超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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早く上げられて飛び跳ねてMP5-RASが足に直撃した諷詩です。

めっちゃ痛かったですハイ。
それはともかく今回は遂にミッドウェー攻略作戦開始でございます。
しかしあまりの文字数に前半後半と分けた次第です。後半は現在誠意執筆中です。しばしお待ちを。


67.ミッドウェー攻略作戦 その一

ーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーー

先に結果から言おうと思う。

あの例の声はリバンデヒだった様で自らの医務室から解毒剤を持ってきて私を救出してくれたらしい。本当に感謝しきれない素晴らしい妹達だ。対価が些か高すぎる気もするが。

 

それで、私が運ばれたのはリバンデヒの医務室で起きると巫女服ごと新品に変えられており、ホルスターや五式自動拳銃はテーブルに置かれていた。

そしてその装備品達を身につけ終わった頃に巡回にやってきたリバンデヒとエンカウント。会話の前に押し倒されて何やかんやあったがそれはまぁいい。問題は私の船体についてだ。

ここで簡単に状況を整理しようと思う。

まず第一に私は現状全く戦力にならない唯の銃を持った小娘に過ぎない。どうやら万能型生産装置は電源を落としている様で能力として行使する事ができなくなっていた。

また艦娘としての船体への介入は妖精さんによって却下されている。

第二に問題のアメストリア型戦艦一番艦アメストリアは妖精さんの反乱...独断によって以前進撃を続けており、航路から予想されるのはミッドウェーとの事。〔弾薬〕の備蓄は腐る程ある。それこそミッドウェーを吹き飛ばしてもまだまだお釣りがくるほどに。

第三にそのアメストリア型戦艦一番艦アメストリアを追いかけているのはリバンデヒ、天城、金剛、最上、熊野、矢矧、響で、上空から天城所属のF-222が監視しているらしい。

これらの状況から言える事は私無能だという事とこのままだとミッドウェーという対深海棲艦戰の橋頭堡が根こそぎ消し飛ぶこと。

尚これは無線で確認したことだから間違いないがナウル鎮守府では現存している戦力が全艦戦闘態勢で待機中らしく、旗艦はノイトハイルが勤めているらしい。心配だ。

ここからナウル鎮守府まではアメストリア型戦艦が機関最大にして10時間はかかる。90ノットしかないしから何にせよ時間がかかりすぎるのだ。

「という訳で私達はこのまま補給無しでアメストリア型戦艦一番艦アメストリアの追跡を続行し洋上で今回の攻撃艦隊と合流する予定だ。異論は?」

『お姉さん、カイクルの生存率が20、30%程下がるけど良いのかな』

そう言うノイトハイルの声色は珍しく硬い。

「私もそう思うわね。幸い天城には十分な陸上兵器はあることだしここはこの戦力だけでまず突っ込むべきだと思うわ」

リバンデヒが珍しく好戦的だ。いやいつも好戦的だがそう言う意味ではなく、焦りを孕んだ危険な好戦欲だ。

「いや、今回は何処かクサイ。仮にも世界最強の戦艦であるアメストリア型戦艦が一隻食われているんだ。深海棲艦が何かしらの対処策を気づいてきた可能性が高い。このままだと深海棲艦側にアメストリア型戦艦が三隻鹵獲され私達は晴れて敵の捕虜に仲間入りだ」

死んでも捕虜はお断りだ。これは()の意見でアメストリアでは捕虜になることは最大の恥とされておりそんなものになるのならいっそ自爆して死を偽装して泥を啜ってでも生き延び必ず反撃せよとされている。実に妖怪を基盤とした軍隊の思想だとしみじみ感じるが私だって深海棲艦の捕虜などになりたくはない。

「......」

『......』

二人とも黙り込んでしまった。

さて、これからどうするべきか......じっくりと様々な可能性や危険性を吟味する為に目を瞑り、中央演算処理装置のスペックを駆使して何万何億何兆。無量大数の想定を処理してゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしているうちにも遂にミッドウェーから25kmの海域に到達してしまった。

