結構難産...
21.海軍創設式典 -準備-
ーーーーーーーーーーーアメストリアsideーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日、リバンデヒ、カイクル共に補給が終了。すぐに抜錨した。
今回はゆっくりと行こうと三人で決め、20ノットにて航行中だ。
しかし目立ちたくは無いので、光学迷彩を常時起動。たまに水中潜行機能もテストで使ってみた。
現在は70ノットで航行中。一応レーダー感度最大で深海棲艦対策はしているが、敵であっても艦娘であってもまず当てられるものは居ないのであまり意味がなかったりする。
「主砲は安全弁を全て締め、電力伝達を遮断。動かすな。第一戦闘態勢、副砲に榴弾式結界弾、粒子弾を装填しておけ。」
『ウンターガング弾はダメなの?』
ダメに決まってるでしょうが...下手をすると核よりタチの悪い砲弾だ。
丁度いい。説明すると、ウンターガングというのはドイツ語で崩壊。
ウンターガングエンジンというのは結合と崩壊を意図的に繰り返させてエネルギーを生み出すのだが、それの応用で妖精さんがもっとちっちゃくしようぜ!と張り切り、この悪魔の砲弾が出来上がった。命中すると、半径1200kmは何も無くなると言って良いだろう。疑似ブラックホールを生み出す砲弾と考えてもらって良い。量子変換ガン無視だが、妖精さんの存在自体色々と喧嘩を売っているようなものなので、この世界では今更という感じだ。
「こちら横須賀鎮守府、誘導に従い入港せよ」
「アメストリア型戦艦一番艦アメストリアだ。了解した。『光学迷彩停止。絶対干渉結界起動』」
『...了解』
すると陽に照らされた航跡のみだった景色に三つの巨島が現れる。
そんな存在を知るはずもなかった海鳥が見事に命中したが、気にしない。
光学迷彩が停止し、副砲を除く全武装がロック。電力伝達が遮断される。
そして電探、マストの照明灯が幾つか灯り、結構絵になる景色になる。一般人はいないだろう...多分。そして誘導と名ばかりに何も来ず、指示に従う。
「二番パース付近にて停泊せよ」
「了解、投錨!隼を降ろせ!」
アメストリア、リバンデヒ、カイクルから20tは下らない錨が、18の鉄塊が海面を突き破り横須賀の深い海に刺さる。ふむ...海面が軽く津波発生というところか。
でも、ドック入れない...(泣)
隼に転移し、主砲を起動させ、軽く点検を行う。そして隔壁を解除し、スロープ状に船体の一部が割れ、隼が滑り落ちる。
そして海水を盛大に撒き散らしながら着水し、驚愕のスピードでアメストリアから離れる。
リバンデヒに近付き、接岸。
「リバンデヒ、少し遅いぞ」
「ごめんなさいね。少し保険を掛けていたから」
「はぁ...『カイクル、今から向かう。準備しておいてくれ』」
『了解』
本当何処かのシスコンと違いカイクルは優秀だ。
舵を操り、戦艦クラスに届くアメストリアの''内火艇''を動かす。これで内火艇クラスだからなぁ...
一応内火艇だが、どう考えても戦艦か重巡洋艦だろう。
「けどお姉ちゃん。万が一を考えて一般人に見られるのは不味いんじゃないの?」
「知っている。しかし此処で光学迷彩を使うとアメストリアの周りに瓦礫が溜まることになる。後片付けが面倒だ。」
「なら潜行させたらいいじゃない」
「む.........」
それは思いつかなかった。カイクルか光学迷彩と潜行機能を両方使って奇襲したりするが、私はこの火力を持ち、堂々と正面から潰す為、光学迷彩は機密上ともかく、潜行機能は考えてなかった。
いけないな。慢心し始めている。経験が足りない...
