超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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49.迷惑な視察 l

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーー

突然だが、ナウル島の位置はご存知だろうか?

座標としては南緯0度32分 東経166度56分/南緯0.533度 東経166.933度というまぁなんとも言えないエリアに存在する島だ。わかりやすくいえば珊瑚海や魔のソロモンより少し日本側にある孤島である。

この深海棲艦との大戦が始まる以前はナウルにも国があったが以前リンによって儲けたせいで国民の生活が堕落し、リンが撃沈すると失業率90%以上というちょっと国として終わっている島であった。そのため、まともな軍など持っている筈もなく、一瞬で深海棲艦の支配下となった。他国にもとうの昔から見捨てられていたのでまぁ別に良い。私達が有効活用しているからな。

そんな領土世界第2位の国(笑)は滅び、現在は世界最強の要塞もとい鎮守府があるわけだが、当然、無許可の突貫工事である。第日本帝国はもちろん、最近やばくなってきているオーストラリアや艦娘が独立心高過ぎて軍として成り立っていない米国など、どの国にも一切の告知なく建築したため、当然問題が発生した。

 

まず、例の如く米国が煩く抗議してきて、元々俺たちの領土だ!という世迷言を言っていたし、ついでに私達アメストリア型戦艦を接収しようとしてきたので白い家にICBMをぶち込んでおいた。

 

そして、オーストラリアだが、案外煩くなかった。オブラートに包まれた抗議文だったが、本心か、深海棲艦の釘付けになる鎮守府(囮)が出来て嬉しいようだ。まぁ、軍事力では少し劣っているからな。しょうがないし、私達も戦うこと大好きなので異論はない。

 

で、何故かまたあの無駄に領土広くて国民が例の黒光りするGの如くうじゃうじゃという国家やちっさな半島一つ統一できない四流国家が意味不明の脅迫文を送り付けて来た。うるさい。

 

それで、だ。

今一番困っているのは大本営と米国海軍が視察に来るということだ。

大本営は良いだろう。最近頑張っているみたいで、戦力にも余裕が出てきて『大掃除』も行われたみたいだ。一応は帝国海軍に所属しているため、まぁ良いだろう。

しかし米国海軍は別である。何で米国が首を突っ込んでくるのか全く理解できないが、もうそういう国だからしょうがないと諦めている。

駄菓子菓子、何故私達が迎えに行かなければならないのか?全くもって理解不能だ。

ふざけんなよ。何で米国海軍を帝国海軍が迎えに行かなきゃならないんだよ...めんどくさいなぁ....まぁ、確かに米国の艦娘にはあまり興味はないが、ない事はない。少し行ってみたい気持ちはある。

「リバンデヒ、どう思う?」

「えぇ...おそらく、小手調でしょうね。太平洋を横断して米国まで行き、ナウル鎮守府まで行けるか、そしてまた帰りも送る事ができるか?そこを確かめたいんでしょう。」

「やはり、か...」

「私が行こう」

「ダメだ。カイクルはノイトハイルとこの鎮守府の防衛についてもらう。リバンデヒ、お前もだ」

「わ、私も?」

リバンデヒは付いてくるつもりだったのかキョトンとしている。可愛い。

恐らく挑発している。私達に出来るはずがないと。かつ、米国には出来ないから実力調のついでに乗せてもらおうというつもりなんだろう。まったくふざけた連中だ。

「......了解した。では厳重警戒態勢にて待機しておく。防衛システムは起動しておこう。」

防衛システムは言わずもがなあの無駄に多すぎる砲の数々に分厚すぎる防壁だ。

あの私達が通れるサイズの門?が閉まるようになっている。

船体のほうはバッチリのため問題はないのだが、米国海軍用の食料に客室、妖精さんの指示はしていない。以前の失敗は絶対に犯したくないので、重武装にて接待する予定だ。

『あー、聞こえているかな?アメストリア、すぐに提督室へ来てね』

「では、呼ばれたので失礼する。頑張ってくれ。」

そう言うと妹達は己の船体へ転移し、警戒へと向かう。

 

「提督、何かあっただろうか?」

「え?いや、これからアメリカに行くから、ちょっとね。」

「?」

「君、今のレベル99だよね?」

「まぁ、そうだが」

何故か、提督室へ行くとそわそわした提督がいて、何故かレベルの話になる。何で?

ん?なんか忘れている気がする......?

