイっぷり。アメストリアでも白露型でしか採用されなかったのが全てを物語っているが、これは完全にロマン枠である。実際使えたら強いんだろうけども。

 

それで、私はとある提案をした。

ATフィールド的なの作れないかと。妖精さんの返答は''まずまずですなぁ''だった。

つまり不可能ではない。というか開発しちゃった。

え、絶対干渉結界あるだろって?アレまだ戦艦クラスしか積めないんだぞ?小型化が思ったより難航しててな。供給エネルギーと演算装置関係で行き詰まっているらしい。

一層の事演算装置新しい視点からのにしなきゃあかんらしい。虚数空間まで手を出した妖精さんがそう言うのだ。虚数空間ってアレな。存在自体確立されてないある意味すごいフロンティアなんだが、妖精さんはとうの昔から虚数空間の制御技術を確立していた。

私も最近知ったんだがな。今まで教えてくれなかったんだが。

まぁアメストリアも創立から500年以内に並行世界の存在確証に渡航技術の確立、物質の往来までやっちゃったからな。工廠恐ろしや。

 

それで、妖精さん。実装しちゃった。

エネルギーを盾状に展開する装置と念のためB案から展開式の小型防盾を搭載した。と言っても部分的にだけどな。艦橋周りだけだ。エネルギー防盾は全体に掛かるようになってるけどな。

あと他にも依頼したのが結界ミサイル。

これは元々砲弾に仮設の結界を発生させる装置を搭載した野砲はあったのだがこれを技術転用してミサイルに搭載出来ないかと工廠長と相談したところ、出来たらしい。

偶然の成功らしいが、ミサイルの弾頭に結界発生装置を搭載したところ、まぁ普通は結界張ったミサイルが飛んでくだけだ。それじゃ意味がない。

私が作りたかったのは所定座標で起動してその場で盾を作り出すミサイルだったのだ。

ここは妖精さん。作っちゃだらしく私にも早速試験搭載してもらっている。試射は済んでいるらしく、150cmまでなら防げるらしい。500cmは無理だったよ...

兎に角、色々作りつつ今回の犠牲者にどれがいいか聞いた所全員C案を選択。しかも夕立は誰に仕込まれたのか...いや犯人はわかっているがウンターガング弾を要求してきた。

いやいや15.5cmサイズに縮小できてないから。

代わりに例の貫通しか考えてない特型の徹甲弾は搭載しておいた。15.5cmサイズーあったんやな。特殊貫通徹甲弾だが弾帯が刻まれた装弾筒のついた大変珍しい砲弾。

全長も長くなっており薬室が対応しなかったので今回新型の15.5cm艦載砲を採用したのだろう。

 

''艦娘さん艦娘さん、夕立の船体改装終了したです?これから艤装取り付けに入る感じです?''

''初月さんは主砲取り付けに手間取ってるです?''

''親潮さんの艤装取り付けは完了したです?でもでも電気関係に時間かかるです?''

「そうか。ご苦労、別に急がなくとも教官はまだ到着しておらん。ゆっくり着実にやってくれ」

''いわずとも?''

''やっちゃうです?''

''取り付け大変です?でもエンジョイです?''

それは重畳。

初月の主砲に手間取っているのは、初月だけ主砲が特殊なものだからだ。

何故か?それは初月が秋月型というのに由来する。

秋月型は防空駆逐艦。対空関係の重点的な火力強化がされていた駆逐艦だが、アメストリアクオリティはそれで満足しない。

対空地両用できないとお話にならない。しかもアメストリアらしいと思ったのが、秋月型の開発経緯が敵大型飛行生物を撃墜するためだとか。

つまり対ドラゴンとか対アイガイオン級らしいのだ。45mm対空機関連装砲が通用しない相手を想定した防空駆逐艦らしいんだが...察してくれ。

アメストリアはそこでガトリングに目をつけた。

連射力よし。威力良し。爆音よし。と三大良しを網羅したロマン兵器を実戦配備しちゃったのがアメストリア。

開発されたのが、【20.3cn六砲身機関対空連装砲】詰まる所45mm対空機関連装砲の20.3cm口径仕様だ。コレは空軍が現在採用している大口径対空砲で、威力は20.3糎とあり凶悪の一言に尽きる。正直これを私に搭載すればぶっちゃけ強くなるなるやつだ。

これを主砲に据えた、何やってるんだろうね。駆逐艦に何を求めてるんだって話だが、まぁ実戦データが欲しいんだろう。初月、南無。

しかしまぁ薬莢排気口とか嵩張るし特に時間がかかるだろう。

気絶した艦娘らは現在暇してる高雄、愛宕に任せてあるから大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

''艦娘さん、改装、おわたです?''

''ふぃにっしゅです!''

''やりきったです?''

'傑作つくたです?''

