ーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーー
海面を鋭い、突撃を想定して作られた艦首が引き裂きながら私は前進した。
後方甲板の二基の主砲も別々の方向を向き、どの方向から来てもすぐに反撃出来る体制へと移った。
''レーダーに感あり!数500以上!''
上空に黒い点が夥しいほど現れ、垂直に私を狙ってくる。おいおい他を当たってくれ。私は今忙しいしイライラしているんだ。だって寝ていないんだぞ?艦娘の中で誰よりも。
「45mm対空機関連装砲用意!狙え...てぇ!」
多銃身のバルカン砲が一斉に上空へ向き、大量の弾丸を打ち出し赤いカーテンを作り出す。
例え紙飛行機でさえも無事にたどり着くことができないような密度の弾幕の前に、急降下爆撃をしようとしていた米特有の美しさの欠片も無いレシプロ機が微塵切りになり塵が落下してくる。
何故、今更レシプロ機を使った?
その疑問が私の中で湧き上がる。
今までの航空攻撃は最初を除くと全てがジェット機、アメストリア軍機であった。
それが、急にレシプロ機という全く歯が立たないはずの機体を出してきた。
もっと、他の目的があってレシプロ機を特攻させたのでは無いだろうか?
そう考え、その想定される事態を考え始めようとした途端、私の身体は吹き飛ばされた。
私の電探にはある弱点がある。海面スレスレの物には反応し無いのである。
何せ、船体自体が海面から30mの高さにあり、113号電探に至っては420mの位置にある。
至近距離の飛翔物は捉えることができなかった。
船体の両側面に大量の水柱が立ち、私自身も激しく殴られたような衝撃に襲われる。
かつ、同時に海面スレスレを飛んでいたF-222かF-105かF-75かは知らんが戦闘機が艦橋群へ大量のミサイルを撃ち込んできた。
雷撃だった。この特殊装甲を積んだ海上の鉄壁の城とあれど、海面下の防御力は高くとも低い。
それも、海面が私の進む事によって白波が立っており魚雷の雷跡など見えなかったのだ。
装甲が食い破られ、浸水が始まっていた。代わりに私の腕や胴体から出血し、巫女服を赤く濡らす。頭が痛い...思い切り叩きつけられたため三半規管がやられフラフラと立ち上がる。
「被害、報告を......」
''右舷喫水線下大惨事ー!''
''海水ドバドバー''
''ちょっとヤバイ感じです?''
''中破な感じですー''
なるほど...これだけの被害で中破か。
中々に損害判定はルーズなようだ。両舷の装甲が破壊され今なお浸水が止まってい無いわけだが、
ハッチを閉めも新たに撃たれた魚雷によってまた破られ中央区画まで一部浸水している。
『お姉さんっ!?』
『姉さんっ!?』
「大丈夫だ......けほっ...中破だな。先に大和達を出せ。手負いがいても足手纏いになる。」
『了解した...』
カイクルは納得いってい無いようだが、受けるかこの雷撃?
すっごい痛いぞ?まぁ、愚痴るのは後でだ。
口に溜まった血液を吐血しながら艦内をチェックしてゆく。
すでに万能ソナーが潜水艦の探知を開始し、
そのため、私はこの浸水を止める作業に没頭する。すでに喫水線が1m下がっているようだ。
かつ、私はどこまでも不幸なようで私の中破が合図となり深海棲艦の襲撃が始まった。
取り敢えず撃てる砲...30cm連装電磁力砲や20.3cm連装砲、45mm対空機関連装砲だけを動かし深海棲艦を撃破しつつ、艦内のハッチを閉めてゆく。
機関室がやられたらリアルで地球が吹き飛ぶので厳重に閉じておく。ごめんな妖精さん。ちょっと我慢してくれ。
応急修理妖精さんが出ようとしているが止めさせ、船体が裂け無い範囲で加速する。
こんなまともに身動きが取れ無いかつ後ろに沢山の艦娘がいる状況で戦えるはずもない。
脱出を邪魔したくは、無い。
30分が経過し、大和達は反対したものの私の珍しい怒鳴り声で黙らせ、行かせた。
今頃はナウル島200km圏内だろう。
妹達はASROCのバーゲンで敵潜水艦を全て沈め、海上艦は艦種関係なく撃沈した。
ちょっと引いた。だってリバンデヒやカイクルやノイトハイルがキレたんだぞ?ガチでは無いがかなり怒ってた。まぁ、その甲斐あってか深海棲艦は取り敢えず全滅した。
''しゅーり完了ですー!''