いや、私達だって何もしなかった訳ではないぞ?天城には陸上兵器の準備を進めてもらっているし、響には本隊への連絡役と言うか、引導役として向かってもらっている。因みに護衛に矢矧をつけている。金剛はアフターヌーンティーを満喫していた。呑気ですね金剛さん。

「大丈夫ネー!アメストリア。私達はそこまで弱くありまセーン!youのことはpromiseしていマース!安心して進んでクダサーイ!」と逆に励まされてしまったので文句は言えない。と言うか信頼がくすぐったくて、何も言えなかった。嬉しかったのだ。

「リバンデヒ、少し、妖精さんと交渉してくる」

「気をつけるのよ?私は何回も救出してあげるけど積極的な支援はするつもり無いわ」

「分かっている」

リバンデヒに一言断りを入れてから己の船体へ転移する。

 

転移したとたん、視界に広がったのは巨大な銃口。19.8mm口径の銃口が向けられ体が硬直するが、直ぐに持ち直し抵抗の意思がないことを表明するために両手をあげる。

''艦娘さん何の用な感じです?''

''ごよーけん伺いますです?''

「......提案だ。」

''......なんでしょー?''

「このアメストリアには陸上兵力が無い。いやある事にはあるが上陸手段が無い。だからミッドウェイ島への制圧攻撃を仕掛けることは不可能だ。そうだろう?」

''そうです''

''ですです〜''

''そのとーおり?''

「だから、私を制圧用の道具として起用しないか?」

''......艦娘さんのメリットがありませんー?''

''私達も一七式戦車を出す感じです?''

確かに、一七式戦車ならば水密性はは高く海を渡ることも不可能ではないだろう。しかしあれは重量185t。重過ぎるし大きすぎて制圧には向かない。結局は歩兵が必要なのだ。そこは百戦錬磨の妖精さんだって分かっているはず。なら必然的に私の提案を受け入れざるおえないのだ。且つ私はこのアメストリア型戦艦一番艦アメストリアの艦娘。死ぬと船体は自沈を始める。死に向かわせることは必然的に不可能になり、私も安心して虐殺できるわけだ。

「...今ならリバンデヒやノイトハイルといった陸上戦力も付いてくる」

''......分かりましたー。その提案を受け入れる感じです''

''了解ー!''

''れっつぱーりぃ〜!''

「感謝する。ついでに天城から五七式重装甲輸送車や七九式装甲輸送車をCH-4などで空挺輸送して上陸させる予定だ。妖精さん達は砲撃に専念してくれ」

''分かりました''

一先ずは成功。天城には少し負担をかけてしまうが、ナウル鎮守府から赤城も応援でやってくると思うので負担は小さくなるはずだ。合流した後の戦力はアメストリア、リバンデヒ、ノイトハイル、武蔵、金剛、榛名、比叡、霧島という戦艦部隊を主力とすることができる。後は赤城の航空隊が上空支援。航空母艦の甲板を利用して大量の空挺を行う。

 

 

 

ミッドウェイ20km手前。妖精さんにも通達し、やっとアメストリア型戦艦一番艦アメストリアは停船。ナウル鎮守府からやってきた全勢力が合流した。三個艦隊に分けることとなり、護衛が少なくなるが第一警戒態勢のまま戦闘海域へと突入する事となった。

アメストリア型戦艦三隻が前面に出る威圧感は凄い。天を貫く巨大な大和型艦橋に黒々とした煙を上げ続けるミッドウェイ島の方角をピタリと向けたまま微動だにしない500cm四連装砲。副砲の150cm四連装砲や46cm三連装砲も向けれる砲は全て向き、その2km後方を武蔵を旗艦とした戦艦と重巡洋艦の一部の打撃艦隊(回りこみ)第二艦隊。そしてさらに後方には一定間隔で航行する平べったい艦船達が追従しハリネズミののように対空砲をこれでもかと満載した軽巡洋艦や駆逐艦が護衛する。その大艦隊が描く航跡は巨大な三角形であり、まるでランスのようだ。

