ーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
高雄型四姉妹と大鳳、龍驤がパラオ鎮守府に所属してから一週間が経つ。
あの後も、ぶっ通しでは無いが、稼働させた結果、
鋼材112463
燃料114956
弾薬113934
ボーキサイト100254
高速修復材2146
高速建造材1964
開発資材587
改造資材6980
となった。うん。スゲェ.......色々とおかしいが突っ込まないでくれ。
そしてたった今こうなった。
鋼材4463
燃料114956
弾薬109934
ボーキサイト94254
高速修復材2146
高速建造材1964
開発資材157
改造資材6980
だ。何故万単位で減っているかって?
そりゃ、これを見ればわかるだろう。
■建造用二番ドック■
2450時間
■建造用三番ドック■
2450時間
となっている。
現在アメストリアが入るサイズ、つまり5kmにも及ぶ運河のような灰色のドックが稼働していた。
天井から吊るされた巨大な電光掲示板はドックの残り時間と進捗状況を知らせるパーセントが表示されていた。今はまだ建造が始まったばかりだから足場が組み始められたり莫大な資材が運び込まれたりしているだけだから0%だが。建造の準備は加算されないらしい。辛辣だな中々。
しかし102日かかる為、作業自体はゆっくりだ。
すぐに全力疾走で提督室に走り、報告すると提督も固まった。
急いで戻ったが、やはり2449時間55分。
そこで高速建造材を使用し、バーナーで炙ったら摩訶不思議な事にアメストリアと瓜二つの艦影が二つ。
バーナーは1000個使用したが。
もうお分かりだろう。アメストリアの姉妹艦である。
つ・ま・り 私の妹でも間接的であり、率直に言うとヤバイ。
私、妹との付き合い方なんか知らないし、どう接すればいいのか分からない。
そういう知識は無い。多分前世では妹なんかいなかったんだろう。
「て、提督...」
「うん。君の妹だよね。しかも二隻。ごっそり資材が消えたと思ったらこうなってたんだねぇ...」
「う、うむ」
「後で''一人''で提督室に来てね?」
「はぃ...」
はぁ...また説教か...しかし今回は完全に私が悪い。寝ぼけてデイリー建造に大量の資材を投下してしまった。
結果、妹が二隻。うわぁ...。
足場が撤去され、ドックの板が重低音を響かせて稼働。
私の右隣のドックに二番艦が、左隣に三番艦が。
こうしてみると物凄い迫力がある。だって4645mの巨体が三隻だよ?色々と、うん。あ艦これ。
「...妖精さん。アメストリア型戦艦って何番艦までいるのだ?」
''???番艦ですっ!''
ーーーん?よく聞こえなかったぞ?
まぁ、沢山いたんだろう。というかアメストリア型戦艦が沢山居ると思う。
どうやら説明を受けていて感じたのがこの戦艦は単艦での行動をあまり想定していないということだ。
立ちふさがる全ての壁を粉砕する最恐の矛をもち、強固な、核弾頭ICBMを食らっても何か?と言えるクラスの装甲をもつ戦艦もどきではあるが、水雷攻撃が一切出来ない。なぜなら魚雷を積んでいないから。
ビス子じゃないんだから私は魚雷を積んでいない。まぁアメストリアにはミサイルがあったから必然的に魚雷が廃止された結果なんだが...
まぁつまり、複数の艦船との艦隊行動を前提とした運用である。
しかしこの戦艦が『前世』で暴れていたのは広大な広さをもつ海洋星である。
空軍所属の航空輸送艦に乗せられて突入し、空中から突入。
艦隊と共に暴れまわると、いう方式が取られていた。
だから個々の防空能力は高く、火力は思う存分強化された。これでも初期型であるが。
「ぉ..........ちゃ............ん.................」
ん?なんか凄い速度で走ってくる人影が...まずいぞ...よく見ると私と同じ巫女服に黒髪、蒼眼、少し幼さの残る童顔、といったところか。
そして後ろに服装は同じだが、黒髪は長く、吊り目の美人がゆっくりと歩いていた。
どこからどう見てもアメストリアの妹です本当にありがとうございました。
ちょっ......
「おねぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇちゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃん!!!!!!」
「きゃふんっ!?」
思い切り抱きつかれ、慣性の法則により凄い威力で押し倒される。
おそらく、人間だったらミンチになるレベルの。ぐぅ...絵面的にはいいのだが、
本人としてはすごく辛い。ちょっ首締まる...
