超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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どーも、諷詩です。
英検やらテストやらゴタゴタして中々執筆の時間が取れなかった私です。
因みに3級一次試験合格しました。熱あったのに。何故だろう...

あと、前話で大和ミュージアム行ったので久しぶりに行ってまいりました。何か...展示品が少なくてしょぼかったです。こう、ロシアとかドイツの戦争博物館とかの方が面白そうですね。私ドイツ語もロシア語も話せませんけど。話せるのはエーリカとカチューシャだけですね。
あの10分の1大和、民間の寄贈品らしいですね。何回も言っていたのに初めて知りました。
大和とかの九一式徹甲弾見てきたんですが、アメストリアを考えるとねぇ......?


65.なんかデジャブだなぁ......

ーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーー

私が意識を取り戻すと、そこは貴賓室が一つだった。

和風の意匠をした貴賓を迎える為の応接室。アメストリア型戦艦という豪華すぎる戦艦とあって絢爛だがデコデコに金粉塗ったくっているわけでも無く必要な物のみで構成された質素な印象も受ける。そんな和室の一つに私は何故か居たのだが、これは一体どういう事だろうか。

「......っん.......んぅ??」

今でも頭がぼんやりとして、上手く思考が回らない。

確か...私は妖精さんの独断専行による緊急出撃に只ならぬ異変を感じ取り転移で艦橋へと向かったが誰一人として居なかった。

だから五式自動拳銃を抜いて警戒したのだが...そうだ。そこで奇襲を受けて不覚ながらも気絶してしまったんだ。

私を墜とした犯人は脊椎を正確に打ち気絶させた事から、手練れだと思われる。気配を探るが相変わらず一切の反応無し。

以前船体は前進を続け、単艦進撃を続けている。

立ち上がろうとして何かに阻止され、五式自動拳銃を取ろうとて今更ながらに手首が拘束されている事に気付いた。

同時に私が動き出すと同時に何故か設置されていた黒い三脚に支えられた巨大で重厚感に溢れる敵の恐怖心を煽りまくる最強の『分隊支援火器』M634重機関銃の銃口がこちらへと向けられて、大変怖い。

恐怖心を押さえ込みよく確認すると既に給弾口に弾帯が突っ込まれており、コッキングされた様子も確認できる事から妖精さん?は本気で私を殺しにきている事がよくわかる。首を回して探すと、他にもあと三つ同様に自立制御のM634が今か今かと私を穴だらけのミンチにするときを待ち浴びている。絶体絶命というやつだろう。

しかし私を拘束するのは無意味だと犯人もわかっているだろう。しかし手首に縄でぎっちりと拘束し足も椅子に縛り付けている。

多分、転移するならやってみろその前に挽肉にしてやるという精神だろう。まこと持って不本意だが事実で不用意に行動を起こすのはやめておこう。艦橋に転移したら既に肉塊になってましたとかマジで笑えない。

軽く見回しても、M634がピッタリストーカーのように銃口を合わせてきておりヒジョーに怖い。だってCIWSのほぼ同口径の重機関銃が4基常に私を殺すときを今か今かと待ち浴びているんだぞ?

 

「........妖精さん、か?」

何故か、艦娘としての能力が発揮しきれない。具体的には、ソナーや電探の恩恵を享受出来なくなり精々船体内のみ。

耳は全くと言っていいほど聞こえず、M634の三脚基部のモーター音も聞こえず船体の轟々としたウンターガングエンジンの唸り声も聞こえない。四肢にはかろうじて力が入るがこの手首と足首、そして腹から胸にかけてギチギチに回された縄を引きちぎる事はおろか新たに銃やマチェットなどのナイフを作り出す事さえもできない。

要するに持ち前の馬力も気配察知も攻撃も一切出来ない小娘のクズだ。役ただずは真っ先に死んでゆくのが世の常。

つまり、私は殺される率が一番高い。

''お久しぶりです艦娘さん!''

「...私の大幅な能力ダウンは妖精さんの仕業か?」

''イエッサな感じです?''

''クスリ使いました〜?''

''使ったーっ!''

どうやら私が役立たずの小娘になったのは妖精さんが投与した薬物によるものらしい。

私はつくづく薬物に縁がないようだ。試しにダメ元で手に力を入れても腕が震えるだけで全く動く様子はない。これでは立つ事も五式自動拳銃を握る事もできないだろう。集中力も散漫になり船体の装備を駆使しての戦闘も不可能。本当に私何が出来るのだろうか?真面目にわからない...ヤベェよ...