「えっと...うん、いいや。ごめんね。送迎は大変かもしれないけど、頑張ってね。」

「.....?うむ。潜航して高速航行する予定だ。」

そう。私はせっかく潜れるのだ。海上を走ると必ずと言っていいほど深海棲艦にエンカウントするので、潜水艦しか居ない海中を移動する事にしたのだ。楽だし。

しかし、なにも利点だけではない。海上では500cm四連装砲をはじめ150cm四連装砲や46cm三連装砲、30cm連装電磁力砲、20.3cm連装砲、45mm対空機関連装砲、ミサイル4500基が一斉に攻撃する事が可能であるが、海中では全ての攻撃が不可能となる。考えれば当たり前だ。

海中で主砲など撃ちたくない。面倒だし海水溜まるし。撃てるとしたら...水流か?撃つっていう感じじゃないが、90ノットのスクリューの生み出す水流は凄まじいものだ。大和のバラスト圧なんか目じゃない。

 

「機関始動!碇上げ!」

ウンターガングエンジン15基が唸りを上げ、艦全体にエネルギーを回し、艦橋の電子機器が一斉に起動する。画面が一瞬処理による膨大な文字で埋め尽くされた後、船体のチェックがされ、異常無しとでる。いや、私艦娘だから分かるし。自分の体調くらい分かるし。あ?以前風邪で倒れた?気にするな。あれは疲れていたんだ。

兎も角、全ての碇が巻き上げられ、船体にロックされる。

「微速前進。」

''びそくぜんしーん!''

''スクリューぐるぐるー!''

''しゅっぱーつ!''

巨艦がゆっくりと動き出し、その巨艦以上の広さを持つドックから離岸する。

そして、4つの巨大な舵を切り、門へと向かう。ドックを見る限り、かなりの数の艦が既に出航しており、警戒か、見送りかだろうと思う。私も()も嬉しい限りだ。

「20ノットに増速。門を抜けたのち、全砲をロック。隔壁を閉鎖しろ」

''増速しまーす!''

''ロックする感じです?''

''隔壁閉めちゃう?''

''潜る感じです?''

ぐん、と船体が増速し、門を抜け始める。まずは艦首から100m程が鎮守府から抜ける。

外海には、リバンデヒやカイクル、ノイトハイルや大和、武蔵、長門、陸奥、高雄、愛宕、龍田、大鳳、吹雪、熊野、酒匂、那珂、葛城が勢ぞろいしていた。残りは警戒艦隊だろう。しかし、これだけいればかなり圧巻である。アメストリア型戦艦が大きすぎて大和達が内火艇みたいだが、それでも戦艦である。三基の150cm三連装砲を堂々を掲げ、日本海軍特有の美しい艦橋を誇り高く天に伸びる。

艦娘として少し増速して、更に門をくぐってゆく。

『いってらっしゃい』

『姉さんの航海の安全と奮闘を願う。』

「あぁ、行ってくる。妖精さん、70ノットまで増速!全武装ロック!」

''増速ー!''

''もっとすすめー!''

''バイバーイ!''

''砲塔、ロック確認''

''砲身、下げます!''

感覚で分かる。主砲、副砲、対空砲、ミサイルハッチの順で次々と武装がロックされ、砲塔に海水が入らないように隔壁が閉まり、艦内も続々と外側からしまってゆく。

船体はぐんぐんと進んで行き、70ノットという考えられない速度で海面を滑る。

「潜航開始!」

''ちゅーすいしますっ!''

''海水ドバドバー!''

''潜っちゃう感じです?''

''潜る感じですー!''

徐々に船体が下がって行き、艦首が海面へと刺さり、大量の海水を巻き上げる。

しかしそのまま船体は沈んで行き、甲板まで沈んでゆくと、外部への道が全て厳重に閉鎖され、一気に沈んでゆく。まず主砲と甲板にある副砲が沈んで行き、艦橋群が下からどんどんと飲み込まれてゆく。海中でダメージを受ける可能性のある113号電探などは収納され、抵抗も少なくなっている。

そして遂にこの第一艦橋も水中に入り、視界が青一色に染まる。

といっても私が潜航する影響で海中はぐちゃぐちゃにかき回されており、泡だらけだが、南国の海とあって、とても綺麗だった。太陽の光が屈折でゆらゆらと差し、幻想的な光景を、一隻の戦艦が進んで行く。四つの水流を艦尾から吐き出しながら、高速で進んで行く。

「妖精さん、あとは任せた。米国10km手前で浮上しろ。」

多分試算では明日には着く。ゆっくりとさせてもらおう。

''りょうかいですー!''

''艦娘さんは休んでくださいー!''

''静かで懐かしいですねー!''