''終了な感じです?''
''あきらめt''
''それ以上はイケナイ!''
''アウトです〜''
なんか言っちゃいけ無いセリフを言おうとした妖精さんを他の妖精さんが群がって取り押さえるという微笑ましい状態に遭遇し、何も言えない。うん、乙。
「どうだ?」
『暇だわ。すっきりしたけれど』
「そうか。一応カイクルにはベガルM634の使用許可を出していたがどうなった?」
『数千発撃って薬莢で地面が埋まったそうよ。あと、薬莢踏んでさっき転んでいたわ』
「そ、そうか...」
簡単に想像できるが、あのカイクルが、なぁ...?
以外とドジな所もあるようである。あとで弄るネタとして使う事が脳内で決定した。
「取り敢えず、私の点検が終了次第出航する。今のうちに整備をしておいてくれ」
『了解よ』
『...ムゥ...了解した』
『分かったよー』
なんかカイクルが不機嫌だが気にし無い。私もやる事があるのだ。
ベガルM634を持ち、腰にM93Rが入っている事を確認し、隼を降ろす。
提督へある事の許可を得てから既に艦娘はいなくなり立派な軍艦の姿が一隻も居なくなってくたびれた印象のある私の母港。
妖精さんによって常に整備され万全の体制であったドックは流れ弾により所々クレーターが出来、深海棲艦の墜落機による煙が上がっており戦後の軍港を思わせる埠頭の一つへ隼を接舷させると降り立つ。一応腰だめにM634を構えながらも今は誰も居ない寮を流し見つつ工廠へ急ぐ。
私はある事の為に地下へ降りドック(地下)にある工廠の第三倉庫へ向かった。
そこは使えそうな兵器はCT-7によりナウル島に運ばれたが、まだまだ死蔵されたキチガイ兵器が眠っている。正直、ここに私が来るとは全く思っていなかったのだが、来てしまった。
そして倉庫の中にある何に使うのかよく分からない砲塔や砲身などを無視し目的の物が入った鋼鉄製の格納容器を見つけ出し、艦娘の力に物を言わせ引き摺り出す。
重いんだよ。そこまで荒く扱ってないから安心しろ。
そして、『大きさの違う』格納容器を『4つ』設置すると誘爆しそうな物を取り敢えず周りに集め時限式の起爆装置と20kgのC4を作り出し、ワイヤーでぐるぐる巻きにし、信管を適当に一番上のC4に突き刺し、即席のちょっとよく分からない威力を持ったC4爆弾を作ると時間を40分に設定し兵器群に放り投げ急いで地上へ戻る。これで準備は完了しフェイズ2へ移行する事が出来る。
隼へ乗り込むとすぐに埠頭から離れ、敬礼をしながら離脱する。
同時に私の船体が丸ごと入る深さを持つ深い深い海から錨を巻き上げ始める。
500m以上の深さがある為(多分。測った事は無い。忘れてた)鎖の巻き上げには時間がかかる。
その間に隼はアメストリアの船体に到着し、海中に下されたレールに身を滑らせ、巨大クレーンにより船内へ格納される。並行作業として機関を始動させ、何時でも出航できる状態にしておく。
先程は発射する事のできなかった射程400000mを誇る主砲にも粒子弾が装填され、その撃鉄を弾かれる時を待っている。妖精さんが''ふぃーばーします!''って息巻いていたのは可愛かった。
話題がずれたが、ひとまず隼を格納し、時間を見るとあと31分35秒で起爆するらしい。
急がねば。
「出航用意!」
『リバンデヒ、完了よ。何時でも殺れるわ』
『カイクル、とうの昔に完了している。』
『ノイトハイル今終わったよ〜』
「提督、では鎮守府より撤退する。」
「うん.....」
一応提督にも第一艦橋に来て貰っている。やはり、最後まで見届けて貰いたかった。
「微速前進!絶対干渉結界起動!全天レーダー回せ!」
''よーそろー!びそくぜんしーん!''