「ふふ、そうか...傑作か...」

妖精さんをも傑作と言わしめるとは驚きだ。

駆逐艦という小さく多い制約の中にやりたい事好きなだけ詰め込んだ上に高スペックときたらまぁ傑作といえるだろう。しかしこれは船体スペックでありこれを艦娘が使いこなさねば意味が無い。どんな高性能な機器でもガラクタに成り下がってしまう。

そのため、普段は先輩が教えるのだが、今いる駆逐艦は暁四姉妹に吹雪と言うちょっとアレな艦娘が多い為、教えるには適さないため教官にはあの人を任命した。

今は週一の()()から帰投しているはずだ。教えるならあの人という勝手なイメージでつい任命してしまったのだが、本人はあっさり了承。

むしろやり甲斐があるらしく笑っていた。また悲鳴が響き渡ると考えると...うん。一部の艦娘が非常に顔色悪くするから...どうしよっかねぇ.......?

 

因みに大和や武蔵もあの人の訓練を主砲を56cmにした時に教練担当の長門の補助として対空射撃訓練などを受けた事があるのだが、地獄だそうだ。(大和談)

死んだほうがマシ(武蔵談)とはまぁよく軍人に言わせたもんだ。

じっさい阿鼻叫喚の地獄、魔の強制訓練になっていたんだがその分途轍も無い練度に豹変するし、思わぬ才能が開花する事もある。

大和なんかはあれだ。回避機動中の砲撃の精密性はピカイチだ。

長門さえも信頼を置いているのだから実力は本物。長門本人は私達がしごいたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、貴女達はこんなものではないでしょう?ほら、やれば出来ましたね。はい、次は速度1.5倍でやってみましょう。初月さん?貴女の主砲はばら撒くものではありませんよ?」

いや、初月の20.3糎ガトリング砲はばら撒く主砲なんですけど...多分初月が掃射するみたいに撃ったまま砲塔旋回をしたからだろう。それは弾薬の無駄だし、撃ち続けるよりタップ撃ちしたほうが効率がいいのは事実。しかしガトリングとなると掃射して吹き飛ばすものだ。

数発だけ撃つ、というのはこれはもう艦娘の感覚次第なのだ。どれだけの時間撃てばどれだけ砲弾が飛んで行くか、それを常に把握して残弾と相談して砲撃をしなければならない。

現在の海戦に時間の余裕など一切無いので激しい砲撃戦が当たり前になっている。双方連射速度が段違いなのだから当然の道理だ。しかも動きながら。

回避運動しながら深海棲艦には正確に当てなければならず、ついつい掃射してしまうのは分からんでもない。

 

 

 

今私が居るのは露天艦橋。

ライフルスコープ片手に教官の神通に三人がしごかれているのを視察中。

夕立は海上に浮いた間隔50mとかいう頭おかしいブイを最短距離かつ機関最大で駆け抜けながら15の的を正確に全て撃ち抜くという訓練中。あ、外した。

初月は暇してたにこーせんの蒼龍飛行隊を仮想標的に対空砲撃訓練。

ニ航戦って割と実力あった気がするんですが...ほら、垂直上昇始めたよ。うわー、ようしゃねー...

 

