30.帰還、そして補給
ーーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アメストリアだ。
現在は横須賀鎮守府近海に投錨し、大本営からの補給船を待っている。
少しだが、弾薬を消費したからだ。まぁ身もふたもない事言うと補給など必要ないのは提督諸氏もお分かりだろう。なればこそ、何故補給を受けるのか?答えは簡単、私達が大日本帝国海軍所属であるからである。所属している艦娘に補給を行わないなど組織として失格であり、メンツが潰れる。要はパフォーマンスなのである。私達を海軍が統率しているという。
一応レーダー最大感度で索敵をしており、警戒はしている。
いつでも500cm四連装砲をブチ込める。
中型の補給船が近付いてくる。
補給中は武装の殆どが使えない為、私に補給が行われている間はリバンデヒ、カイクルが護衛することになっている。配置は私を中心に挟み込むように寄せられる。
補給船が汽笛を鳴らし、私は船体の隼を格納する格納庫のハッチを開く。
隼は奥に寄せている為、幾らかスペースはある。
隼を格納するときに起動するクレーンが動き出し、補給船に満載されている弾薬の入った木箱を吊り上げる。無防備だ...
「リバンデヒ、深海棲艦は?」
『特にいないわ。平和そのものよ』
結界も補給船を攻撃の意思のある異物として排除してしまう為使えない。
無事私の補給を終え、陣形を入れ替える。
二隻目の補給船がリバンデヒに接近する。
私はリバンデヒの右舷に盾となり着く。主砲は既に全方位対応できるように様々な方向を向いており、150cm四連装砲、46cm三連装砲をはじめとする副砲も仰角と船体の高さ上砲撃不可能なエリアを潰していく。
カイクルも含め30分はかかる為、気を抜くことができない。
しかしこういうときに限って...
''レーダーに感あり!深海棲艦数ニですっ!''
デスヨネー.......はぁ...
「リバンデヒ、引き続き補給を続けろ。カイクル、私の代わりに守れ。
戦闘態勢!主砲通常弾装填!第一、第二砲塔座標ロック、てぇー!」
やや重くなった船体をゆっくりと動かし、少し離れる。
そして私の船体艦首側にある二基の主砲が指定された角度へ旋回し、仰角を合わせるために素早く砲身を上げて行く。
そして間髪入れずにオプティマス砲が火を吹き、深海棲艦を抉り取る。
ドロップは...無し。
補給が三隻共無事に終え、補給船が帰投したのを確認する。
恒例の報告タイムだ。
「ノイトハイル、聞こえているか?」
『聞こえているよ』
「報告は?」
『んー...特に無いね。平和そのものだよ。けど、少し静かすぎるんじゃ無いかなー?』
「そうか...気をつけてくれ。監視されている可能性がある。」
『了解したよ』
恐らく私達三隻の動きは監視されているだろう。私だって敵に規格外の戦力がいたら監視し対策を立てる。このまま何も無かったらいいんだけどなぁ...無理だろうなぁ...
ー夜ー
水平線に太陽が沈み、夜の萱が降りてきた頃、三人で集まり夕食を取り、会議室にて集まっている。
何時出撃するか?最も早いルートは?撃滅対象の予測やそれに対する対策、被害、消費資材の想定など多岐にわたる。
「ではこういう...リバンデヒ、カイクル」
「居るわね」
「うむ。消すのか?」
当たり前だ。すぐに第一艦橋に転移する。
レーダーには...六の反応。距離245000m。重巡2、軽巡2、駆逐2だ。
すぐに消せるな。
「主砲一番、二番、三番砲塔起動。目標を三隻で分配しろ。
榴弾式結界弾装填」
CICが目標を分配し、リスクなどを一瞬にして解析する。
ガゴンッという音がなり、主砲が火を吹くたがる。
「座標固定。てぇー!」
轟音が鳴り響き、全ての敵がレーダーから消える。
「念のためレーダー最大感度...ッ!?」
身体に鋭い感覚が走る。このチクチクとした感覚は...魚雷か?
「万能ソナー打て!潜水艦が居るぞ!」
ピンガーが打たれ、海中にいる深海棲艦を捕捉する。
「ミサイルASROC装填、座標入力!251番から255番、放てー!」
側面に出っ張っている船体より五発のミサイルが発射される。
ある程度飛翔するとパラシュートが開き、ミサイルがヒラヒラと落下を始める。
海中を進む空飛ぶ魚雷だ。しかもターゲットを入力すると自動で追尾してくれる便利なミサイルだ。
やがて海に着水し、パラシュートを切り離し、海中を進んでいく。
そして深海棲艦の紙装甲を突き破り、大爆発を起こす。
「撃沈確認。リバンデヒ、其方はどうだ?」
「えぇ。こちらも大丈夫きゃぁぁあ!?」
リバンデヒの船体より爆炎が上がった。被弾、したのだ。命中したのは三脚檣だ。数多の観測機器や電探が生えた大和型の巨大版マストがぽっきりと折れ、第二塔楼に命中。さらに機器や電探、加えて多数の対空砲にのし掛かった。あー、ダメみたいですね(諦め)
「こちらリバンデヒ、マストと下にあった電探を幾つかやられたわ」
「了解した。カイクル、速やかにリバンデヒから離れろ。二人とも結界をすぐに張れ」
敵はアメストリア型だろう。あそこまで正確な砲撃は私達くらいしかでき無い。
「主砲全門起動!電探連動!座標を固定!リバンデヒとも連動させろ」
三隻による大火力で叩く。
六十門の砲口から爆炎が吐き出され、狙われた私達と同じ形を持つが全く違う敵に命中する。
オマケとばかりにグラニートを放つ。
二千発以上の音速を超える矢が白い線を描きながら突入し、深海棲艦はあっけなく撃沈する。
船体を真っ二つに割って沈んでいった。
リバンデヒが若干顔色が悪いが仕方ないだろう。リバンデヒも同じ沈み方をしたのだ。
気分を害さ無いというのが無理な話だ。
「リバンデヒ、修理は妖精さんに任せてすぐに休め」
「......そうさせてもらうわ...」
深海棲艦が最後まで沈みきるまで見送り、近海へ帰投する。
リバンデヒが抱きついてきたのは言うまでもない。