超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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おくれますた。
先週にスキー合宿に行ってきました。正直キツかったっす。誰でしょう一番レベルの高いクラスに入れたのは。

前回海戦があると言ったな。アレは嘘だ。すまぬ。



64.観光です!って行く先(ry ぱーと つー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーー

妹や艦娘達が呉海事歴史科学館で自らの記録を眺め、時間を潰している頃、私ことアメストリアはミュージアムの外に居た。

なぜかと言うと、あの出向当日に出生の跡を見に行ったもがみん姉妹と此処で待ち合わせしているからだ。

その為顔を出し周囲を捜している為大変目立つ。()は十人中百人が振り返りネットで何千万人が反応するクラスの美貌を持っている。かつ実は私の設計には大和型が取り入れられたためか背格好は大和...いや、武蔵に共通性があり戦艦らしく背が高く胸も90近くある。まさにモデル体型ここにあり、と言う感じで顔立ちは凛として大人びた西洋風の無表情。

服装は何時もの巫女服ではなく軽く動きやすい冬グラ。何やらエラくゴツゴツしたMOLLEを採用した軍用のバックパックを片方掛けした姿は見えとても美しく、自画自賛になるがとても綺麗だと思う。だから無闇に視線を集めても警戒できないので止めて欲しい。

「......」

軽く有名人がばれたときのようになっており周りを囲まれている。カメラを向ける者もおり、正直情報漏洩が著しく、万が一弱みでも握られたのならばカイクルかノイトハイルにナニされるかわからないし妹達に情報隠滅などの無駄な労力を割いて欲しくない。今はミッドウェー攻略に力を入れてもらいたいし。

腕を組むフリをしホルスターの六式自動拳銃のグリップを握り、アモを抜き取る。

ちらりと確認し、青い弾頭が装填されていることを確認すると、再び装填する。セーフティーロック?そんな物はベガル社製の兵器には存在しない。DE(デザートイーグル)もびっくりである。しかし暴発することはない。トリガーが重く人間だと長時間引き続けるのは厳しいからだ。使用者?彼女らは妖怪だから大丈夫じゃね?

 

それは兎も角、妖精さんネットワーク経由の連絡だと、そろそろ到着してもいいと思うんだが...........あ、居た。

がっつり腕を組んで、まるで恋人のようにくっついてキョロキョロと私を探している。キマシタワー。

「最上!三隈!こちらだ!」

私が声を上げると、ビクッと肩を揺らしてから此方へと首を向けると笑顔になり、手を振ってくる。かわええの。しかしもがみんさんや、視線が一気にそちらへ移ってロックオンされたことに気づいてくれや。しかし気付かないのがもがみんクオリティ。

あーもー...何故私ばかり苦労が回ってくるのか...真面目に問い正したい。誰だよ運の値に二万入れた奴。今なら嘘つけ!って全力で文句言える。

溜息をつくと素早くもがみん姉妹に近付く。

「久し振りだな。最上、三隈。ドックはどうだった」

「うん。お陰で行くことができたよ。ありがとう」

「私の勝手を叶えてくれて本当に感謝しておりますわ。ありがとうございます。」

「いや、連れてきたのは私だからな。多少の無理は叶えるさ。それよりも残りの者はすべて館内にいる。行くぞ」

「うん。」「えぇ、わかりましたわ」

無事合流することが出来た。最上はボーイッシュな服装とは違い綿素材の柔らかなスカートに厚手のカーディガン。三隈は寒がりなのかモコモコの重装備になっているがまた似合っている。かわいい。

さっさとチケットを購入して二人に配布すると館内へ入る。早速最上だと気付く者がおり、指をこちらに差してヒソヒソと話し始めるが、残念ながら私の(ソナー)はそれを逃さずに、より鮮明な言葉を運んでくる。

どうやら最上型だというところまでしか分かっていないようで、最上か?三隈か?と二人で話し合っているようだ。何処をどう比べたら最上と三隈を間違えるのか不明だが、海軍の情報自体すべてオープンというわけでも無いし、にわかはそんなもんだろう。

「お姉ちゃん!こっちよー!」

リバンデヒがこっちだと言わんばかりにわざとらしく手を振って激しく位置を主張する。

何故に皆さん揃って注目を集める事に警戒がないんでしょうかねぇ?リバンデヒは確信犯だろうが。だって絶対そうじゃん。リバンデヒは文句なしの美人だ。これは艦娘全般に言えることだが、リバンデヒはそれに群を抜いていると思う。