''ごーごー!''
''おれの主砲が火を吹くぜー!''
''レーダーに艦影なしです!''
艦首が海をゆっくりと割りながら、船体が前進する。
十枚刄という未だに理解する事のできないスクリューがウォーミングアップに緩やかに回転し、舵が切られる。後ろに続くリバンデヒ、カイクル、ノイトハイルも同様に波を立て前進する。
「主砲、四番、五番砲塔何時でも砲撃出来るようにしておけ。」
私の指示のもと測距儀の形をした自動射撃統制装置IIが後方へ旋回し、砲塔の統制をする。
艦橋群の至る所にある45mm対空機関連装砲が上を向き、高高度超精密誘導爆撃や雷撃、低空爆撃、ミサイルを警戒する。
「全艦単縦陣より単横陣へ。全砲塔をオンラインにし第一戦闘態勢で離脱しろ。速度50ノットに上げ!」
スクリューが回転を上げ.............なかった。
何故なら艦尾の結界に魚雷が命中し空高く水柱が上がる。何故また奇襲を受けた!?
すぐに船体とのリンクを強め、ピンガーを打ち潜水艦の位置を特定、ASROCを50発ぶち込む。
「来るぞ!主砲全砲塔起動!旋回始め!」
主砲が素早く旋回して行き、自動射撃統制装置IIが働き妹達と互いに射線が重なるように主砲が向き、それぞれの砲身がバラバラの角度を取る。
''来ました!深海棲艦数計測不能!大艦隊です!''
おう.....?計測不能って何だ?嫌な予感しかしない。〔弾薬〕はたんまりとある。砲弾も贅沢だが全て粒子弾を使用している。今回も同じく雷撃からの襲撃であったが、レーダーをみると私達を包囲するように幾つもの艦隊陣形を組んだ深海棲艦の反応が鮮明に移されている。艦種別に表示する欄にはerrorの文字が並んでいた。
んーー?ナニソレ...?
「提督.....大丈夫か?」
「あ、うん。僕は大丈夫だよ。」
「そうか、主砲てぇーー!」
激しい閃光と爆煙、爆炎が上がり全方位に粒子弾が撃ち込まれる。
粒子弾は薬莢内の大量の炸薬を炸裂させると太く長い砲身を通り放物線を描かずにまっすぐと天気風向気温全てを無視し突き進み、包囲していた深海棲艦の一番前の艦に刺さると爆発を起こし、青白い太陽を生み出し莫大な衝撃波によって周りごと破壊する。
周り、というのは酸素 窒素 二酸化炭素 海水 深海棲艦関係無く全てを消し去るのである。
私達は速力を今度こそ上げ、主砲、副砲の毎秒連射で離脱を図る。
しかし、深海棲艦もストーカーの如くしつこく追撃してくる。しつこい男は嫌われるぞ?私の場合殺しちゃうからな.....?
薬莢が我先にと海へと没して行きその数だけ粒子弾が発射される。
40km先では幾つもの太陽が灯っては一瞬で消える。時々結界に500口径の砲弾が命中しているため、今回はアメストリア型戦艦があちらさんにも居るようだ。関係無く撃滅するが。
しかし射程が同じってキツイ。反航戦になるようだ。
深海棲艦はアメストリア型戦艦二隻に戦艦20隻。フッ...甘いな!
「妖精さん、座標固定。BGM-9及びグラニート発射。」
''りょーかいでーす!''