「カイクル、聞こえたな?」
『あぁ。隔壁全閉鎖。メインタンク注水。潜行開始』
一瞬光ったかと思うと、結界がガラスが割れたかのような音を立てて崩れ去り、照明灯が消灯され、静かにかつ素早く沈んでゆく。
「......む?カイクル、何時からいた?」
「先程転移した。」
「そうか。まず、横須賀鎮守府に向かい、大本営に向かう。最低限の武装に止めろ。拳銃携帯は許可する。」
私はM93R二丁を両腰のホルスターに入れ、後ろにサバイバルナイフを差す。
リバンデヒはG18を入れ、CPWというサブマシンガンを吊るす。
カイクルは何時もの軍刀にMODEL500というM-500と言った方が分かる撃ったら脱臼するあのリボルバーだ。Smith&Wesson製で2002〜2003にしか生産されなかったある意味凄い銃だ。未だに流通はしているものの、持っている人は少ないだろう。
一丁2.2kgというM1911二丁分の重量で、火力大好きなカイクルにはもってこいのリボルバー拳銃を入れ、レミントン770をガンベルトを通し肩に下げていた。貴女は何をしたいんですか?
ということとで、隼から発光信号を発信し、二番ドックになんとか入港。
うん。以前のダイナミックお邪魔しますの時に海防艦15隻に艦娘は殺さなかったが、大破50隻、中破78隻、小破128隻を記録し、防衛システムは全て叩き壊したが、見事に復興を遂げ、元通りになっている。
大和や武蔵もいることを偵察機とレーダーで確認している。まぁ、パラオ鎮守府の大和(笑)には勝てないだろうが...
上陸し、あたりを首を動かさずに自然に探る。
私の艦娘レーダーでは憲兵隊を確認している。M14か...悪くない選択だが、レミントンのほうが有能だと思うのだが...
しかもサイレンサー付き。そんな豆鉄砲で艦娘が死ぬか...いやごめん死ぬわ。
そして一番の問題が此処、横須賀鎮守府の提督が直々に待ち構えていたことだ。
ウチの提督の父であるこの方、確かに歴戦の戦士の風貌を持ち、事実、有能だろう。
「アメストリア型戦艦一番艦アメストリア以下三隻、只今到着した」
「私はこの横須賀鎮守府の提督だ。貴様らの船体は?」
「要請があれば浮上する。今は海の底だ。」
いやいや、開口一番に技術要求と...流石に引くわー...絶対私達艦娘をモノと、してしか見ていない劣等民族だ。心から軽蔑してやろう。
まぁ、要求は要求なので私のみ浮上させる。
「アメストリア機関始動。浮上」
「お姉ちゃんっ!?」「姉さん?」
何してんだボケェ!!っていうキツイ目線を向けられるが無視して浮上させる。錨は下ろしたままだし、大丈夫だろう。念のため全隔壁をロックし、侵入する手段を全て塞ぐ。
艦首から海面を、突き破り、ダイナミック着水。密かに500cm四連装砲を向けておく。大本営に。
「では私達は失礼する」
本来は大本営に用があるのだ。ここには船体を預けるだけ。
隼も接岸させたまま置いて行き、歩いて大本営まで行く。横須賀鎮守府と隣接しているため、すぐに着く。
大本営、
数多ある鎮守府に的確(?)な指示を出し続け、報告書、命令書、その他もろもろの膨大な書類が一手に集まり、迅速に処理されて行き、魔窟とも呼ばれ、真のブラック鎮守府とは此処だとも言われている。また優秀な人材が数多く所属し、それぞれの派閥が牽制しあい、戦争状態だ。
しかしその優秀な人材を権力欲にとりつかれた保守派の老害...失礼。
未熟な若者(老人)が意味不明な指示を出し、戦力を削り続けている。これは不確定な情報だが、
現在の上層部、政府には拡大派の阿呆が流行らしく、大体大失敗する作戦は大体ど素人が関与したり過激派が無駄な意見をぶち込んだ時だ。それによって何人の艦娘が無駄に死んで行ったか......イライラするなぁ...殺っていい?うつけ者が...
まず日本は軍国主義。軍事を主に置いた比較的裕福な国だ。
その最重要機密である軍事に安全に囲まれマスコミや狂信者にちやほやされたボンボンが口を突っ込むものではない。遊びでは無いのだ。そっちの卓上の戦争とは違い、すぐ目と鼻の先で戦争が起きている戦線なのだ。バランスを崩すな...
「よく来たな」
「只今アメストリア以下三隻到着した。それでどういう指示だ?」
「まぁ、そう急ぐな。とりあえず掛けたまえ」
あの大将の執務室に通され、応接セットの椅子に腰掛ける。
背筋を伸ばし、足を組む。本来はすごく失礼だが、私には効かないし、聞かない。
まず此処の人間自体があまり好きでないし、信じられなくなっている。お前ら汚すぎるんだよ...
