絆道~始まりのミチシルベ~   作:レイリア@風雅

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第38話 データが全てじゃない

 

「ナルトとキバか…」

 

「残念だが、ナルトはここまでだな」

 

「そんなことないと思うけどなぁ」

 

「あ?」

 

 

勝利を確信しているキバの叫びも、シカマルの予想結果にも頷かず、むしろユウは余裕の表情を浮かべていて、訝しげに首をかしげる。

なんといっても、ユウとシカマル、キバ、そしてナルトはアカデミー時代ずっと同じクラスだったのだ。

少なくともアカデミー卒業時の実力差から考えて分析した結果なら間違いなくキバの勝ちだと予想する。

 

 

「データが全てじゃないってこと!

まぁ、よくナルトを見てて……絶対びっくりするよ」

 

「!…そりゃ楽しみだ」

 

 

自分の予想をまるっと覆すような結果を出すと、ユウが言うのであれば。

きっとナルトは面白いくらい成長しているのだろう。

シカマルもキバも、預かり知らぬ所で。

 

 

「…どっちが勝つと思う?」

 

「ナルト」

 

「即答か」

 

「うん。キバには悪いけど……今のナルトに油断してかかったら、間違いなく痛い目みる」

 

 

だから、きっとナルトだよ。

楽しそうに笑うユウにそっか、と返し、ナルトたちを見る。

そこまでの信頼を得ているナルトが、少し羨ましく思った。

 

 

「せめてもの情けだ…キレーに一発でのしてやんよ!」

 

「ふ―――ん!あっそ!じゃオレも!」

 

「……だから強がんなって言ってんだろ!」

 

 

同意するように赤丸も吠え、両者にらみ合う。

 

 

「では、始めてください!!」

 

 

まず先手を打ったのはキバ。

体制を低くし、一気に印を組み上げた。

“擬獣忍法 四脚の術”!!

 

 

「行くぜ……」

 

「!」

 

 

四つん這いになり、両腕に力を込め、一気に地を蹴る。

そのスピードについていけなかったナルトはそのまま体当たりを喰らい、吹っ飛ばされてしまった。

 

 

「もう当分目を開けることはねーぜ……試験官さんよ!」

 

「あのナルトがキバにかなうわけないわよね―――……」

 

 

いのの呟きに思わずユウを見るが、特に気にしているわけでもなく、むしろ微笑みすら浮かべている。

そして、サクラとカカシがいる方を見て、無言でアイコンタクトを取り、笑みを浮かべるのを確認し、更に笑みを深くした。

 

 

「!なに!?」

 

 

言っちゃえ、ナルト。

 

 

「オレをナメんなよ!!!」

 

「「「「!!」」」」

 

「「行け――!!ナルト――!!」」

 

「オォ!!」

 

「言うようになったじゃねーか……」

 

 

力強い真っ直ぐな眼差しでキバを睨むナルトに、彼を甘く見ていた者達は戦慄を覚えたことだろう。

サクラとユウの声援が飛び、リーも感化されたのか、熱く拳を握った。

シカマルはワクワクするような、ふつふつと高まる興奮に口角があがる。

くるり、そんなシカマルへと振り返り、ユウは嬉しそうに笑った。

 

 

「ね!言った通りでしょう?」

 

「ああ……そうだな」

 

 

もう、自分たちの知っているただのドベだったナルトじゃない。

まざまざと見せつけられて、弟の成長を喜ぶようなユウに微笑を浮かべる。

 

 

「……お前だけじゃなかったみたいだぜ」

 

「え?」

 

「いや、こっちの話」

 

 

異性としての好意ではないけれど、ユウもナルトのことを双子の兄妹のように感じているのだろう。

……少し羨ましくも思うけれど。

 

 

「血ィ流して何言ってやがんだ、強がんのもたいがいにしろ!」

 

 

キバに同意するように吠える赤丸。

随分余裕がないな、とシカマルは心中呟く。

 

 

(まあ、気持ちは分からなくもねーがな)

 

 

好きな女が対戦相手を応援しているのだ、面白いわけがない。

 

 

「手ェ抜いてやったんだってばよ!お前の力みるのにな!」

 

「!」

 

「お前こそ強がってねーで犬でも何でも使いやがれ!!」

 

「……後悔すんなよ!」

 

 

行くぜ赤丸!!