上空には赤の一本線が描かれたF-222が13機で大きな三角を描く編隊が幾つも空を埋め尽くし、FB-99も編隊を組んでいる。それに各編隊ごとにE-21が配備されており、AWACSとしてE-7が遥か上空にF-222の直衛の下管制している。

この大艦隊の姿は異様であるがその規模は馬鹿にならず火力から言ったら100,000,000,000t以上の火薬量を誇っている。

 

突如、リバンデヒの艦橋内に警報が鳴り響く。同時に照明が赤く切り替わり、パネルの文章量が格段に増加し、電探を反映する現海域のMAPから気象状況、風向まで表示出来るパネルには23の大小の光点が映し出される。

''敵深海棲艦が出現!戦艦5、重巡3、駆逐艦15です!''

「主砲座標固定!撃ち方始めなさい!」

''了解しましたー!''

''よーそろ〜、主砲500cm四連装砲目標の座標固定!''

''距離21300m!''

リバンデヒの前方三基の砲塔が5°/sで旋回して行き、とある角度で固定。砲身がゆっくりと上を向いて行き、停止。砲塔だけで、大和型以上な大きさを持ち砲身は400mと、陸上のトラックと同じ長さをもつ。その姿には威厳が篭り、5mな砲口は化物が開いた口に錯覚する。

 

そして次の瞬間には途轍もない周囲を消し飛ばす衝撃波が放たれその莫大な砲声と閃光は艦橋を覆い尽くす。砲身が大きく後退して行き、黒々とした砲煙と共に500cm榴弾式結界弾が飛んで行く。艦橋の分厚い防弾防爆ガラスを激しく叩き船体はわずかに揺れる。12門の斉射はこれ位の反動を要するのだ。そのデカすぎる砲声は100km先に響きミッドウェイ島にも直撃している。砲付近に駆逐艦がいようものなら確実に押しつぶされ、戦艦でさえも転覆してしまうだろう。耐えれるのは姉妹艦のみ。

船体側面の海面がクレーターのように消え、その減った面積を埋めようと海水が流れ込む。艦首が切り裂いて掻き分ける海水も埋めるのに役立っているようだ。側面の排莢口からは金色の鈍い反射を返す巨大は薬莢が廃棄され、大きな水柱を立てて海中に没する。

もう一度。しかし今回は小さめの砲声が後方から響く。振り返ると武蔵が別の深海棲艦をロックオンしたのか150cm三連装砲をぶっ放していた。側面に巨大なバルジをつけたおかげで20°くらいの傾斜に収まっているが、船体自体が大きく傾き、あれでは副砲の砲撃や対空砲での迎撃など不可能となってしまっている。さすがに100cm以上の口径を1000m以下の戦艦に載せるのは危険なのだろう。

他にも金剛型が51cm三連装砲を一斉に斉射しておりその大きな煙と砲弾が曳く赤い火線が緩やかな弾道を描き飛んで行くのはどことなく美しかった。私が撃てればどれだけ気持ちいいことか。突如、全艦からミサイルがハッチから飛び出して行き、とある方角へ一直線へ飛来してゆく。そちらの方向には分厚い雲が立ち込めており視界は悪い。しかし全ての艦に搭載した電探には関係ないようで多数の敵航空機を補足しリバンデヒの中央演算処理装置で振り分けた目標に各々がSM-3を発射したのだ。

黒々とした雲が緋々と染まりきり、被弾した例の深海棲艦航空機が残骸となって落下していった。雨のように大量の残骸が海に降り注ぎ水柱が大量に発生する。しかしそれだけでは収まらず、リバンデヒやノイトハイルの46cm三連装砲、左舷側の十基が旋回して行き、最大仰角へ砲身を向けると、発砲。30門の46cm砲の砲声は重なり、共鳴して500cm級へと大型化する。しかしそれでも一門分で、500cm四連装砲の砲声の大きさはやはり規格外なのだろう。

