超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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すまぬ。遅れてしまった。
いやーこんな感じにするつもりなかったんだけどなぁ.....?


60.二時間目、問題発生な感じです?

ーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーー

硝煙が銃口から煙を引き、地面には太く大きい13mmの薬莢が転がる。

スライドはすでに元の位置へと戻り薬室に次弾が装填されている。マガジンには発砲した分と次発、二発分の空きは時間逆行術式により満タンに戻っている。

裏路地には血の匂いや火薬の匂いが充満していた。

壁には血飛沫が付着し、先ほどまで私が最も恐れていた事をしようとしていた人間だったモノが肉塊となって飛散している。

 

「......大丈夫か、響。」

「...あ、あぁ、うん。大丈夫、だよ......」

 

そう言って恐怖で歪んだ笑みを浮かべ平気だと返す響。

自分に言い聞かせているような言葉は、とても痛々しく私の心を容赦無く猛毒の牙となって貫いてゆく。

よりにもよって体格的に劣る響を狙われたのは私の失態だ。

リバンデヒが陰から護衛しているのは金剛や天城と言った大型艦。矢矧や響はしっかりしている為むしろ大丈夫だと思ったのだが、私の予測は何処までも外れるらしい。

しかし唯一の救いはアウトラインにまで至っていない事か。

 

一般的に船体の大きさ、設備、艤装の量や豪華さによって艦娘の体も変化してゆく。

全長が大きく、かつ乗員も多いため設備の整った戦艦は背が高く、胸も大きい。

航空母艦は戦艦と全長がタイマン張っているため当然の如く正規空母は背が高く胸も豊満である。一部の艦娘を除き。

龍驤などの軽空母は全長が重巡洋艦程のため背が低く、体格も恵まれない...いや、あれは龍驤だけか。軽空母はよく分からん?

重巡洋艦は...とても恵まれているとだけ言っておこう。戦艦と背丈は似ているし設備も充実した艦もある。愛宕なんかは特にだ。旗艦用に設備が改められているし。

軽巡洋艦も比較的背丈は高く、体格的に高校生から中学生後半くらいだろうか。雰囲気は前世、WWll時代の戦歴や船員の影響により様々だがしっかりものが多い印象を受ける。

そもそも私達が大艦巨砲主義に染まりきっている為火力の高く船体も拡張性がある艦ばかりを建造している為軽巡洋艦はあまりいないが。あ、那珂は別な。あの姉妹はキャラが濃すぎる。

駆逐艦は...うん。第六駆逐隊と吹雪くらいではないだろか。一応中学生位の体格で、性格は明るいものが多い。幼いとも言うが響やぬいぬいこと不知火などの落ち着いた艦娘もいる為一概には言えないが。まぁ、兎も角小さいのである。駆逐艦は。

私はできるかどうか知らんがリバンデヒなら簡単に制圧できるほどに体格面で劣っているのだ。別に悪いとは言わないが、自衛面で不安が残る。だから銃まで渡していたのだが。

従ってここの生徒、軍人候補の体格と合わさり駆逐艦はまともに抵抗できない可能性があるのだ。馬力は船体と同じだが、それを咄嗟に生かせるのは私達アメストリア型戦艦や長門などの肉体派のみではないだろうか。あと大和?最後の艦長中々に様々な武勇を持ってたし。

 

「無理を言え。震えているだろうが」

「......大丈夫、だよ...本当に、ね...」

 

しかし立ち上がる気配もない。何時も大切に被っていたローマ数字のlllのバッチが止められた帽子を固く握りしめて肩を小刻みに揺らしている。仕方がないと思う。襲われたのだ。私も幾らかあるが最初はとても怖かった。思わず木っ端微塵にしていたし、MINIMIを持ってカイクルに泣きついた程だ。とても怖いのだ。響の気持ちはとてもよくわかる。

 

ポツリポツリと未だに乾いていない血痕が派手にぶちまけられたコンクリートの地面に新たにシミが出来上がる。しかしそれは一つだけではなく、どんどんとその数を増やしてゆく。

泣き出したか...

