超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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31.急襲

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーー

帰投後、一日のみ休息を貰い三隻並んで近海に停泊。

リバンデヒのマストが修復される間寄り添うようにぴったりとくっついている。

私達は艦橋群の最も高い露出艦橋にてのんびりしている。

お茶を煎じて、M115は一応外に向けて立て掛けている。

「暇だな...」

最近の口癖がこれだ。だって一々動くと煩いし弾薬の消費量すごいし面倒なことしか無い。

「姉さん、また振r「却下だ」...」

妖精さんは一ヶ月に一度の総点検のためここには居らず、今頃色んな所を点検もとい遊んでいるだろう。きっちり仕事はこなしてくれるんだがなぁ...何故だ...何故あそこまでフリーで行ける...

机の上に艦長妖精さんを乗せ、右手でナデナデする。左手で頬杖をしてぼんやりと眺める。

怠けているって?あんた戦艦だろって?

いやマジで暇なんだよ...一回来てみろ...すぐに痛いほど分かるから...

妖精さんはきゃっきゃと喜んでくれる。

癒される。

 

しかし平和な一時?というのは長く続かないのがお決まりである。

私の船体より警報が鳴り響き、空気を叩く。

すぐに機関を回し、抜錨。速やかに離脱する。

「妖精さん、使用可能な兵装は?」

''点検で500cm四連装砲第二、三番砲塔、150cm四連装砲、四番、五番砲塔に20.3cm連装砲が全基停止しています!''

まともな武装は...500cm四連装砲三基に150cm四連装砲四基、46cm三連装砲二十基に30cm連装電磁力砲、45mm対空機関連装砲か...戦闘できるか...?いや、主砲は三基健在だ。大丈夫だろう。

「リバンデヒ、カイクル、絶対干渉結界を起動しろ。空からくるぞ」

『砲』として認識されていないため、装備にも表示されていないM2の連装砲も格納式だったが全て出す。艦首や艦尾にも配備されている。

恐らく対地クラスターミサイル42発を誇るFB-99が大量に来る。

投下される前に墜さなければならない。

「主砲三式弾装填!全対空砲てぇー!」

ガンガン放ってゆく。それはもう。猛烈な対空砲火が三隻より放たれ、投下体制のため弾倉を開けていたFB-99に命中。爆炎をあげながら墜落してゆく。

 

近海より離れ、安全圏に達した途端主砲を放っていく。

「三隻回頭!盾となれ!主砲90度旋回。全門放て!」

以前言った通り、90度回頭をする為には五分かかる。

使える砲を全て起動し、引き金を引く。

しかし間に合わない。

 

深海棲艦の打撃艦隊より爆撃機や主砲弾が放たれ、私達を抜ける。

後ろで爆発音が響いた。クソッ...

「妖精さん、停止した砲は?」

''...使えますっ!''

「全砲粒子弾装填。てぇー!」

毎秒のペースで放たれ、白に青いラインの入った砲弾が撃ち出され、深海棲艦に着弾したとたん大爆発を起こし眩い光を発する。

しかし敵は海を覆うほどの量がいる。駆逐艦や軽巡洋艦が盾となり戦艦や空母に砲撃が届かない。

「ミサイルハッチ全門開けろ!グラニート装填。座標固定、発射!」

4500基の白い矢が放たれ、その後を追うように数百発の砲弾が放たれる。

リバンデヒを真ん中とし単横陣で布陣する。最も主砲、副砲をはじめとする砲が動かせるからである。三隻とも総点検の影響は消え、やっと万全の守りが展開できる。

六十門の砲口より全長7mのちょっとしたコンテナクラスと大きさの砲弾が一分で21600発で放たれ、深海棲艦を薙ぎ払ってゆく。上空より幸運にも対空砲火を潜り抜けた戦闘機よりミサイルが放たれるが結界が防ぎ、45mm対空機関連装砲がロックし、大量の弾薬を吐き出す。