大きなミサイルハッチが開くと粒子弾頭を搭載した弾道ミサイルが空高く飛び立たずに海面上300mをグラニートと編隊を組みながら飛んで行く。わざわざ大気圏まで行かれても困る。
「砲雷撃戦用意!一番、二番、三番砲撃やめ!0°に戻せ!四番、五番砲塔!手当たり次第に深海棲艦を屠れ!」
未だに砲煙をあげる砲身が素早く旋回した事により煙を切ると水が掛けられジューーーッ!!という何時もより激しい音を立て瞬時に水蒸気へと変わる。妖精さん、かなりヒャッハーしているようである。まぁ、滅多にない総力戦だ。丁度いいストレス発散になる。
「..........ってぇーーー!!」
私の一声で十二門の500cm砲口から粒子弾が大量に打ち出されてゆく。うん。この光景は良いな!気分が高揚する!珍しく''彼女''もご機嫌である。
あと12分だ。
「チィッ!リバンデヒ!私が突撃する!援護しろ!」
『お姉ちゃんっ!?止めなさい!』
相手も結界を張ってきたのだ。深海棲艦が、である。もう今までの様にはいくまい。アメストリア型戦艦の火力は他の艦よりも群を抜いて高く、危険なのだ。私達がここで止めなければ脱出中の大和達が蹂躙されてしまう。それだけは、なんとしても避けなければ。
「甲板にいる妖精さんは退避しろ!対空射撃止め!」
上空を飛び交う戦闘機を全て無視する。いくらST-8や7を撃ち込んでも絶対干渉結界がある限り無駄だ。しかも後ろに続くリバンデヒが支援砲撃で次々と落としてゆく。ほっといても良いのである。というか、こっちの戦力戦艦四隻で、あっちは数百隻に制空権。どう見ても勝てないが、全てをひっくり返すイレギュラーが私である。深海棲艦は今や200隻近くまで数を減らし、戦闘機は未だ多いが、45mm対空機関連装砲がカーテンを張る限り危険は無い。
90ノットに達し、両舷に派手に海水をぶち撒けながら船体を槍とし突撃する。
深海棲艦の戦艦には目もくれず挽き飛ばす。
アメストリア型戦艦の一隻に食いつくことを決め、四枚の舵を大きく切り突っ込む。
結界と結界が激しくぶつかり合い、私のスピードと合わさり凄まじい衝撃がくるしあちらにも攻撃力となり襲いかかる。
「主砲右舷90°旋回!」
五基の主砲は忠実に旋回し砲撃を待つ。
結界に大量の負担がかかり中央演算処理装置が悲鳴をあげ始める。
バリィィィインッッ!!!という派手な音を立てて結界が崩壊し、直に艦首の船体が接触する。
私の艦首が深海棲艦に触れると前進し船体に突き刺さらずに滑りまた側面同士をぶつける。
そして火花を散らしながら装甲が擦れ、深海棲艦の艦尾向けてゆっくりと進む。
分かりやすく言えば、同型艦が反対向きで睨み合っているのだ。
「全主砲、放てぇーー!」
主砲が待ってましたと言わんばかりに粒子弾を深海棲艦の甲板むけて撃ち込み爆発を起こしてゆく。150cm四連装砲や46cm三連装砲も遅れて甲板へ砲撃を始める、深海棲艦の妖精さん特製装甲を積んでいない強い筈の装甲を突き破り、艦内で地獄の太陽を咲かせる。
500cm四連装砲が、150cm四連装砲が、46cm三連装砲が、30cm連装電磁力砲が、20.3cm連装砲が。砲塔という砲塔が粒子弾を放って行き、深海棲艦の艦橋が近付くと45mm対空機関連装砲がカーテンを浴びせる。一発一発がボフォース40mm機関砲を遥かに上回る威力を持つ砲弾が雨あられと撃ち込まれ艦橋を穴だらけにする。
左舷のミサイルハッチがドンドン開いて行きグラニート、SM-3、SM-2関係無く発射される。
相手も黙っている筈も無く、主砲を撃ち返してくるが、甲板の木材を破壊するだけで、その下の強固な装甲は破っていなかった。しかし、砲弾口径関係無くゼロ距離で放たれている為、甲板の右舷が装甲の灰色に染まりつつあり、火災も発生し、装甲が凹み始めている。
深海棲艦の艦尾へ到達し、右舷に多大なる被害を受けつつも無事に抜けた私。
対する深海棲艦は右舷は原型を留めておらず、内部も浸水し、爆発が続いている。
大破、であった。もう少しで沈むであろう。
『......大丈夫かしら?お姉ちゃん?』
「大丈夫だ。それより次だ!」
『......。』
急に無言になったリバンデヒと交差し、航跡が十字に切られる。左右を交代し、もう一隻の深海棲艦へ牙を向ける。リバンデヒの態度が気になるが、それは後回し。
リバンデヒは右舷に主砲、副砲を集中させ、速度を落としている。
「全砲塔左舷90°へ旋回。弾種変更。榴弾式結界弾だ。」
''了解です!''
