遂に50話を突破しました。連載を始めて5ヶ月ですが、感慨深いですねぇ...
帰省から帰ってきました。次も続きなので、なるべく早くあげたいですね。
ーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
''きゅーそくふじょー!''
妖精さんの声を機に、アメリカ領海内に、巨大な黒々とした艦影が浮かび上がる。
しかし海上にはその影の主は居ない。だが、大量の海水が排出された影響で海面が乱れに乱れると、艦橋の位置から、測距儀が飛び出し、続けて大和型の艦橋がそのまま大型化したような鋼鉄の城が飛び出す。
視界が海中から一気に上昇して行き、甲板を見ると海面から大陸が出現したかの様に見える程の巨体さで、側面から甲板上の海水を追い出し、主砲が仰角を上げ、武装のロックが次々と解除されてゆく。破損の恐れがあった電探などは海上に浮上した事で展開して行き、とてつも無い距離を警戒してゆく。
「浮上終了」
''各部浸水なーし!''
''電探問題無い感じです?''
''電子系統異常なしですー!''
「武装旋回テスト開始しろ」
500cm四連装砲の五基が右へ左へと順に旋回してゆく。海水が未だ残る中でやっているため、かなり迫力がある。撒き散らしているのには違い無いのだが。
副砲の150cm四連装砲六基が別々に旋回し、四本の砲身が上下に動く。
46cm三連装砲は20基も装備されているため、時間がかかってしまった。連装砲?知らんな。甲板下の窪んだスペースにあるから心配だったが、まぁ、問題なかろう。
45mm対空機関連装砲は電探連動の為、計3500基、片舷1750基の一斉稼働となる為、テストは楽だった。
「両舷前進!ここからは米国海軍の介入の恐れがある!決して当てるな!掠らせるのはアリだ」
''イエェェエェェェィ!ガンガン撃つです!''
''ヒャッハー!ぱーてぃーです!''
中々に好評の様だ。なぜに...
さて、現在時刻はヒトマルマルマル、つまり10:00なわけだが、来いと言っていたのは12:00な訳である。しかし、それは出発時間である為に、到着時間が早かろうとあまり関係ない。
準備が垂れていなかったというのは言い訳にしかならんだろう。
私も二時間前行動になるとは思っていなかったが。
電探の出力を上げ、アメリカ艦の位置を把握してゆく。どうやら、今の所は周囲に艦は一切無く、本当にここアメリカ領か?と疑ってしまう。てか本当に此処米国だよな?な?
「.....速度を上げる。警戒を強め、主砲はいつでも放てるようにしておけ」
主砲砲塔内では、装填機構が作動し、レールを転がって来た〔弾薬〕の三式弾を装填すると前進し、薬室内がロックされる。各砲塔四本ずつ砲弾が装填され、バラバラの方向へ旋回してゆく。
副砲は......どうしよっか...
ヒトフタマルマル、遂に約束の十二時となった。
私は指定された軍港の沖合10kmに停泊し、錨を全て降ろしていた。
警戒態勢は解いておらず、150cm四連装砲や46cm三連装砲も追加で作動させておいた。
これで大体の防衛はできる。あとは妖精さんの判断て。動くことになっている。万が一深海棲艦の大襲撃にでもあったら対空砲が作動しないという戦艦としてあるまじき事態になるからな。
しかし、深海棲艦だろうと艦娘だろうと撃ちそうだと予想するのは私だけだろうか?すごく心配なのだが。
いや、割と切実に。
で、だ。私は側面の装甲を展開すると、ハッチが作動し、海面へ下がる。そして、格納庫(大)の中にある最近使ってなかった隼を起動させると、すぐに転移し、海上に滑らせる。
「機関始動、両舷前進」
この隼は私一人で操れる艦である。数少ない、な。あとはF-222くらいだろうか?なんか少ないな...アメストリア型戦艦は妖精さんの協力なしじゃ到底満足な動きはできない。妖精さんが居なくても、動けるし、戦闘もできるが、本来の実力を発揮することはおろか、私という中身は全くのどしろーとなので、まともに戦える訳がない。だからこの隼は小さくて早く、武装も41cm速射連装砲とそこそこ強力なので使い易い。
一応、この全長200m越えの『内火艇』は、高速艇の分類に入るため、海面を滑るというか、若干浮く。抵抗が少なくなって、早くなるからだ。これ以上早くても、戦艦クラスの大きさのステルス重視の船体がボートと同じスピードで動くというホラー現象が発生する。は?もろ起こってるだろって?し、しししし、知らんしっ!