誰だ作ったの。

三十発の46cm気化弾は盛大に揮発性の高い燃料をばら撒きながら飛翔し生き残った深海棲艦航空機の間を通り過ぎ、自爆。次の瞬間その弾道が真っ白に染まり遅れて熱風が全方位に降り注ぐ。弾道上は線が焼き払われ航空機が消し飛ぶ。

後方を確認すると航空母艦の艦隊に急降下爆撃が行われているようだがその深海棲艦にとって獲物たる空母は私が改造し、ハリネズミと化している。船体にこれでもかと積まれた45mm対空機関連装砲は垂直に二本の六砲身を向け、ターレットリング1mと言う小さな半径で次々と撃墜してゆく。しかし深海棲艦の怨念は凄まじいもので、数に物言わせて爆弾を投下しながら急降下爆撃を敢行。機銃もずっと撃ち続けている。互いに交わされる火線の量は凄まじく、隙間が見当たらない。まるでアメストリア型戦艦の対空砲火の様だ。

深海棲艦はその身までをも爆弾とし、赤城を始めとした航空母艦の対空砲が跡形なく破壊する。防空任務の駆逐艦...暁型や吹雪の活躍は凄まじく、60ノット程で駆け巡り、バルジの片方を沈めて無理やり仰角を増やして主砲で迎撃している。また少なくも搭載した128mm三砲身対空機関連装砲が迎撃を続けている。しかし、それでも爆弾、ミサイルの嵐は完全に防ぎ切れず遂に雲龍に一発のST-11爆弾が着弾。

全通甲板に紅い花が咲き、雲龍が大きく揺れる。対空砲は沈黙し傾斜。黒煙が立ち込め空母の姿を包み隠す。しかしそれを心配する声は上がらない。誰もが信頼しているからだ。

「雲龍、被害報告を」

無線には、特に雑音が混ざることもない高音質で、船体の爆音を異常を報せる警報も無い。

「こちら雲龍です。45mm対空機関連装砲が数基煤汚れましたが、大した損害はありません。」

「そうか。なら良かった。」

被害は皆無。当たり前だ。航空母艦には戦艦の様な塔は作れない。戦闘機の離着艦に使用する為だ。従って甲板は平べったく対空砲も設置出来ない。

つまり常に弱点たる土手っ腹を晒し続けているのだ。それは攻守両者が知る事。そこを攻撃して沈んだ航空母艦は史実では少ないが発艦不可に陥る事は多発している。ならば対策する事は当然。

工廠長と揉めながら設計した甲板は型番関係なく対46cm装甲を施されており、船体装甲に至っては51cmから56cmに及びVP(バイタルパート)は対100cm装甲を施されている。

大鳳に至っては船体全体に対500cm装甲が施されている。あの時は深夜テンションで設計したからな。うん。大鳳が引き攣った笑みで「.......感謝...したら良いのかしら......うん。」と感謝?されたのは良い思い出だ。大鳳は空母の割には発育が遅れている。それは史実に置いて乗員が習熟仕切っていなかった為か、燃料庫などが装甲空母として未熟だった為か身長は低い。また前の鎮守府の冷遇か対応が冷たく会話もしなかった事が一時期あった。いや、今も引きずっているだろう。メンタル面での配慮は急務だろう。

 

と、何を考えていたのか。今はその事を考えている暇はない。

つまり何が言いたいかというと飛行甲板には46cm装甲があるから並の爆弾では傷一つ負わせることもできないのだ。HAHAHA!無駄無駄無駄ァッ!