''榴弾式結界弾装填ー!''
''ねらってー!''
煤焦げた巨砲が旋回し、右舷の生き残っているミサイルハッチが開いてゆく。
左舷の無傷な砲塔が全て旋回し、自動射撃統制装置が全て左舷へ向き45mm対空機関連装砲が砲身の回転を始める。
「提督、耳を塞いでおけ」
「え?わ、分かったよ...?」
私も艦橋の床に置いておいたM634を持つと弾帯を給弾口へ叩き込みコッキングレバーを勢いよく引く。スコープはつけていない。要らないし。
一発試し撃ちを兼ねて発射。艦橋のガラスを一枚割る。
そこから5cmの太さを誇るバレルを出し、バイポッドを構える。
提督は.....あ、危険を感じ取ったのか艦長室へ帰ったようだ。うむ、その判断は正しい。
そして、深海棲艦との距離3000mで反航戦(両舷からの挟み撃ち)が始まる。
「ってぇーーー!!!」
同時に私もトリガーを引き絞り続ける。巨砲が唸り、二隻合わせて40発の榴弾式結界弾が左右から襲う。一秒後、500発を超える砲弾が更に襲い掛かる。
艦首から様々な部分に着弾し船体を抉って行く。深海棲艦も一番、三番砲塔をこちらに向け砲弾を撃ち出すが、主砲の装甲に当たり甲高い音とともに弾き飛ばされると何処かへ飛んで行く。
後は知らん。
私も適当に掃射してゆくが、艦橋を狙ってゆく。しかし、今までの深海棲艦のアメストリア型戦艦を見てて感じるが、アメストリア型戦艦は旧海軍の常識に当てはまらないという事を分かっているのだろうか?どうもただの戦艦として使われて本来の運用がされていない感じがする。
単艦でも強いんだからそれに装備速力共に大きく劣る既存艦と混ぜたら折角の性能が台無しになるだろうに。何?深海棲艦の上層部...があるか知らんが上層部は馬鹿なの?死ぬの?
でもお腹すいたからおうどん食べたい。これは割と本音である。
ヴォォォーーー!というファランクスよろしくの爆音を鳴らし45mm対空機関連装砲がカーテンを展開し、穴だらけにしてゆく。
深海棲艦も必死で砲弾を発射しミサイルを撃っているが、戦い方が、なんというか古い?
旧海軍の戦い方を無理矢理アメストリア型戦艦がやっている印象を受ける。それが性能を大きく下げ、大して強くない戦艦に成り下がっているのは如何なものか...
不憫すぎるため、手早く仕留める。砲身が焼けようとも、砲塔に命中して装甲が凹もうと関係無く砲撃を続ける。
こちらに大きな衝撃が発生し、第二砲塔から炎が上がる。
「どうした?」
''第二砲塔が被弾しましたー!''
''砲身が一本折れてる感じですー''
''隣の砲身に引っかかってちょっとヤバい感じです?''
とのこと。始めて大きな被害である。第二砲塔の三本目の砲身に被弾し、熱くなっていたのも合わさり砲身がポッキリ逝って二本目と四本目に引っかかっているという状態であり、四本目の砲身は曲がっている。第一砲塔と第三砲塔が健在である。第二砲塔自体を停止させ、残りの砲を撃ち続ける。
水も掛けているが、意味無いな。直ぐに蒸発する。まぁ、良いや。
M634を横薙ぎに弾幕を張ってゆく。腕サイズの薬莢が転がり下へ落ちてゆく。アレ、甲板に刺さらないかと今更ながら心配する。ここ結構高く、ここから薬莢落としたら余裕で甲板に突き刺さる。これ、ヤバくね?後で木材張り直すの大変なんだけど...