 

「......。」

「ひぐっ...ぐすっ......うぅ...」

 

帽子で顔を隠すように覆うと押し殺された泣き声が響く。

私としては派手に五式ぶっ放した為に野次馬が集まってこないか気が気でないのだが、下手に刺激するのは響の為にはならない。

 

「お姉ちゃんっ!?どうしたの?」

 

ドタドタと駆けてくる音の後にズザザーッ!というスリップしながら減速する音が響きリバンデヒが到着する。恐らく銃声で察知したらしい。

しかし、そこで起きている惨状を見て言葉を失い、素早く切り替えると私のような仏頂顔になると持っていたM145を片手に背を向けると野次馬を追い払ってゆく。時々発砲音と薬莢の転がる音が聞こえるのだが、その銃弾、空砲だよな?実弾だったら降ってきたときに怖いんだが。

因みによく中東あたりの目先のことしか考えていない知能の低い自称ジハードの戦士はAK47の粗悪生産品を天に向けて乱射しているが、あの銃弾は無限に飛ぶわけではないのでいずれ落ちてくる。それによって偶々命中した市民が死亡するなどの事例がたまに報告されている。

拠点とかで撃っている時があるが、あれそのまま自分たちに降り注ぐのを考えていないのだろうか?すごく気になるなお姉さん。

兎も角、リバンデヒはそこのところ考えているのだろうか?私撃たれたくないよ?当たりそこで怖いんだけど。いや、マジで。

 

「うぅ...うあぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

遂に声をあげて泣き出してしまった。思わず仏頂顔を崩して狼狽える私である。情けない。

取り敢えず野次馬をどかす為に足元に実弾を幾らか(十数発)撃ち込んで目線で威圧すると大泣きしている響に抱き抱えて素早く離脱してゆく。

響は羞恥心は残っているのか私の肩に顔を埋めて泣いていた。お陰で巫女服が濡れて行き一部サラシまで染みているのだが、言うべきではないだろう。

 

うぅ...ちょっと動きにくい...転移で私の船体の医務室に移動すると響を降ろす。

響は目元を赤く腫らせると時折ひぐっ...っと泣き始める。相当ショックだったのだろう。私は前世の知識や()の楽観的精神プロテクトでマシだったが、響にはプロテクトはない。ダイレクトにダメージが来るだろう。

私はホルスターのベルトを解除してテーブルに二丁とも置くと響の隣に腰掛け、響を抱き締めて頭を撫でる。安心させるように、優しくゆっくりとだ。幸い私の胸大きいし体格差で響の頭が丁度いい位置にある為撫でやすい。

 

オイ誰だ今羨ましいって言った奴。m9(^д^)愉悦!と言っておこう。

 

響も安心してきたのか私に腕を回すと無駄に豊満な胸に顔を埋め私のナデナデを受け入れてくれる。何この可愛い生物。めっさ可愛いんだが。響ってこんなんだっけ?

 

 

響から力が抜け、私に回していた手がベットへとだらりと垂れる。

寝てしまったか、と予想しゆっくりと起こさないように響をベットに寝かせる。布団もあるのだが、いちいち入れ替えるのも面倒だからやらない。できるけどやらない。

響は安心した様な、穏やかな顔で眠っている。良かった...

このまま鬱になってしまわないか懸念だったが心配はいらない様だ。

 

響はなんだかんだ言って古参メンバーの一人だ。

電から始まり暁、雷、響。高雄、愛宕、摩耶、鳥海、龍驤、大鳳。

リバンデヒにカイクル、大和、武蔵、長門、陸奥、赤城、加賀。

古参といえばこれくらいだろう。

 

私が横須賀に行っている間の戦力強化や金剛たちの大規模戦力拡張は新参だ。だからと言って優越はないのだが。

駆逐艦という概念でいいのかちょっと疑ってしまうが高速化し、ウォータージェット推進でミサイル艇のように若干浮いて海上を翔ける。主砲は15.5糎三連装砲だが速射砲となり命中率は電探や演算装置の高性能化で百発百中が常識。魚雷は噴式魚雷。ミサイルのような燃焼機関を採用した超高速の矢でホーミング機能があり基本外さない。ミサイルハッチも少量ながら設置し、対空砲も45mm対空機関連装砲を使って底上げした。初期とは大違いの性能を持った。イージス艦の超進化版のようなイメージでいい。同時対処目標数は200。主砲、ミサイル、対空砲を含めて数で、実戦ではもっと少ない。ミサイルをミサイルで迎撃するという完全にイージス艦の仕事もぶん取っている。練度も高く既にlevel110。ケッコンカッコカリはしていないが。

 

最後に響の頭をひと撫でしてからホルスターを巻き直し、インカムを摘む。

 

「こちらアメストリア。リバンデヒ、事情は把握しているな?」

 

我ながら随分とドスの効いた、低い声が出ているなと自笑する。なんだかんだ私もキレテイル。

 

『えぇ、承知しているわ』

「ならば警戒は?」

『既に対処済みよ。護衛対象を全員に変更して直庵機も増やしているわ』

「了解した。響の方は私が対処しておく。」

『えぇ、宜しく頼むわ。あと、冷静に、よ』

「うむ。心得ている。」

 

驚くほど冷静であると自認している。最初はテンパってたのに。

懐かしいな。最初は全然強くなかったし鎮守府も静かだった。初期艦の電しかいない旧パラオ鎮守府に漂着して戦って戦って大破して大破して。

思えば私が微妙な損傷を受けること自体少なかった気がする。大破か無傷か。両極端だなぁ...

