超弩弩々級戦艦の非常識な鎮守府生活   作:諷詩

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23.えぇ?

ーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アメストリアだ。あれから一月の時間が経ち、鎮守府は穏やかな様相を見せている。時折砲声が響き、上空には編隊を組むF-105。私はそれをアメストリアの露天艦橋で鬱屈な気持ちで眺めていた。何故か?それは最近海軍内で実しやかに囁かれる噂の所為である。「アメストリア型戦艦と思われる不審艦が海軍を襲撃しているらしい」この噂には信憑性があまり無いが、それでも嘘であるとは思えない。というのも実際に消し飛ばされた島があるらしく、観測に行った艦載機妖精さんが撮影した写真が他の鎮守府から流れてきたんだが、確かにあの着弾痕はアメストリア型戦艦でしか為せない。うーんこの

また他にも最近の出費が莫大で、資材備蓄の遣り繰りに頭を悩ませているのが拍車をかけている。

そして最近私達は一切出撃せず工場している。何故か?

 

1.アメストリア、リバンデヒ、カイクル改二への改修

(鋼材114575×3.弾薬4600×3)

 

2.大和、武蔵、長門、陸奥、赤城、加賀の改三への改修

(鋼材30000×6.弾薬3500×6)

 

3.改修内容に慣れるための演習

(弾薬35600)

 

という私の改修から演習までですっかり鎮守府の備蓄が無くなり、てんやわんやになった。

しかしデメリットだけでは無い。

恐ろしい程の戦力、世界に宣戦布告しても勝てる力が入り、鎮守府から半径200kmは深海棲艦が居ない。

食料問題も深刻化し、私が頼み込んで間宮さんを建造した。

たしか本来は建造できない便利アイテム的な扱いだが、此処は現実。実際に間宮さんは居て、食事を作ってくれるのだ。鳳翔や伊良湖も迎えたかったが資材の関係で不可能。

 

で、本題だが、アメストリア型戦艦が艦娘を攻撃しているという件だが、

大本営より出頭命令が来たが、無論無視。五月蝿かったのでBGM-9を不発で一発ぶち込んだ。

次は核を飛ばそう。

 

という事で以前私がボコボコにされた敵と同一である可能性が高いという事で、アメストリア、リバンデヒ、カイクル、大和、武蔵、加賀の本気艦隊で出撃する事に。全員絶対干渉結界を起動し、レーダーも感度最大、F-105の直庵機も出し、万全の態勢だ。なんか凄い光景だ。

 

 

 

アメ

 

 

リバ カイ

 

 

大和 武蔵

 

 

加賀

 

 

 

という陣形で出撃。

4650mが三隻に965mが二隻1488.5mが一隻。

ありえない戦艦達が六隻。機密上あまりよろしくないが、今回は別だ。

私を大破、リバンデヒを中破、カイクルを小破に追い込んだのだ。

特に私を集中放火した理由が知りたい。あの、最初の大破も恐らくこいつだ。

『姉さん、右7000に味方艦隊六だ。ッ!?敵影二?ヤツだ!』

おっとこれはやばくないか?アメストリア型戦艦は艦娘の攻撃など効かない。同型艦くらいしかダメージを与えられない。

「全艦最大戦速!潰しに行くぞ!」

「分かったわ!」

「了解したっ!」

「此方大和!了解しました!」

「武蔵だ。了解した」

「加賀、了解よ。五航戦の子なんかと一緒にしないで」

座標を捕捉し、BGM-9を全弾発射。

4500基のグラニートも順次発射。

計16545発のミサイルが発射され、500cm四連装砲が射程に入った途端、猛烈な業火を放つ。

7mの砲弾が大量に放たれる。

 

しかし、効いているとは思っていない。

結界を張っているなら無意味。直接ぶつけないと中和してくれない。

急がなければいけない。

「妖精さん!味方の被害状況は!」

''重巡二、大破!軽巡三大破、中破!駆逐一、小破!です!''

「盾となり滑り込め!リバンデヒ、カイクル、大和は援護!武蔵は空母の方を殺れ!」

『主砲、てぇー!』『了解。てぇー!』『了解しました!』

 

やっと目視出来た。

黒い煙が上がり重巡が炎上し、軽巡は駆逐を守りながらも必死に反撃している。

 

そして滑り込む。

結界を張り直し、結界同士をぶつける。バリバリと膨大なエネルギーが衝突しあい、接している結界からは紫電が散る。

「主砲全門90度一番から五番!副砲、一番、三番、五番、六隻右90度、45mm対空機関連装砲右舷起動!」

主砲が起動し、右舷に全門が旋回し、装填。対空砲は俯角を最大まで下げてより敵の深海棲艦に当たる様にする。そして、結界が飽和し、消える。

「てぇー!」

 