親潮は以前暁四姉妹がやってたドリフト駐車ならぬドリフト繋留を練習中。

無論機関最大で突っ込んだ後スクリューの絶妙な回転率変換率変更でドリフトして決まったエリアに正確に船体を滑り込ませる訓練だが、まだ動きがたどたどしく、動きが鈍い。

三人とも頭おかしい訓練中である事には変わりないが、三人同時に教練してる神通はもっとすごい。

見る限り夕立は流石。天才肌らしく神通の言う規格外条件を難なくクリアしてゆく。

さっきミスってたがアレは調子乗った結果だ。

親潮は性格もあるのか正確な動きが得意なようで踊る様な操艦は見事。

初月は少々操艦に荒いところがあるが立ち回りは上手く、早速ATフィールドもどきを活用しつつ対空戦闘をこなしている。

「むふふー、頑張ってるみたいだねー」

「そうだな。三人ともなかなかどうして素質があるようだ」

「そうだね〜。初月って子は可愛いし健気っぽいしいいなぁ...今度食べちゃおうかな」

「コロがすぞ貴様。...頼んだものは?」

「んー、これだよ。お姉さんも優しいんだねぇ〜?」

「艦娘に最大限の支援をするのは当然のことだ。」

「餌付けも?」

「........人聞きの悪い、労いだ。親密な関係は連携にとても大事なものだからな」

「それ餌付けだよねーふふふー。」

ノイトハイルに頼んだのは艦娘全員が病みつきの間宮羊羹。

以前あまりの人気に間宮本人が生産制限をかけた一品。本人手作りのお菓子なのだがこれがまた美味しい。よく私達四姉妹も茶会の時のお菓子に使わせてもらっている。

確か熊野が「オイシイデスワァァァァ!!」って奇声あげてた。鈴谷に散々いじられて喧嘩に発展してたけど。

アイスと並んで人気商品なのだ。まぁここ暑いし娯楽少ないもんな。

でもさ、ここがいくら艦娘が多いからって制服を着崩すのは頂けない。

赤道が近いこともあって年がら年中温暖な気候で、日中外にいるのは妖精さんのみというのがナウル鎮守府の当たり前の光景。

コンクリの地面のため熱やら色々害しかないからな。

寮や提督棟は冷房完備の為外に出る艦娘は少ない。出たとしても車両を活用している場合が多い。案外運転できる艦娘多いんだよな。というか教えたらすぐに物にした艦娘が多かった。

でも五七式重装甲輸送車とか七九式装甲輸送車を好き勝手に塗装するのは止めてもらいたい...なぁ......七式装甲車輌とか一式重武装車輌ならカスタムしても良いからさ、8輪の大型輸送車は止めてくれ...

 

 

 

 

 

おっと、訓練の内容が変化したようだ。

五分の休憩後、高雄に協力してもらい重巡洋艦を旗艦にした艦隊行動訓練。

単縦陣に複縦陣、単横陣に輪形陣、対空戦闘の為に中央に集結した特殊陣形まで一気に神通は教えているようだが、殆どは史実でもやっていただろうしつつがなくこなしていた。

 

あとは各艦が距離を取って神通から発射された対艦ミサイルに主砲弾を当てるという対空訓練にそれが出来た艦娘から神通自らが発射した20.3cm砲弾を迎撃する訓練。

これが十分おかしい事を察してくれる諸氏でいてくれることを期待する。

イージス艦じゃないんだから砲弾に砲弾を当てて迎撃なんて芸当は普通は無理だ。

実際、他の鎮守府に演習に行った艦娘(利根さん)に聞いた所出来なかったらしい。

しかしナウル鎮守府では出来なければ可笑しい、くらい常識的なスキルとなってしまっている。

私?.......黙秘する。いや、やろうと思えばできるんだけどさ、私の主砲デカ過ぎて掠らなくても砲弾がどっか明後日の方向に飛んで行くんだよね。砲弾の回転した時に発生するソニックブーム的なものに。

態々迎撃しなくても結界あるし、三式弾使えば一発だ。万が一は粒子弾やウンターガングを使うがな。

 

ーーこほん、ナウル鎮守府では全員ができると言っても過言でもない砲弾ショットは新入りに掛けせられる恒例の無理難題と化している。

夕立は流石。一発成功。マジであいつなんなんだ。

親潮は数発逃した後照準の仕方のコツがわかったのか3発に一発は当てるようになった。

初月は...うん。20.3糎六砲身機関対空連装砲を封印されたから涙目で備え付けの41糎砲で迎撃しているな。可愛いが流石に酷じゃないだろうか。

なんで駆逐艦がビッグセブン砲積んでるんだっていうツッコミはともかく、流石に全部ガトリング砲となるとアホみたいに弾薬を消費するからな。普段使い用の砲として60口径41糎三連装砲が二基配備されており、威力は砲弾にもよるが一部51cm相当になる。これ駆逐艦だよな...?

二基だけだが41cm三連装砲を積んであるからそれも使えるようにならなければならないため、実質初月は二隻分の射撃訓練をしている訳だな。

私の中央演算処理装置みたいな大規模演算が可能な演算装置なら良かったんだが流石にそれは無理だったので未だに艦娘の感覚に頼っているのだ。

というか流石に主砲の照準まで任せきりになると艦娘の仕事が無くなる。

ただでさえ自動操艦も出来るんだから。

あ、その代わりに駆逐艦には全員に全海域対応型万能電探後期型という116号電探とは別に配備している。こいつは水上、水中、地下に特化した電探で雨だろうと台風だろうと関係無く詳しい索敵ができる優れ物で、既に私で実証試験済みだ。そこそこ使いやすかったぞ?三次元電探よりも性能が良かったから私も測距儀型電探をコレに入れ替えてある。

まぁ片方が吹き飛んでも継続して索敵が出来るように、という保険だがな。

 

 

 

 

 

ヘトヘトになった駆逐艦艦娘三人が水揚げされた。

船体は丁寧に繋留されているが、当の本人たちが撃沈している。

船体には整備用クレーンが伸び、修繕箇所の点検と〔弾薬〕の補給が行われている。

神通も厳しめに行ったのか破損箇所が多い。

夕立の艦橋後ろにあるマストも折れてしまっている。そのせいで後ろにあった砲塔が旋回不能になってるし。他にも砲身が抉り取られた第三砲塔など、こってり絞られてたようだ。