確かに。最初は私一人だった。妹達は一隻もおらず、この世界にきて最初はたった一隻で、すぐに大破した。今となっては懐かしいな。人恋しいと思ってしまう。あの騒がしさに慣れてしまったのだろう。人間なれるのである。怖いねー(棒)

まぁ、そういう訳で暇なので武器庫へと向かう。

 

ハッチが開き、一コンマ遅れて照明が灯り、ズラリと並んだ銃器を神々しく照らす。

この光景は好きだ。なんかかっこいい。いい感じに未来感が出ているが、慣れ親しんだ硝煙の匂いが仄かにし、思わず笑みを深める。

大量の銃器をまえにニヤニヤする美少女という誰得な展開になったのでさっさと中へ入る。

今回は、思い切って武装をチェンジしてみようと思う。

ライフルはベガルM634、M115AX。

アサルトはベガルM145。

拳銃は今まで9mm口径のM93Rを使用してきたが、いい加減変えようと思う。

それで、だ。今まで触れてこなかった何故か巨大な拳銃の並ぶエリアへ移動する。

そこには三種類の拳銃が置かれており、それのどれもが巨大である。30cmもあるんだもん。ナニコレ。

まず、一番大きく、外見SOCOMに見えるが、下にレーザーポインターのついた全長450mm重量1.5kgの怪物拳銃。口径13mmという異常性にも関わらず、兵士の間では軍関係なく人気を集めていたと言う。(()談)ベガルMH-5、通称五式自動拳銃。

次に、ベガルMH-4、四式自動拳銃。口径12mmと五式に比べ1mm小さいが、外見デザートイーグルのすこし小ぶりな拳銃だ。まぁ、全長240mm、重量1.2kgというバケモンだが。

そして最後はベガルMH-6、試製六式自動拳銃。口径11mmと比較的小口径だがそれ故に反動が少なく、初のフルオートを搭載したらしい。まぁ、五式とか四式のフルオートなんか見たくないわな。

 

え?普通に改造されてた?.....うそん。

 

そういう訳で、無論考える訳なくMH-6をとる......訳もなく五式自動拳銃を取る。ずっしりとした比べ物にならない重さを直に感じ、改めてこの拳銃の巨大さと溢れる重厚感に酔いしれてしまう。

なにこのロマン兵器っ!超感動する!今まではなんか使い辛そうだったから避けていたが、威圧としても使えるかなと今回導入した。

棚の一段下にあるこれまた巨大なダブルカラムのマガジンを滑らせるとセーフティを掛け、新しく用意したナイフの鞘のような長さのホルスターに五式を両腰に入れると、思わず撫でてしまう。

これからよろしくと思わず声に出してしまうが、一人だからいいだろう。

私の細い指と比べて太く分厚いトリガーに、大きなグリップ、300mmの長いバレルに、重厚感溢れるフルメタルのボディ。艶のある黒には刻印で〈VEGAL〉と筆記体が彫られている。

うん。とってもかっこいい。一目惚れしたわ。

あ?キモイって?知らんがな。この銃の魅力が分からないようだな。可哀想に。

 

ぼふんっという反動が返ってくるほどの高反発なベットに寝っころがる。

シーツは絹のような柔らかさを持ち、モッフモフである。時間はあと20時間はあるので、すこし寝るつもりだ。暇だし。

''わー!''

''トランポリンだ〜!''

''ピョーンってとべるのです!''

''ここからの眺めも素晴らしいですなー!''

''この双丘はまた、見事な!''

なんか妖精さんならぬ、変態さんがいたが、気にしない。大きいのはとうの昔に自覚している。

90位あるのか?知らんけども。だって割とどうでもいいんだよなぁ...街中ではジロジロと見られるが、あれは仕方がないと割り切っている為、あれはあれだ。

テーブルに五式自動拳銃二丁は置かれ、照明を受けて鈍く反射している所がまた良い。

そしてM145やM634が傍らに立てかけられており、M634は弾薬BOXを抜きテーブルに置いている。あれだって何時でも装着しておくものではない。

''わーい!もっとやわらか〜い!''

''ぽよんぽよんするー!''

オイお前ら...何で私の胸の上に登ってくる...しかもお前飛び跳ねるな!地味にクるから!

そこのお前は寝るな!お前ら良い加減降りろ!

「んっ.......お前ら...降りろ...」

そう言って、摘んで降ろしてゆく。

何で私の胸に弾力があったかだって?お前も変態だな。まぁ、寝る体勢だから巫女服は脱いでるんだよ。だから当然サラシも取っており、襦袢一枚な訳だ。透けてないからな?

掛け布団とでも言うのだろうか?シーツを思い切りかぶると、目を閉じる。

眠い...

 

 

 


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