副砲も車両と同じ大きさの砲弾が飛び出し、高速回転しながら突き刺さり、大爆発を起こす。

20.3cm連装砲が主砲や副砲の設置位置の高さ故に放てない死角に砲弾を打ち込み、30cm連装電磁力砲が深海棲艦の艦橋をいくつも貫く。

 

「お姉ちゃん、増援よ...」

「了解した。主砲を除き全門停止。」

爆音が主砲独特の音量のみに減り、三隻の間を大日本帝国海軍の誇る戦艦達が通り抜ける。

私達も射線上に入らないように遠方の深海棲艦を沈める。

一応、500cm四連装砲の下の海面にいると戦艦出会っても軽くペシャンコになる為中々連射はできない。

 

恐らくもう大丈夫だろう。

私達の猛烈な砲撃により敵は元々少なく、強くてもélite級だ。

艦載機は全て対空砲が墜とした為、制空権はこちらにあり、空母はグラニートの餌食になった。

警戒を解く。はぁ...疲れt''南東に深海棲艦ですっ!数三十!''

これである。

別働隊を警戒していたが今来るか...

皆も察しているだろうが、私達が動く際、どんなに微速でも恐ろしい量の海水をかき分ける。

従って両舷に高波が発生し、駆逐艦なら五ノットで転覆する。

つまり、今私達の周りには増援で来た戦艦や空母、重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦の艦娘がいる。

動き出すと味方に被害が及ぶ。

嵌められたか...

「カイクル」

「あぁ...嵌められたな」

「両舷微速。ニノットにてすぐに離脱しろ」

グラニートも使えるが、上空には艦娘の艦載機が飛び回っている為、FF(friendlyfire)の危険性がある。下手に攻撃ができないのだ。大火力の戦艦の欠点だ。

慎重に船体を進めていく。

 

ガゴンッ!

 

少し船体に衝撃が走る。しかし何事もなかったかのように進む。いやいやいや、何が当たった!?

艦娘かっ!?やばいやばいあばばばばばばばばば...

「ひ、被害は?」

''35.6cm砲弾が一発船体に命中しましたが特殊装甲に弾かれましたっ!無傷です!''

オイ...私の心配を返せ...ただの35.6cm砲弾かよ...ちょっとツンっとした程度の感覚だったが...?

船体に張り巡らされた複雑に重ねられた装甲は500cm砲弾がゼロ距離で命中してもビクともしない。多少凹む程度だ。

35.6cm砲弾などは豆鉄砲にも値しない。

しかし私は反撃をしない。受け身しか取ることができない...歯痒い...

「安全圏に到達した途端殺る。主砲榴弾式結界弾装填。電探連動」

五基全ての主砲が左舷側に旋回し、電探より情報が送られ、仰角、旋回角が調整される。

そして、

「てぇーー!!」

船体が黒煙に包まれる。砲口より精密に調整された放物線を描き、補足した深海棲艦にまっすぐと飛んで行く。そして大爆発を起こす。

「撃滅確認...全て殺れたか...?」

「恐らく」

はぁ〜〜〜焦ったぁ...点検中に奇襲してきたかと思うと罠にはなられるし大変パニクってしまった。全く...ヒヤヒヤしたじゃないか........

 

「妖精さん、一応点検と砲弾の当たった装甲の再塗装をしておいてくれ」

そういうと妖精さんの動きが慌ただしくなり、工具を持ったをペンキやハケを持った妖精さんが行き来し、やがて遊び始める。

きゃっきゃと鬼ごっこを始めている。可愛いのだが、私は遊んでくれなんて言ってないんだけどなぁ...?

何やってんの...?よく見れば45mm対空機関連装砲や、M2の砲身に妖精さんがぶら下がったりしている。ちょっとフリーダムすぎませんかねぇ...?私が疲れるんだけどなぁ...はぁ...


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