それで、隼での迎えをすることにしたのだが...何故米国海軍の艦娘が敵を見るような目で睨みつけてくるのだろうか?色々と心当たりはあるが、自業自得である部分も多いため、私が睨まれる謂れはない。
だから、艦橋にはM634を設置し、現在ドックに降り立っているが、例の五式をホルスターに入れ、フルカスタムしたベガルM145を持っている。襲われるのはいやだからな。
一応、7.92×99mm弾が入っていることを確認し、上に乗っけてあるスコープを撫でておく。暇だなぁ...
5分程経ち、一台の黒塗りの高級車が走ってきた。ぶつかってたまるか
恐らく、今回の視察団だと思われるが、連行される危険性もあるので、右足を少し下げ、体を斜めらせ、銃底を肩に当てる。グリップはしっかりと握り、セーフティーを解除。いつでも撃てる。
高級車は私の前で停車すると、ドアが開き、中から正装の軍人が幾人が出てくる。
無論、全員が米国人であり、階級を見る限り少なくとも中佐である。元帥はいないようだが。
ジジイ三人ガキ二人だ。メンドクセェな...一応構えを解き、無表情のままM145を腰だめに下ろす。失礼の無い(多分)体勢になる。
「貴官らが視察団の方々だとお見受けする。御存じだと思われるが私がアメストリア型戦艦一番艦アメストリアだ。」
誠に、まっことに不本意ながら敬語で接する。大本営なら私の恐ろしさを身をもって味わっているのでタメ語で接しても特に問題無いのだが。←
米国は基地にピンポイントでミサイルが刺さったぐらいしかダメージが無いため、本当の恐ろしさを知らない。本当ならワシントンDCでも砲撃したいのだが、面倒なことになるので自重している。当然だって?知らんがな。人間の定規で測るな。
「そうだ。私は米国海軍所属少将のダレス・N・ノーマンだ。」
イエスマンでは無く?と思ってしまった私は悪く無い。Nってなんだろうと思うが、米国に一切の興味は無いので、気にし無い。人柄は不明、だ。壮年の男性だが、体は引き締まっており身長は私が170程だが、足り無いくらいの200cmだ。バスケでもやっていたのだろうか?
サングラスを掛け、艦娘スペックの鼻では葉巻の匂いがする。スモーカーか...あ、何処ぞのモクモクした大佐じゃ無いぞ?まぁ、マッカーサーみたいな奴だ。
「俺はケビン・シルバーだ!よろしく頼む!」
そう快活な大声で言っているとは大柄な黒人の男性だ。外見完全にラグーン商会のてんちょーさんだが、気にしてはいけないのだろう。此方からは煙の匂いはせず、硝煙の匂いが少々する。
階級章を見る限り少将だ。武装は...みたところしていないが、中にはあるだろう。後で置いて行かせなければ...
「...俺は、メイカードだ。大佐だ」
で無口な男性は見る感じ弱そうだが、格闘技をやっているのか歩き方に淀みは無く、覇気がある。なんか睨んできているが、無視。怨念は感じない。というか人間の怨念などなきに等しい。
まぁ、どうでもいい。問題は後ろのガキ二人だ。
正装をしているが、明らかに私を見下しており、バカにしている。むかつくな...
「ケビン少将の秘書艦のアリゾナ中佐よ!」
おや、艦娘であったらしい。というか艦娘に階級与えるとかもう末期だな...そこまで大した武力も無い功績を見せたがるのか?愚かな...
