超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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諷詩です。無事復活いたしましたので早速一話投稿いたしました。これからもよろしくお願いいたします。


35.巫女さんのメイド服

35.

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お姉ちゃん、起きたー?」

目を開けると第一にノイトハイルの優しい微笑みが飛び込んできた。

そうか。昨日はノイトハイルのベットに腰掛けて寝てしまったのだろう。

 

「んっ...ノイトハイル、大丈夫なのか?」

「ん~まだ本調子じゃないけど何とか動けるよ」

 

よかった...()と私の大切な妹だ。無事でよかった。

とりあえず立ち上がり軽く伸びをする。

今日は特にこれといった仕事もない為、のんびりとする予定だ。

といっても私達にとってののんびりといえば、

 

一に戦争

二に戦争

三に戦争

 

のため、今日はグータラの方向で行く予定である。

先にノイトハイルと替えの巫女服に着替え、医務室から出る。

 

「あらあら?お姉ちゃん、お楽しみだったかs痛っ!」

 

なんか医務室から出たらリバンデヒがいたのでとりあえず叩く。予想通りくだらないことを言っていた。

はぁ...

 

 

なんとなくドック(地上)に向かう。これは艦娘としての本能だろうか?

私達は船である。本来のいる場所は海の上。かつ戦場である。

()も最近戦場がないからイライラしているようだ。怖。

ドックは今までの反省から常時相応艦隊が停泊しており、今日は陸奥に暁、雷のようだ。

海風が吹き込み私の長い髪が舞う。

直ぐに抑えるが、これもこれで絵になっていると思う。さっきからリバンデヒの気配がすごいことになってるし。鼻血、出してないよな?

 

「む、姉さんか?」

 

後ろを振り返るとカイクルがとてつもない長さの日本刀を肩に担いでいた。

いや、なにやってんの?それ斬馬刀じゃん?なにに使うの?

 

「カイクルか、別にどうということはない。そっちは振りか?」

「うむ。最近極長の刀を振っていなかったからな。昨晩振ってみたが装甲が500mmしか切れなかった。精進せねばならないのではな、また」

「あぁ。」

 

今日も通常運転のカイクル...既に50cmの装甲板を切れる時点で色々とおかしいと思うんだけど。

それがアメストリア型戦艦クオリティ...

 

暫く入江から望む軍港を眺めているといくらかの艦影が見えた。

どうやら今日の演習艦隊が帰還したらしい。

演習といってもパラオ鎮守府内でのレベルアップでは無い。他の鎮守府との演習である。

本来ならどうやっても着かないレベルの過疎地であるが、無論全艦に粒子エンジン完備であるため軽々と航行する。

たしか今回の演習艦隊は武蔵、鳥海、龍田、矢矧、電、響であったはずだ。

直ぐに地下のドックに転移し、見ていると艦艇用超大型昇降機が起動し各々の艦艇を下ろしてきた。通常の武蔵よりも二回りほど大きな船体を持ち、150cm三連装砲を堂々と掲げる武蔵改三。

外見こそ変わっていないが某海上戦争ゲーの如く連射力を持ち、弾頭もウンターガング弾を除き私達と大差無い鳥海。

旧式となってしまっていた船体は大幅に改造され、艦橋は高雄型に似せられ、単装砲は連装砲へとグレードアップされている。最高速度は70ノットを誇る機動力と連射力を備えた死神である龍田。

大和の付随艦として最期を共にした歴戦の艦は当時よりはるかに激化した今宵の戦争について行けるように、何よりも大和と共に行けるように性能が二桁ほど上昇し、主砲は20.3cm三連装砲にグレードアップし、ミサイルも20セル程つんでいる。というか全艦ミサイルは積んでいる。

乗務員の居住スペースなどが必要ないからであるが。

最新式電探やソナーを実装し、もはや軽巡洋艦の域を超えた矢矧。

優しくも決して芯曲げない力強さをもつ駆逐艦は三連装砲へ換装し、船体を大型化。

海面を滑るのではなく、海上を滑る高速艇となり、機動力に抜群の優位性を出し、装甲も相応の防御力を持った電。

既に露に引き渡された後の外見をし、電と同じ改装を受けた駆逐艦か?と疑ってしまう艦は元気な姉妹を支える響。正直言ってここまで既存艦艇がチート化するとは予想していなかった。