APP18位のそれこそ二次元の住人か何かかと思ってしまう程の美貌を持ち、その上でそれを把握している。しかし変に鼻に掛けることもなく自慢するわけでもない。多分理由の一つ(99%)()の存在があるからだ。海軍の中でも最古参の戦艦にして最強の戦艦。そして頼り甲斐のある姉であるということ。最期は姉を守って沈んだこと。色々と原因はあるがリバンデヒはアメストリアが大好きなのだ。

勘付かれている可能性は大いにあるが、リバンデヒはレズビアンであってヤンデレでは無い。「紛い物だっ!」とバッサリ殺られていないことから私も含めた()を見逃してくれている可能性が無きにしも非ず。.........あのスキンシップはなんとかしてほしいものだが。

毎回襲われてるし動けなくなるしで大変なのだ。私が原因の負傷は甘んじて受けるつもりだが、リバンデヒやノイトハイルの性的な攻撃に対しては容赦するつもりは無い。まぁ反撃できてないのが現状だがな...笑えよ。

 

 

 

 

二つの針が頂点を向いて重なる時刻。正午から少し過ぎてから、やっと今回の日本出向組が全員しゅーごーした。

実に一週間と少しぶりだ。呉海事歴史科学館の四階リフレッシュルームにて二つほどテーブルを占領して全員が席についている。しかし皆綺麗所の為か注目を集めており、記者を招いた会談のようになっている。しかし私達はそんな有象無象に一切の関心を寄せずに今後の訪問地を話し合っていた。この旅行が企画された当時の目的地候補にはこの大和ミュージアムの他に厳島神社があり、今脳内で計算した日程でも余裕がある。

つまり行ってもおっけーな訳だが、金剛や矢矧の関心は最上や三隈のお土産話に向いており、響は先程リバンデヒと行ってきたショップにて購入したのか「大和マイクロシップ」をプラスチック製のケースから外して眺めていた。妙にキラキラとしているし本人は幸せそうで何よりだ。値段は兎も角。確かマイクロシップは19600円なり。真鍮などの金属で製造された文句無しのクオリティだが、高い。約2万だぞ?それなりの値段じゃん?リバンデヒなら関係無いだろうが。現になんか袋持ってるし。多分お土産だと思われるが、箱型の形状が浮かび上がっていることから同じような完成形模型だと思われる。そしてリバンデヒの無限生成から考えてマイクロシップを幾つか買った可能性が大。経済的に良いのだがある意味の偽札だからなぁ私達の使用する紙幣って。まあいいや。別にそんな事。

「リバンデヒ、その模型は誰に?」

「あら欲しかったのかしら。別にただ本人達にあげるためよ」

つまり大和か。しかし''達''と言っているため武蔵も含まれるのだろう。今回は参加しなかった大和ミュージアムの展示対象のモノホンさん。巨大戦艦 大和だ。なんだかんだ言って面倒見が良いリバンデヒだが、それを餌に食いものにしないかとても不安である。

ん?天城は何してるんだ?と思う人はいるだろう。天城は響と一緒に眺めてるぞ。別にそれ以外は何もしていない。「ナウルにいる大和さん方と随分と違いますね..対空砲とか主砲とか...あれ?全部でしょうか?」って言っているが正論ですよ天城さん。

主砲とか150cm三連装砲だし対空砲は45mm対空機関連装砲名一杯積んでるしミサイルびっしりだし。

装備やスペックを見れば、もう大和では無くなっている。あの例の鎮守府からぶんどってきたときは本当に酷かった。私との演習の傷痕は『罰』として意図的に修理が遅らされていたためにそのまま傷を残し、甲板はスス焦げた木材に覆われ、マストは歪み対空砲はロクな整備もされていなかった。さながら終戦時の榛名のような有様になっていた。護送時に無理に引っ張った為船体は更に痛みパラオ鎮守府到着直後に二次改装に当たる応急的な改装をする事になって大変だったんだぞ。

だから今の大和達は改三なのだ。船体は作り直しに近い程改造され、艦橋を始めとしたそれに準ずる艦橋群は原型をそっくりそのまま原型を留めているが甲板や側面バルジ、果ては機関まで原型を留めていない。

しかし艦娘の自意識は''戦艦大和''であり、それが変わらない限りどんな装備になろうともそれは''大和''である。

だから別に構わないのだ天城さんや。多分......30km先からなら大和に見えるだろう。妙に大きいが。

 