しかも私以上と思われるモノを押し付けてくる。キツイねん...
「ちょっ...!ギブッ!」
「わわわっごめんなさいお姉ちゃん!」
「何をやってるんだ...姉さん、只今アメストリア型戦艦二番艦 リバンデヒ、アメストリア型戦艦三番艦 カイクル、着任した」
「承知した。カイクル、で良いか?」
「うむ。」
キャラ被ってますとは言えないよなぁ...
って、ええぃ!!いい加減しつこいわっ!
「リバンデヒ、今すぐ私から離れろ」
「はいはーい!」
「はぁ...二人共付いて来い。提督に報告する。」
あわよくば道ずれに...
さて、それはさて置き、報告したが、提督の機嫌は直らなかった。まぁ、当然である。
「はぁ...で、三隻になったんだよね?」
「そういうことだ」
「はぁ......リバンデヒ、カイクルで良いかな?」
「はい!」「あぁ」
「先に戦艦寮に戻っていてくれるかな僕はアメストリアと少し話しをするから」
キングクリムゾンッ!
で、三時間耐久説教をされた私だが現在また抱きつかれている。
次女のリバンデヒにだ。このド シスコンめ。
三女のカイクルは私から隠しておいたはずの裏のホルスターから9mm拳銃を取ると鼻歌まじりに解体し、整備している。
銃好きなんですねわかります。
尚容赦無く袴はまさぐられた模様。
ちょっとフリーダムすぎやしませんかねユー達。
君達私の精神的な心労に対しての配慮は無いのかな?かな?......あ、無い?お姉さん悲しいな...はぁ...虚しくなってくる。自分で自分を慰めるとか...私どこまで病んでるんだ...
「姉さん、9mm拳銃は整備しておいた。」
「う、うむ...」
ぐぅ...!カイクルから9mm拳銃を取ろうと腕を伸ばすがすごくガッチリとホールドされているために一切ピクリとも動かない。しかもしっかりと胸は抑えているという、変態ぶり。...でも内臓圧迫はやめてくれぇ!
「リバンデヒ、離せ...」
「わかった〜」
「ケホッケホッ...どうして分かった?」
「少し膨らんでいる。バレバレだ」
「そうか...」
カイクルさんにはバレバレだったようだ。あれー?可笑しいなー?提督にも艦娘にもばれていないんだけどなー?
「あと何故軍刀だ?」
「クセだ。前の艦長の。しかもこれはとある名家の打った大太刀でそこら辺の刀とか一味違う。」
「いつ使うのだ?」
「どうだろうな?」
「......まぁ、止めはせん」
「...感謝する」
カイクルが軍刀を抜き、布で軽く磨き始めた頃にドアが突然開く。何だ?
「ア、アメストリアさんっ!アメストリアさんが三人にっ!!.....あれ、なのです?」
電が突入してきた。しかし私達三姉妹をみて固まった。
「お姉ちゃ〜ん。この子誰〜?」
「特型駆逐艦 電 だ。第六駆逐隊に所属している。ついでに言えば、高雄型四姉妹、大鳳、龍驤がいる」
「ヘェー、かわいい〜♪」
「...はわわっ!?アメストリアさん!この人達はっ?」
「あぁ...私の妹だ。二番艦、リバンデヒに三番艦、カイクルだ。」
「わ、わぁ...アメストリアさんが三隻分...」
まぁ、戦力としては間違いなくオーバーキルだろう。150cm四連装砲60門だ。大陸が消えるのではないだろうか?
しかも妹達の説明によると生産能力は無いらしく、それぞれが旗艦を務めていたらしいから一緒に、というのは少ないらしい。
まぁ、早いことには変わりないし、武装も特に変わってないから問題ないだろう。
ー夕食ー
結局抱きつかれたり色々とあったが、割愛。
全ての艦娘...15隻しかいないが、が集まりちゃんと座っている。
「みんな電から聞いたと思うけど、今日、アメストリア型が三隻になったんだ。みんな仲良くね」
「私がアメストリア型戦艦二番艦リバンデヒよ!よろしくねっ!」
「私がアメストリア型戦艦三番艦カイクルだ。よろしく頼む」
『...え、えぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?』
うるせぇ....耳がぁ....まぁ、驚くのは否定し無いから止め無いけど...思わず耳を塞ぐ。
あ、利根撃沈してる。今度胃薬を送っておこう。
閑話休題
さて、今夜の夕食はデザートがある。
アイスとえば間宮アイスだが、うちにはないので艦内を探してみると、
ミリタリーレーション多数、時間凍結された生鮮野菜、肉、以上。と言う素敵仕様だった。
いや、なんでよ?妹達には和菓子があった。くぅ〜〜〜ッ!!!一切甘味が無かったのにっ!