少し覇気はあり、指導者としてのカリスマはあるようだ。若干圧力をかけているが、
お茶を出され、カイクルが毒味し、アイコンタクトで了承を得てから口をつける。
催眠薬はお断りだ。
「ふっ...やはり貴様らは良いな。普通の艦娘とは違う」
「ふん、伊達に4900年生きていないのでな。それで、指示は?」
「今回、第八十五回海軍創設式典及び観艦式、一般開放を行う」
「そこで私達を公開するのか?」
「そうだ。しかし残念ながら貴様らの停泊出来るドックなど無い。しかも一般開放する以上海上は不可能だ」
「.......ふ頭は?」
「貴様は己の大きさを自覚しているか?」
馬鹿か?と聞かれてしまった。えー確かふ頭あったんじゃん...入らないけど...
タンカーや大型船が着岸出来るが、私達は大型船というランクでは無いので、意味がない。
「すまない...」
「だから仮設のしっかりとした巨大な桟橋を設置し、貴様らはそこに入港し、海底に沈んでおけ。500mなど無いからな。位置は式典会場の後ろだ」
...
......
.........
...エェ?耐えれるの?しかも沈んでおけって艦娘にいう言葉じゃないだろう...ふむ...あそこの深度は300m程。艦橋群上部が露出するが、光学迷彩でなんとかする。
「...了解した」
「インパクトを重視し、指示が下ると三隻同時に浮上しろ。海水なんか気にしなくていい」
いやいや気にするでしょう...いくら綺麗に浮上しても大量の海水を巻き込み、周囲が一時的に霧に包まれる。私達としてはいいのだが、場所が場所だ。貴賓、客にかかる。
しかし中々面白いことを考えてくれるじゃないか...恐らく事情を知らない第三者から見たら悪巧みを思いついた悪人面で意味深な笑みを浮かべているだろう。一度鏡で見たが、結構怖い。しかし元が超絶美少女な為、同性でも落とすレベルの笑みだった。
今回の目玉である私達アメストリア型戦艦が式典時にド派手に発表、か...日本のシンボルにするつもりか?長門みたいに。まぁ、いいけどさ。
「了解した。では失礼させて頂く。明日また来よう」
式典は明後日。航海が少し掛かったな。フル稼働で行かなかったし。
明日、潜行、光学迷彩をしたまま指定位置へ。
明後日、BBBBAAAAN!!!
だ。面白い。目立つつもりは無いが、これ位は良いだろう。ネット住民が勝手に広めてくれる。
そも私達は国も守るために存在している。そしてその守る対象はアメストリア國のみだが。
当然だが、國には国土、国民が含まれている。
今は超長期的な戦争時だ。闇が差し、意欲が下がる。すると当然国力の低下に繋がる。
そのどん底に、圧倒的な火力と鉄壁の防御力を持った戦艦が現れたらどうだろうか?
無論その方面のOTKが食いつき、マスゴミが煩く吠え、国民全体に広がる。未だにテレビが生き残っている。番組は賛否両論になるだろう。しかし歓迎する声が高まるだろう。
大いに結構。タカ派が利用しようとしてくるだろう。
宜しい。ならば戦争だ。全て殺してやる。
過激派は一人残らず殺してやる。現実をいい加減見ろ。
米帝や国土だけ広い貧困国が煩く言ってくるだろう。すでにアメリカ軍の偵察機や監視衛星は確認し、泳がせている。
「お姉ちゃん、良かったの?」
「まぁ、面白いではないか。この国に新しい風を送り込むのもまた一興だ。出席者を見たが、重鎮ばかりじゃないか。保守派の馬鹿(元帥)五人、海軍大臣、陸軍大臣、首相、皇族。暗殺対象が紛れ込んでいるが、ミサイルで許す。そして同盟という名の属国にしたがっているアメリカ軍から幾人か。大々的に動こうじゃないか」
「まぁ、人目は慣れているけども...人間の欲は凄まじいものよ?」
「ああ」
「姉さん...50口径を...」
「却下だ。すでにカイクルはM-500を持っているだろう」
「うぅ...」
あんたどんだけ大口径銃好きなの...
OTKとはオタクとことです。
OTAKUでOTKですね。
諷詩です。
今回二日間空けてしまい申し訳ありません。
リアルの方で色々と用事が殺到し、書く時間がありませんでした。
感想、評価大募集中です。書く意欲になります。