 

「アメストリアか、どうしたのだ?」

「いや、なんでもない。それよりもどうだ?」

「まだまだよねぇ...他の鎮守府」

 

龍田が答える。そりゃそうだと言いたいが、龍田は他の鎮守府に技術が流れてから以降に建造された艦だったはずだ。龍田の方が上達が早いのは如何だろうか?

 

「でももうちょっと頑張れば強くなると思うのです。」

「うん。私もそう思うよ」

私がパラオ鎮守府最古参の電が言うならばそうなのだろう。

「そうなのか...大佐殿の艦隊か?」

「そうだ」

 

やはり...あそこは恐ろしく優秀だと思う。

トラック島開拓に大規模演習議長提督、数々の受賞。優秀すぎるくらいなのだ。

経験なのだろうか?()からみても類を見ない優秀な佐官という評価が出ている。

 

 

「これは...」

「あ、いけない。鼻血だわ」

 

私は現在困惑と同時に今まで味わったことのない恥ずかしさに襲われている。

へ?何故かって?

だって私がメイド服を着ていると言えば良いだろうか?

すんごく恥ずかしい........

鏡に映るクラシックなメイド服をきた絶世の美少女も顔を真っ赤に染め俯いている。

しかし誠に遺憾ながらこれを脱ぐことは出来ない...くそぅ...

 

「.......カイクル...解いて、くれ...」

「すまない。私も止めるつもりは無い。」

「うぅ.....」

 

腕を縛られているからである。

こうなった経緯を説明しよう。

 

私は暫くぶらぶらしてから食堂にて大和や高雄達と同席しながら昼食を摂り、

自らの船体にて昼寝に興じていたのだが、

気配を感じ目を開けると同時に何者かに口に布を当たられ意識を失った。まぁ、リバンデヒとカイクルだったのだが。

そして気づいたらこのありさまである。

 

 

「はぁ...」

 

どうしてこうなった...妙にコソコソと動いていたなと思ったが。

私、朝ノイトハイルと居たから気付いかなかった。じゃあ自業自得、か?

ご丁寧に薬品で眠らされてこんな服に着替えさせられた。

かつ力が入らないように腕がキツくクロスさせられ装甲に使われる鋼鉄製のワイヤーで手首を縛られている。

まぁ、幾らでも対処出来るのだが。

リバンデヒとカイクルの頭上に鋼鉄製のレンガブロックを作り出し、思い切り落とす。

 

「きゃんっ!?」

「むきゅっ!?」

 

不意をつくことが出来た。

けどカイクルがそういう声を出すとはな...ふふふ。

手首にナイフを作り出しキャッチ。直ぐにワイヤーを無理やり切り取り(熱で)

腰に手を当てる。

 

「正座しろ」

 

どこまでも冷え切った声が私から発せられる。

 

「は、はい」

「うむ...」

「お前らな...はぁ...何故私にこんなメイド服を着せた?」

「えっと...可愛いと思ったかr」

 

とりあえず叩く。こいつら...私はマネキンでは無いんだよ..

拘束しよって...あーだめだ。イライラする。

 

「お姉ちゃーん?入るよ〜」

「ふぇ?あ、ちょっ、まっ...」

 

今から5時間耐久説教コース入れようとした矢先、ドア越しにノイトハイルの声が聞こえ、思わず気の抜けた声が出てしまう。えっ...

 

「お姉ちゃ......えーと、うん。似合ってるよお姉ちゃん?」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああ!!!!!」

 

見られてしまった!見られてしまった!よりによってノイトハイルに!

ノイトハイル隠れSだから絶対いじられるっ!現にニコニコしてるし!

もう終わった私の人生!あはははははは.....

もういいや...意識を手放す。なんか最近故意に意識を遮断できるようになった。

感謝!

 




アメストリアさんご乱心。

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