南無三。

「......ご苦労だった。夕立、初月、親潮。これは私からの餞別だ。受け取ってくれ」

「ーーーもう、無理っぽぃ〜〜っ!」

「流石に、僕も疲れたな...慣れない装備は苦労するな。」

「そうですね...神通さんは厳しい方でした...あ、アメストリアさん。ありがとうございます」

「随分絞ったようだな、神通?」

「いいえ、まだまだこれからです。基礎の基礎は教えましたが、まずは基礎を身につけてもらわねば、困ります」

スパルタだなぁ...どれもこれも艦娘為なんだろうが...本人たちがどう思うかなんだよな。結局は。教官というのも中々楽じゃない。

「......ふふふ、確かに技量がなければ話にならない。しかしやり過ぎには注意しておけよ?」

「えぇ。勿論心得ています。ですが厳しくいかなければこれからの戦場を生き残る術は身につけれません。私達だっていつ援護できるか分かりませんし」

「駆逐艦単艦での任務などさせんけどな。」

「ふふふ、それは良かったです。単艦任務は護送作戦以上に無謀ですからね」

「当然だな。私達の設計に単艦任務を想定されてはいるが実際にすることはない」

 

 

 

 

突然だが、現在私は鍋を回している。

理由としては駆逐艦艦娘らに頼まれたのと、どこから聞きつけたのか目ざとく発見した赤城、加賀に現在進行形で大量消費されていること。そして最大の理由に食べたことないからとノイトハイルに脅迫されたことだ。曰く作らにゃ殺すとのこと。

最近ノイトハイルの私についての扱いが荒くないか?

しかしニューフェイスな駆逐艦艦娘らの頼みとあれば断る理由がない。

今日は金曜の為の海軍の慣習に従いカレーを作っている訳だ。本当なら一日二日置いておいたほうが良い味を出してくれるのだが、そんな悠長なこと言ってられないので、手当たり次第に大量生産している訳だ。どうしてか私が作ると絶品になるらしいからな。艦娘スペック恐ろしや。

だが結局非番の艦娘達が全員集まってしまい私が全員に振舞うという結果に落ち着くのは...うん。だいたい予想してたけども、もうやらん。

「うん〜〜〜〜〜〜〜っ!!おいしいっぽいっ!!」

「確かに、これは美味だな」

「美味しいです!アメストリアさん!」

「そうか、それは良かった.......赤城、非番だからと言って食べ過ぎは控えろよ?」

「勿論ですアメストリアさん。ちゃんと腹八分目に抑えています」

「そうね。私も赤城さんと同じくある程度遠慮はしているわ。アメストリア、心配は無用よ」

.......貴女方の腹八分目は20皿ですか?

確かに艦娘達の笑顔が見れたし美味しいと言ってくれたのはとても嬉しいことこの上ないが、重労働はごめんだ。あー腕が痛い...

 

 

午後は流石に私も疲れたし見学ということで駆逐艦艦娘らにも休憩を与えて私も第一、第二隔壁間の海域で訓練を開始した重巡たちをぼんやりと眺めている。

今日暇してたのは高雄、愛宕、青葉、衣笠、最上、三隈。

熊野鈴谷の二人組は金剛と演習だ。

 

六隻が見事な単縦陣で航行している。

穏やかな波を切り裂き、機械音を響かせ威風堂々とした風貌で航行する様は胸が熱くなる。

二次大戦特有のゴツゴツした、なんか色々付けた城型建築みたいな日本艦のみにある独特の造形美と数々の戦歴を伺わせる所々黒ずんだ船体。砲口付近には煤が付着し、確かに実戦に生きる艦艇なのだということを私に知らしめてくれる。

正面から見た重巡というのは綺麗に三角の形が取れた、それはもう美しいもので六隻も連なっていると言葉に言い表せない美しさがある。

四基の35.6cm三連装砲にイージスのような要塞型艦橋。側面には12.7cmの対空砲や45mm対空機関連装砲がハリネズミのように砲身を生やし、排煙用の...実の所装飾用の煙突に大きく高いマスト。水上機を発艦させるカタパルト及びクレーンがあったところには現在格納庫とF-222用昇降機が備えられている。と言ってもF-222の全幅は着艦用甲板以上なのではみ出す形になるのだがそこはF-222の主翼が展開式であることを利用し畳んで主翼を90度回転させて折り畳む。丁度輸送形態のオスプレイみたいな状態だな。アレをカタパルトにセットした状態で設置してある。クレーンは必要ないので撤去した。F-222が発艦できなくなるし。

