超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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文化祭が終わったのでこれからは比較的早く更新できるかもです。いや今回からの教導編はプランを練っていないのですが...どうしましょうかねぇ...


第五章 教導編
56.出航...間違えた出向か。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーー

時刻は午後23:00。すっかり太陽は水平線の彼方に逃亡し、代わりに月が煩く自己主張する。

古来より月は神聖視され、日本でも月夜見という月の神が祀り崇められている。

また、『魔』という捉え方もあり、月の光には人々を魅了する力があるとも言われている。

まぁそんなご大層な月の光っていうのは太陽からの光を反射しているんだが、それをいうのは無粋だろう。

さて、何故長々と月について語っていたかというと既に瀬戸内海へと入り、月の光に照らされて隠密航行しているからだ。結構幻想的な感じになっていて私は(船体が)好きだ。まぁ、自分の体だし。後ろにはリバンデヒと金剛、天城、最上、三隈。格納庫に矢矧、響がいる。上空にはE-9とその護衛機のF-222が6機私達に害するモノがないかを随時監視している。因みにその航空機全て天城から飛ばした。

今回の出向の目的は、呉の海軍大学校での次世代の提督育成においての私達バケモノの戦術的価値などの理解をさせるためだ。しかし大本営はそれだけではなく、真っ先にアメストリアの技術を投入し実践している我々に各艦の派遣を要求してきた。他の鎮守府は?っていう話だが、あちらだってアメストリアの技術を完全には扱いきれてい無いのだろう。第一、現在も戦争中だ。戦力を裂いている暇はないのだろう。戦艦とか。

 

そのため、まぁまぁチートしている艦娘達を連れてきた。本物の、それこそ初期からいる大和や武蔵、長門、陸奥やら赤城、加賀、高雄、愛宕達は鎮守府の防衛に回している。彼女らだったら話になら無いからだ。ん?私もか。

 

それでだ。午後19:00に間宮さんの晩飯(海軍カレーだった。金曜日か。)を食べてからナウル鎮守府を出た。そこからのんびりと航行して現在やっとついたわけだ。

私が20ノット以上で進むと大変音が立つ為5ノットまで減速し、照明灯まで消して進んでいる。

大本営の手回しか漁船や民間船は居ない。つか居たら確実に転覆する。

『お姉ちゃん、呉を視認したわよ』

「了解。こちらでも確認した各艦、停泊用意」

『リバンデヒ了解したわ』

『此方金剛デース!了解シタネー!』

『天城です。了解しました』

『最上、了解したよ』

『三隈ですわ。かしこまりました』

呉は市街地は眠らず照明で彩られ、周囲も街があるのか、かなり明るい。

そんな中軍港の灯台の光を確認し、誘導に従って動いて行く。

闇に紛れてってやつだな。

 

私は埠頭に接岸しなかった。いや正しくは出来なかった。まぁー私の大きさ分かってたけどさ?

こうも分かりやすく施設に拒絶されるとこう、なんか落ち込むね。本当に。はぁ...

埠頭には最上、三隈、矢矧が停泊している。流石に呉とはいえ四桁メートルの艦船は収容出来なかったらしく、金剛と天城は私達の間に停泊する事になった。艦娘スペックで埠頭に艦娘が降りていることも確認できる。響は私達に寄り添うように投錨されており、私達を回収してから埠頭に向かう予定だ。

寄り添うように投錨されており、私達を回収してから埠頭に向かう予定だ。

「リバンデヒ、急げよ」

『分かってるわよ』

どこか嬉しそうなリバンデヒの声を聞きながら私も準備を整える。まずホルスターに五式自動拳銃二丁。マガジンも弾格別に科学弾頭とゴム弾。そしてM145を一丁スリングを通して腰に下げるとM634を持って甲板に出る。そこには無骨なコンテナ型の木箱が二つ鎮座している。

当然、この中にも武器が入っているが、替えの巫女服や必要そうな資料なども少量入れている。まぁ、船体に戻れば大体なんとかなると思ってるからだ。

響の甲板に木箱を置かせて貰う。

 

「久しぶりに日本へ戻ったよ」

「そうだったか?」

 

多分、そうだろう。パラオ鎮守府で建造して一度も日本へ帰って無い。前世の記憶だろう。

私には''アメストリア''という前世があるが。いや、私にも知識はあるがな。ん?記憶じゃなくね?