「...何故、こんな事をした?」

ダメだ。頭がボーとして思考が上手く回らなくなってきている。これも以前感じた事があるな。過労で倒れて熱を発症した時だ。

あの時は随分とリバンデヒやカイクルに迷惑をかけてしまった。吐き気がして、会話も覚束なるが精神で押さえ込みなんとか妖精さんの返答を理解しようとする。

''実は...カイクルさんと十二時間前から連絡が途絶しました。他にもミッドウェー攻略艦隊に動員されていた大和、長門、陸奥、加賀、翔鶴、瑞鶴、高雄、愛宕、川内、神通が音信不通となってしまいました......''

「.......何...?」

目先が真っ暗になる。

まさか、まさかカイクルが堕とされるとは思ってもみなかった。接近戦最強のカイクルが轟沈ないし鹵獲され、主力艦隊の平均level130を誇る打撃艦隊が丸々行方不明。最古参たる利根、大鳳、暁、響、雷、電、摩耶、鳥海が残っているが、確か高雄型重巡洋艦は全艦動員された筈だ。つまり意味するところは損傷しながら逃げ延びてきたのだろう。

 

残存戦力としては武蔵、龍驤、赤城、大鳳、飛龍蒼龍、雲龍葛城天城。そして金剛比叡榛名霧島の四姉妹に青葉衣笠、最上三隈鈴谷熊野の重巡洋艦に、天龍龍田の軽巡姉妹。そして私の妹であるリバンデヒ、ノイトハイル。私自身は全く戦力にならない。そして大破の愛宕、摩耶。

''全ては我々妖精の不始末が招いた事。身内のミスは我々で対処したい感じなのです?''

「......」

多分航法関係でミスったのだろう。電子羅針盤が狂ってたとか。

しかし私が薬物で行動不能にされるのは不服である。そう言ってくれれば私だって全力で対処するのに。

 

......いや、だからこそか。妖精さんには妖精さんの文化や派閥が存在するし、担当もバラバラに分かれている。

私達艦娘のように統括する側ではなく、その艦娘の指示で船体を動かす直接的な操艦をする者たち。だからこそミスを犯し結果的に第二艦隊が壊滅してしまった。その責任に負い目を感じ自らの手で決着を、つまりアメストリア型戦艦一番艦アメストリアの火力を持って処理しようというらしい。確かに理にかなっている。

アメストリア型戦艦一番艦アメストリアは単艦での殲滅活動をテーマとした戦艦だ。

何者も貫けない絶対の盾(絶対干渉結界)に如何なる装甲も食う破る絶対の鉾(500cm四連装砲)。速力は90ノットに及び限界を無視すれば100ノットを優に超える。その(三次元レーダー)は半径500kmのハープーンの一発一発を探知する事ができる。

はっきり言ってチートだが、これでも何回も大破中破を繰り返している。全部私のミスだがな。しかし、しかしだ。そんな殲滅を持って任務を果たす戦艦は一隻では無い。妹達は沢山いた。現在ナウル鎮守府にはノイトハイルも居るはずだ。だがわざわざアメストリア型戦艦一番艦アメストリアを動員した。つまりアメストリア型戦艦の火力一隻では厳しいということだろう。

ミッドウェー、どうなってんだオイ。何でアメストリア型戦艦一隻の火力をもってしても攻略できんのだ?だから他の副次戦力として大和型に長門型と戦艦の火力に航空母艦も何杯も入れた。でもその多くは鹵獲され、戻ったとしても極一部で破損している。

やっぱり、ミッドウェー、どうなってんだオイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーリバンデヒsideーーーーーーーーーーーーー

はいはーい!最近出番さえ無かったリバンデヒよ。

久しぶりね。現在私達は勝手に出航したアメストリア型戦艦一番艦アメストリアを追うために単縦陣40ノットで追尾中よ。

お姉ちゃんが船体に先行したのだけれど、全く応答もなくて、とても不安なのだけれどまぁお姉ちゃんだから大丈夫でしょう。

『heyリバンデヒーっ!2-4-0に深海棲艦の反応ネー!』

金剛ちゃんから連絡が入る。どうやら攻撃範囲内に俗物の雑魚共が寄ってきたみたいね...掃除しなきゃ。

「妖精さん!久々の海上戦よ!全武装オンライン」

''ヒャッハーッ!久々に撃つのdeath!''

''主砲、副砲の準備完了?''