十分異常な兵器達によって成り立っている戦績だが、鎮守府襲ったり大本営初期状態で襲撃したりと結構な問題を起こしている気がするのは初めてではない。ん?白い家にミサイルぶち込んでるって?い、嫌だなぁ私がするわけがぁないじゃないかぁ...(目逸らし

 

読者は私の異常性に一定の理解があると思うが、やっぱりこれでも欠点はある。

頼みの絶対干渉結界は絶対干渉結界同士が衝突すると限界を超えて臨界に。そして膨大なエネルギーと共に爆散して機能しなくなる。再起動にはそれなりの時間がかかるしエネルギーもよく食う。

主砲は旋回速度5°/sという127mmオートメラーラクラスの旋回能力を持っているが砲身の付け根は弱く、砲身、砲弾、砲塔全てがとってもなく巨大な為再装填が早かろうと砲撃までは1秒かかる。光学兵器になればもっと早くかつ砲塔に予備スペースが出来るだろうからもっと威力が増すだろう。しかし、しかし、だ。

私の様な全長4600mを超える立派な島のような戦艦が、信じられない速度で砲塔を旋回させて撃つと思ったらなんか太いファイナルスパークが出てきたとなると楽観と失望が浮かぶだろう。ロマンを重視するわけだ。

戦艦って国家の象徴であるわけだし、その国家の技術力、根性、発想力が試される戦艦という看板において実弾を使用しないというのは些か格好が悪い。

レーザーも光量と言う強みがあるが、実弾と比べ迫力に欠ける。

轟音に硝煙の匂い、閃光に衝撃波。視覚聴覚嗅覚と五感の内の三つに刺激を与える実弾は色々と便利だしロマン溢れる兵器である。

以上、私が実弾を使う理由ですた。終わり!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、終わる訳無いんだがな?

響が襲われてから一時間。偶に響が泣き出したりするなど今まで相当溜め込んできていたという事が分かり私は響の介抱に付きっ切りとなった。私としては響が途轍もなく可愛かったので良かったのだが、リバンデヒにはかなり迷惑を掛けてしまった。金剛、天城、矢矧。三人の護衛を全て請け負って貰っていたのだ。

一人でも万全を期すには一個中隊は必要となる。それを三人分。三個中隊分を一人でやったのだ。

しかも三人全員が大型。100mを軽く超える船体を持ち侵入者に対しては敏感であるが、外へ出ると分からなくなる。艦娘パワーで探知できるが、奇襲には対応出来ない。

つまり船体は自身の身体であるから感知出来るが、外に出るとちょっと気配に敏感な女の子でしかなくなるのだ。だからリバンデヒでも対応仕切れない。

私も加われば何とかなるが、リバンデヒ一人では限界がある。だからF-222を動員してまで護衛しようとしているのだ。な?大変だろ?数が足りないんだよ。かと言って接近戦最強のカイクルを呼ぶのは忍びない。彼方は墜ちたミッドウェー攻略を集中してもらいたい。

 

 

不思議だなぁ、何を血迷ったのか、妙に統率の取れた動きで金剛、矢矧、天城の順で次々と襲い掛かってきた不審者が、肉塊へと体を変えヴァルハラへと旅立った。多分。

何か臭うなぁと思いつつ船体に走る矢矧を援護してゆく。まぁ簡単だ。血走った目で矢矧を追いかける塵に十字を合わせトリガーを引く訳だ。簡単だ。また一回引き絞る。

轟音が私の船体の一番高い露出艦橋から鳴り響き閃光と爆炎があがる。腕ほどの大きさを持つ薬莢が鈍い音と共に転がり熱さからか湯気を上げる。季節は忘れたが秋だか夏だ。冷えるだろ?薬莢って撃った後すごく熱くなるんだな。以前()の忠告を聞かずに触ったら大火傷を食らった、熱かったなあれは。

思わず高速修復材を使ってしまった。バスクリンってなんか変な感じを受けるが、なんか不思議な感じがするんだよ。あ、ヤクはやっていないぞ?ゴミじゃああるまいし。

また引き絞る。矢矧さんや。いい加減転移っていう手段を思い出してもらえませんかねぇ。




文章の質が落ちてきてる......うぅ...

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