熱くなったバレルを引っこ抜き新しいバレルを冷却の間付け替える。
こうやって二本のバレルを交互に使うことによってバレルの焼き付きを防いでいるのだ。
因みに時間経ったら冷えてバレルは元どおりになる。便利だよね。
二隻の深海棲艦が大火災を起こし沈んでゆく。
同時に、水平線の向こうで火山が噴火したかのような赤い山が出来、遅れて空気を激しく叩く衝撃波が襲う。あれの方向はパラオ鎮守府。そう。起爆したのだ。
私はそちらの方向へ敬礼を捧げ続ける。今まで着任からずっとお世話になった場所だ。
いろいろと思うところはあるし、私がこの手で手を下して良かったのかも未だにわからない。
以前、私は工廠での開発で、あるものを開発していたのを覚えているだろうか?
そう。人類最凶の大量破壊兵器、原子爆弾である。
私も使いたくなかったが、技術隠滅のため、跡形も無く吹き飛ばす必要があり、放射線による汚染で爆発後も接近出来ないのはこちらとしては実に都合が良かったのだ。
ついでに私は格納容器を四つ置いた。核、粒子爆弾、波動砲、粒子爆弾だ。
在庫処分となったから良いが、粒子爆弾は核を補佐しパラオ鎮守府を島ごと吹き飛ばしてくれただろう。一際大きなキノコ雲が上がる。あーあ...使いたくなかったなぁ...
よりによって米と同じ手を使うとは屈辱である。やだなぁ......
『...お姉ちゃん?』
『姉さん?まさか...』
『お姉さん.....核を使った?』
「あぁ...色々と都合がいいからな」
『そう...』
『そうか。ならばいい。』
『まぁ、そこは同意するけどね〜』
罪悪感というより嫌悪だな。同族嫌悪では無いがなんかやだなぁという感じだ。
ん?分からない?だろうな。私もよくわからない。
「全艦満遍なく船体に放水しろ」
一応、放射線の危険性を考慮し水をまいておく。十分で無いのは承知の上だ。砲身の冷却も兼ねている。というかそっちが大きい。
艦橋の高い部分から大量の水が放出され、甲板に降り注ぐ。
砲塔が水を受け赤くなった砲身から水蒸気が立つ。甲板の木片は洗い落とされ、少々...とは言え無いくらいに凹んだ装甲が露出し凹んだ部分に水が溜まる。
主砲からは雲が出来る程の水蒸気が発生し、艦全体が水でキラキラと輝き大量の水蒸気で蜃気楼の様だった。
「被害報告」
''ほーこくです。甲板全滅、装甲小破、船体特殊装甲は中破、第二主砲大破、30cm連装電磁力砲三基大破、十五基中破、20.3cm連装砲二基大破、五基中破、艦橋群一部損傷。総合的には被害軽微、航行にししょーありません''
''全然大丈夫だぜー!''
''まだまだ撃てるよー''
流石はアメストリア型戦艦というべきか、かなりの被害を覚悟していたが、大破にも満たないレベルだった。二隻ものアメストリア型戦艦と殴りあったのだが、これだけの被害とは...妖精さん万歳。凄いと思う。
「弾薬消費は?」
''はいはーい!500cm四連装砲は8695発でーす!''
''...150cm四連装砲、6272発''
''46cm三連装砲7861発です!''
''30cm連装電磁力砲大体3000発だよー!''
''20.3cm連装砲2806発なの''
''45mm対空機関連装砲、83165979464発です!''
...
.......
..........
..............
ん?45mm対空機関連装砲......は?
ちょっと待てい、そんなに撃った覚えない。うん。絶対撃ってない。
は?殴り合いで両舷共に沢山撃ってた?あ、そっすか...そういうこと...
正直、消費弾薬量が恐ろしいのだが...
「〔弾薬〕消費量は?」
''えっと...2106です!''
''しんきろく!''
''いえーい!''
''ぱふぱふ〜!''
''げっとd''
''OUTー!''
2106って何?〔弾薬〕消費量ではないよな?大和って本気で大体300〜500位だが、これ何?
2000代......怒られるなぁ...修理にも鋼材とボーキサイト...あぁ...万単位で消えるなぁ...はぁ...
また、工場か...憂鬱になる...もういいや...