主砲(500cm四連装砲)第一から第三砲塔は一式徹甲弾装填。第四第五砲塔は三式弾を装填しておいて頂戴」

私の一言で、砲塔内では駐進器が砲身や薬室を強制的に後退させマガジンのような揚弾筒に収まる白い弾頭を持つ金色の薬莢付き砲弾が装填され元の位置に砲身が前進する。砲塔内で四箇所同時に装填作業が行われている頃よ。

そして自動的に船体側面に長方形の切れ目が入って装甲がスライドして無くなるとレールが姿を表す。薬莢を捨てる為の穴ね。

主砲副砲高角砲関係無く一斉に装填作業が終了したのは三十秒後。ミサイルサイロ内では筒側面に埋め込まれた量子変換器という黒い立方体からグラニートが生み出され装填される。後は私が攻撃命令をするだけで大陸が吹き飛ぶ攻撃が始まる。この瞬間は好きだわぁ...

ちらりと他の艦娘達を確認すると単縦陣から一気に散開して各々が戦闘体勢に移行していた。流石はお姉ちゃんに育てられた艦娘達ね。

主砲が艦首から-60°に旋回して行くと其れだけでも風が起き80口径の極超砲身が振り回される。

副砲達は他方向に指向させ、様々な仰角を向かせているわ。これは言わなくても分かるだろうけどどの方向から奇襲を受けてもいずれかの砲が現れた瞬間に発砲できるようにするためよ。搭載砲数が多い艦の特権よね。

「.......撃てーっ☆」

私がそう告げるだけで艦橋のガラスが一面光に埋め尽くされ遅れてお腹の底から響いてくる衝撃波が船体全体を揺らして行くわ。

500cm四連装砲の砲口から150m以上の大きな黒煙が噴き出して、業火と共に砲弾が高速回転をしながら飛んで行ったわ。弾着までは五秒ほど。けれど既に主砲は装填が完了しているわ。パーフェクトね。

ここだけの話、この主砲に採用されているブローバック式の装填機構の開発は相当難航していたのよ?

今となっては80cmの野砲とかにも採用されている装填機構だけれど建国当初は酷かったのよ?まだ装薬式だったし一々砲弾と装薬を込めて撃っていたの。けれど私達の主砲は当時150cm四連装砲。そんな砲弾だったから装薬式でも事故が多発していたのよ。装填中に攻撃を貰うことだってあったわ。

だから工廠が開発していたのだけれどこれも難航していたの。まぁ当たり前なのだけれども。

だって150cmサイズのブローバックよ?機構も大きいし無駄が多いのよ。部品の耐久性については時間逆行術式があったから心配ないけれど大量の炸薬の使用に砲塔内の高温とかの問題が多かったの。46cmなら既に実証段階にあったのだけど其れも事故で連射中に吹き飛んで何人か兵士が死んでしまったわ。次の瞬間には生き返ってるけど。

でもここで鍛冶の神様が動き出してくれて、何とか解決してくれたわ。主神も遥か遠い未来から技術を持って来てくださったおかげで何とか500cm四連装砲が完成したのよ。150cm四連装砲?鍛冶の神様が作ってしまったわ。

その零号機はお姉ちゃんの第一主砲の三番砲にに使用されているのだけれど度重なる破損大破でもう原型をとどめていないわね恐らく。

さてと、話を戻すけれど、500cm四連装砲の一番から三番が火を吹いた結果が今。

''.........だんちゃーく...今っ!''

遥か遠くで雷鳴が響き黒々とした煙と爆炎が上がる。無事に撃破したようね。けれど戦艦としての性か、まだまだ撃ち足りないわ...。

けれど、お姉ちゃんからまだ連絡がこないわねぇ...少し、心配になってしまうわね。

「金剛〜?ついてきてるかしら〜?」

『Yes!バッチリと付いて行ってマース!』

『天城、ちゃんと追従していますよ』

『最上だよ。大丈夫だよ〜』

『三隈、しっかりと付いていますわ』

『こちら矢矧、大和さんは....』

『響だよ。ちゃんと付いて行っているから大丈夫だよ。』

「そう、なら良いのだけれど...大和は、消息不明よ」

『そう...また、私は守りきれなかったのね...』

いえ...まだ沈没したとは言っていないのだけれど...まあ本人が思うなら私は否定しないわよ?だって私も断言はできないのだもの。

私とて伊達に生きていないもの。目の前で仲間だったものが砕け散り悲鳴や爆音と共に船体の破片である大きな鉄片が降り注ぎ大量の血肉が甲板に打ち上げられる。あの途轍も無い喪失感と悲しみ、憎しみは慣れないわ。決まって姉妹の機嫌が悪くなって、大変なのよ?