まぁ、良いや。これを人は現実逃避、または思考停止というが、もう良いや。こんがらがってくる。

 

「さて、私にも久しぶりに活躍の機会が来たんだ。精一杯働かせて貰うよ」

「あぁ、頼む。」

 

確かに響には活躍をしてもらってい無い。大体戦艦が主砲かミサイルで処理しているからだ。

駆逐艦には活躍の機会があまりないというのは事実だろう。しかし、演習や少し遠くの出撃には必ず駆逐艦を同伴させている。小さくて機動性のある駆逐艦が居た方が何かと便利だからだ。雷撃とかな。そういう面でも響はアメストリアの技術で魔改造を受け、高速艇となって今まで一番長く戦ってきている。経験、そういう意味で話は響を連れてきた。

 

 

♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

 

 

遥か彼方の地平線が淡いオレンジ色に染まり、水墨画のようにぼんやりと赤みを増してゆく。

 

『ふわぁ〜.......お姉ちゃん、時間よ〜』

「そうか。全艦戦闘態勢。私とリバンデヒは主砲を起動。」

今は午前7:00。朝日が昇る時間だ。夜は光学迷彩を全艦が起動させて就寝をした。

 

防衛は自律防衛システムに任せた。まず光学迷彩で見えないから大丈夫だとは思うがな。保険ってやつだ。

で、だ。何故日の出と共に戦闘態勢になったか?

前線では何時深海棲艦が来るのか全く予想できない。昼かもしれないし夜かもしれないし丑三つ時かもしれない。もしかしたら早朝に奇襲があるかもしれない。

そんな時にちんたら寝ていたら確実にその鎮守府は堕ちる。私としてはそんな馬鹿の所為で艦娘が死んでほしくない。司令官は良い。人間は幾らでも替えが聞く。しかし艦娘は効かない。建造で確かに幾らでも『戦力』としては補充が効くだろう。しかし、それでは全く意味がない。消耗戦となってしまいいずれ滅びるだろう。

だから、徹底的に鍛え直すことに決定した。

本来ならThe 軍人 なカイクルが適任だろうが、カイクルとノイトハイルには別の任務を任せている。そう、大日本帝国海軍の敗北への最大の転機とされているミッドウェー作戦。そちらの方に戦力を割いた。因みに赤城達が来れない理由の一つでもある。

 

 

「光学迷彩、解除しろ」

''りょうかいですー!''

''了解な感じです?''

''あいあいさー!''

 

バリンッというガラスが砕け散る音が鳴り響き、太陽の光さえも欺いていた空間が歪み、割れる。

すると先程まで存在しなかったはずの艦影が突然出現する。しかし、大日本帝国海軍、大日本帝国空軍、大日本帝国陸軍は一切動かない。前もって通知しているからだ。

 

「主砲、空砲を装填」

''くーほー装填!''

''装填っー!''

''動かす感じです?''

 

ゴロゴロと弾頭の炸薬が入っていない砲弾がレールを転がり、下に着く。そしてガコンという音と共に砲弾が薬室に装填され、駐進機が砲身を前進させ安全弁が閉じられる。

 

「主砲、全基右舷90°に旋回。全門開け」

''せんかーい!''

''ぐるぐるー!''

''しゅほー旋回しましたー!''

''あとは撃つ感じです?''

「目標、呉海軍大学校。仰角合わせ」

 

恐ろしい程の莫大なエネルギーを持って巨大な主砲がその重さを感じさせずに旋回する。

今更だが主砲の500cm四連装砲は航空母艦と同じくらいの重量を持つ。24000tくらいだ。そんな巨大かつ超重な主砲を軽々と旋回させる出力を持つのは粒子エンジンでも一つでは回せない。というか安全面を考えて複数で運用している。一個壊れても旋回出来るように、という意味だ。

ベアリングも頑丈でよく回転する。

 

素早く一本1000tの重量をもつ砲身が次々と上がって行きある角度ーーー呉海軍大学校に届く角度に上がると上昇を止め沈黙する。

リバンデヒも旋回を完了させている。

埠頭にいる天城は万が一のために灰色の全通甲板にF-222を展開させ、次の第二波にGF-21やE-9、AH-39を用意し始めている。

まぁ、妖精さんが忙しなく動き回っているがな。主に遊びの方向で。いや妖精さん、仕事してくださいよ。

jobやってください。ね?割と真面目にね?え?無理?そうか.......何で?...つまらないから?

いや最近詰まらん事は自覚してるけどさぁ、ねぇ?別に深海棲艦が億単位、兆単位で殺って来る訳でもないし周辺の威張り散らしてるヘタレチキンはへっぴり腰だし。

私も詰まらん。()?とっくの昔に飽きてるよ。

 

''仰角設定ー!''

''主砲固定。良さげな感じです?''

''発射準備かんりょーしました!''