 

「.........お姉ちゃん、アレを見てみて」

「...何だ」

リバンデヒから軍用のレーザー式双眼鏡を受け取り、指差した方向を見る。

その方向はミッドウェイの筈。何かあったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭が真っ白になり、遅れてぐつぐつとした烈火の如く怒りがこみ上げてくる。

覗いた先には、鹵獲されたのであろうアメストリア型戦艦三番艦カイクルが幾重にも鎖が張り巡らされて係留していた。しかしその姿は歪でバルジに注水しているのか喫水線は下がっており、側面には無理矢理といった具合で橋がかけられている。アメストリア型戦艦自慢の対600cm特殊装甲は無理に引き裂かれたのか爆薬でも使われたのか装甲はひしゃげ、めくれ上がっていた。そこへ橋がかけられているのだが、問題はその位置だ。

アメストリア型戦艦の中央部に設置されている、大型の万能型生産装置がある。そこへ到達するには対600cm特殊装甲を四枚程貫通しなければならず、まず深海棲艦には不可能だ。

 

その筈だった。

 

あの装甲のひしゃげ具合からわかる。あれは確実に複数の装甲をぶち破っている。その上の窪みに設置された20cm連装砲は爆散し、炎上したのか焼けた跡が生々しく残っていた。

そして、橋や桟橋には有り余る量の黒いコンテナが山のように積まれている。これだけ見ればもうわかる。誰でもわかる。深海棲艦(奴ら)はよりにもよってアメストリア型戦艦に搭載されている万能型生産装置を利用して自分たちの資材や弾薬を無限に生産していたのだ。

 

......許せない。

 

......許せない。絶対に許せない。絶対に絶対に許せない。よりにもよって愛すべき我が妹の魂とも呼べる船体を傷付けこじ開け、あまつさえ土足で踏み込んだ。血が煮え繰り返るのがよく分かる。私は、今ブチ切れている。

「............リバンデヒ、あのゴミ共だけを正確に撃ち抜け」

「分かってるわ.......言われなくてもね」

リバンデヒの一番砲塔が旋回し、一番のみが仰角を上げて行く。そして途轍も無い圧倒的な火薬量の爆音を轟かせ一発の砲弾を撃ち込んだ。砲弾は弓なりに弾道を描くこともなく真っ直ぐに飛翔。空気抵抗か赤々とした光跡を残しながら音速を超えた速度で飛んで行く500cm一式徹甲弾は桟橋に積まれていたコンテナを貫通力に物言わせて全て貫通。遅れてやってきた衝撃波によってコンテナはぐしゃぐしゃに圧縮される。一式徹甲弾はそのまま幾つもの敵施設を貫通して遅延信管が作動し20tの超高性能炸薬に点火。通常弾に比べたらわりかし小さいが、そこはC4以上の爆発力と殺傷力を持った爆薬。派手に様々なものを巻き込みながら爆発する。

これが開戦の合図だ。

「リバンデヒ」

「えぇ。『全艦に告ぐ攻撃を開始しなさい。繰り返すわ。攻撃を開始しなさい』」

リバンデヒ、ノイトハイルが停船し主砲五基全てを向け、砲撃を開始する。陸奥はその更に5km後方で砲撃を開始。三斉射すると、ミッドウェイ島の地上施設はほぼ壊滅する。といっても表面上の湾岸砲台やアチンタンクバリケードなどのみだ。地下施設は無傷だろう。

アメストリア型戦艦一番艦アメストリアが進撃を開始。

同時に天城から5機のCH-4が離陸する。私もリバンデヒに待機しているCH-31へと乗らなければならない。計6機の輸送ヘリでミッドウェイ島を制圧するのだ。しかし搭載されている陸上兵器は50輌以上だ。

赤城、雲龍、葛城、天城から離''陸''した大量の航空部隊が一気に攻めかかり、大量のミサイルを湯水の如く投下してゆく。ミサイルも爆弾も関係なく大量に投下して焼き払ってゆく。基地自体が深海棲艦化してしまっているため、もうミッドウェー鎮守府の施設は人類に使用することができなくなっている。だから徹底的に消しとばして再び建造しなければならないのだ。