そして後部三基の主砲に敷き詰められたタイルのようなミサイルハッチ。

前から見ると無線用だったマストからアンテナや旗竿などに張られたワイヤーもそのまま残してある。現在は専ら乗員の洗濯用になってるが。というかそういう使い方をしていたらしい。アメストリアでは。室(艦)内で干すと臭くなるもんな。そもそも干す空間をとる余裕などないだろうし、太陽に当てないと細菌が増えるから室外で干したほうが良いぞ?くさい原因も細菌だしな。ナウル鎮守府は暑いからすぐ乾くし衛生的にかなり気を使っているので多分安全だしな。海上は知らん。

 

六隻が一斉に主砲を旋回させ始めた。

試製のアレっぽい意匠の35.6cm 三連装砲はそれはもう良好な性能を見せている

安定した火力と抜群の破壊力。史実でも夜戦の火力として活躍していたのも頷ける。

全自動装填装置があるから速射に関しては心配しなくて良いし、重巡とあって弾薬庫は多く取れたので装弾数はそこそこ。そうだな、〔弾薬〕を全て主砲に回すとしたら20万発は撃てるだろう。対空砲にも回すから大体7万発位だろう。いつもの装弾数は。

因みに高雄型の総装弾数と500cm砲弾10発が同じ位だ。

やっぱ500cmはおかしいと思うの。弾薬庫でかすぎでしょ私の。

 

アメストリアの艦載砲は基本船体に埋め込んである筒の部分には装填する分のマガジンと量子変換器と排莢した空薬莢を一ヶ所に集め船外に排出する為に漏斗が一番下に仕込まれており、穴から滑り台式に薬莢が排出されてゆくシステムを採用しているのだが、よく考えたらマガジンだけつけてそれを時間逆行術式で保存すれば弾薬無限の砲が出来上がると思うの。

それしたら毎回悩まされる戦闘時の〔弾薬〕不足という問題は解決されるし、一気に楽になると思うのだが、幾ら頼んでも妖精さんは頑なにそれをしようとしない。

船外にある消耗品とかには時間逆行術式を導入して修理の量を減らす取り組みはあったのだが、パーツに時間逆行術式刻んで無敵戦艦とかにはならなかった。

まぁ流石にそれはバランスブレイカーの域を超えてしまうし私も損害関係の感覚が麻痺してしまうからあまり必要ないと思っているのだが、砲はせめて対空砲だけでも良いから〔弾薬〕問題を解決したいなぁ...対空砲って地味に〔弾薬〕食うんだよね。主砲には敵わないけど結構な量消費するからどうにかしたいんだけど...今度妖精さんに土下座して頼むか。

 

私のどんよりとした思考は爆音によって途切れた。

六隻が順に砲撃を開始して行き、フルオートの銃を六挺並べた時のような濃密な弾幕が張られてゆく。標的用らしい100cm厚の装甲板は大量の榴弾に徐々に削られていっているようだ。

精密性は満点。フルオートで主砲ぶっぱしてるのに今の所外れ無し。全力航行だろうに。すごいな。

流石は重巡洋艦達だ。

戦艦は確かに主役だが戦艦は極端に言えば大口径砲を戦場まで運ぶ運搬屋であるので、実質戦場で主な攻撃や指揮をするのは重巡洋艦だ。

戦艦以下の主砲ながらも魚雷が撃て、夜戦においても安定した制圧力を発揮する。

従って重巡洋艦にはかなりの練度が求められ、それはアメストリアスペックとなった今でも変わらない。

私達アメストリア型戦艦は別にして、大和始め戦艦勢は船体にスペースの余裕があるため、会議室や通信設備など充実させることが可能で、派遣した先での作戦会議などは戦艦に活用する。しかし今でも駆逐艦や軽巡洋艦を連れる時は臨時旗艦を重巡洋艦にするし、偶に戦艦を含んだ艦隊でも旗艦を重巡洋艦にする場合がある。

 

単縦陣をYの形に航跡を変化させ、二列縦陣に変化するとそのままターンして反転。

増速してジグザグに転針を繰り返して回避運動を取ると二航戦のF-222が襲いかかった。

動きはさながら急降下爆撃。

九十度直角に突入したF-222から実弾のミサイルが発射されるとより増速して警告音と共に対空戦闘を開始。

曳光弾の色とりどりな火線が雨を遡って伸びて行き、的確に対艦ミサイルを迎撃する。

爆炎が幾つも空中に咲き、黒煙が破片と共に降り注ぐ。

青葉姉妹は機動戦を仕掛けているようで息ぴったりな動きで撹乱し、攻撃の密度を減らさせていた。最上三隈も負けじとF-222搭載能力を捨てて戦闘力にガン振りした艦首側四基の55口径35.6cm 連装砲をバラバラに指向させ、気化弾を斉射した。F-222と黒鉛に彩られた青空に強烈な閃光が加わった。