指示を受け、待ちかねたと言わんばかりに吠えた赤丸と共にキバは駆け出す。

その手にポーチから取り出したけむり玉を構え、床へ叩きつけた。

 

 

「くっ……」

 

 

2人と1匹の姿が煙に飲まれ、見えなくなる。

シカマルは今、煙の中で何が起きているのか分からないが、キバの掛け声とナルトの悲鳴が断続的に聞こえてくるため、一方的にやられているのはナルトだと判断できた。

あー、なるほど、と納得したように呟いたユウに、疑問をぶつける。

 

 

「何がなるほどなんだ?」

 

「…視界が見えなくなってもキバは鼻がきくでしょう?それに忍犬の赤丸もいる。

反撃が出来ないナルトがこれから取る行動は限られてくるから……キバはそこを狙うつもりだよ」

 

「…なるほど」

 

 

キバの奴も、バカじゃねーってことか。

そう呟いたシカマルの目には、ちょうど煙から飛び出したナルトが赤丸に噛まれ、そのまま再び煙の中へ消えていったのが見えた。

煙が少し晴れ、姿を現したのはお座りをする赤丸と、その傍に倒れているナルト。

 

 

「ウッヒャァ!!やったぜ!!いいぞ!!」

 

「ワン!」

 

「良くやったな赤……!?」

 

 

ガブリ、相棒である筈のキバに噛み付いた赤丸に、ユウは苦笑した。

ボン、術が解ける音と共に金色の髪が揺れる。

 

 

「ひっかかったな、ガルルル!!」

 

「てめー!変化の術で!!」

 

 

そう、ナルトが赤丸に化けていたのである。

 

 

「くそ!油断しちまったぜ!!赤丸はどこだ!!?」

 

「オエ―――!てめぇ犬くせーってばよ!!」

 

「こっち!」

 

 

影分体のナルトにぷらーんとぶら下げられ、クゥ~ンと情けなく鳴く赤丸の名を呼ぶキバ。

その姿に、正直シカマルは驚きを隠せずにいた。

 

 

「……ウソだろ……あのナルトが…影分身に変化の術を応用するなんて器用な真似…できるはずが……」

 

「ウソ……アレがナルト―――!?対等にキバとやり合ってる……イヤそれ以上じゃない」

 

 

少し離れた所にいるいのも、驚きを隠せない声をあげている。

あちらこちらでナルトを評価する声があがり、ユウは誇らしげに微笑んだ。

 

少しずつだけど……。

確かに今、あなたはあなたとして認められ始めてるよ、ナルト。

 

 

「少しは強くなったじゃねーの……だがもう終わりだ、次はマジでいく!」

 

「ふ――ん、あっそ!じゃ…オレも!」

 

 

本当に、どうやらあのナルトではないようだ。

しかし、勿論キバとて成長していない訳ではなく、ただでは終わらない。

 

 

「ナルト!遠慮なくいかせてもらうぜ!」

 

 

そう前置きを置いてから、キバは丸薬を指で弾き、赤丸の口へ放り投げた。

ぱくんと丸薬を食べ、飲み込んだその直後、赤丸に変化が起きた。

グルルルと凶悪に唸り、その毛並みが赤く染まっていく。

思わぬ反撃を喰らい、影分身が解け、赤丸は本体のナルトを強く睨みながらキバの傍らへと着地する。

 

 

「!?毛の色が赤く……!?

な、なんだ!?何食わせたんだ!?」

 

「!(兵糧丸……!)」

 

「だから赤丸ってんだよ!」

 

 

答えながら自分の口にも丸薬……兵糧丸を放り込み、飲み込んだ。

 

 

「いくぜ赤丸!!」

 

 

再び体制を低くし、印を結ぶキバの背に乗り、赤丸が吠える。

 

 

「擬獣忍法!!」

 

 

“獣人分身”!!!