だから根こそぎ跡形なく消しとばして蹂躙しなければならない。だからナウル鎮守府の持つ全勢力を持ってお掃除しているのだ。最初の三斉射。40発の榴弾式結界弾は地上の対空砲や湾岸砲台を吹き飛ばしたが、埋め込み式...特にシェルターのように奥深くに設置された砲塔は破壊することができない。

 

私達は転移で集合した後、リバンデヒの後部甲板で既にローターを回していたCH-31に乗り込む。

「お姉ちゃん、本当にいいのね?」

「あぁ。突入する。」

「お姉さん、だからと言ってM634は無いと思うなぁ...?」

そう。現在の私達の服装は異なり動きやすい黒色のBDUに五式自動拳銃を二丁入れたホルスターを両腰に下げ太ももにマガジンを突っ込むダンプポーチを付ける。これは自衛隊も愛用するマガジンポーチで私達は弾種の異なるマガジンに換装するときに活用している。背中には複数のマガジンを入れ右の太ももにはM84やM64などの様々な種類の手榴弾を下げる。

背中にはスリングで下げたM145-SA1が畳まれ、私の手には4mの大きさを持つM634機関銃がある。リバンデヒは殆ど同じ武装だが追加でA-10(フルオートショットガン)を下げておりM145にはB-503というグレネードランチャーを装備している。

ノイトハイルは五式自動拳銃だがM145ではなくM147を装備し他は特につけていない。

別にCH-31自体にも機銃は据え付けられているけどな。気分だよ

F-222やFB-99が撤退して行き、龍驤から離陸したAH-39やAH-60、AH-182が出撃したCH-4の護衛として陣形を構成する。搭乗スペースに腰掛けると、M634の銃床を肩に当てる。

リバンデヒとノイトハイルは反対側に乗り込んでいる。

「妖精さん、離陸してくれ」

''リョーカイです!''

CH-31の航空機用粒子エンジン二基が更に出力を上げ耳を聾する轟音となって機体を上昇させる。機首が下を向き高度を上げながら上昇。視界は広がって行きリバンデヒの後部甲板が遠ざかって行く。後ろから見るアメストリア型戦艦はまた違った顔を見せ、印象はガラリと変わる。大和をそのまま大きくしたような外見だが至る所に88mm四砲身対空機関連装砲や128mm三砲身対空機関連装砲がこれでもかと設置され甲板にはタイルのようにミサイルハッチが敷き詰められている。しかし第一甲板の一つ下。20.3cm連装砲や30cm連装電磁力砲と同じ高さにあるF-222やCH-31達の飛行甲板があり、そこだけはミサイルハッチも45mm対空機関連装砲も無い。

そろそろだ。高度が800mを超え、陣形に加わると黒々とした煙を上げる蹂躙されたミッドウェイへと向かう。その間に私はボックスマガジンに入っている弾薬が青色の19.8mm超圧縮式時限信管炭酸バリウム弾であることを確認するとコッキングレバーを引き初弾を薬室へ送り込む。気分はガンナーだ。しかし高揚はない。これからの最優先目標はカイクルの救出。

救出もせずに蹂躙したのには訳がある。まず人質を得るときは必ずといっていいほど死ににくい場所へと幽閉するか連行する。ミッドウェイ島の地下には200を越える地下トンネルが張り巡らされている。理由は様々だが大きいのは鎮守府への直接攻撃下での安全な移動のため、上陸された時の妨害のため、隔壁を閉鎖して要塞下するためなどが挙げられる。

ならばカイクルという死ねば船体を沈んでしまう存在を簡単に死ぬ場所に収監しない筈だ。と考え容赦無く()()()()()()1()0()m()()()()()を吹き飛ばしたのだ。

 