話し合いはリバンデヒが仕切った。理由?私が面倒くさくなったからだよ言わせんな恥ずかしい。

サクサクと進み、これからの行き先は厳島神社で、そのあとは海軍特権で私の内火艇である隼を船の発着場に呼び寄せのんびりと帰る算段らしい。なんか知らぬ間に私の内火艇が使用される事が前提になっているんですがそれは......ちらりとリバンデヒを流し見るもギロリとアメストリア型戦艦としての威圧感(殺気)を向けられ撃沈。私に拒否権はないんですねそうなんですね分かります。

 

..........はぁ、別にさ?隼を使用する事自体に問題はないんだよ''使用する事''自体には。しかし海の上は空の上と同様にダイヤが組まれ、複雑に航路が絡み合って形成された網目が存在するのだ。タンカーであったりコンテナ船であったり漁船であったり哨戒艇出会ったり呉鎮守府所属の艦隊であったり。そんなところに今までの艦艇から一線を期すインディペンデンスのようなのっぺりとした軍艦が許可もなく軍事行動でもないのに航行したらそれはもう迷惑だ。苦情が来るの誰だと思ってるんだ。大本営の受付とその報告に大将。そしてウチの鎮守府にまで来るのだ。

要するに、私の仕事を増やすなこの野郎...という事だ。随分と利己的で自分勝手な事情だと自認しているがこれ以上書類や仕事が増えると真面目に私が倒れるのでやめて欲しい。

 

 

 

......でもまぁ、愛すべき艦娘の要望だ。叶えないわけがない。意識して船体の機関に火を入れると隼の出撃準備にかかる。腐るほどに備蓄された[弾薬]の箱を隼へと運び込み補給させると隼自体の機関を回し始める。こっちはアメストリア型戦艦のウンターガングエンジン(夢の悠久機関)とは違い粒子エンジン(小型化された永久機関)の船舶用エンジンを使用している。

まあウンターガングは破損したら最後。BOOON!地球終了のお知らせという事になるがな。

 

船体の格納庫(特大)のハッチのロックが解除され歯弧式の巨大な仰俯角装置のようなギアがハッチを下げ海面にレールが降ろされる。隼が大型のクレーンでゆっくりとレールにセットされ滑り落ちると、派手に波を立てながら隼が海面へ着水する。二本の軸が回転を始め水流を生み出すと船体が前進を始め、艦首が波を切り裂き厳島神社へと向かい始める。

武装は既に展開しており戦闘態勢へと移っている。主砲の41cm速射連装砲は凹凸の少ない単装砲のような意匠の砲塔を前方へと向け、その長門クラスの太く長い二本の砲身は地平線を睨みつける。甲板には霧○艦隊もビックリの量のミサイルハッチが敷き詰められており、艦橋の第一艦橋がぼんやりと照明で照らされていた。

しかしその速度はとても遅く5ノットも出ていないだろう。だってこれからの向かうんだし早く到着して注目を集めるのは賢い判断ではない。

 

「じゃあ行くわよ〜」

リバンデヒの先導で大和ミュージアムを後にすると同時に正面玄関前の道路に明らかな軍事車両が停車する。

外見的にはハンヴィー似。つまり一式重武装車輌だ。車輛数は4輌。全員分にしては多過ぎるくらいだが内2輌は護衛用。しかも艦娘パワー(三次元レーダー)で探知した限りだと上空のF-222が15機に増量され、FB-99も6機動員されておりGF-21が3機フル武装で待機している。

.............幾ら何でもこの体勢は異常だ。万能戦闘機が五個編隊に爆撃機が二個編隊、対地攻撃特化型戦闘機が一個編隊。

これだけでも半島くらいなら軽く5回以上吹き飛ばせる火力だ。護衛のレベルを超えている。何かあったのだろうか?だったら私かリバンデヒに何か一報があるはずだ。しかし何も無かった。つまり考えられる事は二つ。

 

一、妖精さんが念入りにと増援を寄越した可能性。

 

一、連絡をする暇も無く、何か問題が起きたか。

 

如何にも嫌な予感がする。こういう時の勘は良く当たる...のが大体なのだろうが私の場合確率が低い。むしろそれを利用されて逆に襲撃される事態があったりしたので何かとこの予感を警戒している。というか本当に正しいのか悩む。

一応、リバンデヒに視線を送る。リバンデヒは丁度先頭の一式重武装車輌に乗り込むところだったようで私の視線にピクリと肩を揺らすと頷く。彼女も同じ事を考えていたようだ。運転は妖精さんがしているが、銃架に載せられたM634の射手は無人だ。だから艦娘が務めなければならない。まぁ一式重武装車輌の装甲を持ってすれば大体は大丈夫だ。上の射手用ハッチを閉じる。