赤丸がキバへ変化し、獣のように唸る。

 

 

「!?なんだ?今何食ったんだ!?」

 

「兵糧丸だよ」

 

「……兵糧丸?」

 

「兵糧丸は服用した兵が、三日三晩休まず戦えるとまで言われてる秘薬のこと。

高蛋白で吸収も良く、ある種の興奮作用、鎮静作用の成分が練りこまれてる。

今、キバと赤丸のチャクラは一時的に倍増してるって所かな」

 

「!…キバはバリバリの戦闘タイプ、まさにもってこいの丸薬ってことか」

 

 

ユウの解説もそこそこに頷き、呟くシカマル。

そういうことだね、と同意して、ユウも頷いた。

四脚の術によりチャクラをまとい、チャクラをまとい、身体を強化されたキバと赤丸に体当たりされ、吹き飛ばされるナルト。

血だらけになって、ようやく攻撃をかわすが、チャクラを足に溜めての回避で既に精一杯のようだった。

再びかわすため、跳躍するが、ナルトの身体は宙へと浮いてしまう。

しまったと思うも既に遅く、キバたちは身体を大きく捻った。

 

 

「くらえ!!獣人体術奥義!!」

 

 

“牙通牙”!!!

高速回転を加えられ、弾丸のような攻撃をモロに喰らったナルトの悲鳴が響き渡る。

宙を舞っていたナルトの身体が力なく床へ落ちる。

 

 

「この辺が実力の差ってやつだ」

 

「ガハッ」

 

 

吐血するナルト。

体力の消耗も激しい上、深手を負った彼がキバに勝つのは不可能に思われた。

それでも尚、痛みに震えながら立ち上がろうと腕に力を込める。

 

 

「オ……レは……火影に………こんな……ところ……で……」

 

「お前が火影?このオレより弱いのにかァ!?

お前本心じゃ火影になれるなんて思ってもねーくせに強がってんじゃねー!!

クク……火影ならな……オレがなってやるよ!!」

 

 

ナルトは、倒れたまま首を動かし、少し霞んだ視界にユウの姿が映る。

誰もが険しい顔をしている中、ユウだけはナルトの勝利を信じ、少しも疑っていない様子で穏やかに微笑んでいた。

ユウの試合前に、彼女と拳を突き合わせたことを思い出す。

その時に伝わってきた、彼女の「絶対に本選に行ってみせる」という誓いと、もう一つ。

 

―――あたしは、ナルトが誰と対戦することになっても……。

 

視界にいるユウが、唇の動きだけでナルトの名を呼ぶ。

 

―――ナルトが勝つって、そう信じてる。

 

だから、と記憶の中の彼女の意思と、ユウの声が重なった。

 

 

「立って!!思う存分全力で戦って!!ナルト!!」

 

 

霞んでいた視界が一気に晴れた。

痛む身体を叱咤し、立ち上がろうと踏ん張る。

 

 

「立てーナルトー!!」

 

 

サクラの声が聞こえる。

サクラやユウだけじゃない、カカシやシカマル、この場にいる誰もが今この瞬間、ナルトを見ている。

ナルトを認めてる。

だから、ナルトは頑張れる、何度だって立ち上がれる。

今度こそしっかりと立ち上がり、ナルトは笑みを浮かべた。

さて、誰よりも自分の勝利を信じ続けてくれているあの子に、そろそろ勝利を届けに行こうか。

その第一歩、この声が、この言葉が、あの子に届くようにと願い、キバを睨むように見据えた。

 

 

「オレと火影の名を取り合ったら……お前ェ負け犬になンぞ!!」

 

 

視界の端で、ユウが嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

 

「オイ……何度も何度もしつけーやろーだな。赤丸アレやんぞ!!」

 

 

距離を詰めてくる二人の構えが、先ほどの牙通牙を行う前の構えであることに気づく。

 

 

「そう何度も同じ手くうか!」

 

「くらえ!!」

 

「ぐっ」

 

 

再び防戦一方となってしまったナルト。

牙通牙をなんとか避け続けてはいるが……今のナルトのレベルからいってそう何度もよけることは難しいだろう。

その時、突如ナルトがチャクラを練り始め、術を発動した。

 

 

「!!」

 

 

煙が晴れ、現れたのは3人のキバ。

一人は本人、もう一人は赤丸、そして最後はナルトが変化の術で化けた物だ。

三人は対峙し、そのまま動きを止める。

 