飛行甲板が一瞬にして真っ青になり、離艦不能に。ちゃっかり操縦席付近が重点的にペイント弾の餌食になっているのは技術故か。

しかしそれで廃る最上型ではない。前方にある4基の35.6糎連装砲を使って三式弾で迎撃を開始。各地でサーモバック爆弾が爆発したような焔が上がった。

なんかもう実戦になりつつあるんだけど終了とかあるんだろうか。あ、第二波来た。

「.......蒼龍、仲間内で殺し合いは避けて欲しいのだが」

「え、やだなぁアメストリアさん...訓練ですよ訓練!」

「...っあぁ、めっ!艦載機が落ちちゃいますからぁ!もがみんやめてぇ!」

「.......はぁっ、各艦発砲を禁ずる。蒼龍飛龍も速やかに艦載機を帰投させろ。さもなくば500cm三式弾を食らわせるぞ。」

「わぁっ!?そ、それはかんべんだよぉ!」

「それはやだねぇ、多聞丸、帰投させよっ?」

「あらやだ...熱くなりすぎました...最近こういう戦闘が無い所為かしら...」

「わたしもよぉ〜。アメストリアさぁん、敵艦をくださいな?」

「ガサー?そろそろやめますよぉ?」

「あ、青葉、もう終わりなの?」

「ボク達も止めようか、三隈?」

「そうですわね。」

各艦が砲撃をやめ、主砲を元の位置に旋回させると、舵を切って単縦陣に戻り始めた。

若干気持ち最上が高雄に近すぎる気がするのは気のせいだろうか。

対空戦闘とあって各艦が縦横無尽に動き回ったため向きも位置もバラバラ。海面は航跡で荒れ、波は高く白波を立てていた。

あ...最上またぶつかった。

 

 

「......最上、衝突事件、これで何度目だ?」

「えへへ...三度目、かな...?」

「五度目だ馬鹿者。内二回が三隈との衝突。残りは高雄、愛宕、私とは...貴官、重巡洋艦以上と衝突する癖があるのか」

「いや〜、何でか舵の効きが悪くなったりするんだよねー」

「......あとで工廠妖精さんに総点検させるか」

「ちゃんと前向いてたんだよ?ボク」

「...ならば何故あぁも見事に正面衝突できるのだ?」

「何でだろうねぇ?ボクも不思議でたまらないのさ」

この野郎...まぁ確かに史実は不幸姉妹以上に呪われてる姉妹だから多少は大目にみるけどさ...何でこんなに衝突事件を起こしまくるのかね。今回も高雄と正面衝突。

高雄の不注意もあったが、やはりもがみんが悪いと思うんだ。

以前戦艦との共同訓練の時も大和や金剛に衝突しそうになったし、実際榛名に接触事故起こしてたし。私に衝突した時はびっくりしてお茶こぼしたんだぞ?折角本物のダージリン入手したのに。

確かにさ、重巡洋艦ともなると戦艦クラスの船体だし、舵の効きが遅いこともわかる。

駆逐艦みたいに飛んだり跳ねたりみたいなアクロバティックな動きは求めてないからさ、もうちょっと気をつけて欲しいなぁ...罰則は無いけどさ。

「......修理には30分程掛かるそうだ。高雄に謝罪しておけよ?以上だ。」

「うん、ゴメンね?ボクも次から気をつけるよ」

信用できん...したいけど、できないっ!

今回も綺麗に艦首をペシャンコにしてしまった為ブロック工法に基づき、艦首を作り直している最中。高雄の方は軽微だった為装甲を張り替えているだけだ。

何であんなに衝突しまくるのかは不明で、今の所対処策も無い為アレがもがみんくおりてぃだと納得するしか無い。今の所実戦で衝突事件起こしたこと無いし。

全部演習か、戦闘後に起こしてるから...多分、大丈夫だろう。うん。そう信じたい。

 

「妖精さん、今回の訓練での消費資材は?」

''15000なりー!''

''もがみんが効きましたなぁ。鋼材、結構つかたです?''

''弾薬は700くらいです?''

''二航戦も効きましたなぁ''

「......二航戦ってあんなに血の気多かったか?」

''海軍さんは大体ああいう感じです?''

''内に秘めたる獣です?''

''能ある鷹は爪を隠すです?''

妖精さん、使い方ちゃうでその諺。

でも海軍、大体ああいう感じってやばく無いのかね。

確かにいけいけの艦娘は多いけれども。

霧島とか戦艦キラーだし、長門は殴り合いを要求してくるし...というかやってるし、あの大和でも結構殺っちゃう系だし。確殺に拘りを持っていた。やはり狙撃タイプか。

水雷魂とか夜戦とか史実からぶっ飛んでる艦娘多いし、スタンスにガンガン行こうぜ!航空機は無しな!っていう感じだから吶喊が好きなんだなぁ。戦果挙げてくるだけに対応に困る。

まぁ、私がどうこう考えても仕方ないな!(思考放棄)

うん。そうだ。考えても仕方ない。ピンチになったら私が全身全霊で助ければいい話。

例えこの身を盾にしても絶対に艦娘は守らねばなるまい。まずは書類と権力から...