耐えてたのにっ!恨むぞっ!!食べ物の恨みは深いんだからな!
まぁ、それはさておき..さておき、どんちゃん騒ぎの歓迎会が終わり、汗を流す為に風呂にいる。
毎日風呂に入るのが習慣という風呂大好き民族のアメストリア人の血のせいか、毎日入渠している。
別に損傷しているわけではないが。
なんというか、癒されるのだ。精神的な疲れが回復できる。
こう、気持ち良い。
だらしないと自覚しつつも縁に体を預け、水中で女の子座りをしていると、
ガラッ! タッタッタッタッタッタッ!!
「お姉ちゃん!」
うわぁーまた来たよクレイジーサイコレズ。ドアを開け放ち、堂々たる姿勢でそのバランスのとれた裸体を晒してくる。やめてくれ...
別に嫌じゃないけど、少しスキンシップが過激だ。ベッタベタなのだ。
そして後ろからタオルで身体を隠しながらカイクルが来た。明らかに後者の方が正解だろう。
しかしカイクルも劣らず引き締まっており、体型が良い。
世の中の女子の敵ではないか?
「姉さん、隣失礼する」
「...あぁ」
カイクルが隣に入ってくる。リバンデヒはというと湯船で身体をめいいっぱい伸ばし、惜しげもなく身体を晒している。この子私のこと以外には注意というか考えが回らないのか?なんだ?アホの子か?
それに比べてカイクルは...うん。完璧だよな。
「リバンデヒ、カイクル」
「何〜?」「何だ?」
「私達はここの所属だが、本来は?」
「アメストリア軍アメストリア海軍第一主力艦隊、だろうな」
「そうだ」
「でも何で私達はこんな世界に来ちゃったのかしらねえ〜...まぁ、海をまた滑れるから良いけど!」
「......
「あぁ。アレはキツかった。姉さんだけでもと庇ったが、あのあと自沈したな?」
「...すまない。艦長が自決したんだ。船の長と運命を共にするのが艦の役目だ」
ある時、合計286隻の第一~七艦隊、つまりアメストリアという軍の主力が壊滅した。海軍の、だが。
しかし、そんな事はどうでもいい。戻るから。
問題はそれがたった一両の戦車に全て滅ぼされたという点だ。
次々と成す術なく沈んで行き、気づけばたった三隻。
アメストリア型戦艦一番艦アメストリア
アメストリア型戦艦二番艦リバンデヒ
アメストリア型戦艦三番艦カイクル
たったこれだけだったらしい。
直庵機もゼロ。
加えてリバンデヒは大破炎上し、カイクルは主砲が二基吹き飛び一基は稼働せず。
私ことアメストリアは主砲全ロスト。電気系統がやられたのか全て動かなかった。
レーダーが潰され、正確な射撃が不可能になったし、下手に撃つと高温になった砲塔内が誘爆し沈む危険性があった。
そしてリバンデヒはアメストリアを庇い真っ二つに割れ轟沈。
カイクルは生き残っている二基を動かし反撃。しかし奮戦虚しく轟沈。
アメストリアは決死の思いで何とか超大型艦艇輸送艦に到着し、着岸。
しかし兵士がいなくなった夜、密かに艦長が甲板で自決。
既に自我を持っていたアメストリアは術式を切って自沈を決断。
それが私になったという訳だ。厳密には本人ではないが、言える勇気を私は持ち合わせていない。残念ながらな。
「お前達は提督に忠誠を誓っているか?」
「いや。残念ながら姉さんだ」
「私も〜」
「ふふふふ...ありがとう」
「私達は姉さんの盾であり矛だ。当たり前だ。」
その心意気が私には眩しく、心苦しかった。
追記 2017 3/7
ドックの描写を変更。
太文字を試験導入。