 

「一つ忠告しとく。前は油断して気づくのが少し遅れたが、もう変化の術は効かねー……。どーしてかってーと!!」

 

「!」

 

 

迷いもせず、片方のキバへと殴りかかる。

 

 

「ヒャッホーッ!!」

 

「ぐあっ!!」

 

 

殴り飛ばされ、呻く自分と同じ姿を模した者に、自身の鼻に指をさす。

 

 

「におうんだよなぁ……。オレたちの嗅覚をナメるなよ、ナルト」

 

 

キバが勝利を確信したその直後、変化の術が解け、現れた姿に目を見開いた。

術が解け、現れたのはナルトではなく、自分の相棒の姿。

 

 

「赤丸!!」

 

 

くそっ、と悪態を吐き、キバは殺気立った目でもう一人を振り返った。

 

 

「じゃあてめーがナルトかぁ!なめやがって!!」

 

「ふぐっ!!」

 

 

振り向きざまに殴り飛ばされ、地面を転がった末、術が解ける。

が、しかし術が解けて現れたのはこちらのキバも赤丸だった。

完全に動揺し、状況を正確に把握しきれていないキバの背後で、最初に殴られた赤丸がムクリと起き上がる。

そして、術の解ける音が響き、振り返ったキバの目には自分に飛びかかるナルトの姿。

 

 

「オラ――!!!」

 

 

そのままガードも出来ず、蹴り飛ばされたキバは本物の赤丸が倒れている方まで飛ばされてしまった。

相棒を見やれば既にグテーンと脱力し、意識を失っており、ノックダウンされてしまっている。

策にハメられたとはいえ、自分で自分の相棒を伸してしまったのだ。

ナルトを睨みながら悪態をつけば、彼は逆に挑発するように笑みを浮かべる。

 

 

「術は良く考えて使え!だから逆に利用されんだってばよ!バーカ!!」

 

「……!」

 

「あはは、懐かしいセリフ!」

 

 

下忍選抜試験を思い出す。

あの時、あの言葉をナルトに送ったのは確かカカシだった。

ずっと悔しく思っていたのだろう、実に満足そうである。

完全に頭に血が上ったと思われたキバだったが、自分の手に歯を突き立てた。

血が滴るほどの痛みを与えることによって冷静になったようだ。

両手に手裏剣を構えるキバを、余裕の笑みを浮かべ、印を結ぶ動作をする。

 

 

「へっ……やっと本気になりやがったか、キバ。じゃあオレのとっておきの新必殺技でケリつけてやるってばよ!!」

 

「そんなのまだ隠し持ってやがったのか、アイツ……!?」

 

「うーん……あれから新しく術、覚えたのかな?」

 

 

疑問符を浮かべるユウを見て、シカマルは肩をすくめた。

ユウでさえ知らないのであれば、シカマルに見当など付くはずもない。

彼女ですら知らないナルトの新必殺技とやらはなんなのだろうか。

 

 

「どんな技かは知らねーが!そんなもんさせなきゃいい!!」

 

「!くっ……」

 

 

放たれた手裏剣を避けている隙に四脚の術を使い、キバは一気に地面を蹴る。

 

 

「うオオオ!!」

 

「遅い!」

 

「!」

 

 

チャクラをねってる最中に背後へと回っていたキバ。

そのまま無防備なナルト目掛けて飛びかかる。

 

 

「くらえ――!!」

 

「「「「!!」」」」

 

 

誰もが息を呑み、緊迫した空気が流れたその瞬間……。プゥ~、とどこか間抜けな音が響いた。

 

 

「あ!」

 

「!!……ウギャ――――――!!」

 

 

まさかのナルトのおなら攻撃に、通常の何万倍も敏感になっているキバの嗅覚が耐えられるはずもなく、両手で鼻を抑え、苦しみだした。

そのままフラフラしている様子からは、しばらく復活できそうにもない。

 

 

「ナルトー!今がチャーンス!」

 

「!くっそー!力みすぎた……。だけどこっからが新技の見せどころだってばよ!!」

 

 

“影分身の術”!!

