WiiUでちまちまと書き連ねやっと投稿。多分もうない。
今回振り返り回。説明多し。
私はあの後ノイトハイルを傷つけられた怒りに任せ"全ての"深海棲艦を駆逐し、ついさっきまで激戦を繰り広げてきた艦娘達の無事を確認した。良かった...誰一人として轟沈はしていない!
一応、鎮守府には物理的な損傷は無い。
万が一地上のドックが破壊されると地下に大量の海水が入り込み、生産装置を始めとした工廠などのバックアップが軒並み全滅する。しかしそれをノイトハイルは防いだのだ。
一応提督の安全を確認した後、私はすぐに医務室の方へ急いだ。
ノイトハイルは中破ないし大破の大怪我をしている。しかし救助され、医務室に提督が運び込んだのだ。
「ノイトハイルは?」
「大丈夫だ。安心して眠っている」
医務室の扉の前ではカイクルが既に立っていた。自身も心配だったのか、私が来ることを予測していたのだろう。
カイクルに聞いた所、ノイトハイルはあの第一艦橋に砲弾が命中した際に爆風で吹き飛ばされて肋骨を二本折り、更に脇腹を切り、破片によって磔にされ、何とか自力で抜いたがそれ以降の被弾により至る所に銃創や切り傷のような傷で貧血状態だと言う。
しかし思わぬ救助が入った。
私達が居ない間の更なる戦力強化として建造された艦である特型駆逐艦吹雪型一番艦吹雪。
彼女が自らノイトハイルの船体に乗り込み助け、自らの船体を陸に乗り上げてまで運んでくれたらしい。
私と
と言うか吹雪と言う艦娘を詳しく知らない。芋というくらいしか...
「カイクル、リバンデヒは何処だ?」
「む?知らないな。...いや、確かあの駆逐艦を見てくると言ってふらりと何処かに行ってしまったな」
「そうか。」
恐らくリバンデヒも同じ考えに至ったのだろう。
一度己の船体へ戻る。
既に四隻とも地下ドックに格納されている。まぁ、一隻は見るも無惨な状態で船体の結界以外の頼みの綱である鎧は外され、生々しく傷跡を晒しているが。
取り敢えずM93Rを一つに減らし、代わりに天代の大太刀を差す。決っしてカイクルの奇襲に備えた訳では無い。無いったら無い。完全武装には及ばないものの、正装である。
武そ...正装に替え、地上へ上がるとそこは妖精さんがあっちへこっちへと島各所に点在する湾岸砲台の弾薬や換えの砲身を持って走っていた。
未だに警戒の為に海上に浮かぶのは大和とその付随艦。
そして浜に堂々と乗り上げ、大きく傾いている駆逐艦、吹雪を海に戻す為に武蔵がいる。
それにも動いている為、妖精さんは大渋滞が発生している。
私はこれといって支援はしない。私ならば砲身も運べるが妖精さん独自の物流ネットワークを素人の私が不用意に介入すべきではない。かえって効率が悪くなる。
邪魔をしないように離脱し、リバンデヒを探す。
いた。あれから森林や砲台などの様々な場所を巡ったが見つからず、桟橋に向かった所、誰かと話していた。
セーラー服を着た中学一、二年生位の美少女。恐らく吹雪だと思われる。
ゆっくりと歩いていく。別に走っても意味が無いし、四キロを越えているからだ。
しかしシスコンの前には四キロと言う距離は短いらしくリバンデヒが気付き、手を振ってきた。
うわぁ...
「お姉ちゃん!」
「あぁ、聞こえている」
踏み込み、一瞬で距離を詰める。
吹雪は驚いている。まぁ、そりゃそうだろう。豆粒くらいの艦娘が一瞬で近くまで来たのだ。
私だったら斬っている。
「え、えぇ!?」
「あ、お姉ちゃん。気付いていると思うけどこの子が吹雪よ。」
「うむ。一応自己招介はしておこう。私がアメストリア型戦艦一番艦アメストリアだ。この度は私の妹をお助け頂き誠に感謝する。」
そう言って深く頭を下げる。
本当に感謝しているのだ。本当なら何でもやりたいくらいに。
しかしそれを言おうとするとリバンデヒが殺気を飛ばしてくる為言えない。こちらにもメンツがあるからだろう。
私がそんなものに無頓着なのを知ってこその殺気だろう。負い目を感じているのか私に習ったのか同じく腰を折っている。
さて吹雪に無事札を言い、私が頭を下げると思わなかったのかあたふたしたりとあったが、余談だろう。
暇な為船体のチェックや弾薬補給の為に生産装置をフル稼働させたりと全ての予定を消化。
また提督の執務室へ行き、本日の秘書艦であった加賀と仕事を代わり、黙々と書類を処理していく。
無論何時もこう言う文字を書くわけではない。筆を持ったら私達四姉妹は全員達筆な行書体を書き連ねることが出来る。
私としては体が勝手に動くので楽だが。
「ふぅ...提督、一且休息を取ったらどうだ?」
「うん...そうするよ。ありがとう」
「いや、いいんだ。正直暇であったし、量的に加賀であっても捌けないだろう」
正直、書類の嫌がらせは過激さを増している。白い山は三つ程増え、私達アメストリア型がいなければ到底処理出来ないクラスである。調子乗り上がって...いや、私達を提督が独占している事に対する嫉妬か?なら、私達は迷惑を掛けていることになる......?