M634は銃架に取り付けられたまま、弾薬は金属製のアモボックスが装着され弾帯がM634へと続く。外から見れば完全に実銃だとわかり、思い切り威圧感を出している。

「出してくれ」

車列はエンジン音を響かせることも無く進み始め、乱れぬ動きで車道を走る。

その物々しい姿に一般車は自然と避けて行く。港までは大して時間はかからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んーーー、やっぱ敵対勢力の攻撃がある可能性が否定できない為、銃座に上がりM634のアモボックスから19.8mm弾の弾帯を引っ張り出し給弾口に突っ込むとコッキングレバーを引き初弾を装填するそして軽くターレットリングを利用して旋回させてみる。よし。駆動系は問題なし、と。

本当なら試射もしておきたいのだが、M634は銃の定義ギリギリの19.8mm弾を使用している為一発の威力がコルセア位なら粉砕するのでそう簡単にパンパカと撃つことができないのだ。私としてはヒャッハーッ!最高だぜーっ!って殺りたいのだが、面倒くさくなるからやめておく。あぁ、撃ちたいなぁ........。

 

 

 

さてさて、此処はフェリーの着艦場。

あの後は無事何事も無く行くことができたので私がM634を撃つ機会は誠に不本意ながら無かった。本当に不本意ながら。

しかし港に無事着くことは出来たので目的は果たせたと言えよう。

全員が降車すると当たり前のように注目が集まりちょっとした騒ぎになっているが一切を無視してバックパックを背負い券売機へと向かうと

さっさと8枚購入し艦娘達に分配する。定期便の為時刻は決まっているが、幸いあと三十分ほどで到着するようだ。

周囲を見回すと、一式重武装車輌の車列は既に走り去り、船体へと帰還を始めていた。

屋根に覆われたアーケードのような構造の発着場からはさざ波の音が聞こえ磯の香りがほのかに漂う。いつもの、嗅ぎ慣れた匂いとは少し違うが、不快にはならない。精々硝煙の香りが無いだけだし。

私と同じくフェリーに乗船すると思われる人数は十数人。これからも増え続けるだろうが、警戒はあまりしていない。皆一様に覇気が無くナヨナヨしたモヤシ共だ。警戒すべきはヒットマンやスナイパーだ。いつ撃たれるか分からんし。

港は、コンクリート製の桟橋に、遠方には湾岸砲が聳え、その長砲身の砲身を水平に保っている。砲塔は長門型に準じた51cm連装砲だ。

その下には対空砲がビッシリと設置され周囲にはミサイルサイロが張り巡らされ滑走路も確認できる。多分、技術提供で製造された噴式蒼莱とかのジェット戦闘機が配備されているのだろう。軍事力としては脅威に他ならないが天城だけでも殲滅できる。

 

 

 

「さて、乗るぞ」

と言いつつリバンデヒに目線を送ると、理解してくれたようでニヤリと物騒な笑みを浮かべるとバックパックを背負い直していた。オイ。

汽笛を鳴らしながらフェリーが接近してくる為、一応周囲に警戒をしておくが、軍事兵器は上空のF-222とかFB-99とかGF-21ぐらいしか気にならない。

フェリーがゆっくりと港に接舷すると、乗船する為のタラップが船と繋がれ、係員の案内で乗客が乗り始める。

私達も案内に従って乗船して行くが、毎回係員とか乗客が顔を赤くするのはいい加減飽きてきた。一応、 美人であることは自覚してるし、自他共に賞賛すべき美貌を持っていることは分かっている。()は頑なに否定しているが。

「お姉ちゃん、隼は?」

「......あと750mで光学迷彩を起動させて待機している。」

「uuuum...私もlaunchがwantデース......」

「それは...無理だろう。」

だって隼、200mあるし。金剛だったら流石に厳しいだろう.......。

フェリーが出航したようだ。グンと進み始め海面を武装も装甲も無いヤル気あるのか気になる民間船舶が海上を滑り始める。

乗客は大体50人前後と少ないが、見たところ敵対勢力は居ないようだ。視線は集めているし下心は確認できたが。別に大した問題でも無いから無視してる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「.......っ!?」

急に、船体......アメストリア型戦艦一番艦アメストリアが機関を回し始め、全武装がオンラインに移行していた。

何故......?私の制御権を離れ、勝手に起動し始めている。500cm四連装砲、150cm四連装砲、46cm三連装砲、30cm連装電磁力砲、20cm連装砲、45mm対空機関連装砲、ミサイル。その全てに主機関のエネルギーが伝達され、起動して行く。