 

 

「よーしィ!今までやられた分、一気に返すぜェー!!」

 

「!」

 

 

それを合図に影分身を合わせ、5人となったナルトが同時に駆け出す。

 

 

「う!!」

「ず!」

「ま!」

「き!」

 

 

体制を立て直すことも出来ず、反撃も叶わぬ連続打撃攻撃に、キバは成す術なく空中へとその身を浮かせられてしまう。

そして……。

 

 

「ナルト連弾!!」

 

 

フィニッシュに強烈な踵落としによって頭から地面に叩きつけられた。

その一連の動きは、先ほどサスケが見せた獅子連弾に似ていた。

ハヤテが一応念のため、キバの意識があるかないかを見、立ち上がる。

 

 

「勝者 うずまきナルト!」

 

「オオオ―――!!」

 

「しゃーんなろー!いい感じ―――!!」

 

 

熱く雄叫びをあげるリーに続き、湧き上がるサクラからの歓声。

己の掌を見つめ、ギュッと握り締めたナルトの姿に穏やかに微笑み、ユウは頷いた。

 

 

「あのナルトがキバに勝ちやがったぜ!!ユウの予想通り、ナルトの勝ちだな!」

 

「うん!それにしても……」

 

 

自分にとってどういう動きが足りていないのか、それを理解していなければ、例えサスケに似せた技だといえど決めることは難しい。

ナルトはしっかりとサスケと比較した上で自分の足りない部分を影分身で補わせ、技を完成させたのだ。

それも、ぶっつけ本番一発勝負で。

流石にユウも予想できなかった素晴らしい動き、文句なしの勝利である。

 

 

「やっぱり、すごい」

 

 

素直にできないことを出来ないと認めることは、簡単なようで難しいことだ。

それをやってのけるナルトを純粋に尊敬する。

すると、噂のナルトが足取り軽く階段を上がってくる足音。

 

 

「ユウ!」

 

「!」

 

「約束通り、勝ったぜ!!」

 

 

ニッと太陽のような笑顔を浮かべ、拳を突き出したナルト。

突然のことに目を丸くしていたが、やがてふわりと微笑むとその拳に自分のそれを合わせる。

 

 

「うん。……お疲れ様、ナルト」

 

 

コツン、拳と拳をぶつけ合う。

伝わってくる温かい想いに照れくさそうに笑い、おう!と一つ大きく返事をしたナルトはそのままサクラたちが待っている方へと向かった。

途中、ヒナタにつかまり、何やら受け取って二人で笑い合う。

 

 

「……?」

 

「?どうした?」

 

「―――いや、なんか…ヒナタと笑い合ってる姿が、サクラやあたしたちといる時とちょっと違う気がして……。気のせいかな」

 

 

首を傾げ、不思議そうにしているユウに何か言わなければ、と思うが、うまい言葉が見つからず、沈黙してしまう。

もし、ユウの言ってることが本当なら、それは…―――。

 

 

「まぁ、いいや!2人が幸せそうに笑ってるんだもん、きっと悪いことじゃないよね」

 

 

そう自己完結してしまったようで、振り返ってニコリと笑うユウに、そうだなと同意して頭を撫でてやる。

確かに、それが本当なら悪いことではないはずだから。

ナルトと別れたらしいヒナタが先ほどナルトに渡した物と同じ物を持ってキバへと渡しに行った。

何やら険しい表情のキバから何か言われているようで、首を傾げる。

 

 

「では次の試合を発表します」

 

 

ハヤテの言葉にパネルを見上げる。

 

ヒュウガ ヒナタ VS ヒュウガ ネジ

 

ハッとヒナタを見やれば、呆然と目を見開き、固まっていた。

それを気にしつつもとりあえず、試合が始まる前にシカマルと二人で同じ班の仲間たちの元へ行くことにしたユウを、冷たい憎悪の混じった瞳で見ていたレイナに、誰も気付かなかった。

 





ナルヒナやっふい!←
ヒナタ可愛いマジ天使ぃ~!
この頃からナルトもなんだかんだ言ってヒナタを気にしていたような気がするので、勝手に『自覚はしていないけど』っていう設定にしてしまいました。
ユウはそういう周りの空気の違いに鋭い子だといい。
そしてみんなタジタジになっていたら面白い。

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