CH-4が後続に続く中私達の乗るCH-31はミッドウェイ島上空に到達した。

バババババというヘリ独特の轟音を鳴らしながら接近するが、接敵は今の所ない。AH-39が一機離脱して敵のヘリを撃破していたが気にはしない。

艦娘パワーをフルに活用して索敵して行くが特に敵影は認められない。見渡す限り全て破壊されており、地下の残骸か穴が開いている。

機体に火花が散る。どうやら雑魚が地下から湧いてきたらしい。弾道を中央演算処理装置で演算して割り出すと、そこへM634(19.8mm重機関銃)をむけ、引き金を絞り続ける。

見ると雑魚は個人を特定できない黒々とした人型であれが深海棲艦での細かな作業や上陸を行う歩兵役なのだろう。持つ銃火器はM1ガーランドやグリースガン、トンプソン短機関銃だ。つまりWWII時代の米国兵器。CH-31やCH-4には戯れでしかない。

肩に重い反動が襲いかかるが意に介さず横薙ぎに掃射してゆく。閃光が迸り砲身が何回も前後する腕位の薬莢がジャラジャラと吐き出さられ地面に転がってゆく。発射された科学弾は地上の的を粉砕して行き大爆発を起こしてゆく。私と()の最も愛する妹を傷つけた奴らだと考えるとイライラしてくる。奴らに感情がない事が悔やまれる。もともとアメストリア軍のスタンスは恐怖の拡散、搾取だ。妖だから人々の畏れがなければ弱ってしまう。だから殺し方は非常に冒涜的で残虐極まりない。アメストリア陸軍では部隊配備の初日に「敵には最低100発撃ち込め」と言われるらしい。無論7.92mmを100も浴びれば跡形もなくなるのだがこれを群をなす敵にやれば効果は抜群だ。恐怖は伝搬しパニックへと陥る。早く降伏しなYO☆って分かりやすく伝える訳だ、しかしアメストリアは捕虜を取らない。異性に対してはやたら厳しいのが陸軍。降伏しても皆殺しになる。これは復讐の連鎖を防ぐ為、と言う理由らしい。確かに正論だから文句は言わない。

アメストリア空軍ではその馬鹿みたいな装弾数を鉾に消し飛ばす(・ ・ ・ ・ ・)ことを良かれとしている。

海軍は...しらん。船乗りの礼儀があるから、虐殺はしないらしい。同性贔屓な所があるのはお察しだ。

 

さて、AH-182が着陸ポイント周辺を掃射して確保するとそこへ飛び降りる。他のCH-4は後部貨物ハッチを全開にすると地面スレスレを飛び去り量子変換器で出現した五七式重装甲輸送車や七九式装甲輸送車を次々と投下して行く。瓦礫となった平原に降下した輸送車は瓦礫をその重量で踏み潰しながら停止し数瞬の時間を持って再び動き出す。可変サスと搭載された車輪が細く上下し瓦礫を踏破し、モーター音を伴って砲塔が旋回する。

大量に降下した五七式重装甲輸送車と七九式装甲輸送車は各班に合流し分隊ごとに行動を開始する。私達もCH-31に合図して帰らせると各々の武装を展開。M634はCH-31に置いてきた。取り回しに難があるし。だから持ってきたM145に持ち替え、三人で分隊として行動する。敵施設への進入口を探さなければならない。

 

時折45mmの砲弾が発射される低い発砲音をBGMに145式歩兵小銃をフルオートで敵の人型を跡形もなく吹き飛ばすと入り口に飛び込む。

硬い材質に軍用ブーツがぶつかる硬い音が地下通路に響く。最も、瓦礫が散乱し地上から貫通した穴がある時点で”地下”トンネルとは言えないが。

被弾率を下げる為に壁側に張り付き制圧してゆく。時々深海棲艦が襲撃をしてくるがどれも散発的で統制のない動きだった為に特に問題にはならなかった。

照門と照星を合わせてあとはトリガーを数秒間絞るだけ。簡単なお仕事です。

 

 

 

 


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