恐ろしいほどの重低音を響かせ、抜錨すると船体は前進を始める。しかしその速度は周囲の艦に配慮されているのか5ノット以内で航行していた。私の意志なしに動き出した理由は一つしか無い。

妖精さんだ。

何か問題があったに違い無い。何があったのかはさて置き、緊急事態には変わり無い。

私の並々ならぬ不安そうな顔に気付いていたのか全員が集合しており、リバンデヒは既にバックパックを床に降ろしていた。

「......緊急事態だ。私の船体が独断で起動。全武装が起動している。」

「それは...つまり妖精さんが動かしているということかしら?」

「そういう事に、なるね」

「三隈、一応僕たちも機関を回しておいて」

「分かりましたわ」

流石は対深海棲艦戦最前線の鎮守府所属艦娘とあってかすぐに自らの船体を起動させ始めているようだ。

私の船体が直々に動き出す程の緊急事態。どれ程の脅威かは身を以て知っている子たちだ。すぐに動き出している。全員分の正装を作り出すと渡して、着替えるように指示する。艦娘達は合点承知とすぐにトイレへと駆け出し、私達もコートを脱ぎ捨ててバックパックから解体しておいたM145を取り出すと素早くタッピングビスを差し込んで行き、組み上げる。この間実に十五秒。

同時に隼にも火を入れ、光学迷彩を解除。武装を起動させてこちらに向かわせる。

私達の服装は、すぐに変化する。アメストリア型戦艦限定で、服装が一瞬で変化させれるからだ。多分万能生産装置が船体に設置されている副作用なものだと思う。いつもの巫女服へと変化させ、リボンを結ぶとM145を構える。リバンデヒも巫女服へと変化させるとM145を持って寄港させている学校の方を向いている。恐らく船体をこっちへ向かわせているのだろう。

 

一分後、全員がいつもの正装姿で駆けてきたので、新たに作り出したM69を渡し警戒してもらう。

今回は私の船体が勝手に動き出している為他の艦隊と動きを合わせることが出来ない。波があるし。

だから個別で転移することをせずに隼で船体へと向かい、出撃する事にしたのだ。これを一瞬で理解できる艦娘達はやはりすごいな。

金剛、天城、最上、三隈、矢矧、響。全員が武装して警戒に当たる中、周囲はどよめいていた。

一部は実銃に悲鳴をあげているバカも居るが生きていない者として一切を無視している。

「私達は大日本帝国海軍所属の艦娘である!緊急事態につき、全員が武装している!が、しかし貴様らに攻撃する必要も無い為に邪魔はしないで頂きたい!」

私が先頭に立ってそう叫ぶと、さらに騒めきは大きくなるが私達に向かって殴りかかってくる者とかは居ない。

また、大きな声があがる。隼が来たのだ。

「......来たぞ。全員乗船せよ」

「「「了解(です(ですわ!(だよ」」」

15ノットで航行する隼がこのフェリーと並走し、タラップをこちらへと伸ばす。

私達はそのタラップを使って乗船すると私の指揮権限で隼をアメストリア型戦艦一番艦アメストリアへと向ける。

よく見ると...いや見なくてもわかるか。金剛型戦艦が一隻に雲龍型航空母艦が一杯。最上型重巡洋艦が二隻、阿賀野型軽巡洋艦が一隻に暁型駆逐艦が一隻。

つまり、彼女達の船体だ。後ろには、金剛型戦艦よりも遥かに巨大な島のような艦影が浮かび上がっている。

リバンデヒだろう。

フェリーなんか気にせずに、40ノットで高速航行を開始。派手に波を立てながら海上を滑る。

隼の鋭い艦首が荒波を切り裂き、知らぬ間に...いやレーダーでわかるけどこの小さな海道の中に押し込められた戦艦や航空母艦へと向かって行く。何故か、アメストリア型戦艦一番艦アメストリアは船体を無線封鎖で航行している為私から停止命令を出すことができない。