それは嫌だ。提督に迷惑は掛けたくない。一応私を助けてくれた存在だからな。私、恩義は忘れない女なのだ。その為、降りかかる火の粉は例え核であろうと米であろうと全て粉砕する。艦娘達に掛ったら大変だからな。うん。
中の国?知らんな。ニダ?もう消えてんじゃね?未だに朝鮮半島を統一出来ない三流のアホ共に構っている暇はない。
というか何で私は提督を守るんだ?助けて貰ったから?
それもあるだろう。しかし、それだけじゃない気がする。ならば、何だ?
分からない。今私が抱いている気持ちが分からない。理解出来ない。
暖かい?温かい?でも、これが何であるか解らない。
アホなど気にしない方が良いのかも知れない。
気楽に生きたいし。でもそれじゃいけない気がする。何これ?
あぁもうやめだ。やめだ。考えるのを止める。
後で考えれば良いだろう。
太陽が水平線の彼方へ沈み、夜独特のじめっとした空気に代わり、海風に変わった頃、やっと書類処理が終わり、
提督に別れを告げ提督棟の警備を済ませ、工廠へ終了の知らせを告げ、戦艦寮に戻る。
思えば最初は私だけが寂しく暮らしていた戦艦寮も戦力強化で、あのクソッタレから救助で賑やかになった。
リバンデヒが、カイクルが、大和が、武蔵が、長門が、陸奥が、ノイトハイルが。
私が頑張ったわけではない。提督が、工廠長が、妖精さんが頑張ったのだ。
私はその支援やきっかけを作ったに過ぎない。
「アメストリアじゃないか、どうしたのだ?」
声をかけられ振りむくと風呂上がりか白い着物を着込み、何時もの電探型カチューシャを外した褐色の美女、長門がいた。
「いや、少し感傷に浸っていただけだ。」
「そうか、なら付き合ってくれないか?」
そう言って長門は片手に持つ透明な液体の入った瓶を掲げてくる。
気分転換には良いかも知れない。
快く了承し、移動する。二人とも外見こそ只の美少女だが、お互い国を守ってきた戦艦艦娘だし大丈夫だろう。
場所は寮近くに設置された50Ocm四連装砲台の巨大な上部装甲だった。
お猪口に日本酒が注がれ、私と長門が持つ。そして、
「これからの未来とこのパラオ鎮守府に乾杯」
「乾杯」
一気に飲み干す。さらさらとした舌触りのいい液体が喉を焼く。しかしそれも心地よい。
これが日本酒か...美味しいな。確か私の船体にも沢山あったはずだ。
「どうだ?初の日本酒は?中々いけるだろう?」
「あぁ...意外に美味だ。ありがとう。」
「いやいいんだ。それより、アメストリアは最初の頃からいるのだろう?」
「まぁな。最悪だったが。」
だって何も知らないまま
提督に助けられた。
「大変だったな」
「あぁ。本当にな」
色々とあったなぁ...今思えばやんちゃしていたな。後悔はしていないが。
確かまた合同演習とかあったな。また参加してやるか。
「ではな。ありがとう。少し楽になったよ」
「それではな。いやいいさ。私達にやれることはこれくらいだからな」
「それでも感謝している。またやろう。今度は私の方が出そう。場所は艦首でいいか?」
「それはいいな」
長門と別れる。これからも酒の付き合いになりそうだ。
寮の自室に戻り、誰も居ないピシリと整えられた布団を見る。ノイトハイルは未だに意識を戻さず、医務室で眠っている。
何時もと違い、ノイトハイルののほほんとした雰囲気が無い自室は寂しい。
気づけば医務室の前に居た。私って意外と寂しがり屋か?ふふふ...
ノイトハイルの眠るベッドに腰掛け、目を閉じる。
次回もほのぼの回。
でも二章は終わり。次から大きく動く。
評価くれたらうれしいなー.......がめつくてすいません。