さぁ、事務仕事だ...(白目

 

 

 

 

「フタフタサンマル...少し休憩するか。ノイトハイル、茶を淹れてくれ」

「んー、媚薬入りでよければ何杯でも淹れてあげるよぉ〜」

「...いらん。私がいれる」

ノイトハイルは有言実行...無言実行のため、本当に入れかねない。既に何回か食らっているので、流石に私も学習した。

部屋に備え付けのキッチンでやかん、ポッド、カップ2杯を用意する。

 

まずはじめはやかんに軟水(日本の水道水などがこれに当たる)を注いでIHモドキで加熱する。

この時、沸騰直前の95度が最適らしい。沸騰させてから95度まで下げるのはもってのほか。これは紅茶の命、酸素含有量に関係する。

因みに95度を目視で判断する方法として、お湯が沸いてくると始め小さな泡が出てくるだろ?あれが急に大きな泡がボコボコ出てくるタイミングが95度らしい。

温めている間にポッドとカップは湯で温めておく。これはわかるよな?カップが冷えてたら熱々の紅茶と相性が悪いからな。うん。

以前紅茶馬ゲフンゲフン、血走った目の金剛に熱弁されたからよーく覚えている。

 

そして温めてあるポッドに私とノイトハイル分のティースプーン3杯分を入れる。

以前サーフィンして見つけたトワイニング社によると一人当たりティースプーン1.5杯。ジャクソン社によるとティースプーン1杯らしい。

 

ポッドにお湯を注ぐ時に某毎回主人公がお怒りになる警察ドラマの主人公の如く、高いところから注ぐと、酸素とよく混じり、紅茶が美味しくなる。跳ね返りには注意な。

そしてお湯を注いだら3分蒸らす。

この時にポット内で「ジャンピング」という要はお湯が循環する現象が起きる。

逆に起きなければ美味しい紅茶は入れない。それくらい大事な作業だ。

このジャンピング、重要な割に難易度が高いもので、熱すぎると茶葉が沈んでしまい浮いてこず沈殿するだけだし、低すぎると浮いたまま沈んでこない。

今回は練習の成果かうまくいったようだ。芳醇なダージリンの良い香りがする。

あ、ジャンピングはティーバックでも出来るのだが、ティーバックの紐を上下させて自分でやっちゃうと台無しになるので注意が必要となる。

要は温度に気をつけて放置ということだ。

 

よし、うまくいった。

紅茶の入ったポットと温めたカップを盆に載せて、事務関係の部屋に運ぶ。

ちょうどノイトハイルが暇潰しなのか書類を作成していた。

「ノイトハイル、ダージリンだが、よかったか」

「んー、大丈夫だよぉ?もうやになっちゃうよね。この量はなんなのさー」

「ふふ、自分でどうにかする度胸もないもやしチキンの精一杯の抵抗だ。微笑ましいじゃあないか」

「いうねぇお姉さん。まぁ、そうなんだけどねぇ〜。あ、ダージリンだねぇ、僕も滅多に飲まないかなー」

アメストリアは万能生産装置があるから物質なら何でも...ってこれは野暮か。

味とかも再現されているのだが、人間意識の仕方で味のとかの感覚もガラリと変わるもので不味く感じるのだろう。犬用ビスケットを想像してもらえるとわかりやすいだろうか。

あれも実は人間食べれるぞ。というか成分一緒だぞ。原材料も。

読者諸君も何も知らずにビスケットだけ出されてたら普通、犬用とか意識しないはずだ。

しかしこれは犬用ビスケットですと説明されると途端に食べたくなくなるだろ?アレだ。

あの感覚だろう。アメストリアは万能生産装置を前提としているからそこら辺の価値観は真逆だろうが。

「んーっ!美味しかったよぉ〜お姉さん。あ、この書類群は遠征報告書、こっちの山は演習結果詳細ね。出撃、消費資源報告書はここね〜」

......ノイトハイルさんや、スペック高すぎやしませんかね。

私が紅茶淹れてた間に書類を全部種類別に分別したと?

一体何枚あるのか数えたら精神崩壊しそうだから無心で処理してたけど、こうやってみるとわかりやすいな。やっぱり遠征報告書、演習結果詳細はどんぐりの背比べクラスにトップタイだが、出撃、消費資源報告書はダントツで少なく、こじんまりとした山になっている。あいつら出撃してないのか。

試しに、と適当に一枚引き抜いて確認すると、鎮守府海域、カルラン半島くらい。1-4が多いな。初心者だらけなのか、レベリング中なのか。判断しかねるが、連続出撃は辛いぞ?