でもまぁ、すべて元どおりに修復されるのだけれどね...だってすべてのパーツに時間逆行術式が刻まれているもの。乗っている船員も妖だから、例え被弾して吹き飛ばされても生きているし何やかんや紆余曲折で軍に戻ってまた戦い始めるのよ。呆れるわよね...何をそんなに戦いたいのやら。けれど其れがアメストリア人(戦闘民族)であり、軍人(ツワモノ)なのよね〜。

 

「さて、と。金剛、少しだけ指揮権を譲るわ。お姉ちゃんを回収しなきゃ」

『oh、了解ネ!任せて下サーイ!』

流石に、ここまでお姉ちゃんから連絡が無いのは異常だわ。お姉ちゃんとて戦艦の艦娘。

敵を認めればすぐに攻撃しているはずなのに、今回はしなかった。恐らく、船体のほうで何かトラブルが起きたのだと思うわ。だから私自身が確認に行くのよ!他の艦娘じゃ実戦経験が少ないし、お姉ちゃんの艦娘達なのだから傷付けるのはやぶさかよ...けれど、少し不安なのは私だけかしら.......?何か途轍もなく大変な決断を犯した気がしないでも無いけれど、気にしないほうが良いわね。

念のため、五式自動拳銃を両方とも入れて、A-10を持つわ。A-8でも良いのだけれどアレはポンプアクション式だから連射に劣るのよね。だからフルオートが可能な十式自動散弾銃のほうが良いのよ。

警戒を最大まで高め、お姉ちゃんの船体へと転移する。さてさて、蛇が出るか狐が出るか。ふふふ、楽しみね...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

視界がグワングワンと歪み回転する。最早どこが床でどこが天井なのかさえも分からなくなってゆく。平衡感覚は完全に狂ってしまったようだ。音も、光も、感触も、味も、匂いも。全てが感じれなくなって行き、何が何だか分からなくなる。

「..............っう...妖精、さ...ん、解毒...剤、を......」

割とマジで辛いっす。何か私自身を激しくシェイクされている感じを常に与えられ、尚且つ妖精さんより告げられた第二艦隊の壊滅に()と私の愛しき妹であるカイクルの鹵獲されてしまうという私に重くのしかかる精神的重圧。

いろんな要素に一斉攻撃され気分が途轍もなく気分が悪い。残念ながら私はMでは無いのでこれを喜んで受け入れる事は出来ない。

''確かに艦娘さんにはとてもお世話になっています''

''楽しかったー!''

''作れたし撃てたー''

''しかし、これは私達の果たすべき義務です!''

いや、それは分かってるんだよ?分かってるから。私は取り敢えず解毒してくれって言ってるんだな?これ分かりますかー?

只でさえこういった思考をする事で気持ち悪さをごまかし、思考を絶やさないように頑張っているのだが、そろそろ限界だ。意識が吹き飛びそうになる。口を動かすのでさえ覚束ないのだ。

「........だか..らぁ........げど..くを.......」

''今回の薬物に致死性はありません。精々が意識が飛ぶ程度です''

いやいやいや、それも十分に危険だぞ?それよりもゲテモノ喰らった私が言う事では無いが充分に威力を持っていて、現在最大の壁となっている。動けないし考える事も出来ない。

さっさと解毒剤打ってもらえませんかねぇ......?抵抗はしないし邪魔はしないからさ。手出しだってしないしただ見るだけにするからさ?解毒剤、もらえなうのかねぇ...?あーあー。段々と意識が根こそぎ奪われてゆく。四肢の感覚は完全に無くなり欠損しているみたいだ。体温も感じる事ができず鉄のように冷たいのか、煮え滾るマグマのように熱いのかわからない。

「___________」

「---------------!?」

何か聞こえる。しかしそれが誰で何を言っているのかは分からないが、妙に安心できる。......聞き慣れた音?銃声?モーター音?否。ヒトの声だ。聞き慣れた、耳障りのいい声。リバンデヒ?カイクル?ノイトハイル?分からないが、多分妹だろう........というかそうであってほしい。

そんな不安定な安堵を残して私は遂に意識を手放した。




諷詩です。今回は短かったのですが、これから結構大きく動くと思われます。例の如く室内戦に人間の汚さなど。

尚、アメストリアはあまり活躍しない模様。

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