自己主張は勝手にしてくれ。秘書艦アピールも、いらん。どうでもいい。
金髪は背中まで伸ばしており、いかにもお嬢様気質のあるプライドの高そうなガキだ。
「私がコロラド級戦艦一番艦コロラドだ。今回の視察はよろしく頼む。」
「ちょっとコロラド!なんでジャップの艦娘なんかにお願いしてるのよ!」
なんか馬鹿が噛みついていたが、無視する。
コロラド級戦艦一番艦コロラド...たしかビックセブン(笑)の一隻であったはずだ。まぁ、現在では電でも勝てるだろうが。正装に、きっちりと背筋を伸ばし、腰まである長い茶髪を乱雑にポニーテールに纏めており、鋭い蒼眼をした美人である。まだ良識のある艦娘だろうか。『艦娘』として見てやろう。
階級も主張しないことから、そんな下らないものには興味を持っていないのだろう。唯一好印象を持てる艦娘だ。
「では、これからの予定を説明させて頂く。まず私の内火艇である隼に乗り、アメストリア型戦艦一番艦アメストリア本艦に乗船して頂く。」
「待ってくれ。まさか、後ろのステルス艦は''内火艇''なのか?」
「その通りです。ダレス少将。そして、その後80ノットにて高速航行、ヒトサンマルマル、13:00にナウル鎮守府へと到着、夕食まで視察後食堂にて夕食をとり、日没後に夜間視察、そして翌日へという流れになります。」
なんか アレで内火艇か...恐ろしいな... とダレスが呟いていたが、驚くのはまだ早いのだよ。
「了解したぜ!ジャパンのワショクには興味があったからな!」
そう言ったのはシルバー少将。こちらは日本文化に興味のあるらしい。
恐らく、そういう馬鹿のいないメンバーで送る予定なのだろう。米国上層部も必死である。笑うな。
「それはご期待ください。では付いてきてください」
そう言って無駄に長い黒髪と巫女服を翻し隼へと向かう。後ろからガキの殺気が来るが、ガキの戯れだ。
きにしなーい。隼を操作し喫水線を下げ、装甲と一体化していたタラップが降ろされてゆく。
急遽設置した客室へと案内すると妖精さんに接待を任せようとしたら全力で拒否されたので、仕方なく、仕方なく並立思考で隼を操りながら接待もこなしてゆく。アメストリアへはそう時間は掛からないので、少し豪華に装飾した会議室に少将達を押し込め、緑茶ことグリーンティー?を作り出すとメイドさながらに丁寧に対応する。内心腸煮えくり返っているが、表情は生憎、無表情である悟れられない。因みにM145は邪魔だった為艦橋に送った。
機関を始動させ、バラスト排水。タラップを格納し、錨を巻き上げる。
武装である41cm速射連装砲を甲板上に展開し、対空砲も展開してスクリューをゆっくりと回してゆく。鋭い艦首が海面を切り裂き、200mの船体がその巨艦に似合わぬ機動性で素早くドックを離脱してゆく。少将達はその隼の軽い身のこなしに驚いていた。まだまだ。
「アメストリア、出来れば甲板は上がりたいのだが?」
「............分かりました。こちらです。」
はぁ?何言ってんのこの人?馬鹿なの?死ぬの?死んだら私の責任になるんだぞ?わかってんのか?あ?
まぁ、文句言えないので渋々案内してゆく。甲板へは密閉されたハッチを二枚通るだけで行ける。甲板はステルスという特徴上木製ではなく、特殊装甲に錆止めが塗られ、濃い灰色であり、比較的小型な艦橋の前には二本の長い砲身を掲げる凹凸の少ない砲塔をした41cm連装砲がある。
少将達はその連装砲を眺めたり触ったりした後に手すりに捕まり海面を眺めていた。この巨体が40ノット近い速度で航行するのが信じられなかったようだ。まぁ、この速度出せるの島風くらいだしな。あとはナウル鎮守府所属艦娘全艦。戦艦関係無く。やっぱおかしい。
数分経ち、あとアメストリアまで3kmとなった所でレーダーが深海棲艦の反応を捉えた。いや、なんで領海内で深海棲艦の反応があるのか理解に苦しむが、まあ、艦娘として駆除しなければならない。
「ダレス少将、少しアクシデントが発生した。耳を塞ぎ、口を開けて頂くとありがたい。」
「何?それではまるで爆発が起きるように...」
そこでダレス少将は言うのをやめ、考え込んだ。意味がわかったようである。
私は転移して艦橋にあるベガルM634を持って再び甲板に転移する。
私が全長4m50cmの馬鹿でかいライフルを持ってきたことに驚いているようだ。コイツは銃かよくわからないヤツだからな。無理もない。3mの砲身を深海棲艦へと向ける。
「な、なんだそれ!」
「ベガルM634、19.8mm重機関銃ですシルバー少将。弾種...19.8mm超圧縮式時限信管炭酸バリウム弾に決定。」
弾頭が黒く塗装された弾帯をM634の給弾口に入れてコッキングハンドルを思い切り引く。
そして、足を肩幅よりやや大きく広げ、しっかりと腰を下ろすとスコープを覗き込み、十字に深海棲艦を合わせる。そして、深呼吸。
ズガァンッ!