7m×5mの砲弾...私は空飛ぶオプティマスと名付けた鋼鉄の塊が20発撃ち出され、私の船体が大きく傾く。そして砲弾は敵の装甲を突き破り、爆発。同時にこちらも攻撃を受ける。

甘んじて受ける。あちらも500口径砲だ。

殴られたような衝撃に襲われるが、私は立つ。

「武装全門起動!フルファイア!突撃しろ!」

黒い船体と濃い灰色の船体が直接ぶつかり火花を散らす。砲身と砲身が交差し、互いに砲弾をゼロ距離で撃ち合う。500cm四連装砲が船体を貫き、150cm四連装砲が艦橋を撃ち抜き、45mm対空機関連装砲が穴だらけにしていく。右舷側甲板下にある30cm連装電磁力砲、20cm連装砲が一斉に旋回して互い違いになる様に大量の砲弾をばら撒いてゆく。左舷のミサイルが打ち出されすぐに急降下すると深海棲艦の様々な所に突き刺さる。

 

何故か戦艦同士の殴り合いになったが私は既に数回大破している為、特殊装甲を積んでいる。

 

''ゼロ距離から600口径が命中しても傷一つ付かない''

 

がコンセプトの妖精さんの自信作。深海棲艦の攻撃は一切効かない。

深海棲艦が積んでいるはずがなく、主砲弾が大量に命中。

アメストリアの弱点、内部から爆発して行き、至る所から炎を吹く。

 

 

ーーーバギッ!

 

 

裂ける音が響き、敵であるアメストリア型戦艦の攻撃がぴたりと止み、艦尾から沈んでゆく。

私の方は第一砲塔が中破。電気系統が少しやられている。旋回不能。

他は艦橋群が幾つか応答せず。航行には支障無し。

弾薬が尽きかけている。主砲、副砲、対空砲の砲身は冷却中。

一応私は露出艦橋に出てベガルM115AXという対戦車(?)ライフル...妖精さんに聞いたが、対艦ライフルという巫山戯たライフルを構える。

 

そして艦首が海面から離れ、ゆっくりと天へ向いてゆく。

破損した部品や甲板の破片、第一砲塔の砲身などが雨の様に散り、艦首より先に没してゆく。

 

そして最期の力を振り絞ったかのように垂直に立つ。

大量の気泡を出しながらゆっくり、ゆっくりと沈んでゆく。

100m近い高さを誇る艦橋を残した後部船体が転覆し、艦尾を最後に沈んでゆく。

一応深海棲艦だろうと、昔は()と共に戦っていた妹だ。

ライフルを立てかけ、敬礼する。

「号砲用意!二番、三番、四番、五番砲塔、空砲装填、てぇー!」

轟音が鳴り響き、白い煙が吐き出される。

 

艦首が水柱を立てながら全て没する。

あれ...泣いている?私の目から少ないが一筋の涙が出ていた。やはり、感傷はあるのだろうか、と何処か他人事の様に私は分析していた。

「リバンデヒ...一応、警戒を......?」

少し海面が光り輝いたかと思うと、ぼんやりと優しい光が見える。

何これ?

「リバンデヒ...あれは、何だ?」

『分からないわ...主砲向け!方位陣形!』

私、リバンデヒ、カイクル、大和で囲い、武蔵、加賀が艦娘を守る。

四基全ての主砲を向ける。復活なんか止めてくれよ...?

 

そして海面に影が現れたかと思うと思うと勢いよく叩き割り、濃い灰色の艦首が伸びる。

艦橋が現れ、電探が現れ、マストが現れ着水する。

「え......?」

すぐに60門の500口径砲が向けられる。

座標固定。

「リバンデヒ、カイクル、主砲はそのままいつでも撃てるようにしておけ。突入する。」

『『了解』』

ベガルM145を持ち、不審艦の艦首に転移。

見た所主砲は500cm四連装砲だ。つまり、改二だ。

艦娘か深海棲艦は......いた。

第一艦橋に転移してベガルを向ける。ーーーーーーーん?居ない?

突然、後ろから手を回され口を押さえられた。首元には小ぶりだがしっかりと研がれている事が分かるナイフが添えられていた。...怖ッ!どうやって私の警戒網を潜り抜けてチェックメイトしてきたのだろうか? やだ...もしかして私の警戒網...ガバすぎ?

「あれ...?お、お姉さん!?ご、ごめんなさいっ!僕、お姉さんだとわからなくて...」

ナイフが下げられ、後ろを向くと、中性的な顔立ちに優しそうな蒼眼、長い黒髪を一房で纏め、白いリボンで纏めた美男子...失礼。記憶によると、

 

『アメストリア型戦艦四番艦ノイトハイル』

 

と。()の妹だった。

 

 

 


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