ナウル鎮守府はすでに引越しの時に経験済みだし。

 

「......ん〜?ありゃりゃ、来ちゃったね」

「......む、報告書か」

複雑な三重暗号の秘匿回線を通して送られてきた天龍龍田の報告書。

報告書自体にも五重のプロトコルが組まれた余程読まれたくないと見えるデータに中央演算処理装置を使って片手間で解読する。

主に最近の日本本土の動向についての報告だが、幾つか気になるものを発見した。

一つは内閣が変わり、政権交代、議会解散が行われ、左翼に傾きつつあること。

二つ目はそろそろ皇紀変わるんじゃねって噂されてる事。

一つ目はまぁどうでも良いし軍部は命令権が天皇に全任されているから内閣が幾ら変わろうと基本的に方針がねじ曲がったりねじれ状態にはならない。

しかし二つ目は別だ。天皇の崩御か、生前退位か。大日本帝國の陸海空の最高指揮権を保有する天皇が変わるとなると、次の天皇が別の考えを示した場合軍部は計画の変更を余儀なくされ、その影響は末端に直撃する。

しかも、大日本帝國の象徴たる、血筋だけは2000年以上続いているらしい天皇家の大幅な変化は国全体にも影響を及ぼすし、膨大な遅延が発生する。

今の所艦娘らに天皇について聞いた事はないが、恐らく落ち込むのだろうと思う。

というか今の公家やばいからな。嫡男全然居ないし、天照とか先祖だからか女系っぽいし。

これはまずい。元号変えなあかん。更新がめんどい。

衰退するか繁栄するかは天皇次第だし、一蓮托生なのだ。

 

「軍を失う事すなわち己を失う事。」

とあるアメストリア海軍元帥の言葉。これは私は日本に一番必要な言葉だと思う。

軍縮だ何だと喚いてる現実見えてない意識低い系の蛆虫どもがいるが、現在は地球の七割を敵に回した戦争中なのだ。そんな時に軍縮とか狂気の沙汰。

既に南の方は壊滅してるし石油だってパイプラインが危険な状況は依然続いてるんだからもう少し視野を広くして語ってほしい。

ニダ?あぁ、最近音沙汰なしだが、なんかあったのだろうか。

まぁどうでも良いけど。

 

ーーーん?

最後に、最重要機密って物々しく打たれた文字。

うわー。読みたくないわー。絶対面倒ごとだわー。疲れるんだよ...

何々.......

 

.........アホなのだろうか赤レンガは。

よりにもよって今、赤レンガは士官候補生の実地派遣を行おうとしている。

こんな時に。

「......ん、お姉さん、その赤レンガから電文だよ」

「......読め」

「はぁーい。えーと何々...発 大日本帝國海軍総司令部 宛 ナウル鎮守府

この度更なる戦線拡張に備え、未来有望な士官候補生の実地経験を積ませるべく、貴鎮守府にも幾人か派遣する予定である。準備せよ...だって?」

「......はぁっ...返信、発ナウル鎮守府総旗艦アメストリア型戦艦一番艦アメストリア。宛 あほど...大日本帝國海軍総司令部。士官候補生の実地経験を積ませる意味は強く、これからの世代たる士官候補生に良い影響があると判断し我がナウル鎮守府は候補生の受け入れを受諾。これからの大日本帝國の発展に寄与するものと願う。尚、当鎮守府は現在第一警戒態勢のため大人数の受け入れは許容できない。」

これなもんで良いだろ。ナウル鎮守府とかいう他の鎮守府とだいぶ違うとこに送ったって特に何も得られないと思うのだが、まぁ赤レンガの考えている事はわからんし理解もしないから放っておく。今回は士官候補生だから視察とかじゃないし全艦避難とかはしなくて良いな。

知られたら消せば良いし。

 

士官候補生といえど容赦はできないし、実際警戒態勢が続いているのは事実だ。

最近深海棲艦の動きが怪しいし。

さぁて、日程を組まなければ...

 

【オマケ】

夕立

 

【挿絵表示】

 

 

初月

 

【挿絵表示】

 

 

親潮

 

【挿絵表示】

 




次回から新章ですかね。
いやー日常回難しいです。みなさんすごいんですねぇ...私にはほのぼのしたネタが思いつきませんでしたので、今回もハードシナリオ増し増しです、すみません。

えっと、次回ですが、提督の卵がナウルに実地研修しにくるんですが、まぁ、だいたい察せられますよね。
呉の海軍大学校からやってきます。さてはて何が爆発するのか、楽しみですね。

2018/03/20 夕立と初月の図面を追加。スペックは図面の方が正しいです。
2018/03/22 親潮の図面を追加
-補足-
⚫️は128mm三砲身対空機関連装砲
○88mm四砲身対空機関連装砲
線やらマス目はミサイルハッチです。

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