銃から出てはいけない爆音と共に炸薬が爆発し、19.8mmの科学弾頭は3200mmの長いバレルを通過し、1260m/sでマズルブレーキのついた銃口から飛び出すと深海棲艦へまっすぐと飛んで行き、着弾。瞬間、深海棲艦が爆ぜた。この科学弾頭は炸裂弾である。しかも当たりどころにより一発轟沈を引き起こす程に。今のはボイラーに命中して、炸裂し大爆発を起こしたのだ。
次の目標...戦艦か重巡洋艦。面倒だな。
唖然としている視察団を無視し、腰だめにM634を持ってくると、しっかりと構え、引き金を引き続ける。
連続したは圧倒的な爆音で周囲の大気は激しく叩かれ、まるで12.7cm砲が発砲されているかのように思う。原因は私だがなっ!!(キリッ
次々と19.8mm弾が撃ち込まれて行き、巨大な薬莢は甲板を転がってゆく。
深海棲艦の重巡は私の砲撃(笑)にたちまち爆沈。隣に居た深海棲艦の駆逐艦には3発ほど撃ち込むと勝手に爆沈した。物足りんな...思わず眉を寄せてしまった。
「.......」
「.......」
「.......」
以上が視察団の反応だ。まぁ、当然といえば当然だが、なんかリアクションして?
「な、なんなのよそれは!」
「口径19.8mmの狙撃銃だが?」
「それは狙撃銃とは言わないでしょう!」
「ぜひ俺も撃ってみたいなっ!」
止めてくださいシルバー少将。冗談抜きで死にますよ?コレは人間の運用は考慮されていない。妖怪なら持てるだろうといった具合だ。良い子のみんなは使っちゃダメだよっ?って事だ。
さて、無事深海棲艦の襲撃は突破し、アメストリアへと更に接近してゆく。
遥か彼方と水平線に、うっすらと小さな艦影が確認できた。あれが私だ。本来ならドックからも見えてるはずだが、恐らく妖精さんが光学迷彩でも使っているだろう。
2kmを切ると、その大きさが目に見え、全長4650mの威厳がビシバシ伝わってくる。海面に佇むその姿は実に堂々としており、神々しくもある。
「な、なんだアレは...」
「monster...」
「......」
化け物、か...私にはお似合いの言葉だな...
「oh...mygod...」
「...アメストリア殿、アレがアメストリア型戦艦一番艦アメストリアなのか?」
「そうです。あの戦艦が私の本体であるアメストリア型戦艦一番艦アメストリアです。」
幸い波は穏やかであり、格納は素早く終える事ができた。現在時刻12:30。あと30分でナウル鎮守府まで向かう。普通なら無理である。しかし、私はアメストリア型戦艦だ。普通じゃない。
少将達をあの無駄に豪華な貴賓室へ案内すると直ぐに第一艦橋へ転移し、M634を立て掛けると
15基の主機に火を入れ、艦全体にエネルギーを伝達する。
妖精さんが慌ただしく動き回り、私は艦を動かす事に集中する。なにせこの巨体である。まだ小回りの効く隼とは勝手が違う。まぁ、戦艦が本分の私だが、油断は禁物だ。
錨が巻き上げられるとスクリューが回転して行き、徐々に船体が前進してゆく。
警戒態勢が更に高まり、システムに異常がない事が報告される。よし。行けるな。
「アメストリア、母港へ向け帰港する」
最近、ISと艦これが相性いいんじゃないかって思ってきた。(錯乱)
それで、艦娘を考えていたら、何故か信濃になっていた。何故だ....
いや、理由はあるんですよ?戦艦だと弾薬馬鹿みたいに食いますし、燃料供給できるか分かりませんし、航空母艦もボーキよこせっ!ですが、まだマシです。駆逐艦は単純に威力不足ですし。(脳筋)
良くて重巡じゃないかなぁーと考えてみたり。
見たいですか?
息抜きに書きたいんですけど...(ボソッ
アメストリアが10km圏内で見えなかったのは妖精さんの独断で光学迷彩を応用した認識阻害が作動していたからです。