「てぇっ!」

 

轟音と閃光が迸り、第一艦橋のガラスを叩く。

真っ白な、純白の煙が次弾の為に後進した砲身からもくもくと上がり、未だに衝撃波は止まらない。やはり主砲は良いものだ。口径50000mm。(500cm)砲弾は空砲でも薬莢に詰められた炸薬は45t以上になる。それのエネルギーが砲弾を押し出し、超高性能炸薬を満載した砲弾がライフリングで回転して飛び出すと弧を描く...訳もなく直進して敵に突き刺さるかそのまま貫いて後から慌てて付いてくる衝撃波に粉砕される。普通にVT信管もあるからな?妖精さんがそれをはめていないだけで。しかし何故かウチの妖精さんは通常の信管を装着して砲弾を飛ばす。

未熟な私には信管まで干渉する力がない。やはり私は()では無いので万能な艦娘とはいかない。

いきたいけどなぁ...無理なんだなこれが。いつまでも前世の記憶からの人間としての計算能力などを基準としてしまい、中央演算処理装置を真の意味でフル活用していない。

していたら私は一人でも動けるし。

 

ともあれ、500cm口径の砲声は莫大な音量を誇り、金剛が放った主砲の空砲でもかなわない。当たり前だが。というか勝ってもらっちゃあ困る。

海面を人工的に歪ませ呉海軍大学校に過去最大の目覚ましをプレゼントする事ができた。

そこに関しては満足だ。これから大日本帝国海軍としての軍人をきっちりと教え込んでやる。趣味などには干渉したく無い。というかめんどい。いちいちやってる暇は無い。

だから授業や実習という形でガンガン実戦や()の誇る怨念じみた殺気を感じてもらう。

 

ついでだ。この呉海軍大学校のシステムを紹介しよう。

まずこの学校は次世代の海軍を担う「提督」という役職の軍人を育てる為だけのものだ。

海軍の大本営や本土鎮守府などの後方支援は別の学校にて教育される。

つまりこの海軍大学校は提督としての素質を養い、艦娘をより理解してその艦娘の長所短所を把握した上で作戦を立てる。その中にもここをどの編成でどう攻めるかなどかなり緻密な戦術が要求され幾重のパターンを考えておかなければならない。

だから「提督」という役職は色々といや、無理だろっていう何このマゾゲークラスのスペックを要求される。現職はそれを当然としてやってくれている。というかそうし無いと艦娘は提督に従ってくれない。

その提督を育成する為にはまず駆逐艦、軽巡洋艦、重巡洋艦、戦艦、航空母艦、潜水艦、給油艦、潜水母艦、水上機母艦、大発母艦などの艦娘の特徴や長所、短所を学び、それを踏まえた上で有効な戦術を教えてゆく。こういう場合は水雷戦隊を〜〜〜といった具合だ。

一応、軍人としての基礎レベルは鍛えられており、拳銃の発砲授業もあるらしい。

 

 

しかし、

 

甘い。あまりにも甘すぎる。まずこれらの教育カリキュラムが典型的な無能を無限に生み出してゆく詰め込み式教育を未だにしようしている。これでは自分で考えて行動することができず、深海棲艦が予想外の奇抜な戦術をとってきたときにテンプレ、教科書通りと対応しかできない無能では鎮守府が潰される。深海棲艦は戦術を持たない。それ故に戦術の固定概念や前提を持たず、ときに奇抜すぎる戦術を繰り広げる。そんなときに対応出来なかったら私がキレる。

だから、自分の考えをしっかりと持ち、自分の意思、経験、発想で動かなければこの戦争を生き抜くことは100%不可能だ。

だから私は従来の戦術を教え無いつもりだ。つかそんな物知らんし。

アメストリア流の戦術を教えてやる。恐らく、ここの生徒が提督になる頃には大体の鎮守府の艦娘はアメストリアの技術での改修が施された後だろう。アメストリアの技術は従来の戦術を根本から破壊する。例えば会敵。昔は索敵機(水偵)を飛ばして見つけて報告してやっと戦闘準備。だっただろうが現在は電探で発見して取り敢えずハープーンをブチ込む。そして主砲や噴式魚雷による砲雷撃戦となる。偵察というプロセスは必要ないのだ。航空母艦であってもそうだ。一々爆装したり魚雷積まなくてもST-8積んで飛ばせば大体は大丈夫だ。つまり、今までの戦術は一切通用しない。

それにも関わらず古い戦術を教えていても全く意味がない。

むっふふー。どう教えてやろうか。私はこれからのカリキュラムを考えながら不敵に微笑んだ。




VRMMOを題材とした小説を書きたいと思っているこの頃。
テーマは戦闘機ですね。この小説巨艦巨砲主義ですし。戦闘機活躍してませんし。
無論戦闘機はF-222が出てきます。てへぺろ☆ミ

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