早く行かなければ、もっと恐ろしいことになる。多分アメストリア型戦艦一番艦アメストリアが向かう先はMI/AL作戦の実行されているミッドウェー諸島かナウル鎮守府。

考えられるのは作戦に何か大きな問題が発生し、その問題に対しての対処に残存戦力で対処できないので、妖精間での決定で私には無断で対処を開始した可能性。

また、あまり考えたくは無いが、危機管理上考えなければならないのが.......妖精さんの反乱だ。

妖精さんというのは未だに多くの謎に包まれている。その構造に行動原理文化に至るまで全く分かっていない。何を食べてどんなエネルギーで動いているのか...私の妖精さんはアメストリアの文化を基盤としており、その行動基準はアメストリア海軍の軍事規約や軍人としての精神を根幹としており、カイクルと仲がいいし、なぜか私の言うことはよく聞いてくれた。これは私の妖精さんに限らず他の艦隊の妖精さんや工廠でもだ。文句は言ってくるが。

 

...待て。ならば何故...何故そんな私の事を聞いてくれていた妖精さんが私に無断で私の魂...は違うだろうが私の本体とも言える船体を無断で動かしたのだろうか?別に大した問題では無いが私が転移して直接船体の指揮権を行使して停止させればいいだけだ。

しかしそんなことは妖精さんも承知の筈だ。しかしその可能性を無視してでも緊急出撃を敢行した理由。

何かは色んな問題がが想像できるが、敢えて考えないようにしておく。

「......お姉ちゃん?」

「ん?いや、すまない。少し考え事をしていた」

「その割には、随分と()()()表情をしていたようだけれど?」

「......まぁ、な。リバンデヒ」

表情を引き締める...といっても何時も仏頂顔だが、少し凄みを増し、軍人としての顔だ。

「何かしら?」

「現時点を持ってナウル鎮守府付派遣艦隊旗艦をアメストリア型戦艦一番艦アメストリアからアメストリア型戦艦二番艦リバンデヒに移行し、私は指揮権を放棄する。」

「......分かったわ。無事でね」

賢い妹は意味を理解したようで、リバンデヒは踵を合わせ左手を45度に傾け敬礼する。後ろに待機していた金剛、天城、最上、三隈、矢矧、響。全員が大日本帝国海軍の全員が敬礼で返礼してくれた。

私もアメストリア海軍式の敬礼で返礼すると私の船体へと転移する。あとは妖精さんに事情を聞き場合によっては最大戦速で向かわなければならない。出来るだけ停止させるつもりだが。

 

視界が数瞬暗転し、原理不明な不思議パワーによる船体への直接転移が行われる。

エフェクト的には何処ぞのUBWの霊体への変化に近いだろうか、艦橋から目的地に転移出来ないのが残念だがそれ出来たら移動手段要らなくなる。かつこの転移、人間を伴っての移動は難しい。それはもう。

目を開くと、照明のつけられていない薄暗い艦橋。画面が電灯の役割を果たしていた。

しかし、人っ子一人居ない。妖精さんもだ。周囲を見回しても妖精さんの一人もおらず、司令官の服を着た妖精さんも居ない。

現代艦艇のような未来感のある艦橋には人の気配は愚か、音一つ無く私が動く衣摺れや息遣いのみが冷たい空間に響く。妙だ。

あまりにも不気味で可笑しい。本能的にホルスターに手を掛け、五式自動拳銃を抜くところで、真後ろに気配を感じジャンプしつ距離を取り、振り返る。そこには、何も居なかった。

「...っ!?」

可笑しい可笑しい可笑しい!あまりにもおかしすぎる。

気配は感じた。しかしその姿は無く音も気温の変化もなかった。絶対にこの空間にいる。それは断言出来よう。

しかし位置は特定できず、相手は何かさえもわからない。

五式自動拳銃を一丁のみ抜き取り、両手で構える。そして視界に入る範囲、気配を察知する範囲全てに向けられるように脇を締め程よく腕を脱力させて照星と照門を視線の前に持ってくる。

「.......ぐっ!?!?」

突如、警戒していた筈の後方から強い衝撃が加えられた。

視界に火花が散り、急に暗くなってゆく。見事に頸椎をピンポイントに捉えられたようで四肢に上手く力が入らず五式自動拳銃を取り零し私自身も仰向けに倒れこむ。急激に感覚が遮断されて行き、瞼が降ろされる。私は何が何だか全く理解できないうちに意識を失った。

何故に自らの艦橋で襲撃されたんだ?

 




昨日からFate/staynight UBWを見直していたんですが、やっぱり凛は可愛いですハイ。あ、無論セイバーもですよ?当たり前です。
また徹夜して地獄少女とか喰霊とか屍姫とか見てたんですが何故に私が見るアニメは暗くなるんでしょうか?
女主人公を選んだらこうなった...何故に。

多分次回から急展開。
今もだけど。

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